ひさしぶり、キミコです。

私のこと、知らない人もいるかもしれないね。

改めて自己紹介をします、５年生のさし川キミコです。

長所は、身体能力、リーダーシップがあること、元気いっぱいっていうことかな!

短所は、何にも考えないで先走っちゃうところとか、勉強全然してないところ。

ここだけの話だけど、５年生にもなってまだ割り算ができないの。

その、えっと、割り算の授業の時、めんどくさくなって、寝ちゃって…………

それで先生に怒られ、廊下に立たされ、割り算の授業ができないことに。

それに、他の教科もあんまり上手じゃないんだよね。

と。

私の自己紹介はここまでにして。

次はしずき。

フルネームはみおかき　しずき。

しずきは、私と違って、勉強が学年一得意!

でも、体力的なところでは、私よりも得意ではない。

だから、魔法ではいつも回復魔法担当。

そして、そみこ。

フルネーム、かみかき　そみこ。

そみこは、いっつも厳しい、教頭先生タイプ。

ピリピリ、カリカリしていて、私の苦手なタイプなんだ。

そして、成績はけっこういい方。

そみこは、私のライバルでもあるんだ。

次はまさも。

フルネームでいうと、霜庭まさも。

まさもは、ポジティブ王、マジック王、家庭科上手と呼ばれている。

ひたすらポジティブに考える子。

そして、特技はマジック。

変装とかも、簡単にできちゃうんだ。

まさもってｔ、普段使わないことが意外と得意なんだよね。

そして、家庭科の成績は、最高。

刺繍でも、超きれいな本物みたいな物をつくるし、まさもが作った料理も人生で一番美味しいかった。

ミシンも、上手に使えるし、コーディネートもまさもに任せれば安心。

髪の毛も、上手に結べるんだ。

三つ編みならぬ、四つ編みとか。

そして、さいと。

フルネーム、金川　さいと。

さいとは、私達のサポート役。

そして、女の人みたいになりたいと思っているちょっと変わっている男の人。

でも、まさもと同じく、オシャレは結構好きなんだ。

料理や刺繍も上手。

そこは、まさもに似てるかも。

次は、さきかな。

さきの本名、忘れちゃった。

皐月しか覚えていない。

まあ、さきでいいや。

さきは、機械にすごく詳しい女の子。

コンピュータをハッキングしたり、セキュリティ強化もできるんだ。

機械は、簡単につくっちゃったりする。

じゃあ、次はリンティにしよう。

フルネームは、さし川リンティ。

私の妹。

小学４年生なんだけど、はっきり言って私よりも大人っぽい。

そして、コンピュータについては、さきと同じくらい、詳しい。

よく、さきと一緒にいるの。

最後に、シャイン。

シャインは、フルネームわかんないなあ。

今度、聞いてみよう。

シャインは、さいとが片思いしている大人の女の人。

金髪のきれいな人なんだ。

まさもと同じく、変装が上手。

でも、シャインはまだ出会ったばっかりだから、詳しいことはわからない。

さあ、自己紹介がやっと終わった。

全員の特徴を教えるのって、意外と難しいな。

では、本題に行きましょう。

ザワザワ、ガヤガヤ。

私達が教室に入ると、みんなはもう教室に来ていた。

それに、いつもよりもガヤガヤとしている。

すると、なぜかそみこが、みんなに誤る。

「遅れてすいませんでした。キミコを興すのが、大変で…………」

ちょっと、さりげなく私の悪口言うのやめてくれない?

あ、ごめん。

言い忘れていた。

私たちは、子ども達で生活をする寮で暮らしているの。

もちろん、さいとやシャインも一緒。

学校の教頭先生にお願いして、特別にさいととシャインも暮らせるようになったの。

そして、何でこんなにガヤガヤざわざわしているかというと…………

昨日、家にチラシが届いたことが原因だから。

なんとね、そのチラシには、宇宙旅行がいけるようになったって書いてあったんだよ。

でも、最初からたくさんの人数を乗せるわけにはいかないからって、まずは試しに乗って、宇宙旅行をする人を集めているの。

もう、私は応募書を出した。

応募日数は、今日まで。

先生が渡し忘れて、チラシが遅れちゃったんだよね。

早く用意しないと、授業が始まっちゃう。

よしっと、じゃあ、準備するか!

そして、明日の朝。

寮には、私達の絶叫が響くことになった。

うう、私達以外に誰も住んでいないからって、大声で叫んじゃダメだよね。

ごめんなさい。

実は。

私達、当選したの!

やばくない!?

そみこが、うろうろと動き回る。

「どうしましょう、家の中身を全部持って行きたいんですが…………」

すると、さきがニコッと笑う。

「オッケー。注文、ありがとう。お支払金額は、後で私が決めるわ。」

そみこは、開いた口がふさがらない。

そして、さきはリンティと一緒に自分の部屋に閉じこもると、早速何かを作り始める。

何を作るわけ?

そして、私達は何を作るのか、不思議に思いながらも明日の朝を迎えた。

「キミコ、起きなさい!」

スパルタそみこの声が響く。

そして、私の布団がひっぺ剥がされる。

私は、もう一回布団をかぶった。

そみこは、布団をたたもうとする。

「いい加減起きないと、布団をたたみますよ!」

私は、布団の中で

「いいもん、寝たいもん…………」

ともごもご言った。

そみこは、布団をたたむ。

すると、私の体が変なふうにねじ曲がり…………

ボキッ。

変な音が響く。

そして、私は物置に運ばれた。そして、そみこが物置のドアを閉める。

やばい、これ、内側から扉開けれないんだった。

そみこは、階段を下っていく。

私は、布団から抜け出し、物置の扉を叩く。

ドンドン、ドンドン。

でも、いくら押しても開かない。

どうしよう、閉じ込められちゃった。

そみこ、オニ!

そういえばここの物置の天井って、さきが取り付けた布団をきれいにする装置みたいなのがあるっけ。

それを開ければ、もしかしたら助かるかも。

私は、天井の蓋を取る。

すると、中には暖かい空気を入れている装置が取り付けられ、導線があらゆる所に絡み、抜けられないようになっていた。

このコンセントが全部どけられば、脱出できるんだけど…………

私は、蓋を布団の上に置き、いったんコンセントを抜き、絡まった導線をほどいていった。

でもまたここで問題発生。

どこのコンセントに入れればいいのかわからなくなっちゃった。

私は、蓋を持ったままジャンプして天井裏に上がる。

そして、蓋を取り付けようとする。でも、これは内側じゃ取り付けられないみたい。しょうがない、蓋は外したまんまにしておこう。

私は、蓋を布団の上に置いてから天井裏にのぼる。

そして、天井裏を張ってある天井の板を外した。

ちょうど、キッチンの近くの廊下だ。

私は、天井の板を取り付けた後、さっとジャンプして降り立つ。

そして、キッチンの所に行った。

ふう、これだけ頭と体を使えば、眠気も覚める。

そみこは、びっくり。

「キミコ、閉じ込めたはずじゃ…………」

私は、今までのちょっとした冒険をそみこ達に聞かせた。

そして、朝食を食べ始める。

さきは、その話を聞くと、ちょっと呆れる。

「それ、火事が起きた時のために、取り付けたんだけど…………まあ、それは後で直しておくわ。でも、私、なんとかリンティと何でも入る段ボールを作れたの。ということでそみこ、10,000ください。材料費9,500円に、プラス500円。悪くないでしょ?ほとんど徹夜で作ったの。あと、キミコも120,000円払って。」

はあああああ?

意味わからん。

そみこの注文のことはわかるけど、なんで私がそんな金額払わなきゃいけないわけ?

そう思っていると、リンティが言った。

「キミコのために、マジカル運動部屋を作ったの。まあ、この6人に支払ってもらってもらおうかしら。えー、合わせて、2万円1人ずつもらいます。つまりそみこは、30,000ね。」

めっちゃさきとリンティ、儲かってるし…………

そして、私達は借金が残ってしまったまま、宇宙旅行に行くことになったのだ。

ついに、宇宙旅行の研究所に着いた。

私達は、説明してもらってから、宇宙ポッドに乗る。

中は、思ったよりも広い。

まあ、何ヶ月もクラスから当然か。

私がそう思い、操縦席を見ると…………

テレビがいた。

なんで、こんなところにあいつがいるの??

テレビは、淡々と説明する。

「人間の姿になり、操縦を申し出てみたところ、採用されました。」

げ。

またもや、こいつと一緒に旅するわけ?

私は、うんざりする。

テレビは、お辞儀する。

「では、よろしくお願いします。」

何それ!

まあ、私達はそもそも運転できないし、いっか。

そして、さきがもう1個の段ボールのスイッチを押す。

すると、テントみたいな物が現れた。

さきは、テントの所のボタンをピッと押す。

すると、ドアガシャッと開いた。

そこには、たくさんの運動道具が並んである。

私達がびっくりしていると、さきは胸を張る。

「なら、あなたたちからは合計12万円もらうからね。忘れないでちょうだい。」

そみこは、ため息をついて、財布をガサゴソする。

そして、さきに1万円を渡す。

「これが、私の段ボールの値段です。12万は、もっと貯金してから払います。」

ちょっとそみこ、1万円なんて、簡単に出せないよ。

そみこは、不思議そうにしている私に向かって言った。

「どうせ、キミコは貯金せずに、お菓子などで無駄遣いばっかりしてるんでしょう。私は、月300円のお小遣いなんです。何年も何年も、買いたい物を買うために、貯金してきたんです。」

余計なお世話!

そみこ、なんかバカにしてきてない?

私なんか、お小遣いが月200円なんだけど。

しかも、貯金貯金偉そうに。

ふんっ、いいもんね。

私はこれからお小遣いの100円をさきに渡して借金をチャラにするんだから!

そして、さきはマジカル運動部屋の紹介をする。

「これは、世界のありとあらゆるスポーツや、冒険の役に立つアトラクションがたくさんあるの。ぱっと見ると、普通の体育館に見えるけど。でも、実はもっと広いの。明日、マジカル運動部屋でみんなで訓練しましょう。」

すると、テレビの生意気声が聞こえてきた。

「さっさと片付けを始めたらどうですか?もうすぐ出発しますよ?」

こいつ!

やっぱ、いらつく。

しずきは、ムカムカしている私をなだめる。

「まあまあ、キミコ。テレビは、確かに生意気だけど、そういう性格なんだから。」

私は、ちょっと機嫌を直して、もう1つの段ボールを開ける。

「あっ、キミコ、ダメ。そっちの方は…………!!」

リンティが泊めようとするが、もう遅い。

リンティが止めたのは、私が箱を開けたときだった。

すると…………

段ボールから大量の物があふれ出し、私達に降りかかった。

ゴンッ。

私の頭に、国語辞典が落っこちてくる。

痛っ。

さきは、物の雪崩を止めながら叫んだ。

「そっちの段ボールは、縮小のボタンを押さなきゃいけないのに!」

うう、ごめんなさい。

そう思いながら、私達は整頓を開始したのだった。

そして、整頓が終わった頃には、もう夕方。

でも、まだポッドは出発しない。

すると、テレビが聞いてきた。

「そろそろ、出発してもいいですか?それから、みなさんが住んでいる、お話星のいろいろなところをまわってから宇宙に出発するか、帰りにお話星を見るかどうしますか?」

そりゃあ、こっちでしょ!

私は、叫ぶ。

「最初に地球をまわりたい!」

テレビは、

「はい。わかりました。では、最初の1日のプランはお話星一周旅行で決まりですね。」

といって、たちまち真面目そうな人に変身し、ポッドの外で話し合う。

そして、しばらくするとポッドを発進させる。

すると、たちまち天井の所が開き、私達は空に向かって飛んでいった。

テレビは、

「リビングのモニターから外が見えますよ。ポップコーンも、8人分用意してあります。」

と言って、再び運転に集中する。

たまには、気が利くじゃん!

私は、ポップコーンを持ってリビングに行き、みんなを呼び寄せる。

そして、お話星一周旅行プランが始まったのだった。

ポッドは、空を飛んでいく。

そして、テレビが

「まもなく、有名な場所に着きます。」

と言った。

私は、食い入るようにモニターを見つめる。

すると、目の前に目も眩むようなフラミンゴの大群が見えてきた。

テレビは、淡々と話してくる。

「ここのポッドのリーダーは誰ですか?ちなみに、フラミンゴのショーを見る事もできますが。」

「見る!」

私は、叫んだ。

そして、横からしずきに突っ込まれる。

「まだ、リーダーのことを話していないじゃない。」

私はテレビに言う。

「リーダーは、私。副リーダーはしずき!もし、故障してしまったときとかは、さきとリンティを呼んで。」

テレビは、音量を大きくして

「了解しました。では、フラミンゴショーをやっていきます。」

と応える。

すると、その瞬間、フラミンゴが渦を巻いて行進する。

わあ…………

声にならない歓声が、口の中を包み込む。

そして、フラミンゴは滑るように元のぐちゃぐちゃに戻り、それから一気に一列に並んでいった。

すると、一匹、フラミンゴが飛んだ。

それから、他のフラミンゴも飛んでいく。

私達から見える方から見えない方のフラミンゴが息を合わせ、飛んでいく。

そして、あるフラミンゴが宙返りする。

すると、他のフラミンゴも宙返りした。

それから、波のように大群を使って、「いってらっしゃい」の文字を作る。

それを見た後、宇宙ポッドが回転する。

め、目が回る!

そして、しばらくするとやっとポッドが上昇した。

そこには、煙で文字が書いてあった。

「いってきます」って。

いや、煙なんて汚いものじゃない。

もっと、青天のと気に浮かぶ白い清らかな雲のような煙。

他のみんなも、感動している。

その、感動の雰囲気は、いつまでも続かなかった。

「では、別の所へ行きます。」

こいつ。

私達の、感動の気持ちが一瞬にしてぶち壊されたんですけど!

そして、さっき文字を書いたときの「テレビ、見直したな。」っていう気持ちも、返して!

もう、腹立つ。

すると、テレビが

「あと、３つ面白いところがあるので、そこに行きたいと思います。」

と言った。

私は、

「はーい。」

と返事をする。

すると、瞬く間に大地が若々しい緑の草から、雪におおわれた白銀の世界に景色が変わった。

なに、この一瞬の移動!?

びっくりしていると、テレビが

「少しエネルギーを使う、瞬間移動モードに変えました。」

と言った。

なるほどね。

なら、ガンガン目的地までの時間を減らせる!

でも、こんな白銀の世界に、何があるのか…………ってなるんだけど。

テレビは、いかにも機械らしいことを喋る。

「ここは、北の方の洞窟の近くです。冬になると、きれいな氷山のような洞窟が姿を現します。」

「オッケー。あ、でも、小難しいことは報告しないで。」

私は、テレビに向かって返事をする。

すると、目も眩むような…………氷で包まれた洞窟が姿を現した。

「テレビ。あのさ、この洞窟、探索したいん…………」

「だめです。宇宙旅行から帰った後なら宜しいですが。」

私のお願いを遮ってテレビが断る。

ケチ!

すると、ポッドが急発進する。

グワッ。

立っていた私は、ひっくり返り、ブリッジの姿勢になってしまった。

まさも達は、大笑い。

「き、キミコ、すごい体制!ゴロゴロって転がったあと、ブリッジするなんて!」

ムカッ。

ドシンバタン、ガタン!

大きな音を立て、けんかしていた私達は、次の目的地に着いたことに気がつかなかったのだった。

　そして、最後の地球一周旅行プラン。

そこは、なんと国立公園だった。

しかも、虹色の太陽みたいなのもあるんだけど。

しかも、真ん中の青色のところからは、湯気がでている。

私は、感心しながらポップコーンを食べる。

ポップコーンは、けっこうおいしい。

すごいカリカリしていて、こんがりと焼き目もちゃんと付いている。

私のはキャラメル味なんだけど、濃厚なんだけど、程よい甘さ。

でも、まさもの方が美味しいけど。

そして、テレビはポッドを熱そうな青色のところに突っ込ませようとする。

ちょっと、それはやめて!

私は、ぎゅっと目をつぶる。

すると、ポッドはギリギリのところで浮き上がった。

…………心臓止まるかと思った。

私は、テレビに向かって叫ぶ。

「テレビ!なんで、あの熱湯の所にポッドを入れようとするのよ!」

テレビは、誤る。

「すいません、ちょっと考えことをしていたら、急発進のボタンを押してしまって。」

すると、そみこの声が聞こえてきた。

「ここは、たしかイエローストーン国立公園のグランド・プリズマティック・スプリングです。アメリカ合衆国にあります。イエローストーン国立公園では、火山や地熱活動によってできた、さまざまな景色を見ることができます。その、おもしろい公園の中に、この直径１００メートル以上ある、巨大な温泉、グランド・プリズマティック・スプリングがあるんです。このカラフルな色とりどりの色は、バクテリアや鉱物の色素によって緑や黄色などに見えるんです。青色をした中心部分は、71℃くらいで、とても熱いです。なので、バクテリアが住むことはできません。」

うわあ、そみこ、めっちゃ説明している。

すると、しずきが目をなぜかキラキラさせて、そみこに余計な事を聞く。

「そみこ、それ、どこで知ったの?なんで、調べようと思ったの?」

そみこは、自慢話を始める。

「私は、インターネットであることを調べていたんです。その時、イエローストーン国立公園のグランド・プリズマティック・スプリングの写真が現れたんです。その時は、夏休みだったので、自由研究のテーマにして、いろいろ調べてみました。」

しずきは、また疑問を持つ。

「そみこ、何のキーワードを入れればいい?」

そみこは、応える。

「確か、パソコンの検索広場を開きました。それで、『イエローストーン国立公園のグランド・プリズマティック・スプリング　写真』と調べれば、出てくると思います。」

しずきは、早速パソコンを取り出し、キーボードを打っていく。

私は、そみこに質問した。

「あのさ、それって地球の奴だったような気がするんだけど。」

そみこは、さらりと応える。

「ここは、地球とかなりにている星です。名前が一緒っていうことも、よくあります。もちろんですが、偽物ではありません。」

すると、体がふわりと浮き上がる。

発車したんだ!

そして、ついにポッドは宇宙へ向かって、進んでいったのだった。

　そして、ついに宇宙にでた。

お話星を見てみると、オーロラがてっぺんの方に広がっていた。

きれい…………

私がそう思っていると、テレビが時計を見ていった。

「まだ、エネルギーはたっぷりありますし、行きましょうか、オーロラの中に。」

やったあ!

私は、解散しかけたみんなを呼び止める。

「みんな、オーロラがみられるって!」

声がすると同時に、全員がリビングのソファに向かって突進した。

そして、ポッドはオーロラに突っ込む。

オーロラは、本当に光のカーテンみたい。

森冒険の時に見たけど、でもオーロラをゆっくり見ている暇なんてなかったし。

そして、私達はオーロラを楽しんで、宇宙旅行に出発したのだった。

そして、私は、外の景色をしばらく眺めた。

すると、さきが誘ってくる。

「キミコ。マジカル運動部屋、試してくれるかしら?」

「うん、いいよ!」

私は、二つ返事で応える。

そして、私達はマジカル運動部屋に行った。

すると、さきがある扉を押す。

その部屋に入ると、またたくさんの運動道具があって、一つは「抜け縄」

だった。

私は、その扉を押す。

すると、そこにはレベル１，レベル２、レベル３があった。

私は、とりあえずレベル１をやった。

縄抜け離れてるから、大丈夫。

そう思っていると、さきが手を組んで壁にもたれかかる。

え、なに?

さきは、

「キミコ、後ろで手を組んで壁にもたれかかって。」

と言った。

私がもたれかかってみると、手首に何かが巻き付くのを感じた。

慌てて放してみると、後ろではロープできつく手首を縛っていた。

ちょっと痛いかも。

私は、隣でさきに目をやる。

さきは、扉をくぐり、隣の部屋に行った。

私も、さきに着いていく。

さきは、

「この状態で、縄抜けするの。」

と教えてくれた。

これなら、簡単。

私は簡単に縄抜けする。

しばらくして、さきも縄抜けすることができた。

そして、私達はマジカル運動部屋を出た。

さきは、ソファに座ってパソコンを取り出す。

「キミコ、何か改善点はあった?」

私は、ロープのきつさについてさきに話した。

さきは、リンティを呼んでパソコンのキーボードをカタカタと打ち始める。

しばらく、動きそうにないか。

私は、さきに聞く。

「その修理が終わったら、マジカル運動部屋を使ってもいい?」

さきは、すごい集中していて、私の声が聞こえていない、

代わりに、リンティが応えた。

「うん、みんなに使ってもらえば、改善点がでると思うから。」

私は、とりあえず部屋に行って、ランニングをすることにした。

ランニングといっても、トレーニングみたいな感じで、板の上を走る機械を使うの。

私は、さっそく機械のスイッチをオンにする。

タッタッタッ。

静かな部屋に、私の足音だけが、響く。

しばらくすると、さきが入ってきた。

「キミコ、マジカル運動部屋、やってみる?」

私は、うなずいた後、機械の電源を切りマジカル運動部屋にみんなを誘う。

「みんな、マジカル運動部屋に行こう!」

そして、マジカル運動部屋に私達は来た。

さきは、紹介をしていく。

「まずは、みんなで縄抜けの訓練をしましょう。まずはレベル１から。」

そして、私達は簡単に縄抜けすることができた。

そして、レベル２。

多分、ちょっと難しいんだろうけど…………

私は、扉を開ける。

その瞬間、縄が飛んできて私の手首に巻きつく。

みんなをみると、みんなの方もなんか縛られているみたい。

すると、ロボットが現れ、私達の口にガムテープを貼り付ける。

そして、隣の部屋に拘束されてしまう。

難易度上がりすぎだって、さき!

なんとか、逃げる方法を考えないと。

そして、ロボットが私の前に立つ。

私は、計画を考えた。

こういうのはあんまり得意じゃないけど、この際どうでもいい!

作戦１，実行!!

私は、ロボットの足を蹴り上げる。

ロボットは、ぐらりとよろめく。

私は、その間に何とかロープを外した。

ロボットは、すぐに私を狙ってくる。

私は、みんなと目で合図した。

私は、最近習った柔道の技を使い、本気でロボットを倒そうとする。

でも、ロボットはロボット。

簡単には、倒されない。

けっこう、強い相手。

私は、ロボットの首を掴み、壁に向かって投げ飛ばした。ロボットは、壁に当たり、仰向けになる。

しずき達は!?

みてみると、しずきたちは全員ロープをほどけていた。

しかも、なんか長いロープみたいなのをしずきが持ってるんですけど…………

ロボットは、起き上がる。

そみこ達は、さっと部屋を出る。

そして、この場にはしずきと私が残った。

時間を稼がないと!

私は、ロボットを鉄の棒で攻撃する。

けれども、ロボットはそれを受け止めた。

そして、私に向かって振り下ろす。

ピシッ!

しずきが、ロボットの手をロープで叩く音がする。

それと同時に、頭に衝撃がくる。

私は、その衝撃によって床に倒れ込む。

だんだんと、意識が薄くなっていく。

やばい、気を失ったら、逃げれなくて、しずき１人になっちゃう。

そう思っていると、しずきが私を抱えて、部屋を出て行った。

そして、もう一つの部屋のドアを開ける。

脱出できたみたい。

私は安心して、目を閉じた。

　目を開けてみると、目の前にしずきの顔があった。

頭が、ズキズキする。

手を当ててみると、頭に包帯が巻かれていた。

「キミコ、マジカル運動部屋、やる?」

パソコンから顔を上げたさきが聞く。

私は、うなずく。

ちょっと頭がズキズキするけど、運動くらいならできる。

さきは、ロボットをチラリと見て言った。

「私とリンティは、このロボットを修理したり、プログラムを改良し直すわ。」

そして、私達はもう一回マジカル運動部屋に行くことになったのだった。

今度は、しずきが案内してくれた。

しずきは、沼みたいな所に行く。

「ここがオススメの所よ。沼にはまったとき、役立つかなって。」

天井からは、ロープが垂れ下がっていた。

しずきは、ゆっくりと沼に入っていく。

私達も、沼の中に入ってみた。

あっ、あのことをまさもに言わないと。

ドブン。

「まさも、飛び込まないで!」

そう叫んだのが、同時だった。

まさもが、沼に飛び込んだ音が聞こえる。

みんなの方を見てみるとまさもは首の近くまで、しずきとシャインはお腹の所まで、私、そみこは足の付け根の所まで、沼につかっていた。

けっこうこれ、沈みやすいんだね。

でも、ここからじゃロープは届かない。

どうすれば、ここから出られるか…………

私は、足を少し動かしてみる。

動いた。

なら、まずは泳ぎの技術を使って、立ち泳ぎで移動しよう。

私は、ムリヤリ足を動かし、ロープの所まで移動する。

ギリギリ、届く。

って、私は一番最後なんだった。

まさもは、身動き一つ、とれないみたい。

だから、飛び込んじゃダメだって言ったのに。

まさもの体は、どんどん沈み、もうすぐ口の辺りまで沈みそうになっていた。

まずい、鼻が沈んじゃったら、まさもが死んじゃう!

私は、必死で足を動かして、まさもの方に行こうとする。

その瞬間。

バシャン。

私の体が、一気に沈む。

もう、肩の所まで泥が来ている。

どうしよう、まさもとｐ助けなきゃいけないのに。

そう思っていると、後動けるもう１人の救世主、そみこが現れた。

そみこは、まさもの所まで何とか行き着く。

そして、自分も深く息を吸い、沼の中に潜り込んだ。

だめ、そみこ。

私は、そう叫ぼうとした。

でも、声が出ない。

自分の体じゃなくなったみたい。

私達は知っている。

沼にはまった時、泥を外すために潜ってはいけないということを。

そみこも、知っていたはずなのに…………

そみこを、助けなくちゃいけない。

まさもも、そみこも!

まさもは、もう口の辺りまで完全に沈み、鼻に泥が達しようとしていた。

私は、覚悟を決め、そみこ達を助けに潜っていった。

沼の中には、カレー色の泥がたくさんあった。

まさもとそみこの姿が、見えない。

私は、泥にはまらないように、慎重に進んでいく。

そして、まさもの近くに来て、まさもの泥を外した。

そうだ、そみこは!?

私がキョロキョロ辺りを見回してみると、無事に泥が外れたまさもがロープの方に向かって泳いでいくのが見えた。

もう、まさもは助かるはず。

でも、問題はそみこ。

姿を見せてくれない。

私は、どんどん深く潜っていく。

しばらくすると、息が苦しくなってきた。

一回、戻った方がいいかもしれない。

そう思って、水面の方に行こうとすると…………

足が掴まれた。

私は、足首の方を見てみる。

足首を、誰かが掴んでいる。

私は、苦しさを我慢しながら、掴んできた方を見てみる。

そこには、そみこが倒れていた。

意識はあるけど、急いで呼吸をしなければいけない。

私は、そみこを引っ張って水面の方に連れて行く。

けれども、その時泥に足がはまってしまった。

私は、いったんそみこを水面から出した。

早く、泥を取らないと酸素不足になっちゃう。

私は、泥を外す。

うっ。

呼吸が、もう持たない。

私は、必死になって水面の方に行く。

そして、顔を出す。

たくさんの空気が、私の口に入り込んでくる。

私は、ゴホゴホと咳き込みながらロープの方へたどり着いた。

しずき、シャイン、さいとはロープを上れたみたいだ。

あとは、私とまさも、そみこだけ。

私は、まさもを先に行かせた。

まさもが今のところ、沈んでいる。

私が一番最後かな。

まさもは、持ち前の身体能力でササッとリスみたいにロープを上り、地面に降り立った。

そみこも、ロープを上っていくが、その顔が上るにつれて、心配そうになってくる。

「どうしたの?」

人の表情を監察するのがうまいしずきがそみこに尋ねる。

そみこは、震える声で応えた。

「わ、私、高所恐怖症なんです。幼い頃、家の二階から身を乗り出していたら、落っこちそうになって…………こういうとき、地面より下の方にいても、高いところにいるっていう気持ちが拭えないんです。」

そみこが高所恐怖症なんて、意外!

そして、そみこは震える足のまま、なんとか地面に降り立つ。

次は、私!

かっこつけてやる!

私は、ヤモリのようにロープの少し高いところまで登り、くるりと一回転してから地面に降り立つ。

そして、次の場所に行くことになった。

行った場所は、「運動能力調査」という札が掛かっているところだった。

そして、私達はまず50メートル走のところへやって来た。

走るのは、結構得意。

すると、横にいたそみこが賭けを持ち出してくる。

「今回、私が50メートル走で先にゴールに着いたら、『マジカル頭脳部屋』という所で、勉強をたっぷり教えます。ですが、キミコの方が先にゴールにたどり着いたら、鬼ごっこをするのを許可します。」

もちろん、私は賭けにのった。

絶対に、勝ってみせる!

しずきは、タイマーを押す。

「よーい、スタート!」

それと同時に、私とそみこの50メートル走が始まった。

鬼ごっこするためなら、何だってする。

ダンッ!

私は、足を強く蹴る。

そみこも、冒険の間ですごい鍛えていたみたい。

私と同じくらい、速い。

私は、さらに頑張って走る。

そして、ギリギリ私の方が速くゴールに着いた。

そみこは、ガーンとショックを受け、地面にへたり込む。

「たくさん練習したのに、キミコに負けるなんて…………」

お気の毒さま。

でも、とにかく鬼ごっこができるのはすごい嬉しい!

今回の鬼ごっこは、さきやリンティも参加する。

まさもはなぜか、

「わたちゃん美味しいな!」

と言いながら、よだれを垂らしわたあめを食べている。

そして、鬼ごっこのルールをしずきが説明する。

「今回の鬼ごっこは、『パートナー鬼ごっこ』よ。パートナーをつくり、そのペアと協力して逃げまくるの。鬼は、全員よ。自分以外のペアの体をタッチしたら、その人はある場所に移動する。その人を、ペアの人がタッチしたら、また競技に復活できるわ。それで、最後まで残ったペアが勝ちとするわ。時間内に終わらなかったら人数が少ない人から脱落してもらって、最後まで残った人が勝つわ。」

だいたい、わかった。

とにかく、自分の体にも気を配りながら、相手の体をタッチするって事だね。

そして、ペアをつくろうとすると、しずきが注意してきた。

「ちょっと待って。ひとつ、注意がある。その、ある場所を決めたりしないと。あと、その近くにわざと人が来るっていうのは反則よ。」

そみこは、ステージの方に目を向ける。

「ステージのところでどうでしょうか。」

しずきは、頷く。

「いいわね。じゃあ、タッチされたら、みんなステージの方に行ってね。」

そして、ペア鬼ごっこが始まるのだった。

ペアは誰にしよう。

でも、1番いいのは、しずきかな。

そみこだとベラベラ文句を言われるに決まってるし、まさもだと油断しそうだし。

かえって、さいとやシャインと一緒にやると、さいとの恋を邪魔しちゃいそうだしなぁ。

さきやリンティとやってもいいかもしれないけど、2人ともお互いの趣味が合うから、邪魔しない方が良いかも。

…………となると、しずきしかいないか。

私は、しずきの方に近づき、誘った。

「ねえ、ペアにならない?」

しずきは、

「いいわよ。」

とうなずいてくれた。

よし、ペア完了!

周りを見ると、さきとリンティがペアになっていた。

そみこは、まさもを見て顔をしかめる。

「まさか、こいつとペアを組むんですか?」

まさもは、そみこに超能力的ジャンプで襲いかかった。

ズダーン!

もの凄い音がして、そみこが倒れる。

そういえば、そみこのおひつじ座、今日のテレビの星座占い見たら、たしか最下位だったような…………

あ～あ、そみこ、こんな日に勝負をするなんて。

全然、ついてないね。

でも、なんだかなんだでそみこはまさもとペアになるみたい。

ってことは、あとはさいととシャイン。

鬼ごっこのとき、自分の気持ちを伝えられるといいんだけど。

さいとは、シャインに近づいてくる。

「私とペアを組みませんか?」

シャインは、金色の髪の毛を束ねてから言った。

「そうね、頑張りましょう。」

さいとの目が、ハートマークになってる。

そして、ペア鬼ごっこが始まったのだった。

近くに、そみこ達がいる。

そみこ達には、気をつけないと。

そう思っていると、しずきが大きな声で言った。

「今からは、作戦会議です。ペア同士で、作戦会議をしましょう。」

作戦会議!?

普通、鬼ごっこで作戦会議なんてしないんだけど…………

そう思いながら、私は床に座り、しずきと作戦会議をした。

「もし、敵が来たら、二手に分かれて、敵を分散させるの。そうしたら、逃げれるはず。」

私の提案に、しずきが意見を足す。

「じゃあ、どうしても追いつかれそうになったら、ギリギリのところで振り返ってタッチするっていうのはどう?」

「オッケー。」

私はうなずく。

これで、作戦は完璧。

私は、一つ疑問をしずきに言う。

「しずき、道具とかって、使ってもいいの?」

しずきは、かぶりを振る。

「いいえ、それはダメよ。」

ちょっと、残念。

まあ、道具を使うよりも私は運動能力の方が上手だからいいか。

まさもの方は、不利になるわけだし。

頑張って、この鬼ごっこに勝たなくちゃ!

そして、鬼ごっこが開始された。

そみこ達は、早速追ってくる。

すると、まさもがジャンプして襲いかかってきた。

とっさに、私は横によける。

そして、まさもが着地する前に、ダッと走り出し、しずきと分かれた。

しずきは、びっくりしている。

これは、私1人の作戦!

私は、隙ができているそみこにタッチする。

そみこは、まじまじと体を見る。

すると、素早くまさもが追ってくる。

ひっ!

まさも、なにこのスピード!

もうすぐで、しずきに追いついちゃう!

しょうがない。

ちょっと、しずきは狙わないでください!

私は、しずきを遠くに投げた。

しずきは、ドスンと尻餅をつく。

けれども、そのチャンスにシャイン達が近づいてくる。

他のチームのこと、すっかり忘れてた!

しずきは、慌ててこちらに走ってくる。

こっちは、ダメ。

私は、右の方に走っていく。

けれども、こっちにはさきとリンティが立ち塞がる。

やばい、挟み撃ちされちゃった。

しずきは!?

渡すが後ろの方を見ると、まさもが猛スピードでこちらに近づいてきた。

まずい、逃げないと!

私は、作戦を実行する。

早く、しないと、まさもに追いつかれる…………

私は、さきの方に突進していった。

さきは、びっくりして立ち止まる。

私は、さきにタッチした。

穴が開いた!

私は、本気で逃げ回る。

でも、とうとう体育館の隅の方に追い詰められた。

私は、普段使わないようなジャンプ力で上に高く飛び上がり、まさも達の攻撃をかわした。

そして、近くにいたさいとにタッチする。

みんなは、次々と他のチームにタッチしようとした。

その時。

ビーッ!

タイマーの音が鳴った。

私達はいっせいに動きを止める。

周りを見てみると、残っているのは私、シャイン、まさもだけだった。

リンティは、タッチされちゃったみたい。

しずきは、ハキハキとした声で話す。

「今からは、キミコ、シャイン、まさもで鬼ごっこをしてもらいます。」

よし、絶対に勝ってやる!

そして、私達は走り出した。

ヒュッ!

後ろの方から、手が伸びてくる。

まさもだ。

私は、まさもの体をギリギリタッチした。

あとは、シャインだけ!

シャインが残るなんて、珍しい。

私は、少し呼吸を整える。

さっきから、動きっぱなしでちょっと疲れた。

でも、この様子を黙ってみているシャインじゃない。

シャインは、私の方に向かってきた。

私は、走り出す。

やばい、追いつかれちゃう!

体力では私の方が上だけど、シャインの方が今は体力がある。

さっき、私は襲われっぱなしだったけど、シャインは全然襲われていない。

絶対、私の方が不利だ!

シャインは、ついに私の体にタッチする。

…………負けちゃった。

すると同時にタイマーが鳴る。

うう、あとちょっと体力が残ってたら良かったのに。

すると、しずきが話し始める。

「今回の勝者は、シャインです。じゃあ、今回の勝者、シャインと2位のキミコと3位のまさも、ステージに上がってきてください。」

うわ～、照れる。

そして、シャインがマイクを受け取る。

そして、しずきが小声で私達に

「『私が、コメントをどうぞ。』って言ったら、今日の鬼ごっこの感想を言って。」

と言った。

そして、しずきが

「コメントをどうぞ。」

と言った。

まずは、シャイン。

シャインは、マイクを持ってハキハキとよく聞こえる声で話し始める。

「今回は、ちょっとびっくりしました。まさか、運動するのになれている、キミコやまさもに勝つなんて。」

そして、話を続ける。

「鬼ごっこって、今まで…………体力勝負だって思っていたんです。でも、本当は違った。今回の鬼ごっこは、作戦を立てて、仲間と一緒に協力することが大事だっていうことを、学びました。」

うう、スピーチするのか。

なんにも、考えてなかった。

続いて、私の番。

「わ、私、まさか、1位にならないなんて、信じられませんでした。鬼ごっこは、一番体力が多い私の勝ちだって。ずっと、思っていました。でも、シャインに負けちゃって、悔しいです。次は、絶対に勝ってやります!」

そして、最後はまさもの番。

「キーッ!」

まさもは、まさかのいきなり金切り声を上げた。

私達は、いっせいに耳を塞ぐ。

まさもは、一気にまくし立てた。

「鬼ごっこ、作戦を立てるの頑張ってたのに、悔しい!次は、絶対に一位になる!」

ま、まさも。

それって、スピーチなの…………?

私達は、困惑する。

すると、さきのブレスレットがビーッ!ビーッ!と鳴り始めた。

な、なにが起こったの?

さきは、次の瞬間、信じられないことを口にした。

「エネルギーが足りなくなったの。もう、あと30％しかない。」

そみこは、不思議そうにさきに聞く。

「出発したとき、ちゃんとエネルギーは満タンだったような…………さっき、たくさん移動しても、こんなに減るはずはありませんよ。」

さきは頷く。

「そうよ。でも、どこからかエネルギーが漏れ出したの。早く近くにある星に着陸してエネルギーを補給しないと。それでね、今回の冒険は目的があるの。」

私は、身を乗り出す。

「目的って?」

さきは応える。

「目的は、地球にしかない物を持って帰ることよ。」

さきはテレビに聞く。

「テレビ、目的地到着までの距離は?」

テレビは運転しながら言った。

「あと、3,000万光年ですね。」

め、目が回ってくる。

さきはパソコンを取り出す。

「みんなにも、手伝って欲しいの。キミコとしずきには、どこからエネルギーが漏れ出したかこのポッドの中を調べて。そみことまさもは図書館に行って修理に関する資料をありったけ取ってきてちょうだい。シャインとさいとは、私達のサポートをよろしく。さあ、始めるわよ。宇宙ポッドが動かせなくなるのは、あと3時間後。それまでに修理しましょう!」

調べようとすると、さきが私としずきに掃除機みたいな装置を渡してきた。

さきは、道具の説明を始める。

「この道具は、エネルギーが漏れ出した部分に近づくと、点滅し始めるの。明るく光ったら、そこがエネルギーが漏れ出した部分よ。」

私は、ゆっくりと歩き出す。

出口の方に近づくと、少し赤い丸が点滅し始めた。

そのままドアの方に行くと、点滅はゆっくりになってしまった。

運転している方に行くと、またしても点滅はゆっくりに。

壁に近づくと、点滅は早くなる。

しずきは眉をひそめる。

「壁に傷があるってことなの?ちょっと待って。おかしいわ、キミコ。このエネルギー減少事件。おかしいわ。もし、このポッドに傷がついていたとしたら…………あれも、一緒になくなっているはず。でも変化がないということは…………」

ちょっとしずき、言っている意味がわからないんだけど。

しずきだけわかってるなんて、不公平だよ～!

私はしずきみたいに頭がいいわけじゃないんだからね!

しずきは、テレビに質問する。

「このポッドの酸素量は?」

はあ?

いきなり、何の質問なの？

テレビは画面を操作する。

そして、酸素の量の記録を見せてくれた。

さっきよりも酸素が少しだけ減ってるだけじゃん。

そう思っているとしずきが、キリッとした顔で言った。

「キミコ。謎が解けたわ。リビングに人を集めてちょうだい。」

私はしずきに抱きつく。

「わかったんだね!じゃあ、探偵の服に着替えてください!」

しずきは顔をしかめる。

「今はそんな時間はないわ…………って!」

私は、しずきが言葉を言い終わる前にブレスレットを操作して服を着替えさせた。

探偵っぽい服に、しずきはポニーテール。

私は、しずきとお揃いの服に、少し下の方で結んだ2つのポニーテール。

しずきはため息をつく。

「まあ、いいわ。じゃあ、リビングに呼びましょう。」

私は、必殺技の大声を出す。

「みんな!!!!!!!!!!!!リビングに集まれ…………ゴホゴホッ。」

最期に、大声出しすぎて咳き込んじゃった。

みんなは、私の大声でリビング集まってくる。

そして、その間にしずきがいろいろと事件の真相を教えてくれた。

そして、みんなはリビングに来てびっくり。

しかも、私の顔には変装道具でつくったキリッとした顔が。

しかも、男の人の顔。

私は探偵っぽく、かっこよさそうな台詞を言った。

「さあ…………みなさん、揃いましたね。この、真っ暗な闇の中での事件の真相…………私、名探偵コミキが解きましょう。」

コミキっていうのは、本名のキミコを反対にして作った名前。

なかなかよくできているでしょ?

しずきは、こそっと私に突っ込む。

「そんな偽名まで使って台詞をつくらなくていいわよ。まったく。」

私は、全員の顔を見回す。

そして、顔の皮膚に手を掛ける。

「その前に、私の真の姿を現します。」

そして、ビリッと音を立て、マスクを破った。

そして、現れたのは凜とした気配をまとわせているもう一枚の変装。

しずきも、マスクを破った。

よし、推理開始!

まずは、しずきが話し始める。

「私がさっき、ポッドでしずきとキミコの機械をコピーし、いろいろ調べてみたのよ。このポッドの中を…………ほとんど全てね。それで、気がつくことがあったの。」

私は、壁にもたれかかる。

「宇宙には、ある物がない…………けれども、ここの世界にはある、大切な物があるの。」

さきは、思い出したように言う。

「わかったわ、酸素ね!でも、それのどこが気がついたの?」

しずきはタブレットを操作する。

すると、さっきの酸素の記録の画面が現れた。

そみこは、首をかしげる。

「何ですか、それ?ただちょっと減っているだけじゃないんですか?」

私は、髪をかき上げてポーズを取る。

「このポッドに傷がついたら酸素がどうなるのか、わからない?」

そみこ達はわかったみたい。

ただ、まさもを除いて。

まさもはブツブツ変なことを言っている。

「傷がついたら、宇宙の新鮮な空気が流れ込むってことかな?」

なにそれ…………

今度はしずきが説明した。

「ほとんどみんなわかったみたいね。傷がついたら酸素は宇宙に向かって放出されてしまう。それで、酸素の量が減ったのよ。」

でも、さきはまた疑問を持ったみたい。

「で、でも。そんなことをすれば、どんどん酸素が減ってしまうわ。今、タブレットを見てみたけど酸素の変化はほぼないわよ。

私はテレビに問いかける。

「テレビ、このドアって、開けなければ酸素一つ通さない最新式のドアでしょ?」

テレビはうなずく。

「そうです。」

私はさきに問いかける。

「そういうこと。もう、わかった?」

さきはちんぷんかんぷんらしい。

「どういうこと…………?」

しずきが言う。

「もし、傷が扉の内側についたら、どうかしら?私達が入り口の方に行ったら、装置が点滅していたわよ。」

さきは、不思議そう。

「でも、入り口の方にドアなんてないわ。」

私はため息をつく。

「だから。入り口のところの壁。あそこ、本当は扉になっているんでしょう?知っているはずよね、さき、リンティ?」

さきとリンティはびっくりしている。

「な、何で私達が扉のことを知っているって思ったの?他の人達かもしれないじゃない。」

私は、入り口までつかつかと歩いて行った。

そして、手袋を着けてぐっと壁のレンガみたいなところを押した。

すると、そこは白い部屋になっていた。

さきは反論する。

「私達がやったっていう証拠はあるの?」

私はまさもの携帯を手に取る。

「まず。まさもは、入り口に来たときから動画を撮っていた。だからここに写っているはず。扉がない、部屋が。」

そみこ達は、動画を見る。

「本当です。この部屋、そっくりです!」

さきは、言葉を選びながら言った。

「でも、それが私達がやったという証拠にはならないんじゃない?」

そして、私はかっこいい台詞で言葉で推理を終わらせた。

「この壁。これは、まさも達がつくれるわけがない。そして、きっとついているはず。この壁には、リンティとさきの指紋が!」

ふー、かっこよすぎ!

さきとリンティは、顔を見合わせる。

「そうよ、私達が秘密基地用に仕掛けを作ったの。でも、傷が入ったのは私達のせいじゃないわ。」

じゃあ、傷をいれたのは誰なの?

テレビが代わりに言った。

「地球一周旅行プランで酸素が減ったみたいですね。」

「だいたい、フラミンゴの踊りを見始めた頃でしょうか。」

全てが繋がった。

私は、テレビに向かって大声で叫ぶ。

「テレビ!フラミンゴの近くに勝手に寄るから、フラミンゴに傷を付けられるの!!傷の修理はテレビがやりなさいっ!」

テレビはニヤニヤした顔で言った。

「じゃあ、運転は誰がやるんですか?」

こいつ。

絶対にやらない気だ。

私は、思いっきり叫んだ。

「宇宙旅行ポッドのエンジンを切って、さっさと傷の修理をしなさあいっ!!!!!」

テレビはため息をつきながらエンジンを切った。

キキーッ!!

急ブレーキがかかり、私達は全員由床に頭を打ち付ける。

それと同時に、かつらと変装用マスクが取れた。

ああっ!

部屋に戻るまで、外さないようにしてきたのに!

まさも達は私達が起き上がるとあんぐりと口を開ける。

するとそみこの頭にイライラマークが浮かび上がる。

「キミコっ!床に座ってください!それから、明日はマジカル運動部屋で決着を付けましょう!物を使わずに、チームワークで決着を付けますっ!覚悟しといてください。私達の本気を、しっかり味わえさせてあげます。」

そういって、私達は明日マジカル運動部屋で決着を付けることになったのだった

「さあ、やりますよ!」

そみこが叫ぶ。

これで負けたらプリントを増やされちゃうの。

でも、勝ったらプリントを減らしてくれるって。

こういう賭けをしたんだ。

だから、負けたら最悪!

そみこのことだから、さらりと「ちょっと」って言いながらプリント30枚くらい持ってきそう。

これ、絶対に不利な戦いだって!

今回は、チームで戦うことになった。

しかも、取っ組み合い。

そして、柔道や肘打ち、足払いなどもオッケーなんだ。

でも、柔道とか肘打ちとか足払いって、明らかにそみこの方が強いでしょ!

いろいろな面で、ほんっと不公平!

ちょっと文句をチャットに書きたいくらいだよ。

そして、相手はそみこ、さいと、さき、シャインだ。

こっち側は、私、しずき、リンティ、まさも。

しずきとリンティはそんなに強くないからなぁ。

そして、そみこが叫ぶ。

「では、作戦タイム、開始ですっ!」

私達は紙をもらい、そこに作戦を書く。

しずきは小声で言う。

「私とリンティが一番後ろにいた方がいいわ。多分、この中で体力が少ないのはリンティだから。私も、キミコやまさもよりは動くのが上手ではないわ。体育は普通の人と同じ感じだから。それからリンティ。もしキミコ達がやられそうになったりさきが近くに来た時には、一緒に飛び出しましょう。そして、キミコとまさもは前列よ。キミコはそみこを、まさもはさいとを相手にして。シャインもお願い。さきは、私達でいけるわ。シャインはまさもと私、リンティが相手をする。」

よし。

私は、考えた作戦を話した。

「しずきは、前から三番目のところの場所にいて。それで、左側にいて。リンティが丸見えになるように。それで、後ろにリンティが入れるように、隙間を空けて欲しいんだ。リンティは、もし敵が突進してきたらさっと横に避けて。そうしたら、相手は壁にぶつかるはず。それで、相手がぶつからなかったら、しずきは素早くUターンして敵を壁に押しつけて。そうしたら、リンティも手伝って。」

しずきは作戦と図をどんどん書いていく。

流れるような手の動きに、紙にたれた海色の長い髪。

こういう書いているときのしずきは、はっとするほど美しい。

普通の人とは比べものにもならない、しずきの姿。

そして、そみこがルールを説明していく。

ビクッ。

私の、説明長すぎそみこ警報センサーが反応した。

「今回は、どんな手を使ってもいいようにしました。では、ルールを説明します。相手が転んだり、壁に体がついたりしたら負けです。そして、最後に残ったチームが勝ちです。」

あれ?

意外と短い説明。

やばい、私の説明長すぎそみこ警報センサー、壊れてるのかな?

修理に出した方がいいかも。

そして、私達は作戦通りの列に並ぶ。

私達は動かない。

私は挑発する。

「あっれ～?そみこ達、遅いね。もしかして、怖じ気づいた?情けない。そみこなんて簡単に倒せるもんね、お茶の子さいさいだよ。」

そみこの頭に、イライラマークが浮かび上がった。

「そんなわけないですっっっ!!!!こいつ、むかつきます!さあ、作戦1実行!」

すると、全員まとめて突っ込んでくる。

しかも、私に向かって。

やばい、挑発しすぎた。

私は逃げる場所がなくなる。

すると、まさもがポケットに手を入れる。

そして、なにか小さな粒を床にばらまいた。

けれどもそみこ達は素早くそれに気づき、さっと避けてしまう。

そして、まさもが今度は足を滑らせてしまう。

危ない!!

ガシッ。

ギリギリのところで、私がまさものからだを支えた。

けれども、これをチャンスにもう一回そみこが突っ込んでくる。

まさもはまたしてもポケットに手を入れ、何かの紐を引っ張った。

パーン!

上の方で何かが始める音がする。

そして、同時に花火みたいなのが飛び出した。

上を見てみると、クラッカーだった。

スーパーボールや紙が、そこら中に散らばる。

今のうち!

私は不意打ちを食らったそみこに向かって突進する。

すると、さきがそみこを守るようにして立ち塞がった。

私は、スピードを止められずにさきをそのまま押し倒した。

けれども、頭上にはそみこが。

多分、床に手がついたりしてなければいいはず。

私は、さきの体に覆い被さる。

そみこも、さきの体に倒れる。

3人、折り重なっている姿は、私のチームにはラッキーだった。

ドドドドド!!

しずきとリンティ、まさもは突進する。

さいととシャインは、さすがにこの大群の攻撃は受け止められない。

二人は逃げ始める。

そうはさせない!!

私はそう思って、起きあがろうとしたけれど、そみこの体の重みで立上がることができない。

そみこがまず、どいてくれなきゃいけない。

すると、そみこがむんずと私の体を捕まえる。

そして、私の足をはらう。

やばい、足が宙に浮いちゃった!!

そのまま、そみこは体を低くさせ、私を投げ飛ばした。

うっ!!

私は、地面ギリギリのところで宙返りして着地した。

一瞬、体制を直そうと思って手をつきそうになったけれど、今はダメだ。

手をついたら、脱落してしまう。

すると、こちらまで来たさいととシャインの目が、私に止まった。

まずい!!

すると、シャインの蹴りが飛んでくる。

シャインでも、蹴ったりするの!?

私は半分混乱状態に陥りながらも、シャインの蹴りをしゃがんでかわした。

やばい、そみこのチーム、結構強い。

いったん、逃げた方がいいかもしれない。

私は、後ろに下がる。

そみこ達3人はすかさず私を狙ってきた。

しかも、私を挟み撃ちしてくる。

その瞬間、目が眩みそうになる光がほとばしる。

え？と思った0.1秒後。

ガッシャーン!!

ものすごい轟音が響き、私達は耳を塞ぐ。

でも、私のところの被害は少ない。

今のうちだ!!

私はさいとの足をくぐり抜け、まさもの方に戻った。

すると、そみこ達がこちらに来る。

グヲオオオオオオオオオッ!!

次の瞬間、ドラゴンかと思うくらいの獣の叫び声が聞こえた。

まさもの声まね!?

そう思って、まさもを見てみてもまさもはポケットに手を突っ込んだまま。

そみこは、立ち止まる。

まさもは、電光石火の勢いでドラゴンの映像を創り出した。

グヲオオオオオオオオオッ!

ドラゴンは、うなり声を上げる。

そして、火を吹いた。

ものすごい突風が吹き、辺りが砂ぼこりでいっぱいになった。

すると、ライトがチカチカと光った。

私は、その光を目指して何も見えない中、歩いて行った。

そこではまさもがスマホをもって立っていた。

「ま、まさも。さっきの映像とか声ってどういうこと？」

私は、不思議に思って聞く。

まさもは、えっへんと胸を張る。

「声は、映画の音。それで、映像もスマホを操作して映し出しただけ。」

す、すごい…………

私が驚いていると、まさもはさらにふんぞりがえる。

…………そして、勢い余って後ろにひっくり返った。

ドッシーン!!

まさもは、大きな音を立てて地面に激突する。

お、面白すぎる。

なんなの、これ。

コントみたい。

でも、これで残るはしずき、リンティ、私。

かなりまずい状況だ。

しずきはまだしも、リンティはパソコン向き。

リンティは戦闘に加われそうにもない。

その時、リンティがやって来た。

リンティは、右手にドローンを持っている。

あっ!!

ドローンなら、この中でもみんなのいる場所がわかる。

リンティは、コントローラーを手に持ち、ドローンを飛ばせた。

私は、警戒しながら辺りを見回す。

そろそろ、そみこがこの煙の中でも私達を見つけちゃうかもしれない。

リンティは、私達にささやく。

「みんな、隠れて。もしかしたら、そみこが私達を見つけてしまうかもしれない。」

私達は、跳び箱の影に隠れた。

すると、リンティが小声でとんでもないことを言う。

「跳び箱の蓋を開けて。一番、大きやつ。今回は、それでなんとかするわよ。」

と。跳び箱の中に入る!?

リンティも、冒険のしすぎて私達みたいに頭がおかしくなってきたんだね…………

でも、跳び箱の中に入れば逃げることは難しくなっちゃっても見つかる可能性は低い。

私は、一番上の段を外した。

そして、しずきとリンティに入ってもらう。

この音が、そみこに聞こえませんように。

そう祈りながら、私も跳び箱の中に入って蓋を閉めた。

すると、リンティがブレスレットの中からある人形を取り出す。

何それ?

っていうか、私達にそっくりなんだけど!!

リンティは、驚いている私達に指示を出す。

「キミコは、プログラミングをつくって。しずきは、人形の準備をお願いね。あと、ロボットの現在地も確認して。時間があったら、まさものポケットにたくさんあった煙爆弾を爆発させてちょうだい。私は、ドローンを操縦してこっちに持ってくる。」

リンティの指示って結論がはっきりしていてわかりやすく、無駄にだらだらな学内からいいんだよね、誰かさんとは違って。

すると、リンティはまさものポケットから煙爆弾を取り出す。

でも、ラッキーなことに跳び箱にはあまり穴がついていない。

ドローンに遠くで爆発させてもらえばいい。

リンティは、ドローンの操縦をしながらプログラミングの仕方を私に教えてくれる。

私は、カタカタとパソコンのキーボードを叩く。

だいぶ、パソコンの仕事も慣れた。

まあ、しずきとかの方がもちろん上手だけど。

一番上手なのは、さきかな。

次にリンティで、しずき、私、さいと、シャイン。

まさもよりはそみこの方が上手かな?

まさもはいつものおっちょこちょいでよく失敗するから、絶対にこんな几帳面な仕事は向いていない。

って!!

危ない、危ない。

間違ったプログラミングをつくっちゃいそうになった。

えー、「合計8段の跳び箱の後ろに人形を置く」っと。

リンティは、次のプログラミングの説明をする。

「次は、『人形を置いたらコントローラーの場所に戻る』。その次は、『茶髪で三つ編み、背が高い女の子、そしてめがねを掛けている子という人物を特定し、その子に盗聴器付き発信器を足首に貼る。』よ。ちょっと難しいけど、頑張って。」

私は、プログラムをリンティの指示通りに組み立てていく。

そして、ドローンがこちらに来る。

すると、しずきが持っている人形全部を抱えて飛び去っていった。

そして、ドサッという鈍い音が響く。

また、ドローンが戻ってくる。

私は、発信器と煙爆弾をドローンに渡す。

すると、リンティの携帯の通知音がした。

リンティは携帯のメールを読み上げる。

「『あなたたちは跳び箱の中にいるのでしょう。さっさと、出てきなさい。もう、居場所は全員にばれているのですから。隠れているだけ、無駄です

出てきてください。もう、あなたたちに勝ちは全くありません。　そみこ』。」

やばい、ばれちゃったの!?

あの人形は!?

そして、立ち上がった瞬間に私は跳び箱に頭をぶつけ、気を失ったのだった。

　私は、頭をさすりながら起き上がる。

リンティは、ため息をつく。

「しょうがないわね、もう出るしかないわ。」

そういった瞬間に、リンティの手首に鎖が巻き付いた。

「きゃっ。」

リンティは、小さく悲鳴を上げる。

私は、リンティを助けようとする。

けれども、その手首にも鎖が巻き付く。

なんなの、これ！

隣を見ると、しずきだけは無事だった。

そして、辺りが明るくなる。

そこには、そみこ達がいた。

そみこは、私を抱えあげる。

そして、鎖をほどき、私を投げ飛ばした。

ドッシーン！

私は、地面に叩きつけられる。

隣では、リンティも床に倒れていた。

やばい、あとしずきだけだ!!

すると、そみこはしずきまで投げ飛ばした。

しずきの体が宙に飛び、海色の髪の毛が舞う。

もう、ダメだ。

そう思った瞬間、しずきは見事に着地していた。

え？

私は、体を起こしながらしずきの方を見る。

そみこは、しずきを押し倒そうとする。

しずきは、そみこの攻撃を受け、そのまま倒れ込んだ。

私の、体の上に。

そして、しずきはそみこの体を持ち上げる。

そみこの顔に、焦ったような表情が浮かんだ。

しずき、頑張って！

しずきは、そのままそみこを投げ飛ばす。

そみこは床に倒れ込む。

あとは、さいととシャイン。

しずきは、シャインに回し蹴りをいれた。

けれども、シャインはそれを手で受け止め、足首を持ち上げた。

そして、さいともしずきの顔を持ち上げる。

やばい、しずきが…………!!

けれども、しずきは思いっきり足をねじり、シャインの手を振り落とすと、足を持ち上げてさいとの頭に蹴りを入れる。

ゴンッ!

さいとはうずくまる。

そのチャンスを逃さず、しずきはさいとの体を押し倒した。

あとはシャインだけ。

その瞬間、本気になったシャインがしずきに突進してくる。

しずきは、それを少しだけ横に体を動かし、シャインが自分の前に来ると、シャインの体を壁にくっつけた。

やった。

勝ったんだ…………

体中に、勝利の喜びが広がる。

その瞬間、私達が付けているブレスレットから、ピーッ、ピーッという音が鳴る。

何!？

すると、さきが呟いた。

「このポッドで、何か大変なことが起こったっていう警告音よ。どういうことなの？」

私は、注意しながら運転室に駆け込む。

やがて、みんなも運手室にやって来た。

すると視線に気がついたテレビが言った。

「エネルギーがなくなりかけています。なので、エネルギーを獲得できるような星に着陸することにします。みなさん、少し揺れることがあるので、気をつけてください。」

えっ？

エネルギーが…………

すると、さきが叫んだ。

「なんで、急激にこの宇宙ポッドの燃料が少なくなっているの？まさか、故障？」

リンティが慌てながら応える。

「わからない。急いで、今からパソコンで宇宙ポッドの様子を調べてみる。」

その時、ブレスレットが警告を出した。

「この数秒後、大きな揺れが起こります。手すりに掴まってください。」

その数秒後、ポッドが大きく揺れた。

私達は、床に倒れ込む。

そして、体が浮き上がった。

私は、必死に手すりに手を伸ばす。

でも、体が揺れて掴めない。

するとその瞬間、ポッドの扉が開いてしまった。

みるみるうちに酸素がなくなる。

しかも、それと同時に私の体は宇宙に投げ出される。

もう、ダメ。

すると、さきの手が伸びてきて、私の腕を掴んだ。

さきはなんとか手すりを持っている。

けれども、その手には汗がにじんでいて、長時間耐えられるとは思えない。

しかも、酸素がどんどんなくなっていることを考えれば、1分ももたない。

私は、自力でなんとかポッドに飛び乗る。

さきが全力で扉を閉めた。

ガチャ。

鍵がかかる音がし、吸い込まれる力が弱くなる。

でも、まだポッドは揺れている。

ガタガタ。

私は手すりにぎゅっとしがみつく。

すると、テレビが言った。

「酸素を補給する準備をします。」

そういった瞬間、とうとう限界になったのかさきが床に倒れ込む。

やばい、手すりから手を離しちゃったら…………

私のところからさきは近い。

助けないと!!

私は勇気を出し、さきの腕を掴んだ。

そして、体を抱きしめる。

しかし、両腕で抱きしめたせいで、私の体は自由になってしまった。

ガンッ!!

私の体は浮き上がり、天井にぶつかる。

すると、酸素が送られてきた。

けれども、揺れはどんどん強くなってくる。

もう、無理。

私も気絶しちゃう。

その時、しずきがロープを放った。

そのロープは、私に絡みつく。

そして、しずきが揺れに耐えながらロープを引き寄せる。

私は何とか手すりに掴まることができた。

もう、限界の限界。

足がふらついて、立ってられなくなる。

いつまで続くの…………

手の力も弱まり、だらりと体の両脇に垂れ下がる。

私の体は天井まで浮き上がった。

「キミコ!!」

リンティの叫び声が聞こえた。

せめて、さきだけでも守れれば…………

私は、最後の力を振り絞ってさきの腰にロープを付けた。

そして私は、そのまま転落した。

　気がついたときには、私はベットに横になっていた。

私は、さきの方へ目を向ける。

さきは、無事だった。

よかった。

なんとか、守りきれた。

私は安心して起き上がる。

すると、足の辺りにズキッという鈍い痛みが走った。

するとしずきが

「さっき、さきを守ってくれた時に、足首をひねっちゃったみたいなの。一応、包帯も巻いたけれど、あまり無理しないでね。激しい運動とかは、避けてちょうだい。」

と言った。

激しい運動…………

私、運動大好きなんだけど！

まさに、地獄。

運動ができない国は地獄。

勉強がない世界は天国。

なんなの、この地獄みたいな展開は。

まぁ、さきを守ったことは全然後悔してないけど。

すると、テレビが運転席から言った。

「今から、この星のバリアをくぐり抜けて入ることになります。さっきよりも強くなる可能性があります。本当に気をつけてください。」

私はテレビに向かって叫ぶ。

「さっきの揺れは、一体何だったの!?」

テレビの声が、しばらくすると聞こえてくる。

「さっきのは、星に近づいたときの揺れです。空気がある星に近づくと、揺れてしまうことがあります。でも、早く手すりに掴まってください。」

私は、痛みをこらえて手すりの所まで行く。

そして、ぎゅっと捕まった。

すると。

ビーッ！

ビーッ！

サイレンの音が聞こえた。

「あと数秒後に、大きく揺れます！気をつけてください！」

怖い。

さっきよりも強い揺れてどんなのだろう。

さっきよりも強かったら私、またけがをしちゃうかもしれない。

頑張らないといけない!!

そして、5秒後。

グラグラグラッ。

前後左右にポッドが勢いよく揺れる。

私達はみんなにぶつかったり、扉にぶつかったりする。

揺れるたびに膨れ上がる恐怖と吐き気を私は懸命にこらえた。

すると、急に揺れが激しくなった。

うぐっ。

もう、死にそう。

テレビの声がまた響く。

「もうすぐで、燃料がなくなります！あと5分しか持ちません！」

私は、顔を青ざめる。

「もし、燃料がなくなったら…………どうなるの？」

テレビは焦ったように応える。

「宇宙空間では、そのまま浮いていることができますが…………ここの星は空気があるので、墜落してしまいます。」

墜落…………

そんなことになったら、私達はもうダメだ。

限界の限界まで体力が無くなりそうになったとき、やっと揺れは収まった。

「あと1分で墜落します！」

私は、窓の外を見る。

まだ、すごく高い所にいる。

やばい、このままだと…………

テレビが言った。

「このまま急降下していても、墜落してしまうでしょう。電気を急激に貯めれば、いけるかもしれませんが…………」

すると、さきが自分の部屋に賭けだしていった。

そして、自転車みたいなのを取り出す。

「これをみんなでこぐわよ！」

私達は、理由も事情も聞かずに急いで自転車に飛び乗る。

そして、こぎ始めた。

さきもコードを付けると、無我夢中でこぎ始める。

すると、少し燃料が上がった。

今の燃料を聞きたいところだけど、今はそんな余裕もない。

私達は、必死にペダルをこぐことしかできない。

でも、これで墜落を免れられるなら…………!!

何だって、してやる！

すると、テレビが安心したように言った。

「これなら、大丈夫かもしれません。」

その瞬間、また叫んだ。

不吉な言葉を。

「ああっ!!燃料が急激に減っています。故障の部分がどんどん燃料を使っているようです！早く、もっと早く、ペダルをこいでください！」

私は無視してとにかくペダルをこぐ。

何とか、燃料はちょっとだけ上に上がる。

でも、絶対に燃料がなくなる方が早い!!

もう、無理かもしれない。

窓の外を見たい。

テレビに、燃料がどれくらいあるか、聞きたい。

でも、それどちらも、許されない。

必死でペダルをこいでも、墜落するかもしれない。

墜落しないで生還するには、これで燃料を貯めるしか方法はない。

はやくしないと。

それだけしか、頭に思い浮かばない。

すると、テレビが叫んだ。

「あと、地上25メートルです！あと燃料が持つ時間は、20秒！」

やばい。

私の手に、汗がにじんでくる。

うっかりすると、ペダルから足が落ちそうになる。

すると、テレビが再び叫ぶ。

「あと、10秒！地上15メートルにいます！」

くっ。

私は、ペダルをこぐ足に力を込める。

ギリギリのギリギリ。

どうしよう。

もうすぐで、墜落しちゃう。

私はとうとう声を出した。

「今、地上何メートル!?

「7メートルです！時間は後、5秒！」

私は、息をのむ。

7メートル…………！

1秒に1メートル進んでも、足りない。

私は、ペダルをひたすらこぎ続ける。

「6メートル！残り、4秒！」

ああ、もう無理かもしれない。

でも、5メートルならなんとかいけるかも…………

そんな考えが思い浮かぶ。

でも、私がやらないと。

その瞬間、テレビが悲痛な叫びを上げる。

「残り、2秒！地上4メートル！」

私は、自転車を最後の1回転、回すと、衝撃に耐える体制を取る。

ぐっと歯を食いしばり、舌を噛まないように気をつける。

「3メートル、0…………」

テレビの声がした途端、爆風と衝撃が私の体を貫く。

私、死んじゃうの？

隣を見ると、しずきが私と同じ体制を取っていた。

目には、涙が浮かび、今にもこぼれ落ちそうだ。

そのしずきの頭に、自転車の山が覆い被さってくる。

私は、しずきの体を突き飛ばした。

けれども、そこに私の体が入ってしまう。

ドカーン！

そんな音がし、私は再び意識を失った。

　ふわり。

顔に何かがかかった感じで、私は目を覚ます。

髪の毛。

水色、いや、海色の髪の毛だ。

気絶しちゃったのかな…………？

ここは…………

どこ？

記憶がない。

私は、誰？

まわりに集まっている人達は、誰なの？

「だれか、助けて…………」

私は、うめく。

すると、海色の髪の毛の人が安心したように言った。

「ああ、キミコ！気がついたのね！一時は、どうなることかと思ったのよ!!」

私は、心の奥底で恐怖を感じながら海色の髪の毛の人に聞く。

「私、キミコっていう名前なんですか？」

その言葉を言った途端、まわりの空気が凍りついた。

✏執筆中✏