キミコと森冒険

第1章:冒険の始まり

ガターン!

ドシン!

「ぐえっ。」

「うわっ。」

「ちょっと!」

「きゃっ!」

「わわっ。」

とそんな声が聞こえた。

最初に言ったのがまさも、次がさいと、その次はそみこの声だ…………

しずきも悲鳴をあげてる。

すいません、すいません。

って、いきなりお話を始めてしまってすいませんでしたあああっ!!この大騒ぎの元は、あのけんかが始まりです……

「ちょっと!何をしに行くんですか!」

う。

そみこに見つかっちゃった。

せっかくみんなで謎の森に行こうとしてたのに。

ひとあし遅かったか。

そみこが、

「崖の地面が崩れたら、死にますよ!それでもいいんですか!」

と、相変わらずピリピリしている声で叫ぶ。

とくに、今の声はひどい。

ちょっと、キンキン声。

べー。

甘かったね、そみこ。

私は、心の中で舌を出す。

こっちは、パラシュートを持ってるんだから。

私が、

「冒険しに行くつもり?」

と余裕の表情で言うと、そみこが、真面目な顔をして、

「冒険なんかくだらないです!さっさと、戻ってきてください!」

と叫んだ。

そみこ、う・る・さ・い。

なんか、いらついてきた。

そして、取っ組み合いのけんかが始まった時。

ガラガラッ!!

とうとう、私たちの重さに耐えきれなくなったのか、崖の地面が崩れた。

うわっ。

突然、自分の体が浮かんだので、とっさに姿勢を真っ直ぐにしたけど……

運が悪いことに、そみこも落ちている。

これじゃあ、このまんま、そみこがついてきちゃうよ!

それに、そみこは地面に落ちたとき、死んじゃうかもしれない。

私は、自分のパラシュートをそみこに投げる。

予備用に、もう一つパラシュートもってきといて良かった。

そみこは、パラシュートを受け取るとギリギリ宙に浮かぶ。

でも。

私はパラシュートをしてないので、そのまま落ちていく。

ギリギリ、パラシュートを取り出して、宙になんとか浮かぶことができた。

一安心して、地面から1メートルほどになったところで、私達のパラシュートが割れた。

それで、地面にたたきつけられて、ガターン!とか、ドシーン!

っていうふうになったわけ。

なんとなく、わかった?

さあて。

いよいよ、本題だよ。

今から私たちは頑張って森を脱出しようと思います。

ただ、脱出の仕方は分かんないけど。

いちおう、リュックサックの中に着替え、イヤホン懐中電灯と虫眼鏡、ナイフ?をいれてるんだ。

あと、水筒と寝袋、テントと食糧はあるよ。

だから、食料の心配はなし。

水も、ちゃんと持ってきてる。

ナイフは、サバイバルっぽい感じで、役に立つのかなって思ったから、ちゃんとみんな持ってきている。

しずきも、まさもも、リュックサックは持ってきてるけど。

問題は、しずきのリュックサック、

すごく大きくない?

重そうな感じを漂わせてるしずき。

バックのオーラでみんなの視線を集めてくる。

重くないのかなあ?

って、まずは探索、探索。

みんなが休める場所が必要。

とくに、しずきは。

あんな重い荷物を持って、大丈夫なわけがない。

そして私は、みんなに

「みんな~探索始めるよ!」

と言った。

するとしずきは、

「まずはどいてくれる?」

と、ちょっと苦しそうな声で言う。

ん?

どういうこと?

って、ああああああっ!

しずきたちが、下敷きになっちゃってるのを、すっかり忘れていた!

私はどいてから、探索のことを説明する。

「じゃあ、みんなとにかく、イヤホン付けて。それは、電波がなくても大丈夫だから。あと、水筒も持って行って。はぐれちゃったときように。懐中電灯もね。しずき、印を付けたいんだけど、ペンとかってある?」

しずきはうなずいた。

「うん、いいわ、でも、印ってどうして付けるの?それに、木だらけで、印を付ける場所なんか、ほとんどないわよ?」

私は、

「そう。木に印を付けていくの!!」

と自慢げに言う。

そみこ達も、やっと納得してくれる。

ふう。

やっとわかってくれた。

一応、頭がすごい固くて、勉強しかできないそみこもね。

このことは、そみこに言わないでよ。

また、取っ組み合いのけんかになりそうだから。

結構しっかり者のしずきが、

「1人じゃ危ないから、必ず2人か3人で行動して。じゃあ、チーム分けするわよ。まず、キミコと私。まさもと、そみことさいとで、もう1グループ。オッケー?あと、グループごとにリーダーみたいなのを、決めた方がいいと思う。じゃあ、今から、探索を始めて。あと、付け足しだけど、この森を脱出する、手がかりを見つけたら教えて。イヤホンで連絡できるから。グループのリーダーは、そみことキミコでやったほうがいいと思う。さいとと私は木に印を付けていく感じ。まさもは辺りを見回しておいて。私は、印つけるのと、回りを確認するのを二つやる。じゃあ、分かれて探索よ。なんか、質問とか、言いたい事はある?それを聞いてから、出発するから。」

しずきらしくない、そみこみたいな長い説明。

私は、

「しずきって、そんなに説明を長くするタイプだったっけ?」

と聞く。

すると、そみこがすかさず

「今そんなこと言っている場合ではありませんよ。森を脱出するのが優先です!」

と言った。

また、学級委員っていう立場を利用して、文句を言って。

嫌になってきちゃう。

しずきが、苦笑しながら、

「まあ、いまは、そみこの言うことが正しいわね。じゃあ、出発でいい?探索開始よ!」

と言った。

やっぱ、しずきって本当ににしっかり者だなぁ。

そう思いながら、私は探索を開始した。

そみこに負けないようにしなくっちゃ。

もし、そみこが先にに手がかりを見つけちゃったら、最悪。

頑張らないと!

 

うう。

私はため息をつく。

あ。

私は、そみこ。

神柿そみこです。

話を、戻します。

私は今、この森(キミコが無理矢理、私を連れてきた場所)の広い道をあてもなく、歩き回る。

カサッ。

私は、反射的に固まる。

ゴキブリかもしれない。

警戒しながら足元を見ると、そこにボロボロの地図が。

あちこちが破れていて、変な怪獣やクローバーの絵が書いてある。

もしかして…………

この森の、地図!?

私は、下の方を見てみる。

そこには小さく「四葉の形を見つけるべし。」と書かれていた。

四葉の形を見つけるべし…………

私は、繰り返し頭の中でその言葉を刻みつける。

これ、手がかりかもしれません。

これで、キミコに勝てる。

あの生意気な、何も考えていない奴には、心底負けたくありません!

私はイヤホンを入れて、キミコを通話相手にする。

通話開始のボタンを押すと、すぐにつながった。

私は、

「手がかりみたいな物を見つけました。」

と自慢げに言う。

少し経ってからキミコの声がする。

『キーッ!そみこに、負けるなんて。金輪際、いやだったのに。何で、手がかりを見つけちゃうの!バカ、アホ、おたんこなす!』

カッチーン。

ついに頭にきた私は。イヤホンのマイクに向かって怒鳴る。

「なんで、そんな大声を出すんですか!悪口ばっかり言って!あとで、お説教してあげます!」

そして、ピッと通信を切った。

早く、森から脱出しないといけません。

どんなに、危険が相手がいても…………!

 

久しぶり!

って、まだ、30分しかたってないけど。

それで。探索した結果を言います!

にや~り。

思わず笑っちゃう。

たくさん取れたの!?

ってみんなは言うかもね。

いえいえ。

な~にも取れてません!

ズコッってなった?

まあ、素人さんにはこの苦労がわからないだろうけどね!

どうせ、そみこは何一つ取れてないだろうし。

慌てない、慌てない。

でも、もし、そみこが手がかりを見つけていたとしたら?

うわ~ん。

それは、聞かないで!

って、そんなことはどうでもいい!

でも、(そみこだけには)負けてらんない!!

そんなふうに心の中で大騒ぎしていたら、しずきが

「どうしたの?ブツブツ言って。何かあった?」

ま、まずい。

怪しまれちゃった。

言い訳考えないと。

そこら辺にあるのは、みかんがなっている、とても登れなさそうな木しかない。

ん?

みかん?

そうだ!

良いこと思いついた!

しずきは、

「なんか、手がかり、あった?」

と聞いてくる。

私は、

「あの木にミカンがなってるの。でも、ロープがないんだけど、しずきって、ロープ持ってきてくれた?」

とうまく言い訳する。

しずきは笑顔で

「もちろん、あるわよ。」

と言ってくれた。

ふう。

よかった。

そして、一つの木になっているミカンを全部取り終わると…………

そみこから通信希望が来た。

私は、通信希望を許可する。

何の知らせだろう?

もしかして、手がかりが全然見つからなくて、

「キミコ!助けてください!」

泣きついてきたとか?

そう思いながら通話してみると、

『手がかりみたいなのを見つけました。』

と報告された。

あああっ。

そみこに負けちゃったよぉ。

そう思いながら私は、文句を言う。

「キーッ!そみこに、負けるなんて。金輪際、いやだったのに。何で、手がかりを見つけちゃうの!バカ、アホ、おたんこなす!」

すると、ピッと通信が切れる。

あ、「こっちも、ミカンの実を見つけたよ。」

って言い忘れた。

どうしよう。

まあ、いいか!

なんとかなる…………はず。

そして、しずきに、

「そみこが手がかりを見つけたみたいだよ。ちょっと一発、ペチッて頭叩いて蹴ってやりたいけど、こっちもちゃんと見つけたんだから。早く行こう!今度こそ、こっちが先に暗号を解いて、そみこをぎゃふんと言わせてやる。しずき、サポートお願い。」

と言った。

そみこに負けるのは悔しいけど、それでも、味方になってくれれたら、心強い。

そう思って、今まで、歩いてきた道を引き返していったのだ。

きっと、そみこは何かを持っている。

それまで、私達は生き残るんだ。

わたしは、みおかきしずき。

キミコと探索したんだけど、やることが多いの。

ペンで、木の幹に印を付けたり、回りを確認したり。

キミコは楽でいいなって思っちゃう。

そう思っていると、ブツブツブツ。

キミコがなんか、ブツブツ言ってる。

キミコがブツブツ言ってるのは、たいてい、悩んでいるときなの。

キミコがブツブツ言ってる姿を見て、

「どうしたの?ブツブツ言って。なんかあった?」

って言ったけど、そう言ったのは、逆効果だったかも。

キミコ、頭が真っ白になってる。

キミコとは、小さい頃から、ずっといるからそういう細かいところがわかるの。

そう思いながら、キミコの顔を見つめたんだけど…………

キミコは、ずっと黙っている。

質問するのが大好きな口が動こうとしたから、止めようと思ったけど、もう、遅い。

口が勝手に動いて、

「なんか手がかり、あった?」

と言ってしまった。

ああ。

こういう、癖、自分でも直って欲しいって思ってるけど、どうしても直らないのよね。

でも小さい頃、わかんない問題が出た時とかは、「わかんない」って言うのが恥ずかしくて、よく

「質問をしたいなら、ズバッと言いなさい!」

って言われて今になったら、質問をすごくする子になっちゃったの。

わたしがそれを思い出して、ちょっと顔を赤くしたとたん、キミコが、ひらめいたって顔をした。

何をひらめいたんだろう?

でも、キミコのことだからきっと、何かのアイデアを思いついたはず。

すると、キミコが

「あの木にミカンの実がなっているの。でも、ロープがないと取れないんだよね。しずき、ロープってある?」

と聞いてきた。

もちろん、たくさん持ってきている。

もしかして、キミコ、ロープを家に忘れてきた?

そう聞きたかったけれど、また質問するのはいやだったので、

「ロープはあるわよ。」

と応えた。

その時、キミコのイヤホンから、音が鳴った。

本当は、盗み聞きなんてしなくちゃいけないんだけど、どうしても気になっちゃう。

ちょっと聞いてみると、

『手がかり…………見つけ……した。』

と言う声が、とぎれとぎれ聞こえてきた。

多分、手がかりをそみこが見つけたってことだと思う。

するとキミコが、急に叫ぶ。

「キーッ!そみこに、負けるなんて。金輪際、いやだったのに。何で、手がかりを見つけちゃうの!バカ、アホ、おたんこなす!」

私は、その声に飛び上がる。

キミコ、いくらなんでも大声を出しすぎよ。

近所迷惑になっちゃうんだから。

私はそう言おうとしたけれど、言葉を飲み込んだ。

ここ、誰もいない無人島みたいな所だから、人はいない。

だから、近所迷惑にもならない。

だとしたら、注意する私がバカみたい。

これなら、注意する意味がない。

通話し終わると、キミコはくるりと振り向き私の方を見て、

「そみこが手がかりを見つけたみたいだよ。ちょっと一発、ペチッて頭叩いて蹴ってやりたいけど、こっちもちゃんと見つけたんだから。早く行こう!今度こそ、こっちが先に暗号を解いて、そみこをぎゃふんと言わせてやる。しずき、サポートお願い。」

と言った。

キミコ、わざわざ突っ込まないといけない言葉何回使わないで…………

私は、呆れる。

でも、もううなずくしかない。

この森から脱出するには、そみこが持っている手がかりを解くしかないんだから。

そして私はうなずいて、キミコのサポートをしながらそみこの方へ向かった。

そみこの持っている手がかりに全てを賭ける。

そみこが持っている手がかりが、解けなかったら…………

私達は、死んじゃうかもしれない。

 

初めまして。

私は金川さいと。

キミコ達の担任の先生だよ。

今はまさも、そみこと、この森を探索しているんだ。

話は変わるけど、実は女の人のような見た目に反して男。

しかも、名前も女か男かよくわからない、ややこしい名前だからよく女だって間違われたりすることもしばしば。

話をそろそろ戻そうかな。

森を探索した結果、枯れ葉ばかりで手がかりらしき物はどこにも見あたらなくて八方塞がり。

土に埋まっていたとしても、それを隠した人も埋めるのに時間がかかるだろうし例え土の中に埋まっていたとしても、掘りながら進むと時間が掛かるからやめといた方がいい。

そう見当を付けて、そのまま進むことにしたんだけど…………

その時。

そみこがイヤホンをつけ、向こうのチームに報告し始めている。

なにか、手がかりを見つけたのかな?

こっそり、話を聞いてみると、そみこが、

「手がかりみたいなのを見つけました。」

と言い、キミコが、怒鳴るのが聞こえた。「キーッ!そみこに、負けるなんて。金輪際、いやだったのに。何で、手がかりを見つけちゃうの!バカ、アホ、おたんこなす!」

なにか、そみこが手がかりをみつけたらしいことは、わかったけれど…………

どんな手がかりかは、まだわからない。

でも、ここでゆっくりとキミコ達を待っていよう。

…………キミコ達が、危険な目に遭わない限り。

 

しもにわまさもです!!

しもにわまさもです!!

ドンチャラドンチャラ!!

えっへーん。

では、この森でインタビューを行いましょう。

この森はいかに、謎だらけです。

でも!

この世界一天才なまさもが活躍しまーす!

インタビューしているのも、まさもで~す。

では、見ててくださいませー!!

どう!?

どう!?

すっごい、かっこいいインタビューだったでしょ?

手がかりは、だ~れも、見つけていません!

でも、このまさもがきっと、見つけます。

ん!?

し、シソミコが、何か話してる!?

ガーン!!

あ、シソミコっていうのは、そみこのこと。

いつも、シー!

って、無駄に私に注意してくるから、シソミコ。

いいあだ名でしょ?

私、天才!

まあ、みんなにはわかりやすく、これからはそみこって呼んであげる。

優しいでしょ。

そみこは何て言ってるかな?

私は、すぐに、そみこの近くを離れる。

そして、草むらに身を沈め、そみこが何て言っているか、盗み聞きしようとする。

その時、私が隠れているしげみが、ガサッっと小さく揺れる。

はあ。

草むらはっけこういいかな、と思ったんだけど。

無理だったか。

そう思い、身を潜めながら、移動する。

うっ。

ここからが、最後の関門だ。

どうしようかな?

そみこや、さいとに見つかったら、結構叱られちゃいそうだ。

あっ!

あそこの木に登って、猿みたいに、移動すればいいんじゃ!?

でも、木と木の間が長すぎる。

それじゃあ、そみことさいとの間をすり抜ける?

これもダメ。

うーん。

あっ!

ここ、草むらが結構あるんだよね。

身を沈めれば、大丈夫。

よしっ!

じゃあ、まず小さい木の枝を投げる。

それにそみこや、さいとはあっちを向くはず。

その間に、身を沈めながら、足音を立てずに、移動すれば大丈夫。

枝だと、時間が稼げないから、わずかな時間で、そみこの近くに行かないといけない。

かといっても、重い物だと、投げにくいし。

チャンスは一瞬。

頑張らないと。

そみこは、まだ話している。

まだ、いける。

そみことさいとの視線が外れた隙に、

私は、あっちに、木の枝を投げた。

カサッ。

その、物音に、そみことさいとの視線が私が投げた木の枝に移る。

その瞬間。私は、草むらに、身体を隠しながら、一瞬でそみこの近くに行く。

そみこは、

『手がかりを見つけました。』

と、小さい声で言う。

あっ。

視線が、私の方に向いちゃった。

しばらく、ここで息を殺して、まっていよう。

そういえば、元の場所に戻るときに作戦を考えてなかった。

ま、まずい。

気づかれてませんように。

そう願いながら、まっているとやっとそみこが、視線を外してくれた。

ふう。

気がつかれてなかったみたい。

さて。

情報も聞けたことだし、どうやって、元の場所に行こう?

また、木の枝とかを投げるのは、気がつかれやすいし。

途中で、草むらが切れているところがあるんだよね。

そこをどうやって、隠れてやり過ごすか…………

が問題なんだよね。

そこだけ、ピューって、行っちゃう?

そうしよう!

見つかる可能性は、五分五分なんだよね。

だから、ちょっと、迷っちゃうけど…………

やらないよりはまし!

いつまでも、ここにいるわけにはいかないもん。

いつか、気がつかれちゃう。

それに、ずーとうずくまっていたから、身体がカチコチだし。

もう、ずーと、ここにいるのは、ムリ!

もう、我慢できない!

そして、そろ~りと忍び寄るように、地面を這うように進む。

そして、一瞬、草陰から、体をだして、また、草むらに飛び込む。

ふう。見つからなかった。

そして、音も立てずに、さいとのすぐ後ろに隠れる。

良かった。

正直、ヒヤヒヤしたよ。

ま、見つからなかったから、良かったんだけど。

って!

『手がかりを見つけました。』だって!?

そみこ、ズルイ!

そして、結局、しずきや、キミコと合流することになったのだ。

次は、絶対に私が見つけてやる!

まだ、手がかりがあるのならば、だけど。

はーい!

私が誰だか、わかる?

正解は……キミコです!

もう、名字は紹介しなくて良いよね。

もう、みんなも名前を覚えていると思うから。

今は、手がかりを見つけたそみこチームに行ってる最中なんだ。

でも、この森、化け物が出そうな雰囲気だよ。

なんか、武器を持っていた方が良いんじゃない?

いつ、敵が出てくるかわかんないし。

うーん。

じゃあ、木と石で武器を作ろう!

ナイスアイデアだ!

木の先がとがってるのと、普通の石で良いよね。

あんまり、いろんな物を持つと、逃げるとき、すぐ追いつかれちゃうもん。

しずきにも武器を渡すと、しずきは困惑した顔で、

「何に使うの?この武器。」

と言った。

えっ!

まだ、わかってないの!?

頭の回転が早い、しずきがこんなことを聞くなんて珍しいなあ。

しずきは、いつも、私が言いたいことがお見通しなんだもん。

まあ、まさに成績が、学年一で学校の成績が、四番っていう人みたいな感じなんだけどさ。

そういう人なら、普通のことかもしれないんだけど。

と。

今の話は、頭に流しておいて良いよ。

頭の隅で管理して、いつか必要になったときに取り出せば良いから。

この情報、ポイッ!

って捨てないでよ。

せっかく、言ってあげたのに、捨てるなんてもったいないから。

って、わたし、なんにも、しずきに説明してなかったか。

それじゃあ、しずきが頭にはてなマークがうかんじゃってもしょうがないかも。

ふう、ちゃんと説明するしかないか。

…………長い話をするのは、全然得意じゃないけど。

私は仕方なく、しずきに、説明した。

「もしかしたら、そみこの所に行く途中,何者かに、襲われちゃうかもしれないでしょ。だから念の為、先がとがった枝と、石を持っておいた方が良いんじゃないかって。じゃあ、私がこのとがった枝を――――――」

と言った瞬間、しずきが、

「それは細すぎるわ。太いのじゃないと、折れちゃう。例えば…………そうね、これなんかどうかしら?折れなさそうな棒でしょ?」

と全部、すごく太い、木の枝…………

ううん。

これは、枝って言えないぐらい、太い、木の棒を差し出した。

これじゃあ、さすがに持てなさそう。

もしかしたら、さいとは、持てるかもしれないけど。

おもわず、後ずさりしちゃった。

しずきは、後ずさりした私に、無理矢理、木の棒を渡した。

どれどれ。

…………軽っ!

ななな、何これ!?

めちゃくちゃ軽いんだけど!

どーなってるわけ?

でも、けっこう、これは活用できそう。

身軽な方が、動きやすいから。

よーし。

石のことも、もっと詳しく、しずきに話さなくちゃ。

その時。

ズゴオオオオオオオン!!

大きな音をたてて、木が倒れてきた。

うわあああっ!

う、うそでしょ!?

こんな、すごくでかい木の下敷きになったら死んじゃうよっ!!

それに、最悪なタイミング!

石のことを伝えようと思っていたのに!

こんな、幹が太い木はどうやって倒れたわけ?

恐竜でも、来たの?

あ!

木が倒れそうな所に、唖然としたしずきが立っている。

まずっ!

こうなったら、一か八か、やってみるしか、方法はない。

私は、しずきを思いっきり、突き飛ばした。しずきは、

「きゃあっ!」

という悲鳴をあげ、地面に倒れてしまった。

後は、自分だけ!

ええいっ!

思いきり、ジャンプして、避難した。

その、一秒後に、木が思いきり倒れた。

もうちょっとでも、遅かったら、大変なことになってたかも…………

間一発だよ。

よかった。

助かった~。

そう思ったとき、ズシン、ズシン!

という音がした。

もしかしたら、敵が来たのかも。

それは、まずい。

武器があんまりないから。

…………ならっ!

私は、しずきに

「小石を、できるだけ、多く集めてきて!ギリギリまで、私が時間を稼ぐから。お願い。私だけじゃ、あまり時間を稼げないから。ほら、早く!」

と言った。

しずきは、こくりと、うなずき、そばにある小石を集め出した。

お願い。

しずき。気をつけて…………

できるだけ、時間を稼ぐけど、私は、上手な方ではないから。

しずき!

間に合って…………

そう願いながら、私は、木の棒を手に取った。

さっきまで、地面に置いてあったから。

ふう。

頑張らないとっ!

そうして、敵が来るのをまった。

そして、敵は、姿を現した。

私は、その姿を見た瞬間、

「は?」

という、まぬけな声を出してしまった。

だって、だって…………

その敵、おかしな格好をしていたんだもん。

とげとげな格好に、手足が六つも映えてるもん。

それに、鉄の棒を頭に置いているし!

そりゃあ、誰でも、笑っちゃいそうになるよ。

くくくっ。

ププ。

ば、爆笑しないように気をつけなくちゃ。

で、でもっ!

て、敵なのは変わりないし!

とりあえず、やっつけよう!

そう思ったとき、敵が、タンッと地面を蹴り、私のすぐそばに降り立つ。

う、うそでしょ!

さっきまで、50メートルくらい、離れていたのに!

この敵、かなりの強敵かも。

なら、こっちも、本気で迎え撃つからっ!

そう思ってたとき、いきなり敵が襲いかかってきた。

ちょっ!

何で、いきなり、襲いかかってくるわけ!?

そう、目をつぶったとき。ヒュンッ!

いきなり、石が飛んできた。

しずきが、投げてくれたんだ!

そう思い、敵を見てみた。

あれっ?

さっきの石は?

もしかして、あの時、一瞬で、石をかわしていたの?

しずきが投げる、石とかは、すごい速さで飛んでくるんだけど…………

あれを、かわしたの!?

そして、後ろを見てみると、いつの間にか、そみこやさいと、まさもが揃ってた。

ついに、合流できたんだ!

そして、

「たくさん、石を投げて!でも、石を投げるのは、さいとと、しずきだけ!そみこと、まさもは、石を拾って集めておいて!しずき!リュックに石があるなら、それを全部取り出して!それをまずは投げて!」

と私は言った。

よっし!

今から、バトルだよ!

すると、敵は、初めて口を開いた。

「俺様の名前は、トゲラだ。覚えおくがいい。ただ、おまえの最後は、ここだろうがな。」

な、何なの!?

すっごい、いらつく敵なんだけど。

ううう。

怒っちゃダメ、怒っちゃダメ。

そうすると、周りが見えなくなっちゃうから!

でも。

でも!

やっぱりいらつく!!

ぜっっ対に倒してみせるんだからー!!

もう!

私は、ほんといらつく敵だなあと思いながら、木の棒を構え治した。

この、いらつく敵、絶対に、倒してやる!

初めてのバトル。

こんな強敵に、勝てるのかわからないけど。

私達は、無限のチームワークで、どんな敵でも倒してやる!

私達の仲を引き裂く奴は許さないんだから!

メリット
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第2章:トゲラとのバトル

私は今、トゲラとバトルしてる最中。

え?

自信ありそうな返事?

いや、全く作戦は考えれてませ~ん!

ヒュンヒュンと石が飛んでるところでは、よけるのが精一杯で、何にも作戦なんかたてれないよ!

それは誰でもおんなじだよね。

うん。

ただ…………

たくさん石を投げているんだけど、一発もトゲラに当たんないんだ。

それが問題。

まさに、絶体絶命。

そして、しずきが投げた石が、トゲラがかわしきれない場所に飛んできた。

けれど、トゲラには、攻撃が当たらなかった。

よけられたわけじゃない。

受け止めている。

あの、自由自在な腕で。

う。

この敵、本当にやりにくい。

ただ、知能はあんまりなさそう。

ま、見た目で判断しただけだけど。

本当は知能結構良いかもしれないし。

でも、今までの行動だと、知能があんまりなさそうだから。

そして、いったん、作戦を作った方が良いかもしれない。

でも、知能が本当はないんだったら、叫ぶだけで良いんだけど。

まあ、まずはやってみよう!

えーと。

今まで、トゲラは一個の石に集中してたっけ。でも、脚が六本あるからなあ。

あ!

トゲラは、鉄の棒を6本持っているから、そのうち、なにか1つ奪えばちょっと有利になるんじゃない?

作戦は、実行しないと!

私は、トゲラに作戦がばれないよう、言った。

「トゲラの脚を、石で狙って!」

そして私はトゲラのすぐ後ろに滑り込んだ。

脚は6本あるけど、目は2つしかないもんね。

しかも、前にしかないんだもん。

後ろは見れないはず。

そして、速いスピードで行けば、トゲラには見られない。

その後、しずきは、トゲラの脚に向かって、思いっきり、石を投げた。そしてトゲラはその鉄の棒を野球みたいに石に当て、しずきに投げた。

運悪く、その石は先がとがってた。

それが、しずきに向かって真っ直ぐ、飛んでくる。

私はしずきに、

「しずき!」

と言うことしかできなかった。

作戦失敗。

跳ね返された石は、しずきの右腕に突き刺さった。

しずきは、

「きゃああああっ!!」

と悲鳴をあげた。

どうしよう。私が、こんな作戦を立てたせいで、しずきがけがしちゃった。

その瞬間、

「ゆるせない!」

という声がして、そみこの投げた石が、初めてトゲラに刺さった。

トゲラは、堪忍袋の緒が切れたように、鉄の棒をめちゃくちゃに振り回した。

「よ、よくも、俺様に傷を負わせたなああああっ!!!!殺してやるうううううっ!!」

そして、勢い余った鉄の棒が、しずきとそみこに向かっていき、ふたりは鉄の棒の攻撃をまともに受け、倒れ込んでしまった。

さいとは、鉄の棒の攻撃をかわしたので、無事だった。

まさもは、別の場所にいるから、無事だったみたい。

ま、まずい。

これは、逃げた方が良さそうかも。

これ以上、みんなにけがをさせたくない。

そして、わたしはまさもとさいとに

「逃げて!!」

と叫んだ。

まさもとさいとは頷くと逃げ出した。

そして、さいとは、そみことしずきを背負って、走り出した。

さいとがいて、助かった~。

そうじゃないと、そみこやしずきを背負えなかったもん。

学年では力持ちな方の私でも、さすがにしずきたちを背負って走ってはいけない。

そして、遠くまで逃げると、トゲラが追ってこないか、確かめる。

よかった。

追ってこないみたい。

そして私はさいとに

「しずきとそみこをおろして、楽な姿勢にしてあげて。2人とも、けがしてるから。けがの様子も見てくれると嬉しいかも。まさもはそばでまってもらうから。」

と言った。

しばらくして、さいとが言った。

「キミコ。しずきは、腕を骨折してしまっている。あと、右腕に、石が刺さっているから、けっこう、危ないと思う。そみこは、脚を少しひねっただけみたいだから、すぐ直るはずだよ。ただ、問題はしずきだね。しずきは骨折してしまったし、右腕は出血しているし。脚は、まだ調べれてないけれど、しずきの状態はあまり良くない。とりあえず、キミコは包帯をしずきの腕に巻いて。そみこは、すぐ直りそうだから大丈夫だ。」

しずき、大丈夫かな。

心配。

これはとりあえず、

テントを張って、中でかんびょうした方が良いと思う。

言い忘れていたけど、あのテント、最新のテントで、私の家よりも広くて、いろいろなことができるんだよ。

でも、この前エアコンを付けるの忘れちゃって…………

私はさいとに、

「ここだと、寒くて、しずき達も、体温が下がっちゃうよ。だから、テントを張って、そこの中にそみことしずきを入れてあげて。それで、ストーブを焚いて、休ませてあげた方が良いよ。」

さいとは、うなずくと

「わかった。じゃあ、テントを今から、張った方が良い。キミコ、まさも。テントを張って。その間に、2人の面倒を見ることにする。」

と言った。

私とまさもは、テントを張り、中にしずきとそみこを入れた。

そして私はしずきにこう言った。

「しずき、ストーブって、もってこれた?」

しずきは、弱々しい声で、こう言った。

「持ってきてるわ…………リュックの、中に…………入ってるわ……一番、目立つところに…………入って、る…………」

言われた通り、ストーブを出し、つけると、あっという間に、テントが暖かくなる。

さいとが、

「キミコは、そみこのそばにいて。それで、布で、捻挫したところを縛って。こっちは、しずきのそばにいるから。まさもは、食料を用意して。あと、薬も。」

と言った。

わたしは言われた通り、そみこの近くに行き、捻挫してしまった、脚を布でしばる。

そみこが、

「い、いたい。」とうなる。

どういうことなんだろう。

痛くないふうに頑張ってしたのになあ。

そして、そみこは自分で脚を縛る。

な~んだ。

自分でやれるなら、私がしずきの面倒見れば良かった。

こんな憎たらしいそみこの側にいなくてもよかったのに。

さいとは、

「じゃあ、キミコは、しずきの面倒を見て欲しい。えーと、しずきの腕に包帯を巻いてくれるかな?こっちは、腕に突き刺さった、石を取るから。」

と言った。

さいとがいて、助かった~。

もう、こう思うのはきょうで二度目。

さいとを、この森に連れてきて良かったよ。

説得したかいがあった。

って、しずきの腕に、包帯を巻かなくっちゃ!!

しずきは、

「ううううん。」

とうなっている。

なにしろ、石が突き刺さっちゃったもんね。

そりゃあ、痛いのも、納得できるよ。

そして、さいとが、

「しずき、痛いけど、今だけ我慢できるかな?たぶん、思ったよりも、いたいと思うから、心の準備をしといた方が良いと思うよ。良いかな?」

そして、ゆっくりとしずきがうなずくと、次の瞬間、

「きゃあああああああああああああっ!!」

という、叫び声が聞こえた。

そして、しずきが、大粒の涙をこぼして、泣いた時には、石が取れていた。

さ、さいと。

取れないからって、それはいくら何でもダメでしょ。

まあ、やっちゃったもんは、変えれないけど。

そして、石を抜いたところから、血が流れ出た。

うう。

血を見るのって、やっぱ、落ち着かないよ。

そして、さいとは、

「水をくれるかな?」

と言った。

言われた通り、水を差し出すと…………

ザバアッ!

いきなり、その水をしずきの腕にかけた。

すると、しずきが再び顔をゆがめる。

「ちょっ!!何で!!」

と、私が叫ぶとさいとが、

「傷口をそのままにしておくと、空中にいる細菌が身体に害を与えるんだ。だから、傷口をキレイにするんだよ。少し痛いけど、しずきは、よく耐えてくれたよ。」

と言った。

そういえば、この前、理科の勉強で、細菌の勉強をしたっけ。

あんまり覚えてないけど、そのテストで、最低得点取った記憶がある。

学年で、一番、理科の成績が悪かったときだ。

たしか、20点くらいの点数を取って、お母さんにめちゃくちゃ叱られたときだったような…………

あああっ!!

もう!

この事は、思い出したくない!

そして、全員の治療が終わった。

ふう、ホッとするよ。

その時、まさもが料理を運んできた。

うわあああああ!!

すごく、美味しそう!!

よだれが垂れそうになるほど美味しそうなんだけど!!

そういえば、まさもって、けっこう、料理上手だったっけ。

なぜかまさも他の教科は全部ダメなのに、体育と家庭科だけが得意なの。

しかも、家庭科に関しては、料理は全然失敗しないし、失敗しても別の材料を加えたりして成功にするし。

裁縫をやれば、手際の良さが最高。

ミシンで驚くような早さで縫いあげる。

刺繍をやれと言われたら、センスのいい糸を選び、あっという間に完成させる。

しかも、その上手さときたら。

美しいつやつやとした絵。

私達には絶対にできないような刺し方も、たくさん知っている。

それはともかく、食べよう!!

そして、しずきの所に置いてあるスプーンをみんなに配り、まずしずきに食べさせる。

しずきは、パクリとそれを食べ、あっという間にごはんを食べ終わってしまった。

まあ、私たちが手伝ったからなんだけどね。

そして、全員が食べ終わると、さいとが、

「じゃあ、トゲラの作戦を考えよう。」

と言った。

ええええ!!

もう、トゲラは、逃げたんじゃないの!?

さいとは続けた。

「たぶん、あそこはトゲラのすみかの近くだったんじゃないかな?トゲラは、自分のすみかを守るために、戦ったんじゃない?だって、私たちが逃げたとき、追いかけてこなかったから。でも、トゲラは、あんまり、強くないから、倒せるはずだよ。わざわざ武器をたくさん持っているってことは、強くないってことなんじゃないのかな?」

なるほど。

たしかに、そうかも。

強いんだったら、なんにも無しでもいいもんね。

というか、手ぶらの方が絶対に良いよ!

ううう。

運動は得意なんだけど…………

作戦を立てるのとかは大の苦手。

本当に苦手なんだよおおおおおっ!

すると、しずきが、

「トゲラは…………極端な敵よ…………私たちよりも、賢くはないと、思う。でも、守備や、攻撃力は高そうよ…………」

と、言葉が途切れ途切れになりながら話す。

しずきは、作戦立てるのが上手なんだ。

まあ、あの人間百科事典みたいなしずきなら、普通だよね。

そう思いながらニヤニヤしてると、しずきが

「なんか…………失礼なこと、言った?」

とにらんでくる。

ま、まずっ!

ば、ばれちゃう…………

慌ててて、

「そそそそそ、それは、まさもが、以外と料理上手なんだったけ。って思っただけで、しずきのことは、何にも思ってないよっ!」

と言ってしまう。

ば、ばれてないよね?

心配になって、しずきの顔をのぞき込むと、

「はあ。本当かどうかは…………後で、追跡するわ。それより…………今は、作戦を立てた方が良い、でしょ。そんなこ、とに構うほど…………私たちは、暇じゃないんだから。」

と言った。

追跡!!

怖いいいいいっ!

って、今は、トゲラの作戦を考える時間だった!

うーん。

トゲラかあ。

あの、六本足全部で、鉄の棒を振り回してる敵とどうやって戦えばいいわけ?

すると、なんとか体力が回復してきたしずきが

「私とそみこをおとりにさせて…………その間に攻撃した方、がいいんじゃない?うまくできるか、どうかは、わかんないけど…………」

と言った。

えっ!!

ダメダメ!

しずき。

それはいくら何でも、ダメだよ。

いつものしずきらしくないんだけど。

するとさいとが、

「あの時、そみこが投げた石が当たったのは何でかな?それを先に考えれば、作戦をたてれるんじゃない?」

たしかに。

あの時、思いっきり、石が当たったもんね。

他は当たらなかったのに。

もしかしたら。

そう思って、口を開きかけたとき、そみこが早口で喋る。

「私が投げた石が、運良く、敵に突き刺さってしまった、と言うことじゃないんですか?それか、敵がなにかに、気を取られてたとか。」

するとさいとが、

「じゃあ、なんで、敵が気を取られていたのかな?それがわかれば作戦をたてれるんだけど。」と言った。

さすがのそみこも、考え込んじゃっている。

ふふふ。

ここは、私の出番だね。

私は、かっこよく言った(つもりで)。

「私の意見は、しずきを倒したことを喜んでいるときに、そみこに隙を突かれたという意見。あの敵、隙を突かれそうなときが多かったんだけど、その時私たちは攻撃できなかったの。それに、攻撃できたとしても、敵が隙を見せるのはほんの一瞬だったから、私たちは攻撃できなかったというわけ。今、あのときの状況をちょっと、思い出したの。そうしたら、敵が、にやりと笑って、しずきをやっつけたことを喜んでいるような表情になって。その時、そみこが偶然投げた石がトゲラに傷を負わせたの。あのときは偶然だったけど、もうちょっと頑張れば大丈夫。私は、こういう、推理。そみこよりも具体的だよねぇ?」

とちょっと皮肉を込めて言った。

そみこは、ブチ切れる。

「何ですか?私の方が具体的です!さいと、私の方が具体的ですよね?」

さいとは、

「キミコは理由もはっきりしているから、そっちの方も信じやすいな。例えば、たたかれてしまって、倒れるふりをしていると、敵は隙を見せるということか。ところでキミコ、私たちが逃げるとき、敵はどんな表情をしていたか、覚えているかな?」

と言った。

よっしゃ。

そみこに勝った!

「暗号を見つけられちゃった借りは返したからね。」

私はそみこにしか聞こえない声で言った。

そみこは、

「え?」

と言うつぶやきを漏らす。

私は、そんなそみこに知らぬふりをして

「あの時は、全力即で逃げていたから、覚えてない。」

と応えた。

だって、あの時は、ほんと、全力ダッシュで行かないと助からなさそうな時だったもん。

その時は、敵の顔を見るなんて、さすがにできなかったよ~!

できたら、すごい人!

そして、余裕が無駄にありまくる人!

そう思っているとなんとか呼吸を整えることができたしずきが口を開く。

「私、見たの。私たちが逃げているとき、敵がにやりとしていたのが。ビクッとしたときには、もういなかったのよ。そうだ、そみこ…………手がかりを見せて。その手がかりが、トゲラを倒す、ヒントになると思うの。今、持っている?」

そみこが、

「持っています!私が見つけたのは、地図なんですが、確か、変なことが書かれていて、怪物みたいなのもいました!川や、道みたいなのも確かあった記憶があります!見てください。ほら。」

と、一枚の紙を差し出した。

なになに…………

げっ!!

み、道にトゲラそっくりの化け物が描かれてる――――!!!

どうなっているわけ?

それに、四つ葉のクローバーも描かれている。

するとしずきが地図を触る。

「これは、だいぶ昔につくられた物のようね。」

おっ、さすがしずき。

でも、ここの裏にトゲラとかの弱点が書かれてないかなぁ。

そして、裏を見てみたら大きな竹の棒が描かれている。

竹槍みたいな感じ。

これが、トゲラの弱点?

すると横に小さく、何かがペンで書かれている。

ううう。

見えない。

ちっちゃすぎて、見えないよ~!

こういうときこそ、虫眼鏡を使うときだねっ!!

私はリュックサックから、虫眼鏡を取り出し、文字にかざした。

そこには、モンタ弱点って、書いてある。

しずきは、虫眼鏡を手に取る。

「このペンのメッセージだけ、最近書かれた文だわ。きっと、誰かが途中で書き足したのよ。」

あ、気づいてなかったけどしずき、だいぶ元気になったみたい。

でも、まずはこの暗号を解かないと。

また、そみこに負けちゃったら、最悪。

途中、破れているところがあるから、うまく読めない。

たぶん、

「モンスター弱点」

って書いてあるんじゃないかな?

よくわかんないけど。

これが、トゲラの弱点なら、早くみんなに知らせないと!!

私は、悩んでいるみんなに声をかけた。

「竹槍が、今回のぶきじゃない?ほら、ここに、『モンスター弱点』って書いてあるでしょ?」

そう、私が言ったとたんに、箱が急に現れ、私とみんなの前に、ストンと落ちたんだけど。

…………開ければいいのかな?

そして、箱を開けると、まゆばい、金色の光が放たれ、一瞬で私の装備が変わる。

私は手に竹槍を持っていて、腰のベルトには、袋が刺さしてある。

そして手首には、ひまわり色のブレスレットみたいなのがあり、そこには、「食べ物」や「物を取り込む」などのボタンがあり、今は、「竹槍」というところが光っている。

きっとこれはトゲラとかと戦う装備なんだ!

すごい!!

横を見ると、みんなはまだ、箱を開けずに、ポカーンと私を見ている。

私はみんなに、

「みんなも箱を開けてみなよ!楽しいよ!」

と言った。

みんなもおそるおそる、箱を開けた。

そして、私と同じように、金色の光が放たれた。

わっ!

私の時よりも、光が強いんだけど!

よく考えれば当たり前か。

1よりも、4の方が多いからね。

みんなの姿を見てみるとしずきは、杖を持っていて、手首には、ブレスレットがついている。

でも、ブレスレットの色は、星が瞬くような夜空色。

確かに、しずきにぴったりの色かも。しずきの服は、魔女みたいな服で、頭にとんがり帽子をかぶっている。ブレスレットには、「体力回復」などもある。

そみこは、細長い棒を持っている。

その棒は、木の棒みたいな感じじゃなくって、金属でできたような、当たったら、かなり痛そうな棒。

トゲラとおんなじ感じだね。

ププッ!

そみこって、トゲラみたい!

ブレスレットには、「木の棒」や「光の棒」といろいろ種類がある。

ブレスレットの色は、黄緑。

春に生えてくる、若々しい…………色。

若草色だ!

うん、これもそみこにぴったりな色だね。

まさもの服は動きやすそう。

ショートパンツにTシャツ。

ブレスレットの色は、情熱色。

赤い、炎のようなブレスレットは、見ているだけで温かくなりそう。

さいとは、腰に剣みたいなのを刺していて、ブレスレットの色は海色。薄い、透明度が高い水色は、本当に海の水みたい。

でも、そこには「竹串」なんていう、おかしな技のボタンがある。

竹串もまあ、とがってるんだけど。

戦力としては、あんまり役に立たない。

ブレスレットには全部、技があって、「物を取り込む」っていう表示はしてあるんだよね。

そこら辺にある石を取り込んだりもできそう。

試してみようっと!

そして「物をとりこむ」を押し、石を近づけると、石がブレスレットに吸い込まれ、ブレスレットに、「石を投げる」という表示が加わった。

これは、いらないのを捨てたりできるのかな?

そう思い、試しに「石を投げる」というボタンを長押しすると、ゴミ箱の表示が出てきて、石のボタンを消してくれた。

わ~!

面白い仕組み!

これなら、いい感じに戦えそうだね!

上手に使いこなせば、アイテムみたいな感じにできるよ!

しずきは、

「これ、なんか、ゲームの世界みたいな感じね。いきなり服が変わったり、いろいろな技を身につけたり。」

と言った。

たしかに、モンスター?

がいるっていうのも、ゲームの世界ではあり得るもんね!

でも、1回でもいいから、ゲームの世界に入りたいっていう気持ちはあったよ。

実感できて嬉しい!

ちょっと、ここに来て、良かったかも。

結構、楽しい!

まあ、しずきやそみこがけがを負っちゃったのは、やだけどね。

しずきが

「あれを見て!こんな所に、テレビとかはなかったのに!」

と叫ぶと、テレビは、

「今、あなたたちには、プレゼントを開けてもらいました。これから、悪さをするモンスターを倒しながら、かたばみの宝を探し当ててください。さっき、そみこが拾ったのは、この森の地図です。その地図をヒントにして、宝を集めてください。それを私に渡したら謎の森のことをお話します。」

と言った。

ううう。

謎の森のことをしれるのは嬉しいけど、そういうのはちょっと…………

そして、テレビは、とまどっている私たちに、

「あなたたちの技を、少し強力なのにします。なので、モンスター退治と、宝を探し当ててください。」

と言った。

そんなに頼まれちゃあ、やらないわけにはいかないか。

そして、私は、

「わかった。協力する。ただし、そのミッションがクリアできたら、ちゃんと謎の森のことを教えてよね。ただ、ネタバレとかして欲しくないの。だから、ちゃんと私たちが行きたいって思うようにしてよ。わかったね?じゃあ、少しの間だけ、協力してあげる。」

と言った。

みんなはうなずくと、まっすぐ、テレビの方を向いた。

するとテレビは、

「じゃあ、いつでもお互いに連絡できるように、トランシーバーをお渡ししておきます。では、いきます。」

うう。ちょっと緊張。

そして、その瞬間、テレビが

「服装変更!」

と叫ぶと、辺りが真っ白になり、金色の光が私を包み込んだ。

辺りが晴れると、テレビがなくなり、みんなの姿が変わっていた。

…………変わらなかったら怖いけどね。

私は、自分の姿を一応、確認した。

私は、サーモンピンクのTシャツと白色のズボンをはいていて、靴は金色のスニーカー。

ブレスレットの色は黄色。

まあ、ブレスレットっていっても、紙みたいなブレスレットで、けっこう、きつく縛られてる感じ。

でも、全然、いたいとかそんなのではなくって、気持ちがいいんだ。

そうだ、トランシーバーはどこにあるんだろう。

身体にはついていなくて、ブレスレットを見てみると、「トランシーバー」というのがあった。

ちなみに、私はさっきと同じ竹槍を持っている。

ブレスレットには他にも、「食べ物」、「物を取り込む」、「寝袋」、「木の棒」などがある。なんかさっきよりも、身体が軽いような気がするんだけど。

さっき、技を強力にするって、テレビがいってたけど、身体も軽くさせたのかな?

それだと嬉しいんだけど。

私はまた、みんなの姿を確認した。

しずきは、白色のセーターと、

ピンク色のジーンズ。

そして、靴は、銀色に光っている。

ブレスレットは、青色。

ブレスレットの色は変わらないみたい。

ブレスレットの技は私と同じ、「物を取り込む」と「トランシーバー」がある。

他にも、「ストーブ」や「テント」、「体力回復魔法」、「石を投げる」などがある。

回復魔法!

けっこう、役に立ちそう!

しずきは、試しに「体力回復魔法」をトンと押し、みんなを見た。

するとしずきが、

「あっ!みんなの頭上に、残りの体力が見える!キミコが、42、そみこは31、さいとが74、まさもが99、私が、16よ!キミコとそみこは、早く回復させないと!どうやって、回復させればいいのかしら?」

と叫んだ。

するとしずきが、私の方にブレスレットを近づけた。

すると、私の体力がすごくアップしたように元気がみなぎる。

しずきが、自分の方にブレスレットを近づけると、しずきの方も元気そうになった。

今回、しずきは杖を持っておらず、手ぶらの状態だ。

そして、そのようにそみことさいとの体力を回復させると、ブレスレットの技をしまった。

しまったというか、ホームに戻って、普通のブレスレットにしただけだけど。

そみこの姿は、黄緑色のTシャツで、ベージュのズボン。

くつは白色で、ブレスレットは若草色。

そこの技は、「石を投げる」や「パチンコ」、「指弾」みたいな技がある。さいとは、水色のTシャツで、白色のズボン。

くつはしずきと同じような銀色のスニーカーで、海色のブレスレット。

ブレスレットには、「竹槍」や「竹串」、「煙玉」、「催眠ガス」、「ガスボンベ」っていうのもある。

まさもは赤色のTシャツで茶色のズボン。

金色のスニーカーも履いている。

ブレスレットは情熱色。

技は「メッサカリントン」なんていう、おかしな技があったり、「つまようじ」などの役に立たなさそうな技があったりする。

あと、「デスノコローノーゼ」っていうのがある。

「調べる」っていうボタンもあるから、調べてみると、「メッサカリントン」は炎がすごい勢いで敵に迫るっていう技なんだ。

これ、以外と使えそうだね。

それで、「デスノコローノーゼ」は巨大な岩が敵に向かっていくみたいなやつなんだ。

「メッサカリントン」はけっこういい技だなあ。

他はほとんど、役に立たない物ばっかりだけど。

でも、これで、トゲラとも戦えそう!

ただ、トゲラが今どこにいるか、わかんないんだよね。

もしかしたら、さっきの地図が役に立つかも。

そう思い、地図を見てみると、トゲラのマークが微妙に動いてるような気がする。

というか、私たちの方に近づいて来てるような?

トゲラが本当に近づいてきてるなら、早く作戦を立てないと。

まさもの、「メッサカリントン」は一つ弱点があって、炎は真っ正面にしか出せないんだって。

だから敵が横に逃げたら、別の所を焼いちゃうってこと。

それじゃあ、意味がないんだ。

というか、それで木が焼けたら、また倒れてきちゃう。

だから、はさみうちしないとできないっていうことになるんだよねえ。

もったいない。

でも、敵を倒せたら、なんかのご褒美をもらえるらしいんだよ。

それはすっごくワクワクする!

本当に、ゲームの世界みたい!

さ~て。

武器のこともだいたいわかってきたし、そろそろ、トゲラの作戦を立てないと。

するとしずきが、

「トゲラの作戦を考えるわよ。これは私個人の作戦だけど、聞いてくれるかしら?まず、トゲラがやって来たら、できるだけ、広いところにいってちょうだい。まず、順番に役目を説明していくわ。まさもは、トゲラが木に追い詰められたら、『メッサカリントン』を出す役目。その時、トゲラは、よこやななめににげられないように、他のみんなが追い詰めてちょうだい。いいわね?最初は、トゲラの様子を私が見て、弱点をしぼり出すから。まさも達は、時間稼ぎをしていてちょうだい。次にキミコのことについて話すわね。キミコは、トゲラを木の方に追い詰めてちょうだい。それで、竹槍で頑張って、敵の棒をなくしてね。そみこも、その助っ人。さいとは、私に情報を知らせて。回復できそうな場面があったら、私がみんなの体力を回復させるから。みんなも頑張って!!次こそ、トゲラを退治するわよ!」

と言った。

みんなはうなずくと、テントをたたみ始めた。

よしっ!

今度こそ、トゲラを退治するぞ!!

その時、ズシン、ズシンという音がした。

きっと、トゲラが来たんだ!

私たちは、あらかじめ用意されていた双眼鏡を手に取り、四方八方、広いところを探した。

広いところはどこだ!

そして、私の目が、ある所に止まった。

あそこなら、ちょうどいい場所だっ!

私は、みんなに合図すると、みんなが、走り出した。

トゲラはその足音を追っている!

だんだん、距離が離れていく。

すばしっこさは、私達の方が上だからね。

まあ、テレビに身体能力を強化されたっていうのもあるけど。

みんなは、マラソンぐらいのペースで走っているけど、トゲラは引き離されるばかり。

だけど、腕はすっごい力持ちなんだ。

あの鉄の棒をらくらく持っているんだよ!?

力持ち、決定だよね!!

広場に出て、しずきたちは作戦通り、近くの茂みに隠れる。

そして、回復魔法をいつでもできるように、ブレスレットを見つめている。

しずきが、回復してくれるなら、こっちも有利だね。

よしっ!

作戦通り!

そみこは、足を捻挫しちゃっているけれど、ある程度、治療したから大丈夫。

まずは、鉄の棒を奪わないとね!!

…………奪うのは、結構大変だけど。

やがて、トゲラが姿を現した。

ううう。

すっごい、プレッシャーを感じるんだけど。

でも、もう、後には引けないっ!

頑張らないと!!

すると、トゲラはいきなり、鉄の棒をブンブンと回転させた。

そして、鉄の棒を思いっきり、私に投げつけた。

私は間一髪で、その攻撃を竹槍で受け止める。

これで、一つ鉄の棒を奪えた!

そして、私は鉄の棒をブレスレットに取り込み、また竹槍を構える。

あと、5つも敵は武器を持っている。

その5つを、どう使うか。

それが問題なんだよね。

敵はその鉄の棒を、私の竹槍にぶつけてきた。

バキッ!

嫌な音がして、手を見てみると、私の手にあった竹槍は、真っ二つに割れてしまった。

その隙を見て、敵は鉄の棒を思いっきり、私にぶつけてきた。

とっさに、腕でガードしたけど、これで攻撃を防げるわけじゃない。

思わず、目をつぶる。

けれど、攻撃は振ってこなかった。

どういうこと?

目を見開き、今の状況を見てみると、そみこが、ギリギリで、鉄の棒の攻撃を受け止めていた。

良かった!

するとそみこが、

「早く逃げてください!これじゃあ、かないません!」

と言った。

私は、下をすり抜け、鉄の棒を用意した。

そして、鉄の棒をベルトに差し込むと、残りの鉄の棒を掴む。

といっても、掴んだのは、1つだけ。

そみこはもう全力を使い果たしそうになっているから…………

えいっ!!

私は思いっきり、掴んだ棒以外の棒を狙い、鉄の棒を叩きつけた。

けれども、鉄の棒はトゲラの手に当たってしまった。

けれどもそのはずみで、トゲラの手から鉄の棒が落ちた。

トゲラはそみこを倒そうと精一杯で、1本鉄の棒を落としたことに気がついていない。

今のうちに、たくさんたたき落とさないと!!

そして、2本たたき落とし、3本目に向かおうとすると、そみこが、首を横に振る。

その瞬間、そみこが持ち上げられ、私たちには届かない高さになってしまった。

しかも、そみこの体力がじわじわと減ってきてる。

しずきはついに、隠れていたところから、飛び出し、そみこに向けて、体力回復魔法を使った。

すると、しずきが、

「あっ!トゲラも回復させちゃった!!しかも、トゲラは全回復になっちゃったの!!そみこがぽかぽかたたいてくれてるからちょっとは体力が減っているけど、そみこから、体力を吸収しちゃってる!!さいと、さいとも、あっちを手伝って!!私は私で頑張るから!」

と言った。

あとトゲラに残っている、鉄の棒は3本。

頑張らないと!

トゲラ!

覚悟しなさいよ!!

私はトゲラに思いっきり、体当たりを食らわしたけれど、すぐにかわされてしまった。

私は、鉄の棒を2本用意して、まさもに1本あげた。

まさもは、

「この、宇宙一天才なまさもに、勝つなんて、1000万年早いんだからね!!」

と言いながら、敵に突っ込んでいく。

同時に、私も、空から攻撃すると、トゲラの逃げ場はほとんどない。

トゲラがそみこをまさもに叩きつけると、まさもの体力が残り半分になってしまった。

そみこは、

「すみません、さっき、棒が壊れてしまったんです。だから、武器がほとんどなくて…………私、武器になる魔法が一つも今、ないんです。だから、キミコに鉄の棒を貸して欲しいんですが、いいですか?」

と言った。

私はそみこに鉄の棒を貸してあげると、そみこは

「では、いきますよ!ここから、大逆転です!!しずき、トゲラの体力は残りどれくらいですか?」

と聞いた。

しずきがサラッと、

「78ぐらいよ、みんなとだいたい同じくらい!」

と叫んでくれた。

そみこは、頭をめがけて、飛ぶと、トゲラのトゲトゲの毛を掴む。

するとトゲラは、残りの棒を守ろうとして、棒をギュッと握った。

そして、そみこが背中に蹴りをいれたので、トゲラは手を丸出しにしながら前に倒れ込んだ。

そして、私とまさもで鉄の棒を思いっきり引っ張った。

そみこはさいとといっしょに鉄の棒を引っ張り、鉄の棒をゲットした。

かなり強引だったけど、あとトゲラには1個しか棒が残っていない。

思いっきり、手に鉄の棒を叩きつけると、鉄の棒が落ちて、それをゲットすることができた。

後もう一息!

そして、私たちは森の方へ逃げ始めた。

トゲラは追いかけてくる。

そして、トゲラが目指している所に行き、トゲラが来るとサッと、避けた。

そして、まさもが、ついに「メッサカリントン」を発動させ、トゲラの体力を19に変えた。

そして、そみこと私が鉄の棒でトゲラの体を叩くと、とうとうトゲラも体力が0になった。

ふう。良かった~と思う間もなく、宝箱が5個トゲラの頭から登場し、私たちの方に落ちた。

箱を開けると、ブレスレットから、ピロリンと音がした後、

「使えるアイテムが増えました。」

という放送がながれた。

確認してみると、「サッカリミリントン」という、アイテムが登場していた。

調べてみると、本が思いっきり振ってくるというアイテムだって。

これ、結構、いいアイテムではあるんじゃない?

しずきには、「全回復魔法」っていう、味方の体力を全回復できるっていう、回復魔法がついてきたらしい。

そみこは「ハリハリミコサー」っていう、麻酔を仕込んだ針を投げることができる魔法。

そみこにとっては、初めての魔法だね。

そみこったら、

「神様ああああっ!!!ありがとうございますううう!」

っていいながら泣いている。

まさもは、「槍」が新しく追加されていた。

さいとは、「氷結晶攻撃魔法」っていう、氷で攻撃する魔法を身につけたみたい。

氷がドサドサ振ってくる感じの魔法だね。

みんなそれぞれの魔法だなあ。

って!

鉄の棒持ったままだった!

みんなもハッとしたように、鉄の棒を急いでブレスレットに取り込む。

しずきが、

「みんなの体力、結構、残り少ないから、回復魔法で回復しようかな。全回復、試してみるね。」

と言って、全回復のボタンを押すと、みんなの体力があっという間に回復された。

これ、味方を一瞬で回復できるんだ。

心強い魔法!!

そして、広いところに腰を下ろすと、そばにテレビが置いてある。見つめていると、テレビが

「1匹倒しましたね。ここから川に行くと、宝がもらえますよ。では、これからも頑張ってくださいね。」

と言った。

宝かあ。

私は地図を広げると、川の部分までの長さを調べた。

うう。けっこう、遠いね。

でも、せっかくだし、行こうっと!

そして、私が歩き出すと、みんなもついてくる。

ようやく、30分くらいしてやっと、川に着いた。

こんなに疲れ切った体で歩くのは辛いよ~!

そして、地図を見ながら、宝がある場所を探した。

けれども、埋まってるみたいで、すぐにはとれなさそう。

私は、ブレスレットにあった、「水着」を選び、川の中に潜った。

川の、底には、小さな光がありそれにつられていくと、宝箱があり、開いてみると、宝があった。私は陸に戻り、少し休憩した。

はあ、疲れた。

でも、すごく楽しかった。

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第3章:自分で新しいアイテムを作っちゃおう!!!

するとそみこが急に、

「まだ、トゲラを倒しただけじゃあ、安心はできませんね。ところで、ブレスレットのところに、『コインを使う』という表示があるんですが…………本当に、ゲームの世界みたいですね。コインがどこにあるかはわかりませんでしたが。さっき、プレゼントを開けたときにはこんな表示はありませんでしたし。謎ですね。」

と言った。

ブレスレットを確認すると、確かに、「コインを使う」という表示がしてある。

少し、ためしてみようかとおもったとき、しずきがポツリと漏らした言葉にみんなの表情は固まった。

「この『コインを使う』を押しても、変な表示が出てくるだけで、何もできないんだけど、どういうことかしら?鏡文字みたいな感じなんだけど、ここには鏡なんてないし、鏡文字には少し変な気がするわ……」

「コインを使う」をタップすると、変な感じの文字が出てきた。

鏡文字ではないけど、鏡文字みたいな微妙な感覚。

うーん、どういうことだろう。

鏡かあ。

物を取り込んだりすれば、もしかしたら、いけるかもしれないんだけど。

って、鏡とかないよね。

ここ、森みたいなところだもん。

テントにはあるけど、取りに行くのめんどくさい。

しずきは、

「コイン使う場面とかが、途中に出てくるのかしら?そうしたら、この文字が見えるようになるとか。それか、ここの暗号を解けばいいのか。」

と、自分の画面を見せた。

うーん、鏡があったら、解けるかもしれないんだけどね……

難しすぎる~!

するとさいとが、

「これ?これは、少し難しいトリックなだけで、難しくなんかないよ。このブレスレットって、紙でだいたいできてるんだよね。それってなぜか。その理由は、このトリックを実現させるためだよ。ゴムとかでは、この紙を折り曲げることができない。下手すると切れてしまうからね。それで真ん中の所を合わしてみたら、鍵マークが浮かび上がるんだ。それを押すと、画面が切り替わって、たくさんのボタンが出てくるんだ。その中に、『今のコイン』っていうのを、押してみて。そうしたら、自分のコインの数がわかるから。今試してみるといいよ。ちなみに、私のコインは34コイン。だよ。」

と教えてくれた。

言われた通りにやると、今のコインの数がわかった。

私は45、そみこは62、しずきは、21だった。

まさもは、41。

そみこ、何でそんなにコインの数が多いわけ?

もしかして、さっきのバトルで一番活躍した人がたくさんもらえるんじゃない?

そみこは、

「しずきが一番少ないですね。分けますか?」

と、いつの間にか交渉してる。

そして全員同じ数のこインになると、そみこは

「今日はここで寝ましょう。しばらく、ここで休んだ方が良いと思います。」

と言った。

そしてわたしはいったん、ここで寝たのだ。

「いい加減に、起きて下さいっ!!」

わあああああっ!?

何だ、何だ?

上を見ると、そみこが怖~い顔で、私のことを見ていた。

そみこが、

「やっと起きましたね。」

とため息をついた。

そみこ!

ビックリしたじゃん!!

謝れ、誤れ~!!

そみこは、

「今日は、自分で新しいアイテムを探しましょう。アイテムがたくさんあった方が、有利ですからね。この前のトゲラとのバトルの時、アイテムはもらえましたが、少ししかもらえませんでしたからね。それと、1つ、少し良いお知らせがあります。」

と、話をきりだした。

「何なの?もったいぶらないで、さっさと教えてよね。」

私が眉間に皺を寄せながらつっけんどんに聞くと…………

しずき、そみこ、さいと、まさもは

「「「「新しいアイテムがまた追加されました~!」」」」

と言った。

しずきが続ける。

「新しいアイテムが追加されたの。1つだけだけどね。ブレスレットを見ればわかるわ。『まるごとコピー能力』よ!!これがあれば、地図を違う人が持っていても、コピーできるから、地図がその場になくても大丈夫よ!!便利なアイテムが追加されてちょっと良かったわ。キミコの方にもあると思う。」

と言った。

ブレスレットを確認してみると、たしかに、アイテムが追加されている。

そみこは、

「キミコがのんびり寝ている間に、私たちはコピーしました。」

と、私を横目でにらんでくる。

「のんびり寝ている間」って!

そみこの頭はどうなっているんだか。

あのバトルで一番頑張ってのは、私なんだからね!

活躍したのはそみこかもしれないけど、たくさん動いて敵を足止めしたのは私だし。

まったくもう。

私は心の中でブツブツ言いながら、そみこが持っている地図をコピーする。

そみこは、

「今、さいととまさもが朝ご飯を作ってくれています。それまでまっていてください。」

と言った。

しばらくすると、まさもと、さいとがご飯を運んできてくれた。

まさもは、

「は~い!まさもの1番の得意料理!目玉焼きで~す!あと、さいとがクッキー焼いてくれたよ~!」

と相変わらずのハイテンションで言った。

さいとは、

「みんなのことをイメージして、本、音符、スプーンとフォーク、三つ編みのクッキーを作ってみたんだ。本がしずき、お玉がまさも、音符がキミコ、三つ編みがそみこ。私は黒板とチョーク。どうかな?料理で1番の得意なのがクッキー作りだから。」

と言った。

お皿には、クッキーが15枚とまさもが作ってくれた、目玉焼きだ。

っていうか、さいと、すごい!!

私の音符マークのクッキーは、1つ1つ色が違うし、パステルカラーでかわいい!

しかも、私達が1人ずつ3個食べれるようにたくさん焼いてくれるなんて!

私が大好きな色も入ってる!

ちなみに私が好きなのは、黄色。

クッキーには、サーモンピンクと太陽みたいにキラキラと輝いている、黄色と、いろいろな種類がある。

サーモンピンクはお花の色そっくりでかわいい!

最後に見つけたのが、夜空みたいな深い青色に金色の星を散りばめたような音符のクッキーだった。

私が目を見張ると、さいとが

「その夜空のクッキーが、1番成功だと思うんだけど、どう?」

と聞いた。

私は迷わず、

「これ、キレイすぎる!他のも私が大好きなパステルカラーの音符だけど、これはすごくキレイ!」

と言った。

さいとは少し顔を赤くして、

「ありがとう。」

と言った。

うー、青春!

しずきの本は、すっと心が晴れやかになるような青色、高貴さがあふれ出ているすみれ色があった。

しかも、もう一個は、一つの小さいクッキーに、私達みたいな人が住んでいる地球に、地球の近くにある土星が描かれている。

さいと、すごすぎる!

そみこのは、三つ編みの色が違う。

1つ目が茶色。

茶色は、少し雨が降ったような感じの色。

でも、三つ編みの所の先っぽに虹色のゴムがついていて、雨の後の虹を意味するようなクッキーになっている。

2つ目は、青色の髪に黄緑のゴムが付けてある。

さいとが、

「そみこの成功作品は一番上にのっているよ。二番目が青色で、三番目が若草色になっているんだ。」

まさものフォークとスプーンは桜の木が立っていて、桜の花びらが空に舞っている。

桜の木の下にはうっそうと茂る草がたくさん。きっとこれが成功作品なんだろう。

他にはマーブルになっている色や、グラデーションになっているスプーンとフォークなどがあった。

私たちは、

「いっただっきま~!!」

と元気な声で言い、ご飯を食べ始めた。

まさもの目玉焼きはちょうどいい固さの目玉焼きで、とても美味しかった。

白身の下の方はパリパリ、カリカリ。

上の方はプルプルしていて最高。

黄身も、いい感じ。

さいとのクッキーは1つ1つ味が違って、とても良かった。

そみこは食べ終わった後、

「そろそろ、探索していきましょう。アイテムを探しに行きますよ。」

と言った。

もう、少しくらいまさもとさいとの料理に感動させてよ。

そみこは、

「今度は全員いっしょに行動しましょう。敵が現れたら大変なので。幸い今は、どの敵も近くにいませんですが、敵がこっちに向かってくる場合も0%じゃありませんから。そうですね、だいたい10.6%くらいでしょうか。」

と言った。

こんなところで、小難しい少数とか「%」を使ってくるなんて!

そみこ、ただ自分が勉強上なのを自慢してるだけでしょ。

私は心の中で突っ込む。

するとしずきが、

「でも、敵が追ってきたときはどうするの?二グループに分かれて逃げた方がいいんじゃない?だから、グループも決めておいた方がいいわ。」

と言った。

そみこは

「この前のグループでいきます。」

と応える。

しずきは、

「じゃあ、石を取り出して投げたりするのに使うパチンコとかってない?私、パチンコけっこう得意だから。森にパチンコが落ちてたりはしないと思うけど。」

と言った。

さいとは、

「パチンコなら持ってるけど、いる?」

と言った。

しずきはパチンコを受け取り、アイテムにした。

そみこは、

「しずきのペースに合わせていきましょう。今なら、安心してアイテムなどを探せますし。敵は遠くにいるみたいなので、バトルする必要もありません。」

と言った。

私はとりあえず、太い木の棒を探した。

するとさいとが、

「キミコ、太い棒。いる?」

と聞いてきた。

さいとがの手にある棒は、強くてしっかりしてそう。

私は太い棒をブレスレットに取り込むと、ブレスレットのところに、「木の枝」と書かれた表示が出てきた。

するとしずきが

「この石。すごく頑丈っぽいけど、アイテムにしてもいいかな?」

と言った。

見てみると、黒っぽくてトッキントッキンにとがっている石がある。

なんだっけ、昔の旧石器時代とか縄文時代に使っていた、石。

そみこは、さらりと応える。

「これは黒曜石です。」

そして、無駄なだらだら長い説明を付け足した。

「黒曜石は、主に旧石器時代や縄文時代と、幅広く使われてきていました。今でも、黒曜石は取られています。でも、宝石と同じく、簡単に取れる石ではないのでしずきはラッキーですよ。そして、黒曜石は貴重な物として縄文時代に…………」

「シャラーップ!!」

私は、そみこの声をかき消すように大きく叫ぶ。

「そみこ、ストップ。そんなだらだら長い説明を続けていたら、日が暮れちゃうよ。」

しずきも、私に同意する。

「そうよ、そみこ。よく考えてみて。今は、アイテムを探す時間でしょう。説明を聞く時間ではないわ。日が暮れるまでには収まるだろうけど、アイテムを探すための時間が取られてしまうわ。アイテムを探したら、少し有利になるの。そみこは、さっさと冒険を終わらせたいんでしょ?それなら、テレビの要求を聞くしかないわ。そして、敵を倒すためには武器がいる。そみこ、あなたの説明を聞きたいという思いもあるけど、そんなに喋っていたら、アイテムを探すのに必要な時間がなくなっちゃうわ。」

そみこはうなだれてぽつりと言った。

「わかりました。次から気をつけます。」

そして、さいとが黒曜石を観察する。

「これは言い武器になるんじゃない?ただ、トゲラみたいに石を跳ね返すモンスターもいるから、投げるときは気をつけてね。」

しずきは、

「うん、わかった。私、骨折しているし、足を捻挫しているから、走ることはあんまりできないの。だから、遠くから石を投げたりして、隙を突くわ。ところで、アイテムを自分で作るなんてことはできるのかしら?」

と言った。

「作れるんじゃないですか?物を取り込むことができるので、何でも可能だとは思いますよ。じゃあ、試してみます。しずき、尖った黒曜石をください。そして、木の枝をつるで結びつけます。そうすると、槍になりますよね?そして、少し曲げた木の棒が2つあるので、これもつるで結びつけます。そうして、まっすぐな木の棒を結びつけます。そうすると、弓ができますよね?飛ばしてみると…………えい!」

そみこが、そう言って、槍を引っ張り、はなすと、バキッ!

近くにあった、高い木の所にあるぶどうの実がとれる。

落ちてきたのを私は慌ててキャッチする。

ふうう。

危なかった。

もう少しでこの実が潰れちゃうところだった。

そみこが、

「今日はみんなでそのぶとうを食べましょう。おやつの時間に食べる楽しみになりましたよ。」

と、少しだけ笑う。

やばい、そみこって、笑うとすごく怖い!

でも実は、そみこって意外とフルーツ好きなんだよね。

だから、わざとぶどうに当てたのかな?

そみこは弓でとったぶどうをブレスレットの中に入れると、

「では、もう1個!いきますよ!!せえのっ!」

と言った。

バシッ!

また命中。

けれども今回は、ぶどうも実に弓が当たってしまった。

こ、これはまさか…………

ブシャッ!

私の予想通り、ぶどうは中身をまき散らしながら、宙をえがいて飛んでいってしまった。

そして、1番の被害にあったのが、私。

頭からぶどうの汁がポタポタと垂れてくる。

ぶどうの汁が全く飛んでこなかったそみこは、ぶどうを食べれなくて、プンスカ怒っているし、しずきとさいとは、呆れているし。それにまさもが、

「ぶどう、このまさもにくれれば良かったのに!」

と、食いしん坊発言をしているし。

というか、この頭が――――――――!

ぶどうの汁を頭からかぶってしまったせいで、顔もぶどうだらけになって、血みたいに見えちゃう!

あー!!

イライラする!

優しいしずきがぶとうの汁を拭いてくれた。

助かった~。

でも、顔や頭はベトベト。

落ち着かない~。

そみこは、そんな困った私を放って、

「さあ。みんなで手分けしてアイテムを作りましょう。まず、しずきは無理をしない程度に、とがった石を拾ってください。編み物が得意なさいとは、キミコが持ってきたらしい、針と糸、布で弓矢を担ぐところを作ってくださいね。まさもは、おやつの準備をしてください。もう、3時なので。キミコはみんなの手伝い。私は弓の改良をします。さっきのは、試しに作ったやつなので、あんまり丈夫じゃありません。なので、私は頑張って改良します。キミコ、もう一つ、頼みたいことがあるんです。」

と言った。

うう、聞いただけで吐き気がしてくる。

そう、そみこの説明は、長すぎるほど長いの!

って、た、頼みたいことって何?

そみこは、

「しずきがとがった石を拾ってきてくれる前には、丈夫な棒を集めてきて欲しいんです。しずきが、石を見つけてくれたら、つるで木の棒と石を結びつけて、さいとの方に持って行ってください。40本くらいで、終わりにしていいですからね。」

と言った。

ちょっと。

なんか、枝探しをなめてない?

さらりと「40本」なんて言っちゃって。

丈夫な枝を探すのも苦労するんだからね!

って、私だけ仕事が多くない?

するとそみこが急かしてきた。

「早く行ってください。」

トホホ。

これぞ、三重苦だ。

頭や顔がベタベタするわ、仕事がものすごく多いわ、そみこに急かされるわ。

もう、最悪!!

そう思いながら、さいとに布と糸と針を渡して軍手を付けて木の棒を拾いに、林の奥まで行く。

地面を見つめていると、その地面の下が赤くぼんやりと光っている。

手で地面を掘ってみると、中から箱があらわらた。

なにか、お札が貼ってある!

「みそら」と書かれている。

うーん。

意味わかんない。

とりあえず、開けてみ~ようっと!!

私は箱に貼ってあったお札をペリッとはがし、箱を開けた。

そこには、弓があった。

といっても、矢はなく、矢を放つやつしか入ってないんだけど。

これで、そみこを喜ばせれる!

そういえば今日は、そみこの誕生日なんだっけ。

なら、誕生日プレゼントとしては、バッチリな品物じゃん!

ラッキー!

……そみこはツンデレだし、本当は渡したくないんだけどね。

そして私はそみこの方へ戻っていくことにした。

けれども、私がはがしたままのお札はどこかに行ってしまった。

そして、そのお札がとんでもない災難を呼び起こすことを私は知らなかった。

だからこそ、その後後悔することになる…………

「そーみーこっ!見てみてー!!誕生日プレゼントだよ!」

私がそう叫ぶと、そみこはきょとんとした。

その後、思い出したように、

「まさか、今日は私の誕生日ですか!?よく思い出しましたね!!」

と言った。

しずきは、

「そみこはあまり知らないと思うけれど。キミコは、誕生日に関してはけっこう敏感なのよ。だからすぐ気がついたんだわ。ところで、そみこの誕生日プレゼントってなあに?」

と尋ねた。

私は弓を差し出すと、そみこは驚いたように1歩後ずさった。

そして弓を受け取ると、ほっぺたをほんの少しポリポリとかく。

まさもは私に、

「そみこがほっぺたをかいているときは、照れてるときなんだよ。」

と耳打ちで教えてくれた。

そみこは、

「さいとは、できましたか?」

と聞く。

さいとは、

「うん、できたよ。こんな感じはどう?」

と差し出した。

わあああっ!

きれいなクジャク色!

そみこはまたほっぺたを少しかいて、

「ありがとうございます。」

と言った。

こんな表情のそみこを見るのは初めてだなあ。

そういえば、しずきは?

いないっ!!

どこにいるの、しずき!

…………なんか、手紙がある。

読んでみると、

「ここら辺だと、とがった石が取れないので、少しこの場を離れます。心配しないでください。そうすると、みんなまで、この森で迷子になってしまいます。怪獣には気をつけるので、よっぽどのことがない限り、大丈夫だとは思います。 しずきより」

と書かれていた。しずき…………

森で迷子になっちゃうのは、しずきの方だよ。

しずき、無事でいて。

いつから、いなくなっちゃったの?

普通は、そんなことしないのに。

どうして、しずき…………

教えて。

受け取った手紙を抱きしめて、思わずポロポロとなみだが出てくる。

そみことさいと、まさもは困惑したような顔をして、その場に立ちすくんでいる。

やがて、泣き止んだ私を見てそみこが

「どうしたのですか?それよりしずきは?」

と聞いてくる。

私は半泣きで、

「しずきは、森の奥深くに行っちゃったの…………迷子にならないか心配でっ…………しうzきは、私の、大切な友達だから。」

と言った。

そみこに手紙を渡すと、そみこが、

「わかりました。まずは、地図を見ましょう。地図には、みんなのいる場所が表示されています。…………しずきは、250メートル先にいるようです。それにしても、しずきの頭上で何かが表示されているんですが…………何でしょうか?紙、みたいな物ですね。『みそら』と書いてありますが。」

と言った瞬間、ボンッ!

という音を立てて、頭上にあったお札が爆発して、煙になり、しずきに巻き付いた。

こんなことが起きたの、しずきのせいじゃなくて、私のせいだ。

みんなで伝えなくちゃ。

全部…………

私はゆっくり口を開いた。

「こうなったの、全部私のせい。」

そみこ達は、びっくりしている。

「ちょっ…………キミコ、冗談ですよね?キミコがそんなことするわけないです!さっき見せた涙も、本物でした!本当のことを言ってください、キミコ…………」

私は、ゆっくりと首を振る。

「冗談なんかじゃない。あのね、枝を拾いに行ったら、地面が赤くぼんやり光っていて、思わず手で掘り返してみたの。そうしたら、さっき、しずきの頭上で舞っていたお札が貼ってある箱が現れたの。そのお札を剥がして、中身を見てみたら、そみこがもっている弓が出てきて。それで、その箱とお札をそのままにしてここに来たわけ。だから、お札がとんでもない災難を巻き起こしたんだ…………たぶん、しずきが今頃とんでもない事に巻き込まれちゃったんだ。みんなで助けにいきたいの。私の…………ううん、私たちの、大切なしずきを助けにいきたいの!!せめて、しずきがどうなったかを知りたいの。また、誰かが傷ついちゃうかもしれない。でも、私はチャレンジしたいの。あのお札が、しずきに何かしちゃう前に。こんなの、私の勝手かもしれない。でも、しずきのことを知りたいの。お願い、手伝って。みんなが行かなくても、私は絶対、いくから!」

そみこは、にやりと笑みを浮かべる。

「もちろん、いくに決まっているじゃないですか。私たちの大切なしずきをあの薄っぺらいお札なんかに渡しません。いきますよ、しずきのいる場所へ!!!しずき救出大作戦開始です。」

そみこ、ありがとう。

心の中で私はそう言って、みんなと一緒に出発した。

しばらくして、しずきのいる場所に着くと、私とさいと、そみこ、まさもは、目の前にいる者に絶句した。

体中にとげが生えていて、4メートルくらいの大きさの怪獣。

しかも、手と足にはかぎ爪があって、とても引っかかれたらただでは済まないだろうと思うほどの鋭さ。

右手で、しずきを抱きかかえている。

しずきはジタバタして必死に抵抗しているが、かぎ爪で足を刺されてしまうと、目がとろんとしてきて、しだいに眠ってしまった。

今回のバトルも頑張らないと!!

早くしないと、しずきの命が危ない。

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第4章:お札との決着

今回のバトルはトゲラとのバトルよりも大変なバトルになりそう。

だって、今回は強そうな敵だし、知能もそこそこありそう。

それに、しずきがいないから、回復魔法が使えない。

なんか、弱点があったりしないかな?

トゲラみたいに、武器は持ってないんだけど。

だからこそ、けっこう強いモンスターっぽいね。

頑張んないと。

特に、針に触ると、眠っちゃうから。

そして、お札モンスターが

「俺は、みそらだ。覚えておけ。」

と言った。

みそら。

お札に書いてあった名前だ。

私がそう思っていると、みそらが言った。

「そっちから攻撃してこないのか?なら、こちらからいく。『針噴射!!』」

シュバババババババッ!

いっせいに、針が噴射されてきた。

う、うそでしょ!

こんなの、よききれないよ!

そみこ達は?

そみこは、棒をうまく使って、自分の所にある針を別の所に飛ばしていた。

まさもは、よけるだけで精一杯。

でも、まさもは動きが素早いから何とか大丈夫そう。

さいとはいつの間にか拾った石で、攻撃を跳ね返していた。

でも、さいとの方も、石では攻撃をうまく跳ね返すことができてない。

どうしよう、そみこみたいな棒、私は持ってない…………

あっ!

トゲラから奪い取った、鉄の棒があるじゃん!

さいとやまさもも思い出したように、鉄の棒で針を跳ね返していった。

まさもは、

「みんな!気をつけて!いくよっ!『デスノコローノーゼ』!」

その瞬間、まさもの手から5個くらいの岩が飛び出し、みそらに突進してきた。

みそらは、慌てず、岩が自分のそばまで来るのを待った。

あの余裕は、何なの!?

そう思っていると…………ひゅううううううううううっ。冷たい息を吐き出し、岩を止めてしまった。

岩はみるみるうちに凍り付き、まわりの植物も一瞬にして枯れる。

しかも、地面も凍り付いてしまった。

そして、私達の近くを冷気がかすめる。

私たちは離れてたからまだ大丈夫だったけど、ほんとに難しい敵!

何を出してくるかわかんないもん。

地面は凍ってるから、歩きにくいし。

炎ならとけるんだけれど。

ん?

炎?

そうだ、メッサカリントンを出せばいいんだ!

私はまさもに大声で叫んだ。

「メッサカリントンを出して!」

まさもはうなずき、ブレスレットを素早く動かした。

発射されたメッサカリントンは、周りの氷を溶かしていく。

けれども、またみそらが息を吹き出すと、メッサカリントンは消滅してしまった。

この様子だと、「メッサカリントン」も「デスノコローノーゼ」も使えそうにないね。

その時。

シュッ!

私の横を、矢がかすめて飛んできた。

それは、みそらに向かって飛んでいく。

けれども美空は慌てず、手を矢の方へ押し出すようにした。

普通はこんなことできない。

できないけれど、みそらは…………

まさかの、手からまさもの「デスノコローノーゼ」を出した。

その「デスノコローノーゼ」は、そみこの矢を跳ね返し、転がっていった。

そみこの方へ向かってくる!

見事、そみこは岩に当たってしまった。

そみこは、けっこう、ダメージを受けてしまったみたいで、しばらく動けないでいる。

でも、頑張って立とうとする。

でも、体も傷だらけでそみこの足がふるふると震えている。

そして、ついに地面にバタッと倒れ込んでしまった。

もう、気絶してしまいそう。

そみこは、かすれ声を漏らす。

「キミコ…………私のこと、はいい、か、ら…………戦って…………」

そして、そみこのまぶたが閉じそうになる。

その時、しずきが目を覚まし、そみこを全回復してくれた。

それに気がついたみそらは、しずきの方を見る。

しずきは慌てて目をつむり、寝ているふりをした。

でも、そみこの体の傷が何事もなかったかのように、直っている。

全回復魔法、すごいっ!

そして、しずきの演技に安心したみそらは、

「どうだ。参ったか。」

とにやりと笑った。

こいつ、趣味悪っ!

その瞬間、みそらの体にそみこの矢が突き刺さった。

みそらは顔をゆがめる。

「くそっ、油断した!全員いっしょにやっつけてやる!」

そして、手からメッサカリントンを出した。

だけど、メッサカリントンは真っ直ぐにしか進めない。

私たちは横に逃げ、攻撃を防いだ。

それに、さいとも、「氷結晶攻撃魔法」を出し、メッサカリントンを消滅させた。

これ、いつまで経っても、終わらないバトルなんじゃない?

でも、これだと本当に打つ手がなくなってきた。

はたして、みそらの体力を削れたりできるかなあ?

どこかに技をコピーする機能があるはずなんだけど。

まあ、それだとみそらロボットになっちゃうけどね。

その時、空から声が振ってきた。

「これは、ロボットです。倒しても、まだ次があります。倒す意味があまりありません。魔法や武器も、ほとんどもらえませんよ。」

えっ!

空を見てみると、テレビが宙に浮かんでるんだけど!

でも問題は、今このテレビが喋った内容なんだよね。

武器も魔法もあんまりもらえないの!?

不公平。

私の心の質問に、テレビは

「これは、キミコが新しく作ってしまったモンスターです。箱を開けた後、そのままにしておいたんですよね?その箱には、昔、捕まってしまった霊が潜んでいたんですよ。その箱を開け、そのままにしたことによって、霊が外に出てしまったんです。どうやら、箱に封印されていた間に、凶暴化したのでしょう。それから、しばらくは霊の体のまま、ここをうろついてたみたいです。けれども、しだいに封印が解け、姿が丸見えになったんです。早く退治しないと、しずきが死んでしまいます!この霊に1時間、締め付けられると、死んでしまうんです。早く、しずきを助け出さないといけません。」

と言った。

私は、テレビに聞く。

「ロボットじゃなかったの?」

テレビは応える。

「ええ、ロボットです。元は幽霊なんですけどね。幽霊になった後、ロボット化したんです。」

私は、またテレビに質問する。

「ここで死んじゃったら、最初からやり直し?」

テレビはかぶりを振る。

「いいえ。ここは、ゲームと現実が合体した物。ゲームのように、モンスターが出てきたり、魔法を放てたりしたりはできます。けれども、ゲームオーバーになってしまった場合は、本当に死んでしまいます。そこは、現実と全く一緒です。なので、頑張ってください。私にできることはやるので、皆さんも頑張ってくださいね。このみそらとやらの情報を提供します。」

う、うそ!

しずきがここで死んじゃったら、死んだままってこと?

じゃあ、早く助け出さないと!

そみこは、

「いきますよ!みなさん、できる限りの攻撃をしてください!私は弓を放ちます!さいとは、その時、氷結晶攻撃魔法を放ってください!その氷の結晶はみそらの周りにしてくださいね!それからまさもは、メッサカリントンとデスノコローノーゼを放ってください!そしてキミコはしずきを助けてください。」

と言った。

そみこは、目が追いつけないほどのスピードの矢を飛ばした。

敵はそっちに気をそらし、息を吹き付けた。

けれども、さいとはその少し前に、氷結晶攻撃魔法を出した。

そして、みそらの周りを囲むようにして、氷が突き刺さり、みそらは氷の檻に閉じ込められた。

けれどもすぐに足で蹴って、倒そうとする。

するとそこに、そみこの矢がみそらの体に突き刺さり、そのすぐ後、まさものデスノコローノーゼで体が吹っ飛ぶ。

みそらは見事地面に倒れ込んだ。

そして、まさものメッサカリントンが突撃したら、敵の体力は残り21。

これなら!!

わたしはサッカリミリントンをおとしてやった。

その攻撃でみそらの体力を0にできた。

やった~!

倒せた!

むくり。

ん!?

なんか、起きあっがてるんだけど!

復活してる!?

幸い、しずきは無事に解放された。

しずきは、私たちの体力を全回復させてくれた後、

「地図に変なマークを見つけたから、好奇心が湧いてきちゃって、1人で行ったの。勝手にいって、ごめんなさい。」

と誤ってきてくれた。

うん、いいよ。

ただ、みそらが復活しちゃった。

最後っていう文字が背中に見えるけど。

そして、みそらが私たち全員に針をかけてきた。

ちょっ!!

まだ準備できてないんだけど!

するとそみこが、

「この敵は危険です!いったんさがりましょう!逃げた方がいいです!キミコ、敵をいったん足止めさせてください。こちらもサポートはします!私は矢をありったけ飛ばすので。」

さいとはその間に、いろいろなところに回り、氷結晶攻撃魔法を出した。

まさもは、ぽかぽかと敵をたたきまくり、最後に私はサッカリミリントンを出した。

いろいろな本が、みそらの体の上に積み重なる。

そみこは、

「逃げましょう!私も矢が無くなってしまいました。またみんなでアイテムをつく…………」

ガッターン!!

わああああっ!?

なんと、みそらは、木を蹴り、周りの木をこっちに向かって倒れさせてきた。

こういうの、2回目じゃない!?

ここのモンスターは、木が倒れる場面が好きなの!?

全く!

その時、みそらは私たちに突っ込んできた。

それなら横に逃げれるよ~だ!

横を振り向くと、もう1人のみそらがいるんだけど!

右は!?

右もみそらのコピーに塞がれてる!

みそらの本体は違うところで悠々と立っている。

私たち、みそらに囲まれちゃった!!

足と足の間をすり抜ければ行けるんじゃ!

と思ったら、そこにはまたしてもみそらもコピーが。

これじゃあ、逃げ道無しじゃん!

卑怯すぎる。

そうだ。

あのテレビは?

テレビは上空でふわふわ舞っている。

ずっる~い!

そみこも

「あなただけズルイです!」

と叫んでいる。

私たちも飛べればなあ。

そして木は私たちに覆い被さってきた。

もうダメ!

その時、へっぽこテレビが大風を吹かせ、木をどっかに飛ばせた。

ところが、その大風は、私たちも遠くに飛ばされる威力を持っていたので、私達は見事に飛ばされ、遠くのここがどこかもわからない場所に、叩きつけられた。

とりあえず、みそらからは逃げ切れたんだけどね。

ふう。

と、空を見上げると。

みそらがこっちに飛んできた。

これじゃあ下敷きになっちゃうじゃん!

ほんと、あのテレビは役立たずだよ!

するとさいとが

「作戦を思いついたよ。だからいったん、ここに集まって。」

と、自分が立っている場所を指で示した。

さいとは、

「それで、あのみそらが地面に近くなったらOKっていうから、まずそみこが矢をできる限りたくさん飛ばして。私が予備用の矢を持っているからね。そして、こっちは氷結晶攻撃魔法をだすよ。まさもとキミコがもし、みそらを支えきれなかった時、攻撃できるようにしておいて。しずきは、みんなの体力を全回復させてくれるかな?これからの作戦は、後で説明するから、みんな、準備して。」

と言った。

私は、鉄の棒を取り出すと、ギュッと握りしめた。

まさもも、鉄の棒をみそらが飛んでくる方向に向かって、鉄の棒を構えている。

しずきは、残り少なかった私たちの体力を回復させてくれた。

打倒、みそら!!

みそらが地面に近づいてくると、そみこがもっている弓全部を放った。

その勢いで、みそらは空中でふわりと一瞬浮く。

それを見計らい、さいとが氷結晶攻撃魔法を出した。

それで、敵の体力がちょっと減った。

しずきが、

「あまり敵の体力が減ってないみたいよ。」

とつぶやいた。

どれどれ。うわっ!

ほんとだ。

さっきは100%だった体力は今、96%なんだけど!

たったの4%しか減ってないじゃん!!

そうだ、みそらは?

みそらは、こっちに落ちてきてしまっている。

えっ!

なんで?

さいとが支えてくれてるはずなんじゃ。

と思い、さいとの方を向くと、さいとはみそらを支えきれずに、地面に倒れ込んでしまっていた。

さいとは、

「じゃあ、新しい作戦をいうね。」

と鉄の棒などを取り出しながら言った。

その前にしずきが

「私に、作戦があるの。聞いてくれる?」

と、問いかけてきた。トゲラの時みたいに、作戦があるなら聞きたいよ。

しずきは作戦立てるのうまいからね。

しずきは、

「まず、みんなは武器を取り出して。そみこも一応、武器は持っているでしょう?それに、トゲラから取った鉄の棒はみんな持っているし、役に立つ武器はあるから。それで、みそらが落ちてきたら、すぐに攻撃して。その、落ちたときがチャンスだから。起き上がる前に、頑張って、みそらの体力を減らして。その後の作戦は、私にもわからないから、作戦はここまでにしておくわね。」

と言った。

そみこも、鉄の棒を用意して、攻撃する準備をする。

しずきは、全回復のボタンを開いている。

やがて、みそらが空から落ちてきた。

私達は一体のみそらに攻撃する。

ところが、やっと60%に体力を減らすことができたと思ったときに、他のみそらが起き上がってきた。

しまった、あのみそらコピーのことを忘れていた。

みそらのコピーは私たちに拳を振り落としてきた。

しずきは、遠くにいたから大丈夫。

けれど、近くにいるまさも、私、そみこ、さいとは、けっこう危ない。

とりあえず、みそらの手が届かない場所に私は逃げた。

ところが、私がたった一つの逃げ道に行ってしまったせいで、そみこ達は置いてけぼりになってしまった。

そみこは、

「キミコは速く逃げてください!私たちは、鉄の棒で、敵の攻撃を防ぐので。頑張ってくだささい!」

と叫んだ。

次の瞬間、そみこ達はみそらの拳に踏み潰されそうになった。

けれど、さいと、まさも、そみこはみんなで力を合わせ、なんとか攻撃を防げたみたい。

そして、私はみそらのコピーを攻撃する。

みそらのコピーは隙を突かれ、体力が少し減る。

そみこ達もなんとかみそらのコピーの足の間から私たちの方へやって来た。

そみこは、

「じゃあ、今度は私たちの方から攻撃します!ボーッとしている暇なんて、ありませんよ!!」

と言い、みそらの方へ走っていった。

じゃあ、こっからは大逆転っ!

しずきも、

「攻撃されたら、私がすぐに回復してあげるから、安心してバトルして!!」

と自信ありげな顔でいう。

私達のチームワークは完璧なんだから!!

見ててよね!

私たちの本気!!!

私は、タンッと地面を蹴り、勢いよく敵に切り込んでいった。

しずきは、私達が攻撃を受けた時、すぐに体力を全回復してくれた。

まさもは、意味が全然わからない言葉を叫びながら、敵に切り込んでいき、そみこは必殺技、一気登り(壁とかをロープ無しで高速で上がれるとか)を使って、敵の頭まで高速で登り、攻撃した。

さいとは、この中で1番活躍したかな。

どんなことをしたかというと、まず、そみこが攻撃されそうになったときに、ジャンプして、そみこに攻撃が当たりそうなときに、助けてくれた。

それに、様子を見計らって、いろいろな敵の体力を減らし、次に攻撃するときに体力を0にできるようにしてくれた。

しかも、だよ!

氷結晶攻撃魔法をつかって、たくさんのみそらを囲んで、攻撃させやすいようにしてくれたの!!

さいとはサポートがとっても上手なんだよね。

私達は調子よく攻撃し、敵を追い詰めていった。

よ~し!

いい感じに流れが私たちの方へ傾いてきた!

その時、とうとう怒ったみそらは、全身から、あの針みたいなのを飛び出させた。

しかも、前の時の倍だから、よけきれなくって針に当たってしまう。

これじゃあ、寝ちゃうよ。

そして私の意識は遠くなっていった。

私、しずき!

今、みそらに大量の針を浴びせられちゃって。キミコは針が刺さっちゃって、寝ちゃったの。

私も、刺されそうになっちゃって、ギリギリのところで大丈夫っていう感じなんだけど、このままじゃみんな負けちゃいそうで…………

さいとは、それを防げるアイテム持ってるんだけど、その効果があと少しで切れちゃうみたい。

ここまではいい感じにいけたのに、急に逆転されちゃった。

それにキミコは運の悪いことに、毒状態みたいな感じになっていて、どんどん体力が削れてっちゃって、

残りの体力が41。

私も、回復をできるだけしたいんだけど、敵が針で邪魔してくるから、全然届かない。

そみこも、針に当たってしまって、眠ってはいないものの、体力が急激に減ってきている。

そみこは、無理して動いているからかな。

キミコよりも少ない、20になっちゃった。

なんとか回復してあげたいんだけど、回復できない。

そみこには、ちゃんと言っておかなくっちゃ。

私は、針をよけながらそみこに

「そみこ、動いちゃダメ!!体力がドンドン削れちゃう!」

と叫んだ。

そみこは反論する。

「けれども、キミコみたいに寝れるような針もあるんです。私まで寝ちゃったら、余計に助けるのが不可能になっちゃいます!攻撃は、さいとに頼んでおきますが、さいとも危なくないともいえませんから、わたしも動いた方がよいと思います!まさもも大丈夫ではありませんですし…………」

そみこの状態は今、悪そう。

早く倒さないと。

キミコも。

ゲームオーバーにならないうちに…………

って、キミコ!?

なんとキミコはゲームオーバーになってしまった。

けれども、助けに行こうとしたところで、みそらのコピーに通せんぼされる。

キミコの上に、15:29と表示されている。それがドンドン減っていって、それにつれ、キミコの呼吸が苦しそうになっていく。

キミコ、まってて。

もうすぐ、決着漬けるからね。

早く回復しないと、キミコが死んじゃう!

その時、さいととまさもとそみこが、みそらの後ろに回り込んで、攻撃した。

おかげで、2体も消え、道ができる。

他のみそらが混乱している間に私はキミコのもとへ走り寄る。

キミコの上には12:1と表示されている。

ちゃんと間に合ったみたい。

そして私はキミコの体力を全回復させた。

けれども、キミコの体力は全回復できただけで、どんどん体力は削れていく。

そうだ、キミコはまだ大丈夫そうだけど、そみこは!?

そみこの体力は残り2だった。

うそでしょ!

早く回復させないと、そみこもゲームオーバーになっちゃう!

ところがそみこは、みそらに思いっきり突き飛ばされ、ゲームオーバーになってしまった。

とりあえず、体力を回復させないと!

けれど、そみこは私と反対側にるから、みそらがしっかりと通せんぼしてしまってる。

これじゃあ、入れなさそう。

それに、体力を回復させれる私がみそらから狙われている。

ついにみそらが大量の針を放ってきた。

その時、さいとが私の前に飛び出して、私の身を守ってくれた。

だけど、針のせいで、さいとの体力が残り26になる。

回復しないと!!

私はさいとの体力を全回復させる。

さいとは元気になり、敵を1体、やっつける。

そしてさいとのそばに隠れていた私は飛び出して、そみこの所に行った。

そして、そみこの頭上を見ると、残りの時間が…………

0:4になっていた。

早くしないと!

私は全回復のページを開き、そみこを全回復させた。

けれどもそみこは起き上がってこない。

ゲームオーバーになったままだ。

もう1回、全回復させると、そみこは起き上がってきた。

けれども。すぐに倒れ込み、残り時間があと5分になる。

ごめん、そみこ!

ちょっとだけ待って。

私は戦闘に加わる。

そして、なんとかみそらをやっつけた。

ふう。

そして、目の前を見てみると、プレゼントがあった。

開いてみると、消しゴムが一つ、あった。

調べてみると、「毒消し」と書いてあった。

これ、キミコとそみこに使えそう!

使い方の所を見てみると、相手の左手に毒消しを置くと、毒が消えるらしい。

早速、キミコとそみこの手に置くと、毒消しの効果はあったようだ。

2人は目を覚ましてくれた。

目の前を見てみると、消しゴムを持っているしずきが目に見えた。

あれ?

みそらは?

キョロキョロと辺りを見回していると、しずきが

「みそらなら、さいとのおかげで倒せたわよ。心配しないで。それと、毒状態みたいな感じなっちゃってたのをこの毒消しで治したから、大丈夫。そうだ、キミコも、プレゼント、開けてみるといいわよ。何か入ってるはずだから。」

と言った。

ほんとだ!

体力も回復してある!!

それに、プレゼントもある!!

箱を開けてみると、

「回復魔法」が入ってた。

そみこは、「守備力アップ」できるのが入ってて、さいとは「技コピー」っていうのが入ってた。

私だけ、みんなが持ってるやつじゃん!!

するとテレビは、

「回復魔法は便利ですよ。文句は言わないでください。なら、今すぐゲームオーバーにしてもよいですよ。」

と恐ろしいことを言った。

ゾッ!

今すぐゲームオーバーって…………!

怖すぎる!!!!!!!!!!!!

すると、テレビは

「そうだ。もう1個のアイテムと交換でもよいですが。気に入るかどうかはわかりませんけれど。」

と言い、アイテムを交換してくれた。

そのアイテムを見た瞬間、私の体から、すごい怒りが出てきた。

交換って行ったから。

交換っていったから、期待したのに。

なのに。なんだこのアイテムわあああああああっ!

だって、ただの紙なんだもん!!

怒りまくっても仕方がいよ!

テレビは淡々と、

「これで宜しいでしょうか?それとも、元に戻して欲しいですか?」

と言った。

もちろん、戻して欲しいよ!

そして、ギリギリ私のアイテムは元に戻された。

は~。

つかれた~。

明日から二日間、休めるけど、今日はほんとに疲れた!!

宝は今のところ、10キロ以上歩かないとないみたいだから、諦めよう。

それに、そこにはまたしてもモンスターがいるみたいだから、やめとこう。

この疲れ切った体では、モンスター退治なんて無茶だよ~。

あ、明日から二日間お休みって言ったけど、どういうことかっていうと、なんとかテレビを説得して、休みを頂いたんだ。

だから今度ははのんびりゆったりって所だと思う。

ラッキー!

私がかわいいから、テレビが許してくれたんじゃない!?(実際は違います。テレビの気まぐれです。)

そして私が寝ようとすると…………そみこが、

「キミコ!テントをはるの、みんなで頑張っているのに、ぐうたらしないでください!!-………-頭にきました。キミコは芝生で寝てください!ぐうたらしていた罰です!」

と言った。

なに⁉

芝生で寝ろだって!?

そみこは、どういう頭なんだ!!

私は、

「そみこ、これなら、取っ組み合い勝負で決めるんだからね!!覚悟はいい!?」

と言った。

そみこは、

「受けて立ちますよ!これだって、私は家で取っ組み合いの練習もしましたし、軽々は行けませんよ!!トゲラやみそらで、鍛えたんですしね!!」

と言った。

私はすかさず、

「何だって?私もみそらやトゲラで鍛えたんだから、絶対勝つよ!!」

という調子に、そみこと私の口喧嘩はヒートアップしていき、ついに、取っ組み合いの大喧嘩になってしまった。

私はぽかぽかとそみこの頭をたたきまくる。

けれど、そみこの拳も足にぼかぼか当たって、思いきり、倒れ込みそうになった。

これ、倒れたら、負けっていう、ルールなんだよ。

私は危険を感じて、そみこからサッと、距離をとる。

そのちょっと後に、そみこが石を放ってきた。

うわっ!

さすがに石はけききれず、左腕に当たってしまう。

痛みに顔をしかめていると、そみこがほかの石をドンドン放ってきた。

私はとっさにジャンプして、石をかわす。

するとそみこは上に石を飛ばしてきた。

当然、その石はしゃがんでかわせる。

するとそみこが真ん中辺りに、石を投げつけてきた。

私はよけきれないと分かり、その石を手で掴んで止めた。

そみこはまたしてもたくさんの石を放ってきた。

これじゃあ、逃げ道がないよ!

そう思い、私は近くにあった石をそみこの石へと投げる。

見事、その石はそみこの石に当たり、石が跳ね返された。

他の石は全部よけきって、私は自慢げな笑みを浮かべた。

その笑みがそみこを激怒させて、そみこは私に飛びかかってきた。

私は近くにあった、沼へ落ちていってしまった。

もちろん、飛びかかってきたそみこも沼へ思いっきり落ちた。

しずきは、沼に落ちてしまった私とそみこを目撃して、助けようと、沼に飛び込む。

まさもも、沼に飛び込んでしまって、沼に落ちてしまった私を助けようとする。

というか、私は顔をちゃんと出していたんだけど、足を取られちゃって、動くことができない。

そみこもしずきも、まさもも、足を取られ、私を助け出せれないでいる。

ただ1人、陸でまっているさいとは、

「何も考えずにやってもダメだよ。冷静に、助け出す方法を考えなくちゃ。それに、沼なんだから、飛び込んだら助けないと行けない人数が増えちゃうよ。」

と言った。

その間にも、私はどんどん、沼に引きずれ込まれていってる。

そしてとうとう、私の口が水の中に入った。

しずきは、

「キミコ!!呼吸できるやつをして!そうしたら、さいとにそれをコピーしてもらって、みんなに渡すから!!キミコ!早くしないと、溺れちゃうわよ!」

そして、最後の息を吐き出してしまった私に急いで酸素マスク?をつける。

そしてさいとが、溺れかけていた、そみこに酸素マスクのコピーを渡す。

同じようにみんなに酸素マスクを付けて、自分も付ける。

その間、私は水の中でみんなを待った。

絶体絶命。

もうすぐ休みがもらえる日なのに、前日にこんなに働かされるなんて!

でも、冒険は楽しい。

家にいるよりも、こっちにいれる方が…………楽しい。

だって、ドキドキワクワクいっぱいなんだから。

メリット
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第5章:お休みできる~。と思いきや!?

しばらくすると、酸素マスクを付けたみんながやって来た。

といっても、顔を水中に潜らせただけなんだけどね。

しずきが、

「もうすぐ、さいとがやって来るはずだから。安心して。」

と言った。

私はうなずく。

すると…………グッ!

いきなり、ぬかるんだところに足を引きずり込まれてしまう。

その次に、右手を泥でつながれてしまって、動かせなくなる。

しかも、その泥は左手にも巻き付いて、何もできなくなってしまった。

なんか、生き物みたいに、泥が動くんだけど!

しずきやそみこ、まさもも身動き1つできていない。

こ、このままさいとが潜ってきちゃったら、さいとまで、動くことができなくなってしまう。

私はできる限りの大声でさいとに

「さいと!!はいってきちゃダメ!罠にかかっちゃう!」

と叫ぶ。

けれども、その後、さいとは飛び込んでしまった。

な、なんで!?

もしかして、聞こえなかった!?

その時しずきが、

「さいと!入って来ちゃダメ!」ともう一回言ってくれた。

その声はさいとに通じたようで、さいとはこくりと頷くと水の外に上がろうとする。

けれども、さいとの足に泥が巻き付き、上に行こうとするさいとを止めてしまう。どうしよう、さいとまで、身動きとれなくなっちゃった。

それにしても、めちゃくちゃ大きな声だしたのに、何でさいとに通じなかったんだろう?

疑問に思って、しずきの方を向くとしずきが、立て札を指さす。

「あっ!これ、陸には声が繋がってませんって書いてある!!」

な、なるほど。

そういえば、そみこは?

さっきから、静かなんだけど。

私がそみこの方を向くと、そみこはブルブルと震えていた。

すると、しずきの表情がさっと変わる。

「そみこ!どうしたの!?もしかして、低体温症!?」

そみこは、ついに倒れ込んでしまった。

そして、そみこの顔に、泥が張り付いていって、そみこは地面に拘束されてしまった。

腕が自由なさいとはそみこを無理矢理起こす。

そして、そみこの足を自由にさせて、陸にそみこを投げる。

そしてさいとは近くにいた私の足や、腕を自由にさせて、私を陸に上がらせてくれた。

そして、しばらくしたときに、私はいいアイデアを思いついた。

そして、しずきに向かって槍を放り投げると、しずきは、それを沼の壁に刺して、足を泥から引き抜いた。

そして、水でぷかぷか浮いているしずきの足を私はつかみ、引っ張り上げた。

そしてなんとかしずきは陸に上がることができた。

そして、陸に上がったしずきはそみこに

「そみこ。着替え、ある?その服に着替えて。もっと体温が下がっちゃう。」

と言った。

そみこは頑張って体を起こし、着替え始めた。

そしてしずきは、そみこの濡れた体をドライヤーで乾かした。

そして、私は次々にまさも、さいとを助けて、ぐったりした体を起こす。

もちろん、そみこの様子を見るため。

そみこは、元気になって、

「ありがと、ございました…………」

と言った。

そして、ほっぺたに手を当てる。

照れてる証拠だ。

そして私たちはテントを張って、気持ちのよい野原で寝ることにしたんだ。

チュンチュン。

ふわあ。

眠い。

今日くらい、寝坊してもいいよね。

そしてみんなの様子を確認してみると、しずき以外みんな寝ていた。

しずきは、

「おはよう。キミコ。今日は、ゆっくり寝ていいわよ。」

と言った。

でも、起き上がった瞬間に体が起きちゃったんだよなあ。

さっきは眠かったけど。

って、しずき。何やってんの?

しずきは、ノートパソコンのキーボードをカタカタたたいて、何かしてる。

しずきは、私の心を読んだように、

「お話を書いているの。ちょっとした趣味って感じ。」

と言った。

「ここで読むと、みんなを起こしちゃいそうだから、テントの外で読むわね。キミコもちょっとだけ聞いてみる?」

と言い、テントの外に出た後、お話を読み始めた。

「ドタン、バタン。ある音に私は気がついた。冒険に行こうとしたキミコとそみこが取っ組み合いの大げんかになっている。私が崖のそばに近づくと。ガラガラガラッ。崖が崩れてしまった。そして、キミコはそみこにパラシュートをあげた。そして、崖が崩れた私たちの運命は…………?っていう感じよ。本物みたいにリアルにすることはあまりできないんだけど。この作品を読むと、長くなっちゃうから、ここで切り上げたけど、どうだった?」

と言った。

私は、

「オノトパメピを使えててよかったな。あれ?オノピトマだっけ?あれ?あれれ?」

と言った。

途中から、わかんなくなっちゃった。

しずきは笑いながら、

「オノマトペよ。」

と、訂正してくれた。

私は

「でも、もう少し、慣用句や、ことわざを入れても良いんじゃない?」

とアドバイスした。

しずきは、

「うん、わかった。考えてみるね。」

と、うなずく。

実は私、ことわざや慣用句、大好きなんだ。

ことわざと慣用句(だけ)が国語の得意なやつなんだ。

「血も涙もない」、「猿も木から落ちる」、「花より団子」、「耳にたこができる」、「猫の手も借りたい」、「猫に小判」、「馬の耳に念仏」、「頭隠して尻隠さず」、「急がば回れ」、「けりを付ける」、「笑う門には福来たる」、「鳩が豆鉄砲をくう」、「能ある鷹は爪を隠す」、「かえるのこはかえる」…………

めっちゃたくさん思いついちゃうよ~!

これだけではなくて、「口を滑らせる」などもことわざや慣用句の中に入ってるんだよ!!

ことわざとか慣用句って、すっごいおもしろい!!

つい、興奮しちゃう。

あと、「転ばぬ先の杖」、「鬼に金棒」などもあるよ。

ふう。

興奮しすぎて、眠くなってきた。

もう1回寝ちゃえ!!

どうせすぐ、目は覚めるだろうし。

そう思いながら、私は寝た。

お休み~。

ぐー。

 

「お~き~な~さいっ!!!!!まったくもう。朝は、早起きしたのに、なんで、二度寝しちゃうんですか!!起こすのがめんどくさくなっちゃうから、やめてくださいってば!!」

ふわあああああああああ。

この声はそみこ?

そみこの方を見てみると…………

そみこは怖―い顔でこっちをにらんでいた。

わたしはもう1回、布団をかぶり、目をつぶっていった。

「いいじゃん、休日なんだから。少しぐらい、寝坊してもいいでしょ。」

するとそみこが、時計を持ってきて、私の前に無言でずいっと、差し出した。

ちょ、そみこ、近い。

私が時計を見てみると…………

時計の針は、13時45分をさしていた。

その数秒後、私の絶叫がテントに響いた。

「じゅ、じゅじゅじゅ、13時45分!?うそでしょ!時計がおかしくなった!」

そみこは、

「他の時計もそうでしたよ。十分、寝かしてあげたじゃないですか。」

と言った。

ん?

というか、そみこは何で、朝、私が早起きしたことを知ってるんだろう?

そみこはその時、寝てたのに。

私はそみこに問いかけた。

「もしかして、そみこ、あの時は、本当は起きてたの?」

そみこは、

「ちがいますよ。しずきに、教えてもらったんです。『あの時、二度寝しなきゃいいのに…………』と。だから、そのことを詳しく教えてもらったんですよ。」

といった。

うう、しずきめ~。

しずきは、

「誰にもいわないでね、なんて、約束してないから、いいじゃない。どっちにしろ、そみこはこの時間、キミコを起こしに来るんじゃない?べつに、問題は何もないから、大丈夫なはずよ。」

と、すまし顔でいった。

あ~、見事にしずきの罠に引っかかっちゃったよ。

しずきは、

「誰が、罠を用意したわけ?」

と、呆れていった。

そみこは、

「はあ。キミコは本当に『馬の耳に念仏』ですね。というか、キミコは『目が点になる』ほど、いびきをかいていたから、みんな起こされちゃいました。」

そみこは続けていう。

「あっ。キミコはこの慣用句、わかんないかもしれませんね。」

私は、

「ちょっと、私はことわざと慣用句の女王なのよ。『馬の耳に念仏』は、いくら言っても、全く効き目がないっていうことわざでしょ!じゃあ、ことわざや慣用句、みんなで順番に出し合って、出せなくなった順番に脱落するっていうゲームやる。どうせ、暇だし、やろう!」

そみこは、

「負けませんよ!特にキミコには!!」

と言った。

何で私だけには、なの!

しずきやさいと、まさもは、

「「「やる!」」」

といってる。

私達はじゃんけんをし、勝った人から始めていく、ということにした。

まず、ペアをつくって、じゃんけんするんだ。

さいとは、最後のじゃんけんだけ、参加する感じ。

私はそみことペアを組んだ。

私は、チョキを出し、そみこは、グーを出す。

ガーン、負けちゃった…………そみこは、

「勝ちました!」

と言って、手を挙げる。

しかも、じゃんけんで勝っただけで高笑いしているし。

しずきはまさもとペアを組んで、今度はまさもが勝った。

そして、まさもとそみことさいとでじゃんけんする。

まさもは、パーを出し、そみこはチョキを出した。

そしてさいとはパーを出す。

って事は、さいととまさもがじゃんけんするって事か。

さいとはチョキを出し、まさもはグーを出した。

まさもが勝った!

順番的には、まさも、そみこ、私、さいと、しずきの順だ。

しずきは、

「キミコは意外と手強いわよ。私でさえ、負けたことがあるんだから。そみこも気をつけて。」

と、そみこに耳打ちしてる。

そみこは、

「まあ、キミコくらい、大丈夫でしょう。」

と言った。

ふふ、それはどうかな?

そしてまさもは

「馬の耳に念仏」

と言った。

そしてそみこは「立つ鳥跡を濁さず」。

なんか、そみこらしいな。

次は、私の番。

よし!

ここは、私の好きなやつで!

わたしは

「笑う門には福来たる!」

と言った。

さいとは、「けりを付ける」で、しずきは「花より団子」と言った。

なんか、しずきがこっちを見ていってるんだけど。

その次は、まさも。

まさもは、「目を点にする!」と叫んだ。

もう、いうことわざがないんじゃ…………

そみこは、「尻に火がつく」にして、私の番。

私は楽々と「河童の川流れ」と言った。

こんなの楽勝だよ。

そして、さいとは「急がば回れ」にした。

なんか、しっかり者のさいとらしい、ことわざだ。

しずきは、

「上手の手から水が漏る」で、まさもは少し考えてから、「頭隠して尻隠さず」にした。

これ、絶対最初にまさもが負けるよね?

そう思っているとそみこが、

「あぶはち取らず」と言った。

不吉なことわざ。

私の番だ。

わたしは、

「猫の首に鈴を付ける」

を選んだ。

次は、さいと。

さいとは「火花を散らす」と言って、しずきは、「道草を食う」にした。

まさもは、

「うーん、歯が立たない!」

と言った。

もう、これで最後みたい。

そみこは

「エビで鯛を釣る」

にして、私は「猫に小判」にした。

「エビで鯛を釣る」は、私の好きなことわざ。

さいとは「どんぐりの背比べ」にした。

なるほど。

いいことわざを選んだね。

…………意味的には、よくないやつだけど。

しずきは、「頭をひねる」にして、次はまさも。

まさもは苦し紛れで「泣きっ面に蜂」にした。

うー、まだあったか。でも、今度こそまさもはリタイアだね。

そんだけしか思いつかないなんて、ことわざの勉強、全然してなかったんじゃない?

そして、そみこは「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」を選んだ。

それ、私、覚えるのけっこう大変だったやつだ。

文長すぎだし、意味もあんまり役に立たないし。

というか、私は質問するのめんどくさいから、全然質問しないタイプ。

そして私。

私は「油を売る」にした。

さいとは「身から出た錆」で、しずきは「鵜呑みにする」にした。

まさもは、40秒くらい考えたけれど、思いつかなかったみたい。

「リタイア!」

と叫んでしまった。

予想通り、まさもが1番にリタイアしてしまった。

だけど、脱落っていっても、他の人達の手伝いもしていいっていうゲームなんだ。

まさもはどの人達の仲間になるかな?

まさもは、さいとを選んだ。

次は、そみこ。

そみこは「鬼に金棒」にした。

私は「失敗は成功のもと」にする。

うん、このことわざは知ってる人も結構多いよ。

さいとは「情けは人のためならず」にした。

なんだっけ、それは確か、他の人を助けてあげたら、それは自分にちゃんと返ってくるっていうやつ。

最後はしずき。

しずきは

「壁に耳あり障子に目あり」にした。

それもちょっと覚えにくかったんだよね。

理由は、本で嫌な意味を知っちゃったから。

今は覚えてるけどね。

次はそみこ。

そみこは、「早起きは三文の得」にする。

しかも、勝ち誇ったような顔でニヤニヤ笑っている。

気持ち悪い!

し・か・も。

よりによって、私が1番苦手なやつだしてきた!

わたしは、「柳の下のどじょう」にした。

さいとは、「さじを投げる」にした。

それ、確か物事が続かないっていう、三日坊主ににたような言葉だよね。

しずきは、「猫の手も借りたい」にして、そみこの番。

そみこは、「転ばぬ先の杖」にした。

私は、「縁の下の力持ち」にした。

隠れたところで頑張っている人もいるもんね!

その次は、さいと。

さいとも、だいぶことわざが思いつかないみたい。

かなり悩んでから、「仏の顔も三度」にした。

しずきは「うそから出た誠」にしたみたい。

それ、結構いいやつ。

…………私の場合、だいたいうそはすぐばれるし、ばれたとしたらこっぴどく怒られるんだよね。

そみこは、「残り物には福がある」にする。

私は、全部一番がいい!

私。私は「良薬は口に苦し」にした。

…………あんまり好きなことわざじゃないけど。

さいとは、

「じゃあ、これで最後にするよ。『骨折り損のくたびれもうけ』」

そしてさいとは「リタイアするね。」と言って、しずきの方の見方になった。

キー!

なんで、私の方の見方になってくれないのよ!

そしてまさもは私の味方に返る。

あ~あ。

さいとが味方だったら良かったのになあ。

そして、後はそみこ、しずき、私。

次はそみこ。

そみこは「腕を上げる」。

私は「鳩が豆鉄砲をくう」にした。

これ、さっき紹介したやつ。

しずきは「喉から手が出る」でそみこは、「へそで茶を沸かす」。

私は「3度目の正直」にした。

次はしずき。

しずきは「瓜二つ」。

これは、たしか全く同じに見えるっていう意味だった気がする。

そみこは「喉元を過ぎれば熱さを忘れる」にした。

それ、私は知らなかった。

今まで聞いた中で、初めて知らないのが出てきたよ!

「帯に短したすきに長し」にした。

これは最近覚えたんだ。

意味は覚えていないんだけどね。

しずきは「竹を割ったよう」と言った。

それって、おおらかな性格ってことだよね。

まさに、まさもがそう!

そして、そみこの番。

そみこは「井の中の蛙」にした。

私は「棚からぼた餅」にした。

これ、最高のことわざ。

ちょっと欲張りな人におすすめなことわざ。

その時、そみこは「んなっ。」と、驚いている。

もしかしてそみこ、こんな簡単なやつを間違えちゃったわけ!?

以外!

次はしずき。

しずきもちょっとだけ汗をかいている。

私もちょっと、思いつくことわざがなくなってきた。

しずきは、「絵に描いた餅」にした。

そみこは「リタイアしま…………やっぱり、やめました!!」

と叫ぶ。

ふふ。

私だって、結構手強いんだから。

油断したそみこの負けなんじゃないの?

そみこは、「石の上にも三年。」と言った。

なるほどね。

それがあったか。

わたしは「雨降って地固まる」にした。

これは、けんかとかした後にもっと絆が深まるみたいな感じのことわざ。

ことわざかどうかはわからないけど、「けんかするほど仲がいい」にちょっとだけ似ていることわざだな。

あと、4つくらいある。

四周くらいはできそうだし大丈夫!

しずきは、「鼻にかける。」と言った。

えーと、それは、自慢ばかりしてることをいうんだっけ。

そみこは、「牛に引かれて善光寺参り」だった。

それ私、忘れてた。

次は私の番。

うーん、じゃあ、これにしようかな?

私が出したのは、「当たって砕けろ」だよ。

間違えて、「当たってくじけろ」にしちゃいそうになったこともあるけど。

それで、しずきに「くじけちゃダメでしょ。まあ、けっこうある間違いの例だけど。」

っていわれた思い出がある。

もう、小さいときからしずきは転載で、美少女だったんだから。

他の子は、どうして平凡な私としずきが友達になるのか、不思議そうだったけど。

そりゃあ、運命の親友っていう、強い絆で結ばれているからでしょ!

しずきは、「腕よりをかける」にした。

次はそみこ。

そみこは、「鼻が高い」にしたんだ。

ああ、それねえ。

私も知ってる。

私は、「口を滑らせる」に決定。

あと、ギリギリ3個くらいはいけそう。

しずきは、「頭が上がらない」だって。

うう言われちゃった。

そみこは、「顔から火が出そう」にして、私は、「目がない」にした。

ふう、あともうちょっとで負けちゃうよ。

そみこには負けたくないんだけどね。

しずきは、「耳が痛い」。

そみこは、「肩を持つ。」と言った。

私は、あれにしよう!

わたしは、「手を焼く!」と言った。

そみこは、「私はまだ、ことわざ、思い浮かびますよ!」

と、自慢した。

さっき、ことわざが思いつかなくなってリタイアしようとしたくせに。

私だって、何個か、残ってるんだから。

絶対そみこには勝つ!!

しずきは、「犬も歩けば棒に当たる」にした。

あああっ!!

それ、忘れてた!

そみこは、

「しずき、ありがとうございます!!これで、新しいことわざが思い浮かびました!!」

と言った。

私も。

いろはかるたのこと思い出したんだ。

ラッキー!

しずき、ありがとう!

しずきは、

「ヒントになれたから良かったんだけど…………」

と、言葉を濁す。

これも、慣用句だったっけ?

そみこは、「豆腐に鎹」にした。

私は、「塁を持って集まる。」と言った。

しずきは、

「一寸先は闇」で、そみこは、「負うた子に教えられて浅瀬渡る」。

全部、いろはかるたのことわざや慣用句。

わたしは、「目と鼻の先」。

いい感じに思いついてきた!

いい勝負になりそう!

あと、2,3個は思いつく。

しずきは、「首を長くする」だった。

そみこは、「太鼓判を押す」。

私は「腸が煮えくりかえる」にした。

ううう。

これは苦手なんだよね。

まさもにとっては、地獄のことわざかも?

ゾンビみたいな顔になって床にひっくり返ってるし。

でも、ゲームだからしょうがない!

苦手なことわざも、全部いわないと。

しずきは、「図に乗る」だ。

あああっ!!

それ、忘れてた!

そみこは、「煮ても焼いても食えない」。

そみこが諦めたように

「もう、これくらいしか思い浮かびません。次のターンでリタイアします。」

と言った。

やった!

そみこに勝った!

するとそみこが、

「…………というのはうそで。次のターンもやります!」

と言った。

な、何だとぉぉぉぉぉぉっ!

そみこおおおおっ!!!!

騙したなあああっ!

しずきは、

「わたし、もう、ことわざとか思いつかないわ。リタイアする。」

と言った。

後はそみこだけ。

つぎは、私の番。

私は、「血も涙もない」にした。

そみこは、「腹黒い」。

うう、これ以上、思いつかないかも…………

もう、思い浮かばない。

私は、

「リタイアする。」

と言って、そみこの方へ行く。

するとそみこは…………

「キミコに勝ちました!キミコ。次は、スリーヒントクイズ大会です!!」

と言った。

えっ!?

スリーヒントクイズ大会って?

そみこは、

「5問中、何問正解したか、数えて、正解した数が1番多かった人が勝ちます。ルールを説明します。まず、出題者が問題を出します。その問題なんですが、テーマがあるんです。テーマは、私が発表するので、そのテーマに合うものを三つのヒントで説明します。それを、回答者が答えるんです。1度、やってみましょうか。じゃあ、さいとと私でいったんやります。本番は、みんなでやりますよ。じゃあ、さいと、こっちに来てくれませんか。回答者をやってもらいたいんです。そして、しずき。しずきは、テーマを言ってください。例えば、動物とか。」

と言った。

しずきは、

「じゃあ、私が好きな植物で。」

と言った。

そみこは、

「えっと、それはみんなが知っている植物です。」

と言った。

さいとは、

「ひまわりかな?」

と言った。

そみこは、

「違います。」

と、首を振る。

そみこは、

「じゃあ、二個目のヒントを言います。それは、夏に咲く花です。」

と言った。

さいとは、

「朝顔。」

と答えた。

そみこは、

「正解です。」と言う。

なるほど、そういう感じか。

そみこは、

「1つ、追加ルールがあります。答えれるのは、1人につき1回の解答です。だから、みんなが解答し終わったら、次のヒントを言います。」

と言った。

私は、手を挙げて質問する。

「これって、時間制限ってある?」

そみこは、

「ええ、ありますよ。30秒です。」

と言った。

そっかあ。

けっこう多めにとってくれるんだ。

そみこは

「では、いきますよ。1問目の問題を出すのは、キミコです!」

と言った。

ええ?

私!?

まあ、いいけど。

問題を出すのも、結構好きだし。

そみこは、

「今回のテーマは…………海に住んでいる生き物です!」

と言った。

海かあ。

そうだ、最近知った、「ベニクラゲ」にしよう!

不老不死のクラゲなんだよね。

私は、

「えっと、それはクラゲの仲間です。」

と言った。

しずきは、

「カツオノエボシ?」

と言った。

なんじゃそりゃ?

カツオの仲間?

私は疑問に思いつつ、

「ううん。違うよ。」

と言った。

さいとは、

「わかった!もしかして、エチゼンクラゲかな?」

と言った。

これもわかんない。

私は、ついに質問する。

「あのう、エチゼンクラゲって何?」

さいとは、

「それは、百科事典で調べてね。」

と言った。

ちょっと、私に辞書の引き方を早くやらせようっていう寸法でしょ、それ。

あとはまさも。

まさもは…………とんでもないことを言った。

「クラゲだ!」

それを聞いたとき、全員がずっこけて、床にひっくり返った。

私は困惑しながら、

「そりゃあ、クラゲっちゃ、クラゲだけど…………でも、違うっ!」

と言った。

そみこは、

「はい、次の問題。」と話を進めていく。

私は

「う~んと、触手に毒を偲ばせています。」

と言った。

しずきは、

「わかったわ!!オーストラリアウンバチクラゲよ!世界で1番、最強のクラゲなの!!刺されると、数分で心臓が止まってしまうのよ。」

と言った。

こ、怖い…………

海に行くのが怖くなっちゃう…………

しずきは、そんな私の表情を見て、

「違ったみたいね。」

とつぶやく。

さいとは、

「逆 さクラゲ?」

と言った。

逆さに浮いているクラゲとか?

私はすぐ、

「違う!」

と言った。

全く違う。

というか、逆さクラゲも、オーストラリアウンバチクラゲも、エチゼンクラゲも、カツオノエボシも知らないって!

まさもは、変な解答をするし。

まさもは、

「もしか して、世界最大のクラゲ?」

と言った。

ベニクラゲはどう考えても、世界最大のクラゲじゃない!

そもそも、クラゲの種類をまさもは言ってないし。

しずきは、まさもに突っ込みをいれる。

「まさも、世界最大のクラゲは、エチゼンクラゲよ。」

そして、そみこが余計な説明をいれる。

「オーストラリアウンバチクラゲは、世界で一番強い毒を持っています。もう、これで言うのは二度目ですよ。ちゃんとしっかり、きちんと覚えてください。逆さクラゲは、名前通り逆さで泳いでいるクラゲです。そして、ハブクラゲは私達が住む国で、一番危険だと言われている、けっこうな猛毒を持つ生き物です。」

あ~、その長すぎる説明、いらないから。

さっさと排除して、排除!

私は、とっておきの大ヒントを口にする

「それは、不老不死のクラゲとして有名です。」

その瞬間、しずきとさいとが

「「ベニクラゲ!!」」

と叫んだ。

耳がキーンとする。

私は、

「正解です…………」

としずきとさいとの剣幕に驚きながら言った。

さいとが、

「これは、私としずきが1ポイントもらえる感じかな?」

と言った。

そみこは、

「はい、2人に1ポイントずつです。」

と言う。

そみこは、

「次の問題の出題者は、まさもです!」

と言った。

そみこが、テーマを発表する。

「次のテーマは、地球にある国です!!」

まさもは、

「地球の国って、よくわかんないんだよね。この星の国はわかるけど。まあ、地球の国、1個だけ思いついたからそれにする!」

と言った。

そしてまさもが

「えーと、オーロラが見れる国です!」

と言った。

しずきは、

「北極!」

と叫ぶ。

まさもは、

「違います!ちょっとだけ、似てるところだと思うけど!」

と言った。

するとさいとは、

「南極?」

と聞いた。

またしてもまさもは首を振る。

私は

「ノルウェー!」

と言う。

まさもは、

「うーん、近い…………かも?」

と言った。

そみこは、

「次のヒント!」と叫ぶ。

まさもは、

「えーと、最後の文字はドです!」

と言った。

はあ?

最後の文字がド?

そんな国、ないんじゃない?

というか、普通は最初の時を発表するでしょ!

そう思っていると、しずきが「アイスランド」で不正解に終わった。

あ、でも、あれは、ドで終わる国だ。

もしかして、あの

「グリーンランド」じゃない?

私は、

「グリーンランド!」

と言った。

まさもは、

「正解!」

と言った。

やったあ!

これで、1ポイント獲得!

そみこは、

「じゃあ、次はさいと!」

と言った。

そみこがテーマを発表する。

そみこは、

「テーマは、川にいる生き物です!」

と言った。

さいとは、

「えっと、魚として店で売っていることもあります。」

と言った。

しずきが、

「アユですか?」

と言った。

さいとは、

「1発で当てちゃうなんて。正解だよ。しずき。」

と言った。

ええ!

あっさり、しずきが2ポイントになってる!

しずき、天才すぎる!

1発で当てるなんて、顎が外れそうなんだけど。

まあ、しずきは自然のことをよく知っているし、辺り真選っちゃ当たり前かもしれないけど。

そみこが、

「次は、私ですね。テーマを発表するのは…………さいとです!!では!!」

と言った。

さいとは

「じゃあ、海と川に済んでいる魚。」

と言った。

そみこは、

「なかなか難しい テーマですね。となると、あれがみんな知ってそうです。決まりました。」

と言った。

そして、息を吸ってから、

「卵を産みます!」

と叫ぶ。

それは、当たり前でしょうが!!

私は間髪入れずに心の中で叫ぶ。

しずきは、

「うーん。鮭かしら?」

と言った。

そみこは、

「正解です。」

と言った。

結局、まさもは1点も取れなかったね…………

まさもは、地団駄をふんでくやしがる。

「キイイイイイイッ!みんなに先を超された!!!」

ということで、今回の優勝者は…………しずき!

しずきは、

「良かったわ。自然のこととかは得意なのよ。そういえば、鮭にはビックリするほどの、すご技があるの。なんと、3メートルくらいの滝をジャンプして飛び越えるのよ。それが、鮭のすご技。」

と言った。

さ、3メートル以上の滝!?

鮭、凄すぎ、どういうこと!?

川のジャンプ選手!

パチパチ。

オリンピックに出られるかも!

そして、さいとが

「じゃあ、こっちからも遊びを提案するよ。今回は、カタカナバツゲームをやるよ。指示の時は、カタカナ使ったりしてもいいからね。罰ゲームもあるから、間違えて使わないようにね。」

と言った。

そみこが、

「何も喋らないっていうのは、即罰ゲームに移っていただきます。」

と、注意してきた。

そ、そみこ、厳しすぎ!!

ビビらせないでよね!!

全くもう!

するとそみこが

「よ~い、スタート!」

と言った。

私たちは、適当におしゃべりをする。

私は、

「ねえ、しりとりしない?じゃあ、私からやって、次がしずき、さいと、そみこ、まさもの順。じゃあ、木の実!」

と言った。

そみこも、

「それはいい方法ですね。絶対に、それは喋らなくてはいけないので、賛成です。」

と言った。

しずきやさいともうなずき、まさもを見る。

まさもは、

「いいよっ!この宇宙一天才なまさもが勝つに決まっている!」

と、拳を高々と振り上げた。

宇宙一天才なまさもって…………

完全に、自画自賛じゃん。

しかも、まさも。

宇宙一天才なまさもは、算数のテストで名前書き忘れて0点になることなんて、あり得ないよ!

しかもまさも、平均点が30点くらいだし。

宇宙一天才な人なら、ちゃんと解かないと。

しずきは、

「キミコが『木の実』って言ったこと、忘れてない?もう、しりとり、始まっているわよ。」

と、言って、

「あ、そういえば、今、私の番ね。ごめんなさい。じゃあ、『三つ編み』にする。」

と言った。

三つ編みねえ。

三つ編みと言えば、そみこ…………

しずき、いいの思いついたね。

そみこは、私の視線を感じて、顔をちょっと引きつらせる。

っていうか、さいとは?

さいとは、

「じゃあ…………『水』で。」

と言った。

そみこは、

「これって、『ず』を『す』に変える事ってできますか?」

と聞いた。

さいとは、

「難しいのだったら良いよ。ただ、できる限りそれで答えて欲しいけどね。」

と言った。

そみこは、

「じゃあ、『すみか』にします!」

と言った。

まさもは、

「ふ~ん、平凡だね。こっちなら、もっと良いのを出していたのに。」

と、そみこを挑発した。

そみこはタコみたいに赤くなって、

「ちょっと。平凡って!平凡と言うほど、平凡じゃありませんよ!!なに、挑発してくるんですか!!」

と言った。

まさもは、

「赤くなるって事は、本当だと言うことだね。自分でも自覚してるんだ。」

と、さらに挑発する。

ま、まさも。いくら面白いからって、ずっとそみこを挑発すると、雷が落ち…………

「いい加減にしてくださ―――――い!!!!!!!!!これ以上言ったら、沼に、たたき突きつけますよ!!!!!!まさも、罰ゲーム開始です!!」

と言った。

ほら…………

挑発しすぎると、罰ゲーム開始になっちゃうって。

そみこは、

「罰ゲームは、『私に空まで投げられる』です!!」

と言った。

そして、まさものからだを捕まえて、空へ放り投げた。

そみこのバカ力。

まさもは、ポーンと空へ、放り出された。

そして、しばらくするとボロボロになったまさもが帰ってきた。

そみこ、本当に怖い……

でも、ちょっとあのまさもの惨めな姿、笑える…………

さいとは、

「ごめん。こんなつもりじゃなかったんだけど……」

と言っている。

まあ、これはまさものせいだから……

その時、まさもがボロボロの本を持ってきた。

私は

「みんな!!集まって!!まさもが、手がかりらしき物を見つけたみたい!!」

と言った。

すぐにみんなが集まってきて、本をのぞき込んだ。

私は最初の1ページ目を開くと、読み上げた。

「読むね。えーと、『森林図書館に行くべし。そして、あなた達の道が開ける。全ての鍵を持つ者が次のモンスターを倒せる。』だって。他の所は、よくわかんないんだけど……」

しずきは、

「とりあえず、その森林図書館に行けばいいのね。次のモンスターに関係があるのかしら?まあ、あせらずに行きましょう。今日は、せっかくの休日よ。休みましょう。モンスターはここら辺にいないし。しばらく、遊ぶ?」

と、提案してきた。

私は、

「うん、しばらく、モンスター退治で忙しかったし。ところで、その森林図書館はどこにあるの?」

と聞いた。

しずきは、「地図に載っている わ。本のマークの所。地図記号、習ったでしょう?それみたいな物よ。」

と言って、地図を見せてくれた。

そこの本にはなぜか、「鍵」と書かれている。

鍵って……

まあ、次に行く場所は決まったし、今日は遊ぼう!!

その前に、ご飯食べた方がよさそう。

しずきも、

「そろそろ、お腹すいてきたわ。そみこ、昨日、取ったぶどう、あるでしょう?いったん、それを食べない?それから、食べ物を探しましょう。ここはモンスタ ーもいないし、二グループに分かれて、食べ物探ししない?今なら、安全にできるは ずよ。」

と言ってる。

そみこは、

「そうですね。じゃあ、ぶどう、せっかく取ったので、 食べましょうか。」

と言って、ぶどうを取り出した。

そして、みんなでぶどうを食べた後、食べ物を探すことにした。

最初みたいに、私としずき、まさもと、さいと、そみこのグループだ。

私がリーダーで、しずきが木に目印を付けてくれる。

私は周りを確認するんだ。

そみこの方も同じ感じ。

そして、早速私たちは出発した。

 ガサガサ。

私としずきは、葉っぱのカーテンをかき分け、草むらに入った。

そこには、私の鼻の匂いと同じ物があった。

良かった~。

あった。

なんか、ミカンの実の匂いがしたな~って思って、匂いの後を付けてみたら大正解。

美味しそうなミカンの木がなっている。

美味しそう!!

さっそく、そみこ達に報告しなくちゃ!!

そう思い、電話をかけようとすると、そみこからちょうど、電話が掛かってきた。

そみこは、

「もしもし。今、まさもが、いなくなってしまったんです。後ろからついてきたのに、いつの間にかいなくなっていて。どこに行ったんでしょうか?」

と、言った。

私は、

「そうだ、今、ミカンの木を見つけたんだけど、それ、取っちゃってい?」

と聞いた。

すると、しばらくして、そみこから返事が来た。

「良いと思います。帰り道、わかりますよね?先に戻ってください。キミコ達まで、迷子になったら探さなきゃいけないので、大変になってしまいます。じゃあ、木の実を摘んだ後、先に…………わあああっ!?」

そして、そみこの電話が切れた。

まあ、とりあえず、ミカンをやろう!!

私は、ミカンをブレスレットの中に何個か取り込み、来た道を戻って行った。

しばらくすると、そみこから、またしても電話がきた。

そみこは、

「まさもが、草むらで隠れていたんです。それで、『ぐわああああああっ!!!!!」って、脅かしてきたんです。こちらも、ミニトマトを見つけました。いくつか積んで帰ってきますね。」

と言った。

しずきは、

「じゃあ、先にちょっと食べましょう。」

と言った。

そして私達は一足先に、ミカンを食べていた。

しばらくすると、そみこたちが来た。

そみこは、

「すみません、まさもをこってり叱っていたので、遅くなってしまいました。」

と言った。

そして、私達はご飯を食べて、しばらく遊び、次の日まで眠ったのだ。

…………次の日、またしてもとんでもない災難に遭うことも知らずに…………

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第6章:森林図書館での新しい出会い

私達は、珍しく早起きをして、森林図書館に向かった。

森林図書館につくまでの道のりは結構長くて、途中で休憩しながら進んで行く感じ。

そして、もうお昼くらいになってきたときにやっと森林図書館に着いた。

森林図書館についたのは良いけど、入り口が見当たらない。

私が建物を調べていると、横を観察していたそみこが

「ここに、小さな穴があります。ここから行けば、何かわかるかもしれませんよ。行ってみましょう。キミコ、懐中電灯はありますよね?みんな、武器、ちゃんと持っていますか?」

と聞いた。

私達はうなずき、穴に入る。

穴の中は空洞になっていて、ちゃんと空気も通ってた。

ようやく、ちょっと灯りが見えてきた。

そこは、ホールみたいな感じになっていて、ドアがある。

そこの鍵は、完全に掛かっていて、開けられない。

しかも、どこからか、ズザザザザザザザザザザザザッって、音がする。

みんなは警戒して、鉄の棒を握りしめた。

そして、しずきは回復の準備をして、右手には懐中電灯を持っている。

そして、扉が開き、鍵のような形をしたモンスターがぞろぞろと出てきた。

その鍵のモンスター達は、一斉に私達に襲いかかる。

私は、

「みんな!!攻撃して!!」

と叫んだ。

しずきは、ただ1人でじっとしている。

だから、攻撃されそうなのは当たり前。

そして、しずきに、1体の鍵モンスターが襲いかかってきた。

しずきは、前に走りだして、自分に向かって突進してきた鍵モンスターが近づいてくると、目に懐中電灯をかざした。

鍵モンスターは、急ブレーキをかけ、ひるんだ。

その時に、さいととそみこがその鍵モンスターの体力をたくさん減らす。

ところが、鍵モンスターは後ろを振り返り、思いっきりジャンプした。

そして、そみことさいとの攻撃をかわす。

そみこは、

「しずき!その調子です!!」

と言った。

私とまさもは、動いているモンスターをしずきの方へ追い詰めていく。

そしてしずきは、じりじりと後ろから迫ってくるモンスターの後ろから、攻撃をする。

そして、その間に、そみことさいとはたくさんの的の体力を削って、もう、体力を残りちょっとくらいにした。

そして、私は残りのモンスターを退治する。

あと、1体!

良い感じ!!

その1体は、すぐやっつけれた。

チャリーン。

何かが落ちた気がする。

見てみると、小さな鍵だった。

もしかして、本に書いてあった

「全ての鍵を持つ物が次のモンスターを倒せる」

っていうやつじゃない?

しずきも、思い出したみたい。

私達は、ドアの鍵を開けて、次の所へ行った。

すると、そこは、またしてもホールになっていて、すごく広かった。

さっきとは違って、舞台もある。

そこには、「ボーナスカード」と書かれている物がある。

開いてみると、「超強力メッサカリントン」というシールがあった。

そのシールをまさもに手渡す。

「これ、持っていて。超強力だから。」

一応、調べたんだけど、そこには、好きな方向にメッサカリントンを放てるっていうアイテムなんだって。

私は、別のカードも全部拾い集める。

開いた二枚目のカードは、「強力三本矢」のシールがあった。

調べると、三本の矢を一気に飛ばせるっていうアイテム。

これはそみこのアイテムだね。

私はそみこにシールを渡し、3枚目のカードを開く。

そこには、「氷結晶守備魔法」があった。

これはさいとかな。

って、「氷結晶攻撃魔法」前のと同じじゃん。

ん?

「氷結晶守備魔法」?

守るって事かな?

調べてみると、氷の矢みたいなのを手から放てるっていう魔法らしい。

私はさいとにそれを渡して、次のカードを開く。

次は、私のかな?

そこには、「カード型手裏剣」というのがあった。

これは、私用。

次は、しずきのかな?

開くと、「全員完全守備魔法」と書かれていた。

わたしは早速、調べてみて、驚いた。

ただ、敵を指さすだけで、30秒も全員に降りかかってきた攻撃を無しにできるアイテム。

これは、しずきだね!

しずきも、

「わかったわ。けっこう、使えそうね。」

と言った。

そして、みんながアイテムを着け終わった瞬間、扉がバアン!!!

と、開けられて、とげとげモンスターが飛び出してきて、私たちに突進してきた。

しずき、そみこ、さいとはすぐに気がつき、いろいろなところに散らばり、私達に

「「「キミコ!まさも!!早く、よけてっ!!」」」

と言った。

とげとげモンスターは、勢いのまま、私とまさもに突進してきた。

「「きゃああああああああああああっ!!!!!!」」

私たちはそう叫び、まっしぐらに逃げようとした。

けれども、とげとげモンスターのスピードにはかなわない。

とげとげモンスターは私とまさもを吹っ飛ばし、しずきとそみこ、さいとに攻撃した。

私とまさもは、さっきの鍵モンスターがいるところに飛ばされた。

私とまさもは、落ちた衝撃で、フラフラになってしまった。

なので、いっぱい攻撃を食らってしまい、残り体力が20くらいになってしまった。

し、しずきがいれば、体力が回復するのに…………

あれ?

回復魔法、私も持ってるんだった!!

私は、回復魔法を使って、体力を回復させた。

まさもは、何故か死んだふりをしてるんだけど!!!

私は、鍵持ってるから、開けられるんだけど…………

目の前に、たくさんの鍵のモンスター達がいる。

これじゃあ、前に進めないよ~。

まさもは、

「もう、がむしゃらだ~!!!!!」

とか言って、めちゃくちゃに敵を殴りつける。

私は、ジャンプして、扉の前に着地する。

そして、鍵モンスターの体力をドンドン減らしていく。

そして、しばらくすると、1番邪魔をしていた1体のモンスターの体力が0になった。

まさもは、こっちに突進してきた。

私は扉の鍵を開け、まさもと一緒に開いた扉へ、入った。

そして、急いで中から鍵をかける。

するとそこには、縛られ、気絶しているしずきと、戦っているそみことさいとがいた。

私は、

「この鍵、役に立つかな?」

と言った。

そみこは、

「役に立つかもしれません。でも、いったん、ブレスレットの中にしまって置いてください!」

と言った。

私は、ブレスレットの中に鍵を取り込み、鉄の棒を握りしめた。

そみこは、

「そうだ!!あの、ボーナスカード!!キミコは何でしたか!?私、覚えていなくて…………」

と叫んだ。

私は、

「カード型手裏剣!ちょっとだけ、調べてみたら、敵を指さしたら、そこに、カード型手裏剣を飛ばせるの!!」

と、叫び返した。

そみこは、

「まさもは、超強力メッサカリントンでしたっけ?」

私は、うなずくと、

「そうだ!!そみこは、三本矢で、敵を左側に追い詰めて!!そして、まさもは、超強力メッサカリントンを右に出して!そして、前に来たのを、私がカード型手裏剣を何個か飛ばして、敵の体力を減らすの!!さいとは、氷結晶守備魔法で、攻撃して!!しずきは、ゲームオーバーになっちゃってるよね?私がしずきの体力を回復させたら、自分のを担当するから、攻撃するのは、私がOKっていったらにして!!」

と、作戦を説明した。

そみこはうなずくと、三本矢を放つ準備をした。

そして、まさもは、敵の左に回り込み、

超強力メッサカリントンを出す準備をした。

そしてさいとも、氷結晶守備魔法を出す準備をしている。

私は、しずきの頭の上を見た。

しずきの残りは…………00:3って書いてある!!

早く、回復させないと!

そして、私は急いでしずきの体力を回復させた。

しばらくすると、しずきは起き上がってきた。

体力は、41。

私は、さらにもう1回、体力を回復させる。

そして、しずきの体力は99。

これで、大丈夫!!

そして、私はOKのサインを出した。

そして、そみこが、三本矢を全部、とげとげモンスターに放った。

その勢いで、とげとげモンスター(って、いちいち、とげとげモンスターっていうのめんどくさいから、トゲモンでいいや。)は、左に押し流される。

そして、まさもが超強力メッサカリントンを出した。

そして、さいとは後ろに滑り込み、氷結晶守備魔法を出す。

そして、トゲモンは私の方へ転がってきた。私は、カード型手裏剣を何個も放つ。

そして、敵の体力は残り12になった。

そして、私は、ジャンプして、頭にカード型手裏剣を投げつけると、敵の体力は残りがなくなった。

そして、鍵がまた落ちた。

私は、ドアを開ける前に、しずきに尋ねた。

「ところでしずき、なんでゲームオーバーになっちゃったの?突進してきた感じじゃないよね?突進してきたら、1つ前の所へ飛ばされるもん。」

しずきは、

「あれは、あのモンスターがやった傷じゃないのよ。さっきの、鍵モンスター。あの、キミコとまさもが飛んでいった少し後、鍵モンスターがわらわら出てきて、私を何回も叩き、ゲームオーバーにさせちゃったのよ。あの時、キミコがいなかったから、回復もできなくって。自分でも回復したかったんだけど、攻撃を避けようとするのに精一杯で。私はどんどん、本当のゲームオーバーに近づいてきて…………キミコが戻ってこなかったら、私、本当に死んでいたかもしれない。」

と言って、身震いする。

そして、しずきは、

「じゃあ、本、見てみる?変わってることがあるかもしれないわ。」

と言った。

私が、本を開いてみると、その後の文字が見えるのようになった。

そこには、「トゲレは、トゲラの兄。すぐに突進することがある。そのモンスターを倒した物は、驚く物を見せられるだろう。けれど、それを見て、暗号を解いた者は、前へ進める。この先はどんな者が待ち受けているかは、まだ、教えぬ。また、災難に出会うかもしれぬが、そなたが、それを見て、ちゃんとそのことをやり遂げれるかは自分次第。」と書いてあった。

はあああああっ!?

トゲラの兄!?

さっきのが!?

でも、確かに似てるかも。

極端なところや、知能が全然ないところとか。

あと、めちゃくちゃなところとか。

よく考えれば、色々似てるね、トゲラとトゲモン。

名前も似てるし。

名字はなんなのかな~(そもそも、名字があるのかもわからないけど)。

って、そんなこと考えてる場合じゃなかった!!

早く行かないと、日が暮れちゃう。

ガチャリ。

カタ。

扉を開けると、中には鍵モンスターとトゲモンが2体もいた。

しずきは、

「作戦、思いついたわ。まず、トゲモンに挟み撃ちされるように、トゲモンとトゲモンの間に入るのよ。そうしたら、突進してくるでしょう?で、トゲモンとトゲモンがぶつかるの。そうしたら、体力が減るでしょ?それから、鍵モンスターをやっつけるのよ。まず、どこかに行って、突進してくるトゲモンをかわすの。そうしたら、鍵モンスターは、トゲモンにぶつかり、隣の部屋に無理矢理行かせれば、何の問題もないわ。」

と、作戦を説明してくれた。

そみこは、

「今でも、鍵モンスター達は襲いかかってきそうです。まず、鍵モンスターを少しだけやっつけましょう。そして、挟み撃ちされるのはキミコとしずき。そして、次にぶつかってくるのが私たちです。」

と言った。

私はうなずくと、しずきと一緒にトゲモンの間に行った。

トゲモンは、

「隙あり!!」

と、私たちに突っ込んできた。

私は、作戦通り、横に逃げた。

そして、トゲモンは私にまた突進してくる。

私は、突進してきたトゲモンをするりとかわした。

そしてトゲモンは私を諦め、そみこ達に突進してきた。

そみこ達は、ギリギリでトゲモンをかわす。

すると、鍵モンスター達は、隣の部屋に吹っ飛んで、数が減った。

良い感じ!!

私たち廃棄を合わせて、鍵モンスターを1人残らず…………じゃなかった、1体残らず退治してしまった。

退治わけではないけどね。

後は、トゲモン2体!!

もう1人のトゲモンは、まだ体力がある。

そして、そみことさいと、しずきでチームを組み、私はまさもと一緒にチームを組んだ。

頑張んないと!!

私達は、トゲモンを壁にぶつからせて体力をドンドン減らしていく。

ところが、倒したと思ったら、トゲモンの体から、鍵モンスターがうじゃうじゃと出てきた。

私は、鍵モンスターに攻撃を受けてしまったまさもの体力を回復させる。

しずきは、

「みんな!!あの、鍵モンスター!!かなり、強いから、気をつけて!!」

と、叫んだ。

振り返ってみると、しずきの方も、鍵モンスターにかなりやられていた。

しずきは、

「そうだ!!みんな。集まって!!」

と言った。

私はまさもと一緒にしずきの方へ集まる。

けれども、いちいち、鍵モンスターが邪魔してくるので、なかなか前に進めない。

やっと集まったと思ったら、しずきが、

「鍵モンスター!!」

と叫んだ。

その言葉をしずきが放った瞬間、急に辺りがパッと明るくなり、私達は光に包まれていた。

な、なに?

しずきは、

「みんな、忘れてたの?ボーナスカード。私のは、攻撃を無しにする魔法があったのよ。だから、それを使ったの。」

私は、

「えっ!?でも、それって、指さして使えって書いてあったような気がしたんだけど…………」

と困惑する。

しずきは、

「いつも端っこの方に、何か書いてあるの。そこを読んだらね、名前を言ったら、そのそばにいる全員が攻撃を無しにできるの。」

と言った。

ガーン、そういうのがあったんだ。

見落としてたよ…………

しずきは、

「さあ、これで、みんなも攻撃できるでしょう?まさも、まさもは、デスノコローノーゼで敵を一気に消滅させちゃって。キミコは、カード型手裏剣を使って、どんどん敵の体力を減らしていってね。さいとは、氷結晶攻撃魔法で頑張って。私は、近づいてきたみんなの魔法を、二重にするから。みんなで力を合わせて、頑張ろう!!もうすぐ、30秒切りそうだから、みんなの魔法、二重にしておく!!」

私は、カード型手裏剣でどんどん敵の体力を少なくしていく。

だけど、このアイテムは、敵に与えるダメージはけっこう少ないから、何回もやんないと、敵をゲームオーバーにできないんだよね。

しずきは、私達の所を定期的に回って、魔法が二重になってなかったりしたら、すぐに二重にしてくれる。

まさもは、デスノコローノーゼでどんどん敵を減らしていく(壁に穴がいっぱいできているけど)。

さいとも、良い感じに敵を封じ込めて、氷決勝守備魔法で敵の体力を減らしていった。

 

そして私達は順調に、鍵のモンスター達をやっつけていった。

そしてついに、鍵モンスター達はいなくなった。

やった!!

というか、半分ひやひやした戦いだったけどね。

勝って良かった~。

そういえば、チャリーンって、ならないんだけど。

しずきは、

「暗号があるの。これを解けば良いんだけど、意味分かんなくって…………」

と、困ったように、暗号の髪を指さした。

そこには、「数字を当てろ。」と書いてあって、下には数字の数が並んでいた。

しずきは、

「本にヒントがあるって思ったんだけど、暗号で、かなり難しいの。」

と、本を見せた。

そこには、「暗号解読のヒントは下。%。」と書いてあった。

はあ?

ふざけてるんじゃないの?

そみこは、

「キーボードにはその記号があるんですが、それだと$になってしまいますしねえ。」

と、腕を組んでいる。

そみこは、あんまりパソコンは得意じゃないのに、なんでそんなの思いつくの!?

しずきは、ボタンをポチっと押す。

すると、鍵が現れ、床に落ちた。

なんで、正解したの!?

まさか、今日は占いでラッキーな日だったから、当てずっぽうでやったとか!?

しずきは、

「キーボードよ。キーボードにはその記号があるの。それの下は、5よ。だから、数字は5って事になるの。そみこがヒントをくれて…………」

そして私は、扉を開けた。

カチャリ。

開けたところには…………

ものすごい数の本棚が並んでいた。

すごい!!

私たちが感動していると奥から、

「今から、この図書館で鬼ごっこ。時間制限は、15分。私は鬼。ヘビが鬼だ。」

という声が聞こえてきた。

な、何!?

鬼ごっこ!?

って、逃げ切らないと!!

私達は、一斉にかけだし、前に進んだ。

シュルルルル。

あの音…………

アナコンダじゃ…………

私の予想は当たった。

ヘビみたいなのが、すごいスピードで追いかけてきた。

私達は、ある角でバラバラになって逃げた。

あのヘビは、私の方を追いかけてきてる。

どうしよう!!

何鬼なの!?

「氷鬼じゃ。」

ヘビは応えた。

ヘビが喋ってる!

びっくりはしたけど、私はとにかく必死でいろいろな角を曲がり、いつの間にか、そみこと合流した。

私は、

「そみこ!!こっちに来て!!ヘビが来る!!」

と、小声でまくしたてる。

そみこは、

「しずきが、捕まってしまったんです。それで、氷になってしまって…………しかも、ロープで縛られてしまった状態で。捕まったら、アイテムが1つ減るんです!!しずきの場合は、全回復魔法を奪われてしまって、それを取り戻すには、ヘビの尻尾をタッチするしかないんです!!」

どうしよう!

これで、15分間も逃げ切らないと行けないの!?

大変すぎるよ~!!

しかも、しずきの全回復魔法も取り返さないと行けないなんて!!

というか、そんなの、早く説明してよ!!

私は、隣の本棚を見ながら、そう思った。

シュルシュルルル…………

なんと、こっちの方にヘビが来てしまった。

私は、

「そみこ。もう1つ隣の本棚に行こう。ここに、鬼がやって来てるみたい。もう1つの本棚、確認して。」

と言った。

そみこは、

「あっちの方にも鬼がいます。もう、飛び出すか、このまま隠れてやり過ごすか。どちらでも、見つかってしまいそうです。けれども、ここをまず、離れた方が良いと思います。おそらく、まさもたちは無事ですが…………けれども、電話してしまうと、ばれてしまいます。いったん、通路の方へ向かいましょう。体力も、回復しましたし。」

と言って、私たちは通路の方へ静かにでた。

すると、

「そこの少女達…………見つかってるぞ…………」

という声が聞こえてくる。

そみこは、

「もう見つかっているなら、隠れている必要なんて、ありません!!キミコ!!頑張りますよ!!」

と、張り切って言う。

そみこは、

「キミコ、行きましょう!!」

と言って、走り出した。

私も、走り出して、前だけ見るようにする。

そして、走り出した私たちのすぐ後ろを、ヘビが走っている。

いや、すべっているという方が合ってるか。

そみこは、

「このヘビ、世界で最も、走るのが速いと言われていて、地球にはいない、スピードハヤハヤコンダです!!アナコンダ以外にもいるみたいですね。最高、時速40キロで走るんですよ!!キミコもすごいと思いません?」

私は

「そみこ、このヘビの解説は良いから、前を見ろって。」

と注意する。

そみこは、

「この下、橋があったのに、崩れています!!これでは、渡れません!!キミコ!崖のすぐそばまで行ってください!!私も行きます!!そして、崖にヘビが来たら、ジャンプしてください!!そして、ヘビが落ちる前に、尻尾をタッチしてください!!」

と必死に叫ぶ。

私は、崖にやって来たヘビをかわす。

そうすると、ヘビは崖に落ちていく。

そして、2匹のヘビの尻尾を、私は触る。

その瞬間、2匹のヘビの尻尾から、アイテムが2個落ちてきた。

1つはしずきの全回復魔法。

もう1つは、まさものメッサカリントン。

私はやった!と喜び、その2つをブレスレットにいれる。

まさも、もしかして、ここのフロアにいたんじゃい?

でも、まさもの気配は感じ取れないけど。

そっか!

今、氷になっちゃってるんだ!

だから、ここにアイテムがあるんだよね!!

私は、

「ここに、まさもがいるの。そみこ、探そう!」

と提案する。

そみこは、

「わかりました。」

と、うなずいてくれた。

しばらくすると、氷になったまさもをそみこが見つけた。

まさもは、地面に転んだような感じになっていた。

そして、やはりロープで縛られている。

ま、まさも!!

顔がゾンビみたいな顔になっている。

私は、まさもにタッチして、まさもの氷が溶けるのを待った。

まさもは、

「よく見つけたね。」

と言って、いきなり崖の方に行こうとした。

私はなぜか、体が勝手に動いてしまったみたいで、まさもの目に手を当てた。

まさもはあっさりと、

「何、隠してんの?橋が折れたのは、私が通って…………」

と言った。

私は、

「まさも。メッサカリントン。」

といって、まさもにメッサカリントンをわたした。

メッサカリントンをブレスレットの中に戻した後、まさもは、

「あっちの方、しずきがすぐに捕まっちゃって。その後、さいとと合流したんだけど、さいとと話してたら、いつの間にか、鬼が来てて。で、さいとに守ってもらったの。で、こっちに来ようとしたら、橋が折れそうになったから、慌ててこっちに来て、で、それで、知らないまま、鬼が来て、逃げようとしたら、長いからだに足を取られて、すってんころりんしちゃったわけ。」

と、これまでの事を全部話してくれた。

じゃあ、あっちの方にはまだ鬼がうろついてるの?

まさもは、

「鬼を退治とかは無理なんだって。次々とどっかから生まれてくるらしいから…………で、15分後に1人でも残っていたとしたら、全員助かるんだけど、アイテムは取られたらしっぽをタッチしないと戻ってこないまま…………あっちに行ける方法はあるはずなんだけど…………」

私は、

「あれ?でもなんで、方法があるの?橋は壊れちゃったじゃん。」

と、疑問に思っていたことを口にする。

まさもは、

「多分、他にもそこと通じるところがあるんじゃないの?だから、修理しなくても大丈夫なんじゃない?」

とめずらしくまともなことを言った。

だんだん、まさもも、この冒険のおかげか、頭の回転が速くなってきたね。

それにしても、隠し部屋って、どこにあるんだろう?

ここ、仕掛けだらけの森林図書館で良くない?

その時。

バチンッ!!

突然、電気が消えた。

どうしよう!

前が見えない!

そみこは、

「皆さん!お互いの手をつないで、懐中電灯を用意してください!」

と、私とまさもに指示を出した。

私は、まさものそみこの手を握り、お互いがちゃんといるか確かめて、懐中電灯を取り出した。

そして、そみこが言った。

「みなさん、手は握れてますよね?キミコ、キミコは、前方を照らしてください。まさもは横。私は後ろを照らします。キミコ、足元をよく見ながら前に進んでください。前に、ヘビはいませんか?」

私は、

「うん、いないよ。ただ、さっき私達がいたところにヘビがいて、辺りを見回してる。このままじゃ、見つかりそう。あのヘビ、視力もけっこう良いから、真っ暗な中でも、見つかっちゃう可能性が高いらしくて、ちょっと危ないかな、って思ったんだけど。」

と、応えた。

そみこは、

「わかりました。では、後ろにゆっくり進んでいきましょう。キミコ、あのヘビから見つからないために、懐中電灯のスイッチをオフにしてください。前には、ヘビはいません。進みましょう。まさも、足元や横、どうでしたか?何かいましたか?」

と、尋ねた。

まさもは、

「ううん、いないよ。まずは、後ろに進もう。キミコは、こっちの手を握って。」

と、自分の左手を握らせた。

そみこは、

「キミコ、あのヘビ、追いかけてこなさそうですか?」

と、私に問いかけた。

私は、

「うん、追いかけてこなさそう。」

と、うなずく。

そみこは、

「隠し部屋があると良いんですが…………」

と、とまどっている。

私は、

「うーん、あるんじゃない?私は、あの時、がむしゃらに走ったから覚えてないけれど…………」

と首をひねる。

そみこは、

「確かにキミコは、今までのどんなときよりも、速いスピードで走っていましたよ。」

と、久しぶりに笑ってくれた。

そみこの笑顔…………

そみこはめがねを取り、タオルで拭く。

そみこの栗色の目は、やさしい光が宿っている。

うっ、やっぱかわいい。

めがねとるとそみこ、めっちゃかわいくなるんだよっ!

悔しい~!!

私は照れ隠しに早口で言う。

「さあ、早く行こう。さいとのアイテムはまだ、取り戻せてないんだもん、アイテムを全部取り戻さないと、気が済まないよ。」

そみこは自分の前を丁寧に照らしていく。

そして、そみこは、

「あそこには敵はいなさそうです。安心していて良さそうですよ。」

と、ホッとしたような感じになった。

それをまだ疑ってたんかーい!!

そみこは、

「いよいよ、本棚があります。ヘビは、来てませんよね?」

といった。

私は懐中電灯をつけ、

「うん、大丈夫。まさもも、大丈夫そうだよ。」

と言う。

そみこは、うなずき、

「ここから本棚に入ります。気をつけてくださいね。」

と言った。

それから、本棚がたくさんあるところに行くと、そみこは

「横の本棚に、います。誰かが。」

私は顔をこわばらせ、まさもは、

「どうしよう、挟み撃ち作戦みたいなのになっちゃうかも…………」

と言ってる。

ん?

「誰か」?

「なにか」じゃなくて?

ふふうん。

なるほど。

私は、

「さいとか、しずきのことでしょ。そみこ。」

と言った。

その誰かは、ピクリと動き、本棚から姿を見せた。

その子は、私達と同じくらいの女の子だった。

私は、「誰?」と聞く。

その子は、

「わ、私は、さきです。あなたと同じ小学校から来ました。それで、ここに降りたって。それで、ここにいたんですけど、1人で寂しくて…………あの、仲間にさせてもらえませんか?」

とお願いしてきた。

そしてその子がここに来てくれたおかげで、私達の森冒険の運命がすっかり変わったんだ。

メリット
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第7章:隠し部屋の謎と不思議な少女

「「「えええええええええっ!」」」

私たちは、思わず大声を上げてしまった。

私は、

「そ、そんな、さきも、冒険してみたら、大変さがわかって、『やめよう』ってなっちゃうと思うよ!!」

と言った。

さきは、

「でも、私、冒険、ずっとずっと憧れていて…………現実では全然体験できないから、やりたいなって思ってて…………家では、勉強しなさい、勉強しなさいばっかで、自分の…………大好きな場所が見つからないから。」

と言った。

そみこは、

「わかりました。けれど、今は、鬼ごっこみたいな感じになっちゃってて、隠し部屋を探してるんですけど。」

と、今の状況を説明した。

さきは、

「私も、隠し部屋、あるかどうか探す!!」

と、やる気満々で言った。

そみこ、簡単に「わかりました」っていっていいの?

その時、テレビが現れて、

「さきさんが仲間に加わるのですね。では、魔法を掛けます。」

と、また、あの呪文を叫んだ。

そして、世界が明るくなり、さきは、変身する。

白色のTシャツに、レモン色のズボン。

そして、薄紫のブレスレットというような姿になった。

ブレスレットの技には、「パソコン」や、「資料」、「ブロペラミキサー」などがある。

プロペラミキサーって何だろう?

と調べてみると、敵の方向に、ものすごい風を巻き起こすことができるんだって。

あと、「光の檻」っていうのもある。

これ、役に立ちそう!!

まだ、さきの冒険は始まったばかりだから、まだアイテムは少ないけれど、いつかは多くなっていくだろうね。

さきは、

「じゃあ、どうすれば良いかを教えて。まだ、あまり理解できていないの。」

と言った。

私は、

「えっと、今、冒険の途中で、鬼ごっこになってるんだけど、その鬼は、ヘビなんだよ。それで、ヘビから捕まらずに15分間逃げ続ければ良いの。それで、捕まったら、アイテムが1つ奪われて、氷になっちゃうんだ。で、アイテムを取り戻すには、ヘビの尻尾に触れば良いの。それで、氷を溶けさせるには、溶かしたい相手の体をタッチするんだよ。15分間、1人でも残っていたとしたら、こっちのチームの勝ち。」

と、説明した。

さきは、

「うん、わかった。ところで、どうして隠し部屋があるんじゃないかって思ったの?」

と、尋ねた。

私は、

「えっとね、こことあっちのフロアに分かれているんだけど、橋が壊れちゃって、修理が不必要だったら、他のところが繋がっているのかもしれないって思って、隠し部屋を探していたんだよ。」

と、応える。

さきはうなずくと、

「ところで、ここの所、ちょっとひびが入ってるけど、通路なのかしら?」

と、壁を指さした。

そみこは、

「確かに。で、さきも、懐中電灯って持っていますよね?それ、出した方が良いですよ。」

と言った。

さきは、

「持っているわ。じゃあ、壁を崩してくれる?ところで、あの、あなたたちの名前は何?私、知らなくて。」

と言った。

私は、

「ああ、えっと、私がさし川キミコ。それで、この三つ編みの子が、神かきそみこ。それで、霜庭まさもだよ。そみこはビシバシしているからめんどくさいことに巻き込まれたくなかったら近くに寄らない方がいいよ。」

と慌てて説明した。

…………ちょっと、そみこへのからかいも含めてね。

さきは、

「じゃあ、さし川さん。」

と言った。

私は、

「キミコで良いよ。そみこのこともそみこで良いし。」

と言った。

まさもが、なぜか泣いている。

名前を呼ばれなかったからかな?

本当に、わかりやすいなあ、まさもは。

さきは、

「じゃあ、キミコ、よろしく。」

と、頭を下げた。

そみこは、

「キミコ、できました。さきの予想通り、空洞になっていて、通路みたいになっています。行ってみましょう。」

と言って空洞に入った。

私も続けて入り、次にさきが入って、最後にまさもが入った。

私は、

「まさも、後ろ、頼むね。」

と小声でささやき、懐中電灯で前を照らした。

さきは、

「まさも、お願い。頼りにしているね。」

と、微笑んだ。

まさもは、

「うん!!任せて!!」

と、張り切っている。

そして、後ろを照らす。

私は、

「そみこ、大丈夫?」

と聞いた。

そみこは、

「灯りが見えてきます。」

と言った。

そして、行こうとすると…………

ドシンッ!

思いっきり、下に落ちた。

落とし穴!?

さきは、

「そみこ、大丈夫!?」

と心配する。

そみこは、

「きゃああああああっ!!ヘビ…………!!」

と叫ぶ。

私はとっさに、

「みんな!!落ち着いて!!まず、私が先に進む。それで、ヘビの尻尾に触り、その後、そみこにふれ、そみこを引き上げる。」

と言った。

そして、足をヘビの尻尾に向かって振り落とし、気絶させてそみこを助ける。

そして、そみこのロープをほどいた。

そみこは、

「キミコ!!アイテムは!?」

と言った。

私はアイテムを取ると、慌ててそみこの口を塞ぎ、

「早く、ここを去らないと!!他のヘビたちに気づかれちゃう!!」

と言った。

そみこはうなずくと、

「早く行きましょう。」

と、歩き始めた。

しばらくすると、広い部屋に出た。

そみこは、

「あそこに扉があります。行きましょう。」

と言った。

さきは、

「でも、暗号とかがあったりしないかしら?」

と、考え込んでいる。

私は、

「とにかく、前に進んだ方がいいよ。ここに、ずっといたら、ヘビに見つかっちゃうかもしれないし。まさもも、同じ意見でしょ?」

まさもは

「うん、いつまでもここにいたら、暗号解けないよ。」

と言った。

そみこはもう、扉の前に立っている。

そして、

「この扉、開きません。パスワードみたいなのが、必要なのかも。けれど、パスワードらしき物は、見つかりませんね。」

と言った。

まさもは、

「なら、適当にやれば良いじゃん!」

と、むちゃくちゃなことを簡単に言う。

そみこは、

「そんな適当にやったら、当たらないに決まっています!!」

と叫ぶ。

さきは、

「今、まさもが言った事は、『徹夜したら、できるかもね。』っていう感じの成功率よ。そんなのじゃ、とっくの昔に鬼ごっこが終わっちゃって、謎は解けないまんまになっちゃう。」

と言った。

そして、続ける。

「かならず、パスワードを入れなくちゃいけないわけじゃないわ。ドアが邪魔って事なら、別の方法でもいけるじゃない。」

と言った。

まさもは、

「ドアに突撃して、思いっきり、ドアをぶち壊すってこと?」

と、いかにも乱暴そうな人が考えることを口にする。

まさも、それはいくら何でも、無理な方法じゃないの?

全く。

はああ。

さきは、

「ドアが丈夫だと、その方法は無理ね。このドア、見た感じ、金属性だから、ぶち壊すことは簡単にできないと思うわ。パソコンで、調べてみる?」

と、ずいぶん論理的なことを平気で言う。

パソコンって…………

どんだけ、頭が良いんだか。

さきは

「だから、他の方法を考えた方が良さそうね。そうだ、金属性の物より固い物を、用意して、扉を壊すのはどう?」

と言った。

私はすかさず、

「その、『金属製よりも固い物』っていうのは、どうやって用意するの?さき、持ってるわけ?」

と、突っ込みを入れる。

すると案外さきは、

「持っているわ。アイテムとして、付いてきたの。」

と応える。

私は、

「何?」

と聞く。

さきは、

「ダイヤモンドのかたまり。もらったときは、『こんなの、使えるかなあ?』って思ったけど、意外と使えそう。」

と言った。

ちょっと、それってコインを稼ぐための物なんじゃないの?

テレビだって、こんな暴力的にダイヤが使われるなんて、想像してないはずだよ。

そみこは、

「じゃあ、ダイヤモンドのかたまりで扉を少し壊して、それから、まさもにお願いします。上手くいくか、わかりませんが…………まさも、耳を貸してください。」

と、まさもに何かを耳打ちした。

なんて言ってたんだろう?

さきは、

「じゃあ、ダイヤモンドのかたまりで扉の表面を弱くするね。」

と言って、ダイヤモンドを扉の表面に叩きつけた。

そして、少しドアがへこむと、まさもは、

「さき!!どいて。いくよ、『デスノコローノーゼ』!」

と言う。

そして、まさものデスノコローノーゼは扉の下を突き破った。

その後、まさもが超強力メッサカリントンで、デスノコローノーゼを燃やした。そして、まさもは「超強力メッサカリントン、元に戻れ!!!」

と叫んだ。

そのとたん、まさもの超強力メッサカリントンは消滅する。

すごっ!!

やり方はけっこう、めちゃくちゃだったけど、扉に穴が開いた!!

って、技とかって、ブレスレットの中に戻したりできるの!?

すごすぎる!!

まさもは、

「あれ?キミコ、知らなかった?」

ときょとんとする。

知らないよ!!

そんなことができたなんて。

このブレスレット、超便利!!

うーん。

まさもも、すごい!

まさも、どうして、そんなこと知ってるの?

まさもは、

「この作戦は、そみこが考えたんだ。まず、さきにダイヤモンドのかたまりで扉の表面を弱めてもらって、その後、私がデスノコローノーゼで扉を突き破るの。その後、壁も突き破らないように、超強力メッサカリントンでデスノコローノーゼを燃やし、超強力メッサカリントンをブレスレットにしまう作戦。」

と言った。

私は、

「だったら、メッサカリントンをわざわざ放たなくったって、良いじゃん。」

と口を挟む。

まさもは、

「技によって、しまえるのとしまえないのがあるの。デスノコローノーゼはしまえなかったから、メッサカリントンで燃やした後、メッサカリントンをブレスレットのなかにしまうことにしたの。」

と応えた。

そうなんだ。

まさもは、

「それで、しまえるかしまえないかは、技の端っこに書いてあるよ。キミコの場合、サッカリミリントンはしまえるみたい。あと、新しく取り込んだ物も、しまうことができるみたいだよ。」

と言った。

へー、まさもでも、暗記はちょっとだけできるんだ。

感心、感心。

まさもは、

「よし!早く行こう!!えーと、デスコノローノーゼはやっぱり、役に立ったね!!」

と、自分の言葉が間違っていることにも気がつかず、言う。

…………さっき、感心したって事、取り消す!!

感心したって意味ない!!

さきは、

「正しくは、デスノコローノーゼだったような感じだったんだけど。」

と、ぽつりと言う。

まさも、自分の技まで忘れたわけ?

まったくもう。

本当に、忘れんぼだなあ。

でも、まさも…………

元気なふりをして、自分の繊細なところを隠しているような感じの時が、たまにあるんだよね。

小学2年生の頃…………まさもが男の子と遊んでいて、嫌な噂が広まって。

それで、その男の子の友達が、まさもを仲間はずれにしちゃったんだって。

まさもを仲間はずれにした女の子は、まさもの友達だったらしい。

トランプをしようとしたら、「もう遊びたくない。」って言われちゃったらしくて…………

その時まさもが一粒流した涙を、私は一生忘れることができないと思う。

きっと、その瞬間を見たのは、私だけだと思う。

みんな、自分の遊びに夢中で、気がつかなかったから。

それに、あの女の子達はまさもを仲間はずれにして、何事もなかったかのようにふるまっていた。

後悔など、全然なかった。

でも、私は確かに見た。

あのいつもハイテンションなまさもが見せた、繊細で…………弱いところを。

いつも友達を大切にしていて、ずっと一緒にいるタイプのまさもは、余計に傷つくんだと思う。

まさもは…………まさもは、全く悪くなかったのに別れることになっちゃったんだ。

あの時、私が黙ってないで、あの女の子達に反論すれば良かった。

私は、その様子をずっと見ていたし、何を話しているかもしっかり聞こえていた。

その女の子がまさもに「もう遊ばない。」って言って、まさもは逃げ出したんだ。

でも、その目には…………涙が宿っていた。

まさもは優しいなって思った。

女の子達に何も言い返さないで、私達にも話さずに、1人で心の奥底に、封印している。

私にはそんなこと、絶対にできない。

封印すると…………いつか、悲しみが爆発しちゃいそうだから。

もし、封印しようと思っても…………

心では、悲しみでいっぱいになって、笑えなくなったりしてしまいそうで、怖い。

でも、まさもは立ち直った。

そして、新しい友達と仲良くし始めたんだ。

でも、ときどきまさもの表情が悲しく見えるときがあったりするんだ。

いつもはハイテンションのまさもがふっと表情をこわばらせたり。

きっと、封印しきれていないんだと思う。

でも、封印する必要なんかない。

いつか、悲しさが怒りになって、爆発しちゃうから。

だから、封印せずに、そのままにしておけばいいんだ。

封印しなくてもいい。

それに、悲しさを全部封印するのは無理だと思う。

記憶から消し去るのと同じことで。

それと似たようなことがあると、多分思い出してしまうだろう。

あの、辛くていやで…………ひとりぼっちになった瞬間を。

そう、私にとっても

…………まさもほどではないけど、辛い記憶を思い出していたら、さきが言った。

「とにかく、早く行かないと。」

その時、妙な放送が流れた。

「ピー、ガガガガ…………この森林図書館の鬼ごっこ、本当は時間制限…………ガガガガ…………ので、お気をつけピー、ピー、さい。全てのヘビを捕まえた途端に、ピー、ピー、ガガガガ、ゲーム…………ガガガガ…………リアにピー、るので、頑張りましょピー、ガガガガ…………」

さきは、

「この放送、もしかして、注意事項みたいな感じの放送だったの?まさかこんなことになるなんて…………今の放送、こうやって伝えたかったのかしら。『この森林図書館の鬼ごっこでは、時間制限はありませんので、お気をつけください。全てのヘビを捕まえた途端に、ゲームクリアになるので、頑張りましょう。』」

私は、

「じゃあ、時間はたっぷりあるって事だね!!だから、ちょっとは休めたりもできる!」

と場を明るくするように言う。

そみこは、

「全てのヘビを捕まえなくちゃいけないということは、全てのヘビを捕まえるまで、無限にここにいるということになりますよ、それでもいいんですか?」

と、呆れている。

まさもは、

「ねえ、みんな。そんなところで話をしてる場合はないよ。こっちに来たら?」

と言った。

って、まさも、いつのまに!!

さきは、

「まさもの言う通りね。早く行きましょう。」

とまさもの言葉にうなずく。

そして、ドアをくぐる。

続いて、そみこもくぐり、最後に私がドアをくぐった。

そみこは、

「ドアを破られたと気がつかれたら大変です。少しでも足止めできるように、まさものデスノコローノーゼで道を塞ぎましょう。」

と言った。

そして、まさもは、

「足止めデスノコローノーゼ!」

と言い、デスノコローノーゼを使った。

え?

足止めデスノコローノーゼって?

まさもは、

「これは、突進とかしてこないよ。安全なの。でも、私、さき、そみこ、キミコ以外の物が来ると、突進して、敵を吹っ飛ばせれるっていうこと。さっきちゃんとさきの分も味方登録しておいたから大丈夫。」

と説明してくれた。

デスノコローノーゼ、めっちゃ便利!

すごすぎる!!

メッサカリントンの方が、役に立つと思ってたけれど、デスノコローノーゼ便利!!

そみこは、

「これで、大丈夫だと思います。ただ、どうやって、私達は開ければいいんですか?」

と聞いた。

まさもは、

「そのまま、デスノコローノーゼに突進していけば良いよ。そうすると、ちゃんと逃げられるから。」

と応えた。

なるほど。ちょっと勇気がいるけれど、すり抜けれるって事か。

タッチとかしないから、早く行ける。

しずきは大丈夫かな?

待っててね、しずき。

絶対、助けてあげるから。

さいとも、もう少しで到着するから、少しだけ、まっていて。

絶対、助けるから!!

そみこは、

「なにか、物音がします皆さん、気をつけてください。ヘビがいるかもしれません。」

と言った。

たしかに、なんか聞こえる。

カタカタカタッ。

カタカタカタッ!

どんどん、近くなってきてる!!

どうしよう!

その時、さきが

「これは、ヘビじゃないと思う。あのヘビなら、ズルズルッという音がするわよね?けれど、これはカタカタという音。つまり、違う物って事。地球にある、ロボットという物が音を立てる音とそっくりなの。このパソコンで見てみる?アプリもどんな物があるか、見てみたいし。」

と言った。

たしかに。でも、パソコン、重そうだから、持てないんじゃない?

さきは、

「え?超小型パタシアソミコンのこと?」

と言った。

え?

ええええええっ!?

私は、

「ブレスレットに、『パソコン』って書いてあったんだけど。どういうこと?」

と聞く。

さきは、

「それ、超小型パタシアソミコンの略よ。本当はタブレットのこと。このパソコンは、最新型のパソコン。いろいろな事ができるみたい。早く、起動させてしまわないと。あのロボットに追いつかれちゃう。」

と言った。

な、何だって~!?

そういうことなの!?

って、略しすぎて、逆に意味がわからなくなっちゃうよ!!

そみこは、

「さき、できましたか?」

と聞く。

さきは、

「うん、ホーム画面にきたよ。えっと、監視カメラみたいなのは出てこないかな?」

と首をかしげる。

そして、

「ああっ、説明書アプリがある!」

と叫んだ。

そして、

「監視カメラを起動」

の所を読み、

「まずは、カメラ、カメラ。」

とブツブツ言う。

そして、カメラでここを撮影し、右の所をタップした。

そして、「監視カメラを起動させる」の所を押して、映像をみんなに見せてくれた。

どうやら、ここの森林図書館全体の映像を映し出してくれるみたい。

そして、さきはロボットを見ながら

「これは、完全にロボットね。だけど、地球のロボットにはないプログラムもあるかも。」

と言った。

私は、

「ねえ、そのプログラムを遮断する方法とかってないの?」

と聞く。

さきは、

「あると思うわよ。でも、監視カメラの映像を消さないと、見れないの。監視カメラの映像の所を小さくすればできるけど、そうするとロボットの姿が見えなくなっちゃう。」

と応えた。

そういえば関係ないけど、この子、学年で1番、コンピューターの事について詳しい子にすごく似ているなあ。

たしか、その子の名前は「さきみや 皐月」だったような気がする。

もしかして。

私は、

「さき。さきの名字って、さきみや?」

と聞いた。

さきはこくりと頷くと、

「そうよ。どうしてわかった?」

と聞いてきた。

私はさきの質問をいったん無視してさらに、

「さきの本名って、『さきみや 皐月』でしょ?」

と聞いた。

さきは、

「あれ。もう、見破られちゃった。そうよ、私の本名は、さきみや 皐月。さきと皐月を入れ替えたのよ。私、なんでかわからないけれど、急に、この世界に連れてこられちゃったの。まあ、『皐月』よりも、『さき』の方が気に入ってるから、引き続き、『さき』でいいわよ。」

と笑う。

まさか、本当は、私の知っている人だなんて。

まあ、顔がわからなかったのは、全然、会ってないからなんだけどね。

なんか、知ってる子かも?

とは思ったけど、まさか、本当に知りあいだとは思わなかった。

さきは、

「じゃあそみこ。私のアイテムで、パソコンを2つにするから、それを、そみこに送るね。まずは監視カメラの映像を開いて。私は、プログラムを遮断するから。そみこは、カメラを開いて、ここの映像を撮って。それで、右の所をタップして、下に『監視カメラを起動させる』のボタンがあるから、そこをタップして。そうすると、監視カメラの映像が出てくるから。」

と説明してくれた。

…………本当は、そみこよりも私の方が向いていると思うんだけどね。

まあ、そみこもパソコンは一応使えるし。

でも、パソコンよりも本の方が好きだから、あんまり使わないみたい。

私は本が大の苦手だから、パソコンばっかり使うけど。

そみこはうなずくと、監視カメラの映像を開き、私達に言った。

「みんな。後、4メートルくらいしか、距離がありません。いったん、反対方向へ逃げましょう。そこなら、安全です。」

私も、

「みんな、いったん、逃げて。早く。」と小声で言う。

たぶん、さきの体力は私たちよりも少ないはず。

だから、早めに逃げておかないと。

さきは、

「プログラムを遮断できるところまでできたから、いったん逃げる。追いつかれないように、気をつけないと。」

とパソコンを閉じて言った。

私はさきの手を握って、走り出した。

そして、別のドアに向かって走り、ドアを開ける。

早くしないと、追いつかれちゃう。

私はそっと扉を閉めてから、中から鍵を閉める。

これで、大丈夫なはず。

そみこは、

「気づかれてしまったら、おしまいです。みなさん、前のドアと窓も閉めて、鍵をかけてください。」

と、指示を出す。

私とまさもは窓を閉めて、鍵をかけ、ドアにも鍵をかけた。

私達が入ったところは教室みたいなところで、黒板があった。

ここは、どこなんだろう?

私達の教室と似てる。

しばらくは休憩できそう。

そみこは、

「私は監視カメラで映像を確認します。そして、さきは、さっきのロボットのプログラムを書き換えたりしてください。キミコとまさもは、ここの教室に何かが隠れていないか、探索したり、私とさきの手伝いと、ロボットが入ってこないか、確認してください。お願いします。」

と言った。

私たち、やること多すぎない?

思わず、文句を言いたくなる。

そみこは監視カメラをチェックするだけで、私とまさもはこの広い教室を隙間なく探索するって言われたんだよ!?

不公平だと思わない?

そみこばっかり、楽な仕事になって。

そりゃあ、体力は私の方が多いよ。

敵をやっつけるのも、体力勝負するのは私だよ。

でもさ、こんな広い教室。

隠れる場所がいっぱいあるんだから、私達が頑張って探しても敵を見つけられるかどうかもわからないじゃん!

すくなくても、この教室を探索する人数を増やしてよ。

そんな、私達はスーパーマンじゃないんだから。

ゆっくりじっくり探さないと、怒られるしさ。

かといって、遅かったら遅いって怒られるし。

絶対、そみこにしか利益がないって。

でも、そみこには言えない。

こんなところで雷五智鱈、たまったもんじゃないもんね。

ひとまず、ロボットの様子を確認して…………

ロボットはちょうど、廊下を曲がってきたところだ。

私はまさもに小声で、

「窓とか扉はのぞかないで。それで、そみこと、さきに『あんまり喋らないで。』って言ってきて。」

と言った。

まさもはうなずき、そみこ達にその事を教えた。

そみこ達はうなずき、パソコンの音を無しにした。

私は気配を消してぎゅっと体を抱きしめる。

しばらくしんとした静寂が訪れた頃、さきのパソコンの画面が変わった。

プログラムのページを見つけたみたい。

そして、プログラムを遮断するページを開いて、画面に現れた検索キーボードをタップして、「ロボットのプログラム遮断について」と書いた。

でも、検索結果はどれも頼りないものばかりだ。

「ロボットのプログラムはどうやってできている?」とかさ。

頼りたいときにはまともな検索結果を出してくれないないんだよね。

さきは、カタカタとキーボードを叩く。

今度は、ロボットの名前を入力したみたい。

「スネイクモンスターロボットのプログラム遮断方法 確実で簡単なプログラム」。

遮断方法、出てきた!

さきは、それをじっくり読んでロボットのプログラムを見事に遮断した。

すごい!!

さき、天才過ぎるよ!

さきは、プログラムを書きかえ、ホーム画面に戻った。

そして、そみこに

「監視カメラの映像、しばらく開いといて。」

と指示をする。

そみこは、

「はい。でも、あのヘビがすぐそばまで来ているんです。」

と、震えながら言った。

「「「えっ??」」」

私達はそみこの言葉に身をすくめた。

これで、もうヘビに私達がいる場所がわかっちゃったと思う。

音に敏感なロボットだったら、すぐにわかっちゃう。

どうしよう。

そう思ったとき、そみこが小声で解説してくる。

「ロボットは、方法次第で赤外線モードにもできてしまうんです。赤外線モードは、熱でいる場所がわかってしまいます。もし、赤外線モードになったら、逃げることができません。赤外線モードと監視カメラのアプリ。2つ持っていたら、逃げている私達の位置を確定したりすることもできてしまうんです。もし、それで私達全員が氷になったら、ゲームオーバーになってしまいます。死んでしまうかもしれません。そして、この森の危機を救うこともできなくなってしまいます。もし、このロボットが赤外線モードうぃ持っているなら…………私達は、破滅してしまうかもしれません。」

その時、ヘビは口から何かが出てきた。

えっ!?

っていうか、それ、小さいボールなんですけど。

私は、ふっと強気になる。

「そんな小さいボールで、何をする気?」

ヘビは、こちらにボールを投げようとしてくる。

あ…………

私は、ヘビの考えていることがわかった。

けれどもそのボールは扉の窓に向かってまっしぐら。

つまり、窓ガラスが…………割れるってこと。

さきは、「スーパーボールね。みんな、戦う準備をして。」

と冷静に判断する。

私は、カード型手裏剣を用意した。

そして、そみこはハリハリミコサー。

そみこは初めて魔法を使うね。

がんばれ、そみこ。

まさもはデスノコローノーゼを準備した。

さきは、プロペラミキサー。

あれ、けっこうすごい魔法なんだよね。

竜巻みたいなやつをつくるの。

そして私達が全員伏せた瞬間…………

ガッシャーン!!

思いっきり、窓ガラスが割れる。

そして、外から、ヘビが出てきた。

頑張らないと。

今回は、逃げるだけかと思ったけど、結局、戦わないといけないんだもんね。

しずきとさいともいないから、気合い入れとかないと!!

そして、ヘビが私に一瞬で襲いかかってきた。

私は、カード型手裏剣をヘビに向かって投げつける。

節約できるように、指の間に挟もう。

けれど、ヘビは首を横に振って、攻撃をよけてしまう。

そして、私にタッチしようとする。

そこに、三本矢が飛んできて、ヘビの体に刺さった。

ヘビは、後退する。

けれどもすぐに、私に襲いかかる。

狙いは、私って事だね。

ならっ!

私はサッカリミリントンで敵に本をかぶせる。

そして、本に埋もれた敵に、まさもがデスノコローノーゼを放った。

そして、その後にメッサカリントンで敵の体力を凄く減らした。

そして、そみこがハリハリミコサーを大量に飛ばし、敵を眠らせる。

さらにさきがプロペラミキサーを使う。

その前に、私はサッカリミリントンを消滅させて、攻撃しやすいようにする。

そして、さきがプロペラミキサーを発動させた。

もう、作戦なんて伝えなくてもわかる。

目で、合図すれば。

みんな、わかってくれる。

さきも、まだ冒険を始めて間も経ってないけど…………

みんなの考えていることがわかる。

普通なら、こんなこと、あり得ない。

普通なら、こんなこと、あり得ないけど…………

でも、私達は最高のチームワークを持っている。

みんなそれぞれ違って、それぞれの役割を果たしている。

みんながいるから、ここまで来れたんだ。

トゲラとの戦いでも。

みそらとの戦いでも。

今起こっている…………この戦いも。

全部、チームワークで解決している。

私1人じゃ絶対にできないことも、このチームだったらできるようになるんだ。

このチーム以外でチームを組んだら、こういうことができなくなる。

クラスで離されたり。

グループ活動で離されたりしたこともあるけど。

そんなときにも、お互いの考えていることがわかるんだ。

だからこそ、この冒険も楽しいって感じるんだと思う。

私1人じゃ、絶対に解決できない。

よかった、みんなと一緒に森冒険の旅に出られて。

そみこは最初、いれないつもりだったけど。

でも、よく考えたらそみことも、考えていることがわかるんだ。

あの、崖が崩れるという偶然。

あれで、そみこが落ちてくれなかったら。

もしかしたら、もしかしたら…………

私達だけじゃ解決できなかったかもしれない。

私達、テレビを合わせて全員が、いないとダメなんだ。

誰か1人でも欠けたら、最高のチームワークじゃなくなる。

私達は誰1人、欠けちゃダメなんだ。

そう思っていると…………

チャリン。

何かが床に落ちるような音が響く。

見てみると、鍵…………

ではなく、アイテムが入った金属の箱だった。

それが4つある。

私は箱を開けて、中を見る。

そこには、「光の檻」というのが入っていた。

すごい、これ、この前、手に入れたやつだったような気がするけど…………

まあ、一応、持っておこう。

ずっと憧れていたアイテムだったしね。

そして私はアイテムを床に置く。

その時。

ズドドドドドドッ!!!!!

何!?

何なの!

この音!!

さきは、

「みんな!早く、アイテムを取って!」

と叫ぶ。

そして、そみこは箱を全部開けた。

私は、光の檻をアイテムにして、他のを適当にみんなに渡す。

ところが、最後の1枚をわたそうと思ったとき、ヘビが私の手にあったアイテムを横取りした。

それってまさか。

もちろん、ヘビは体の中にアイテムを取り込んでしまった。

その後、私は

「まさも!!アイテム、もらえなかったよね?あのヘビから、目を離さないで!!」

と叫ぶ。

ううううううっ。

ヘビだらけ!!

気持ち悪い!!

私は、吐き気をこらえながら敵と戦った(これ、吐いたらヘビ、逃げてくれるかな?)。

そして私は、さきに、

「さき!!プロペラミキサー!」

と叫んだ。

さきは、プロペラミキサーで敵の体力をたくさん減らす。

けれども、ヘビは敵が持っている魔法を無効にできるアイテムで、プロペラミキサーの攻撃を防いだ。

どうしよう、それ、強力アイテムだから、使われたら大変迷惑。

ん?

魔法?

なら、魔法じゃなければ良いんだね!

私は、槍で敵の体力を減らす。

今度は、ちゃんと、攻撃は当たった。

こっちには、守備力がないけれど、攻撃力はあるんだから!

しずきとさいとが揃っていたら、守備力抜群なんだから!

私は、みんなの体力を頑張って全回復させた。

私のは、全回復魔法と違って、回復は一瞬ではできないけれど、自分の体力も復活できるんだからね。

今回の回復魔法は、無効にされなかったみたいで安心した。

ふうう。

腰が抜けそう。

めっちゃ安心した。

攻撃系の魔法だけは、聞かないってことなんだね。

これは、やっかいだな。

攻撃力が半分になっちゃう。

守備もできないし、攻撃力もなくなってしまったし、けっこう、ピンチなっちゃった。

このまま、氷になっちゃったら…………

怖い!!

というか、テレビ!

ピンチなのに、どうして助けてくれないんだ!!

魔法無し。

けっこう辛いけれど、頑張らないと。

ヘビは、私の方へいっせいに詰め寄っている。

なら、えいっ!!

私はダメ元で、鉄の棒を1体のヘビに刺した。

そして、そのヘビの口から、疫といっしょに、アイテムが出てきた。

私はそのアイテムをキャッチして、まさもに投げる。

そして、まさもは、デスノコローノーゼとメッサカリントンで、敵の体力を半減させた。

その次に、そみこがハリハリミコサーを何回も放ち、最後にプロペラミキサーで敵の体力を0にする。

ふう。

疲れた。

アイテムを奪われたときは、本当にヒヤリとしたよ。

ところで、アイテム、アイテム!!

私はみんなのアイテムを確認する。

そして、まず最初にそみこのを見る。

そみこは、「天使羽」だった。飛ぶことができるんだって。

それで、技コピーでみんなにわたしてもらった。

良かった。

これで、絶体絶命!

って時に付ければ大丈夫だね。

良いアイテムだなあ。

そしてさきは、「ビッグレターズ」という物だった。

日本語だと、大きい文字って言う感じだね。

大きい文字が口から飛び出してくるってことか。

さきは、

「試してもいい?じゃあ、ちょっとまってて。あ!!」

その時、口からめちゃくちゃでかい、「あ」の文字が飛び出して、窓ガラスを割った。

怖い!!

当たったら痛そう。

というか、あの大きさ、絶対にいたいだけじゃ住まないよね。

当たったら、絶対大けがするし。

さきは、その文字を消していった。

「ビックリした。想像以上に大きかったんだけど。」

あれで、空を飛べたりできるんじゃない?

するとそみこが割り込んできて、

「空を飛ぶ道具ではありません。」

とにらんできた。

ちょっとした、冗談だったのに。

本気にされちゃったよ~。

そして私達はは建物の中を歩いて行った。

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第8章:決着の鬼ごっこ

私たちが到着したところは、渡り廊下。

ここまでくると、本当に学校みたい。

今までの生活に戻ったような気がする。

でも、外は…………

真っ暗で、何も見えない。

何も見えない、闇の中にいる感じ。

今は昼のはずなんだけど…………

でも、こんな学校みたいな見た目だと森林図書館じゃなくて、森林学校みたいに思えてきちゃうよ。

でもどうして、真っ暗な渡り廊下を渡れているのか。

答えは簡単。

灯りが付いているから。

なぜか、渡り廊下だけ、灯りが付いてるんだ。

もちろん、渡ったところにも灯りはついているよ。

でも、少し暗い。

だから、懐中電灯で辺りを照らしている。

その時、監視カメラのページを開きっぱなしにしていたそみこが、

「皆さん。渡り廊下、今、渡ってきましたよね?そして、その影に…………何かがいたんです!!」

と言う。

ちょっとちょっと。

怖いこといわないでよ。

何かがいたっていう台詞、怖い話の定番でしょ。

しかもその言葉言うの、今日で何回目?

もう2回目なんだけど。

いくら何でも使いすぎでしょ。

しかも、みんな怖いっていう感情が出てくるし。

でも、そんな私達をお構いなしにそみこは続ける。

「渡り廊下の向こう側の階段にも、何者かが、迫ってきます。挟み撃ちされそうなので、近くの教室に逃げ込みましょう。」

もう、そんなこと言ってると、ぞわぞわって鳥肌立ってくるんですけど!!

いちいち怖いこといわないでよね。

私は、

「それって、ヘビなんじゃないの?攻撃すれば良いじゃん。」

と、呆れて言う。

もう。

お化けなんか、いるわけないじゃん。

でも、内心怖い。

私達の静かな足音が響いてくる。

そしてときどき、カタッ、カタッと音が聞こえてくる。

うう、こんなところ、さっさと脱出したいよ~!

そう思っていると、近くで物音が聞こえた。

私達は全員、息を殺して足を止める。

今の、他のと違う。

他の物音みたいな遠くの音じゃない。

近くで誰かがいるんだ!

するとさきが口を開く。

「ううん、ヘビじゃないかもしれない。さっきの、虫型ロボットでもそうだったわよね?ヘビじゃなかったはずだけど。」

さきはバックからめがねを取り出す。

あ。

学校でいつも見るさきだ。

いつもは眼鏡をかけていて、けっこうキリキリカリカリしているようなイメージがあるんだよね。

でも…………

性格は、こんなに優しい。

そみこやまさもも、気づいたみたい。

そみこは、ぽかんとした表情で、

「あなたは…………さきみや皐月さん。」

と言った。

さきは、

「うん、そうよ。眼鏡を外しただけ。本名はさきみや皐月。まあ、さきの方が気に入っているから、今まで通り、さきで良いわよ。」

と笑う。

まさもは、

「えーと、が、学年一、成績が良くって、コンピューターのことは学年で三位。だったような。」

と、めちゃくちゃなことを言う。

まさも、適当すぎるよ。

さきは、

「自分で言うのも恥ずかしいんだけど、成績は学年で二位で、コンピューター活動とかは、学年で一位。それで、体育では学年で41位。算数は、学年で二位。音楽は、学年で九位で、国語は三位。理科は二位。社会も二位。道徳は四位。総合的な活動では、六位くらいかな。暗記活動では、三位。図工は三位よ。」

天才!

でもしずきは、学校のどんなテストでも、1回も100点じゃない点数を取ったことがないんだって。

すごい天才なんだよね。

コンピューターの活動も三位。

二位は、ナツメっていう、まさもの親友。

って、説明してる場合じゃなかった!!

何かが、こっちに来てるんだ!!

やばいよ!!

私たちはダッシュで逃げて、近くの教室に逃げ込んだ。

そみこは窓を全部閉めて、扉の鍵もかけ、窓の鍵もかけた。

そして、私達に

「まさも。まさもは、教卓の下に隠れておいてください。キミコは、窓の下のカーテンの柱の所に隠れていてください。さきはタブレットを入れるところにいてください。私は、教卓の横にあるロッカーに隠れています。」

と指示を出した。

そして、みんなが隠れ終わった後に、自分が隠れた。

この中で1番危ないのは、まさもだから、ちょっと怖い。

そして、ロボットみたいなのが来た。

というか、たくましくて、目つきが鋭い。

そういうことか…………

そして、そして、そのロボットは2体。

そみこがみたのと同じ。

そのロボットは、あちこち見回す。

そして、1番最初に、教卓の下を覗く。

もちろん そこには、まさもがいた。

まさもは一瞬にして持ち上げられ、連れてかれてしまった。

まさもは口を塞がれながら目で合図してきた。

“頑張ってね”

そして、もう1体は教室のなかを探す。

どうしよう、そみこもけっこう危ない……… …

まさも、大丈夫かな?

そして、その時、ロボットが

「ウガアアアアアアアアアア ッ!!!!!!」

と叫んだ。

き、きゃああああああああっ!

私は叫びそうになるのを必死でこ らえる。

けれども、その勢いで、カーテンが剥がれてしまった。

ということで、私は丸見えになってしまったというわけ。

そして、そみこの方も布が剥がれて丸見えになってしまった。

そうだ、天使羽!

そして、その時、さきが出てきた。

あの、でかいロボットは、襲いかかってくる。

けれども、私達は羽が付いているので、スイーっと横によけてかわした。

そして、別の教室にいるまさもに天使羽を付ける。

まさもは気を失っていて、両手に鎖が付けられている。

そして、口は塞がれていて、目も目隠しされてある。

足もおもりが付けられていて動けそうにない。

どうやらスプレーで気絶させられてしまったみたい。

でも、どうやったら鎖が外れるんだろう。

私は、ロボットが来ないうちに鎖を外す。

その動作にまさもが起き上がる。

まさもは、びっくりしてキョロキョロと辺りを見回す。

すると、ロボットがやって来てしまった。

ロボットは素早く私をスプレーで眠らせた。

気がついたときには、目隠しをされ、体には鎖が巻き付いていた。

ロボットの気配はないから、動いても大丈夫そう。

私は手を無理矢理動かし、目隠しと口を塞いでいるガムテープを取った。

まさもはまた鎖が巻き付いている。

私は、ポケットからピンを取り出し、鎖とおもりを外していく。

そして、やっと自由になることができた。

ヘアピンは何本か折れちゃったけど、なんとか脱出できた。

私は天使羽を付けながらまさもに小声でささやく。

「まさも、逃げよう!!ロボットが!!右に曲がるときは、右に体を傾けて、左に曲がるときは、左に体を傾けると良いよ!!それで、上に行くなら、体を上に向かって伸ばせばいい!!それで、下の時は、体を下向きにして!行くよ!!」

そしてなんとか、元の場所に戻ることができた。

そみこ達の戦闘は終わったみたい。

私は、怒りを込めて言う。

「ちょっとだけ、ロボットをからかってもいい?さっき、まさもをさらった罰。ちょっとだけなら、良いでしょ?それに、攻撃できてアイテムをもらえるなら、一石二鳥じゃん。」

そみこは、

「わかりました。でも、油断はしないでくださいよ。」

と、ため息をつく。

そして、方向転換すると、今来た道を戻っていった。

そして、しばらく飛んでいると、やがてロボットの姿が見えた。

私は、まっしぐらに飛んでいき、体を掴もうとする拳をよけた。

ブチッ。

ついに、ロボットの堪忍袋の緒が切れた。

そのロボットは、目着な速さで腕をぶんぶん振る。

ひっ!

私達は、よけるのが精一杯。

いったん、逃げることにした。

…………が!

ロボットは、猛ダッシュで走ってきた。

私達も、ダッシュで逃げて、いろいろなところを逃げ回った。

ひ~、しまった。

私達は、いったん二手に分かれることにした。

私とさきのチーム。

そみことまさものチームっていう感じで。

そみこチームは左に曲がって、私とさきのチームは右へ曲がる。

そして、私たちはしばらく全速力で飛び続けた。

私はそみこ。今、巨大ロボットに追いかけられている最中。

いったん、左と右で分かれることにしたんですが…………

敵は、私の方を追いかけてくるんです。

おそらく、キミコ達は無事だと思いますが…………

このままだと、捕まってしまいます。

捕まったら、どうなるのかもわかりませんし…………

キミコが、あんなにロボットをからかわなかったら…………

キミコは本当に、トラブルメーカーですね。

さきも、困っていると思いますよ。

そう思いながら、右へ曲がる。

キミコ達を巻き込むと、また大変なことになりそうですから…………

本当にもう。

私はため息をつきながら、またしても右に曲がる。

そして、次の分かれ道の時、まさもにこっそり言う。

「まさも、右に行くように見せかけて、途中で急カーブをしてください。私も、そうします。その前に、入れ替わらないといけないので、入れ替わりますね。」

まさもはうなずくと、まっしぐらに飛んでいく。

私も、入れ替わってから、猛スピードで飛ぶ。

そして、私とまさもは右に行こうとする。

それに騙されたロボットは、右に曲がる。

私達は、左に逃げる。

ロボットは、方向転換して、私たちの方へ走り出し始めたが、私たちに距離を離されているので、とうとう、猛スピードで走り出した。

あらゆる本棚を倒し、私たちに近づこうとしている。

私は、右に必死で曲がる。

そして、ロボットの背中に行こうとするが、ロボットはそれが追いつかないほどのスピードで追ってくる。

図書館なのに、ロボットがいる所になって来ているんですが!!!

まさもは、

「いったん、二手にまた分かれよう!!」

と私に提案してきた。

私はうなずくと、左に曲がった。

そしてロボットは、左に曲がる。

ただ、まずはまさもを助け出さないと。

私はまっしぐらに飛んでいき、できるだけスピードを出す。

そして、できるだけ上の方へ行く。

ロボットは、上の方に向かって頭突きをしてくる。

私がギリギリでそれをよけ、左の本棚に滑り込んだ。

そこには、ちょっとした小さな出入り口があるので、私はギリギリいけるはず。

このまま、ロボットの性質を活かして、本棚を倒してもらうことにしましょう。

そうすれば、全部、ヘビは消滅するはずでしょう。

私は、全速力で本棚が立っているところまで飛び続けた。

はあ、はあ、はあ。

まだ、息が切れちゃうよ。

私、キミコ。

しゃべり方でわかるでしょ?

今、ロボットから逃げ続けたんだけれど、ロボットはそみこの方を選んだみたい。

で、なぜか、あっちの方の本棚が倒れてきているんだ。

で、こっちの本棚が支えきれずに、倒れてきてしまっているっていう感じ。

そして、私たちがいるところまで、来てしまった。

私は急上昇して、それをかわす。

そして、本棚が全部、倒れてしまった。

私達も、あのロボットを倒さなきゃ!!

って、ヘビは?

ヘビは、本棚の下敷きになっているみたいで、すっかり死んでしまっている。

後は、ロボットだけ!!

私は、矢を思いっきり放つ。

けれども、ロボットの位置が遠すぎて、本棚に刺さってしまった。

そみこは、私たちを見つけて、こっちの方へ飛び始めた。

そして、

「まさもと、二手に分かれたんです。でも、どこにいいるのか、わからなくて。やっと見つけたんですが…………とりあえず、しずきを探しに行きますか?」

と聞く。

私は、

「ううん、まずは、このロボットを倒さないと、安全にバトルできないでしょ。まずは、こっちが優先。時間は、たっぷりあるんだから。」

と首を振った。

そみこは、

「わかりました。キミコ、こちらに近づいてきたら、光の檻を放ってください。それから、まさもがメッサカリントンを放って、それから、私が攻撃します。」

と指示をする。

そして、

「ああ、そうだ。さきは、あのロボットのプログラムを遮断してくださいね。」

とさっき指示しなかったさきにも言った。

そして最後にそみこは、

「今度こそ、このロボットを倒しますよ!!ミッション、スタート!!」

と叫ぶ。

「ミッションって。本当に、子どもなんだから。」

私は呆れて言う。

まあ、私達は全員子どもだけど。

そみこは、

「こういう言葉が正解でしょ?」

と聞き返してくる。

やっぱ、お子ちゃまだ。

まあ、いいけど。

私はお姉さんだもんね。

その時、さきがプロペラミキサーを使って、ロボットの目を回らせた。

そして、私はそれを見逃さず、光の檻を放つ。

それから、まさもがメッサカリントンを放ち、最後にそみこが弓矢で攻撃しながら、飛んでいって、最後の一撃を鉄の棒でやった。

トゲラの棒、以外と使えるね。

そして、そみこは、

「渡り廊下の方へ行きましょう。しずきたちを助け出さないと。」

と言った。

私たちは全速力で渡り廊下を渡り、それから、次のドアまで来た。

そして、そみこはそのドアを開ける。

そして、そこから聞こえてきた声は、地獄のそこにいるような絶叫だった。

「き、きゃゃああああああああああああっ!!!!!!!!」

そこには、大量のヘビが当たりをうろつき回っていたのだ。

私は、

「みんな、上昇して!!それから、順番に本棚を見ていこう!!」

と言った。

みんなはうなずき、本棚の所を探し出した。

こんなにヘビがいたら、倒すのも不可能なはず…………

そしてそみこが、

「見つけました。しずきとさいとです!!」

と叫ぶ。

そして、やっとのことでしずきとさいとに会うことができた。

私はしず木立に天使羽を付ける。

しずき達が浮かび上がると、

「上昇したいなら、体を上向きにして、下に行きたいなら、体を下向きにした方が良いよ。それから、曲がるときはその方向に体を傾けてね。」

と、飛び方の方法を教えた。

しずきとさいとはうなずき、その後、

「それで、その女の子は?」

と首をかしげる。

私は、

「この子は、さき。コンピューターを使うのがうまいの。」

と、さきを紹介する。

しずきやさいとはうなずいた。

説明するのは、苦手なんだよね。

伝えられて良かった。

そみこは、

「ヘビを全部倒さないと、ここから解放されないんです。それと、アイテム。」

と言ってしずきたちにアイテムを渡した。

しずきは、アイテムをもらって

「じゃあ、、メッサカリントンを本棚に向けて発射して。」

と言う。

まさもは、そのようにして、メッサカリントンを発射した。

そうすると…………

ズダダダダダッ!!

本棚が雪崩をおこして、ヘビはあっという間に全滅してしまった。

やった!!

倒せた。

これで、大丈夫なはずだよ!!!

ふうううう。

今回も、疲れたなあ。

その時、がらりとドアが開いた。

中に入ってきたのは、魔法使いみたいな人。

その人は、

「よく、これをクリアできましたね。おめでとうございます。お祝いに、栄養たっぷりでとても美味しいご飯を召し上がれ。」

と言って、台所に案内してくれた。

そこには、よだれが出そうなほど、美しくきらめいた料理だった。

そして、久しぶりのお肉。

お魚も、久しぶり!!

お肉とか魚、最近、全然食べてないから、よけいにキレイに見えてくる!!

わたしは、夢中になって食べ始めた。

ソーセージは熱々。

噛めば噛むほど肉汁とおいしさが口の中に広がる。

お魚はあまり捕れない高級なお魚で、背びれはパリパリ。

塩もちょうどいい量。

野菜は新鮮で冷たくて美味しい。

シャキシャキのレタスに色とりどりなパプリカとピーマン。

デザートには本の形をしたお菓子が出てきた。

しかも、その本は読めるようになっているけど、食べれるようにつくってあるんだよ!!

すごくない?

ようやく、満腹になった私は、魔法使いみたいな人に言った。

「あの~。ここから、出して欲しいんですが…………」

魔法使いは、それをさえぎって

「私の名前は、メアリー。クリアできたので、鍵をお渡しします。これで、ドアを開けると良いですよ。そうしたら、森に出ますから。」

と言った。

私はうなずくと、鍵を持って歩き出した。

ところが、なぜか私の体は宙に浮かんでいる。

え?

あれれれれ?

あっ!

天使羽、付けたままだった。

私達は、鍵を受け取り、玄関に差し込んだ。

カチャリ。

さようなら、森林図書館…………

私たちは手を振って、森林図書館を後にした。

パラパラパラ。私は本のページをめくる。

だってさあ。本に何か載っていると思ったら、こんなことが書かれていたんだよ。「アイテムをたくさん作れ。モンスターとは戦うな。」って!!

そりゃあ、モンスターはいやだけど、アイテムをたくさん作れって。誰でも困っちゃうよ。

全くもう!!

その時、本の字が勝手にちゃんとした文字になった。

うわっ。

ビックリした!!

驚かさないでよ!

ビックリしたじゃない!!

そして、文を見てみると、こんなことが書いてあった。

「まずはアイテムを作れ。そみこの弓矢や、新しいアイテム。いろいろなアイテムを作れ。そして、さきのアイテムもたくさん作るべし。モンスターとの戦いは、避けるのだ。このままでは、勝てぬ。しっかりと次のモンスターの作戦を立ててから、モンスターを倒しに出発するが良い。明日になると、鍵はアイテムになる…………そのアイテムを、使って戦うべし」なるほど。

明日になるまでは、待った方が良いって事ね。

じゃあ、作戦は夜ご飯の時に立てるとして、アイテムは居間作った方が良いね。

私は、

「みんな。まず、広い、ゆったりできるところに戻ろう。それから、夜ご飯を集めてから、アイテムを作ろう!!」

と言った。

しずきは反論した。

「なるほど。でも、アイテムを探すの、暗いのに、大丈夫かな?暗いと、前が見にくいから…………」

私は、

「食料は、絶対に今日食べないと、お腹がすいちゃうでしょ。でも、アイテムなら、まだ時間があるから、探せる。明日、早起きすれば、探すことはできるでしょ?でも、食料は、こんな所だと探せない。だから、食料優先にしたの。」

と言った。

しずきは、

「うん、わかったわ。じゃあ、私とキミコ、まさもでグループ。リーダーはキミコ。それで、そみこのグループは、そみこがリーダーで、さ いとがそみこの手伝いをして。私は、キミコの手伝いをするから。まさもとさきは、いろいろなところの探索をお願い。でも、何かを見つけたら、そみこやさいと、私やキミコに言ってね。」

とうなずく。

人数も増えたから、その分、探索もしやすい!

そし て、私たちは探索に出発した。

私、キミコ。まあ、いちいち、私はキミコ、私はキミコとか言わなくてもわかるだろうけどさ。

一応、言っとくね。

もういい加減、口調とかでもわかったきたと思うしさ。

その時、しずきが

「キミコ。私達は、魚とか集めよう。最近、魚類とかたりてなくって、逆に、フルーツとか野菜を食べているから、たまには、魚とか食べた方が良くない?」

と言った。

私は、

「でも、そみこも同じ事考えて、小川に向かっているかもしれないよ?」

と反論する。

しずきは、

「じゃあ、電話すれば良いじゃない。」

と言った。

なるほど。

私は早速そみこに電話をかけた。

トゥルルルル、ピッ。

すぐに、そみこがでてくれた。

私は

「そみこ、今から、魚をとろうと思ってるんだけれど、いい?」

と言った。

そみこは、

「わかりました。私は、鳥の死体を見つけたんです。死んでから早々、間もたっていなさそうなんで、持って帰って料理しようと思っています。ブレスレットに入れておきますね。いろいろ見たんですが、体には大丈夫そうです。」

と言った。

おおおおっ。

でかしたそみこ!

でも、猛烈に腹が立つ!!

私は電話に向かって叫ぶ。

「わ、私だって、いいのは見つけるんだから!!そみこには絶対に負けない!!!!」

私は電話を切ると、しずきに、

「しずき。今日は、ラッキーな日だよ。何があったかは、食べてからのお楽しみ。」

と言った。

しずきは、

「楽しみ。ところで、そみこはどこへ向かっているって?」

と聞いてきた。

私は、

「ああ、そみこ達のグループ?森にいるよ。それで、良い感じの食べ物見つけたらしくって。私も知らないけど、そみこが秘密にしちゃってて。全くもう。教えて欲しいよ。」

と、慌ててごまかす。

ばれなかったかな?

私は、

「さ、さあ、お魚、取りに行こう!!今日は、大パーティーだね!!」

と言った。

しずきは、

「お魚、取り過ぎないようにね。」

と変なことに注意してくる。

それくらい、わかってるよ~だ。

私は、小川まで小走りで行く。

そして、川をのぞき込む。

わあああああ。

キレイ!!

透き通ってる!!

そこを、お魚たちが泳いでる。

って!!

お魚取る準備、してなかった!!

しずきは、

「じゃあ、ちょっとしたお魚作戦を教えてあげようか?」

と言った。

聞く聞く!!

しずきは、

「まず、小川の底を軽く穴を掘るの。それから、網を用意して、底から少し離れたところに移動させるのよ。それから、底に寄ってきた魚を捕まえるってわけ。」

と説明してくれた。

なるほど。

私は、白色のズボンをめくって、小川に入る。

そして、そこを適当に掘る。

そして、小川から上がり、タオルで体を拭く。

そして、しずきは網を構える。

そして、底に寄ってきた魚に…………

バサッ。

思いっきり、網をかぶせた。

そして、見事に魚を捕る。

これはちょっと小さいから、2匹くらいのを1人で食べる方が良いかも。

というか、私もしずきも、お魚好きだし、そみこやまさも、さいともお魚は大好き!

って、さきは好きだったっけ?

私は、しずきに

「さきって、魚好きだったっけ?」

と聞いた。

しずきは、

「じゃあ、聞くね。もしもし。しずきです。あっ、さき。あの、さきって、お魚好き?…………よかった。じゃあ、たくさん釣っていくね。」

と言った。

ってことは、さきはお魚好きって事だね!!

しずきは、

「じゃあ、ちょっと多めに釣っていきましょう。」

といった。

そうして、底の近くにでっかいお魚が近づいてきた。

しずきは、それを網で釣り上げる。

よ~し。

これでそみこを倒せる!

そして、

「今度は私が網を持つね。」

と言って、役割を交代した。

すると、ちょうど底の近くに一匹の魚がやって来た。

私は、底に向かって網を振る。

すると、しずきがその魚を見て何か叫んだ。

「ストップ、キミコ!それ、いろんな川に住む危険生物、ピラニアよ!!」

え?

私が網を元の場所に戻そうとしたが、ピラニアが岸の方にやって来た。

ぎゃああああああ!!

そして、跳ね上がったピラニアは私の足にかぶりつく。

痛っ!!

そう思った瞬間、しずきの絶叫が森銃に響き渡った。

「あっち行けー!!!!!!!!!」

こ、鼓膜が破れる!

すると、ピラニアがやっと離れた。

私はかwないピラニアを投げつける。

ピラニアは宙をえがいて飛んでいった。

「もう二度と会いませんように!」

私はお願いする。

そして、私としずきは小さめの魚を釣って、森にいったん戻ったのだ。

さっきの野原、気持ちよかったから、あそこで今日は寝ようっと。

でも、足が痛いんだよね。

かなり深くかまれていたみたいで、自力では歩けそうにもない。

救急箱も今はないから、手当もできない。

あれ?

遠くに、なんかフルーツみたいなのがある。

私は、

「しずき、ちょっと、近くにフルーツがあったから取りに行こう。」

と言った。

しずきは、

「うん、いいよ。何のフルーツか、確かめてから取りましょう。毒のフルーツもあるから。」

と言って、立ち上がった。

ちょうど良く、切り株があったんだよね。

そして、私としずきは、フルーツの所へ向かった。

そして、そこにあったのは、幻のミカン!!

特別な森にしかないと言われていて、ものすごく美味しいんだって!!

私は、それを10個くらいか持ち帰って、1つ、味見に食べてみた。

お、美味しいっ!!!

もう1個食べたくなっちゃう!!

ダメダメ。

もう、味見の分は食べちゃったんだから。

私は頑張って、もう1個食べようとするのをやめる。

だけど、これから違うところに移るから、全部取っちゃおう!!

そして、私は実を全部取って、テントへ戻ったのだ。

しばらくすると、そみこチームがテントへ戻ってきた。

お肉、楽しみ!!

しずきは、

「何かしら?」

と、目を輝かせる。

そして、まさもは

「しずき。キミコに、食材の事って、言われてないよね?」

と言った。

しずきは、

「うん。言われてないわ。」

と応える。

まさもは、

「ありがと。じゃあ、キミコ。料理、手伝ってくれる?そみこも。」

と言った。

えっ!?

わ、私!?

ビックリしている私を見て、まさもは、

「キミコは、食材洗いと洗い物をお願い。そみこは、包丁使うのが上手だから、食べ物切ったり、タイマーセットしたりとかお願い。私は、火を使ったりするのをやるね。それで、それまではお皿粗いの手伝いをやる。じゃあ、役割分担は決まったから、頑張って、今日の夕食を作ろう。しずきは、洗濯物たたんだり、干してあったのを中に入れたり、洗濯機に入れたりして。さいとは、掃除をお願い。このテントは結構広いから、2人で頑張って。キミコ、そみこ。食料は、キッチンについたらおろしてね。さきは、お米炊くのと、作戦で仕えそうな物を調べといて。」

と指示を出す。

私だけ、なんか仕事が多いんですけど…………

まあ、良いか!!

でも、けがしちゃってるんだよね…………

するとしずきが私の代わりに言った。

「キミコ、足をけがしちゃっているの。みんな、10分くらい待ってくれない?」

そみこは、足を見る。

「どうしたんんですか、そのけが!?」

しずきは、大真面目な顔で言った。

「ピラニアにかまれたの。」

「ぷっ。」

まさもがこらえきれずに笑う。

「キミコ、ドジすぎます!」

そみこも、笑いをこらえている。

そして、私は救急室に行ったのだった。

 しずきが、私の足に薬を塗る。

薬の液体に思わず顔をしかめる。

傷口に液体が入り込んでいく。

うっ…………

痛い。

しずきは、私の足を消毒した後、包帯を巻いてくれた。

これなら、動けそう。

キッチンに戻ると、みんないた。

私は食料をキッチンに持って行く。

ジャブジャブ。

私は一生懸命、ボウルを洗う。

いくら洗っても、この油が取れない。

やっと、とれた!!

私はそみこにボウルを渡す。

そみこは、

「じゃあ、次にこれ。」

と言って、ザルを私に渡した。

これ、水がすり抜けちゃって、厄介なんだよね。

難しい~。

ふきふき。

やっととれた!!

私は、水で石けんを落とす。

そうこうしているうちに、仕事がドンドンたまっていく。

大変すぎるよ~。

仕事が~!!

そして、まさもにそみこが呼ばれた。

「そみこ、タイマーセットと、ニンジン、玉ねぎ、白菜、ジャガイモ、肉を切って。」

そみこは、その材料の多さにひっと怖じ気づく。

今のうちだ!!

そして、洗い終わったザルをそみこに押しつけ、また次の洗い物に移る。

そみこは、慌ててザルを使って、汁を作る。

今日はポトフにするの。

今は、夏だから暑いけど、ポトフは美味しいし、最高。

するとそみこが食材を取ってきて、

「キミコ、タマネギの皮むきと、にんじんとジャガイモ洗うのやってください。」

と野菜を置く。

わっ。

仕事が一気に増えた!!

私は、ニンジンで時間稼ぎをして、ジャガイモをなんとか洗う。

さいごに、タマネギの皮むき。

これで一気に、時間を稼がなきゃ。

まだ皿洗いも終わってないし、どんどん洗う物は増えていくし。

もう、洗い物をいれる容器がパンパン。

私は、タマネギの皮むきを終わり、洗い物に移る。

私は、暇だとぼやいているまさもに洗い物を押しつける。

まさもは、渡された洗い物の量に後ずさりする。

そみこが材料を切るのを終えたころ、なんとかお皿を入れるところはすっからかん。

ふう、疲れた!

そして、そみこが

「キミコ。鍋の様子を見てください!」

とまた、仕事を言ってくる。

私は、鍋の様子をしっかりと観る。

そみこは、

「まさもは、手伝いをしといてください。まず、食料を切っておいたので、それを鍋に入れとく準備をしてください。肉も切ったので、それもお願いします!」

といつも通りのカリカリ声で言う。

そみこ、やることギュウギュウすぎ!

まさもは、

「キミコ、鍋の調子は大丈夫そう?」

と言った。

私は、

「もう、入れて大丈夫!」

と応える。

そして、まさもが野菜や肉を入れてくれる。

ドサドサッ。

いろいろなものが鍋に振ってくる音が聞こえてくる。

鍋の中を見てみると、キャベツが半分以上の量を占めていた。

ど、どうしてこんなに多いの!?

今までもポトフは作ったことあるけど、こんなキャベツが多かったことなんてないよ!?

そしてそみこは、

「今日は、焼き魚もあります。焼き魚を外で焼いてください。」

と言った。

もう、一瞬の休みも許されない。

厳しすぎ。

私はブレスレットに魚をいそいで取り込み、キッチンを出た。

リビングでは、しずきが暇そうに座っていた。

チャンス!

私は、

「しずき、外で魚を焼くんだけど、火の付け方って知ってる?」

と言った。

これだけでも、ちょっとは楽になるはず。

一応、火の付け方は知ってるんだけど、しずきにやってもらった方がいいはず。

私、不器用だし。

でも、一番の理由は、やっぱりめんどくさいから。

そうやって応えたらそみこ、激怒するかも。

そみこって怒ると顔がタコみたいになるんだよね。

…………よくみたら口の形もそっくりかもしれない。

しずきは、

「知っているわよ。じゃあ、やりましょう。さいともけっこう、暇みたいだし。」

と言った。

作戦成功!

さいともうなずき、

「魚を焼くのかな?だったら、3人で頑張ってやろう。」

と言った。

しずきは、やる気満々でいう。

「うん、そうね。キミコ、さいと。やりに行くわよ。」

しばらくした後。

やった!

焼けた!

私は今、焼き魚を作っている最中。

美味しそう…………

思わず、よだれが地面にぽたりと落ちる。

しずきは、ひっと身をすくめる。

今日は、最高の日だ~!

まあ、こういう魚釣りは全部私達が命がけでやったんだからね!

私は、ほくほく顔でテントに戻った。

そして、お皿に焼き魚を並べる。

しばらくすると、そみこ達が戻ってきた。

さきは、

「わあ!美味しそうね。私、魚料理が大好きなの。」

と目を輝かせる。

そして、私達は驚いてるしずきを見て、

「ハッピバーステー!!誕生日おめでとう!」

と言った。

しずきは、

「え?誕生日?あっ!今日は、私の誕生日!だから、キミコが食材のことを内緒にしていたのね!」

と言った。

その口ぶりからすると、自分の誕生日を忘れてた…………?

私はしずきにビシッとかっこよく言う。

「しずき、自分の誕生日は忘れちゃダメだよ!自分が生まれた大切な日なの。その時は、みんなでお祝いするの。いくら、友達思いだったって、自分のことを知らなかったら元の子もないんだから。おめでたい日だからこそ、お祝いするの。友達のことばっかり考えてないで、自分のことも考えなよ!しずきは、優しいから友達のことばっかり考えちゃうかもしれないけどね、自分のことを知るのも大切なの。」

しずきは、

「ありがとう、これからは忘れないようにするわ。でも、ポトフを食べれるなんて、本当に久しぶり。」

と笑顔で言った。

そして、私は

「しずき!アイテム探しは、明日にして、今日は夜遅くまでパーティーにしよう!クイズ大会もあるんだから!だけど、その前にご飯――!」

と叫んだ私をみんながどっと笑う。

そみこも。

しずきも、さいとも、さきも。

もちろん、まさもも。

全員笑った。

ゆっぱり、笑うってすごくいい。

辛いことも、一気に吹っ飛んで。

また、立ち直れるようになる。

笑顔って言うのは、無敵の力を持っているんだ!

そして、私は料理にかぶりつく。

たくさん動いた後は、食べ物が1番!

美味しい~!

私は幸せをかみしめて、料理を食べたのだ。

その次は、ゲーム大会!

そのクイズ大会ではしずきが見事に優勝して、誕生日パーティーは大成功だった。

明日、危険なところに飛び込んでしまうとも知らずに…………

メリット
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第9章:ドキドキの高山!

そして、クイズ大会の次の朝。

私は珍しく、早起き!

でも、まだ朝の5時だった。

そして、もう1回寝ようとしたとき、パソコンを使って、まだアイテムを調べているさきの姿が見えた。

今日は、一緒にみんなで寝たんだ。

パジャマパーティーとか、枕投げとかして。

私は、もう一回さきを見てみる。

さきの目の下にはクマができている。

きっとさき、徹夜で調べてくれたんだ…………

私はさきのベットへ小走りで行った。

私は小声で、

「さき。リビングで一緒に調べよう。明日は、ちゃんと寝てよね。」

と言った。

さきは、こくりと頷き、リビングへ向かった。

さき、確か、寝てたはずだけど。

さきは、リビングの扉を閉めてから、

「キミコ。キミコは、起きてたの?」

と言った。

私は、

「ううん。今、目が覚めちゃって…………横で、アイテムを探していたさきがいたから、心配になったの。」

と応える。

さきは、

「私も、寝不足で。今日は、疲れちゃって、すぐに寝れたんだけど、2時くらいに目が覚めちゃったの。それから、また寝て、4時くらいに目が覚めて。それから、寝ようとしたんだけど、寝れなかったの。それで、諦めて昨日、あまり見つけられなかった、アイテムの事を調べることにしたの。私の一番の特技は機械のことだから。」

と寝てからのことを話す。

じゃあ、さきって、7時間くらいしか、寝てないって事!?

私は、

「さき。私も、アイテムを調べるの、手伝うね。一緒に、あと2時間、頑張ろう!」と言った。

さきは、うなずくと、「技コピー」で私にパソコンを渡す。

私はパソコンを早速開くと、まずキーボードを用意する。

そして、調べ物をできるアプリで「自分で作れるアイテム」というアイテムを探した。

ところが。なぜか、情報じゃなくて、アプリの紹介が出てきた。

さきは、

「それは、バツを押しちゃっていいわよ。でも、その後、アプリが出てくるんだけど、それを開くと…………」

と、言葉を濁す。

私は、そのアプリをタップして開く。

けれど、そのアプリを開いた途端、「そのアプリは使用できません」という文字が出てきた。

えっ。

そして、下にはOKの文字がある。

私は仕方なく、そのボタンを押すと、さっきの調べ物のアプリの方へ戻った。

これ、アイテムのこと調べられないって事!?

さきは、

「設定がおかしいのかしら。1回、設定のアプリを開いてみましょう。」

と言って、「設定」と検索した。

そして、その設定のアプリはすぐに出てくる。

なぜか、設定のアプリが2つもあるんだけど。

さきは、

「じゃあ、この設定(コピー)を消すわね。これで分かりやすくなるはず。」

と言って、設定のアプリを開く。

そして、設定検索というところで「アイテム探しアプリの設定」と入力した。

そして、設定の画面が出てくる。

そこには、「アイテム探しのアプリは、現在プログラムを書き換えられた可能性があります。なので、強制終了となりました。プログラムがもとに戻ったら、再会することができます。」と書いてあった。

じゃあ、誰かがプログラムを書き換えたって事!?

それだと、さき並みのコンピューター扱い方上手って事なの!?

じゃあ、さきが今すぐ元のプログラムに直した方が良いんじゃ!?

さきは、

「待って。続きがある。読んでみてから、プログラムを戻すわ。」

と言った。

たしかに、続きがある。「アプリのプログラムを元に戻すなら、通話アプリをひらき、こちらに電話を繋げてください。くわしくは、電話アプリの説明書を読んでください」通話、できるかな?

私は通話アプリを開いた。

そして、1番最後にあった、「会社との通話」を選んだ。

その人は、すぐにでてくれた。

「もしもし、プログラムのことですか?現在、私のプログラム設定社はピンチになっています。ここのピンチを救うのはあなたたちです!!私は幻高山にプログラムの説明書を植えたので、どこかで見つかるはずです。それを読んで、プログラムを元に戻してください。ピー。ガチャリ。」

それを聞いてさきは、

「じゃあ、幻高山に行くの?あそこ、結構寒いし、標高が高いから、けっこう登るには時間も掛かるのよ。」

と目を丸くする。

私は、

「でも、これ以上、みんなに迷惑はかけられないよ!!行こう!これで、ちょっとは楽になるだろうし。」

と反論した。

さきは、目をつむる。

「そうね…………まずは、私の知っている範囲でプログラムの修正をしようかしら。でも、このプログラムはかなり強力だわ。私を上回るハッキング能力を持っている人達がいるってことだわ。ちゃんと、プログラムに侵入したらアラームが鳴るように設定されてあるの。でも、そのプログラムも書き換えられたみたい。パソコンって、遠距離操作もできちゃうから、危険なの。下手な使い方をしたら、人の命を奪ってしまうかもしれない危険な物なの。しばらくハッキングの準備をするから、キミコは待ってくれる?」

その時、しずきが起きてきて、

「幻高山に行くの?アイテムを探すんじゃなかったっけ?」

と聞く。

さっきの話、ばれてた!?

しずきは、

「とりあえず、私もプログラムを戻すわ。だけど、幻高山に行くって、どういうこと?」

と言う。

私は、

「だから、幻高山でプログラムの説明書があるの。それを探して、プログラムを元に戻せばいいの。今の状態じゃ、パソコンのほとんどのアプリが使えない。だれかにハッキングされているの。」

と説明する。

しずきは、

「じゃあ、高山で食べれる植物を知らないと。なかには、毒を持った植物もいるかもしれないじゃない。」

と言った。

私は、

「しずき。さては、図鑑を出す気?」

と聞いた。

しずきって植物のこととかが大好きだから、(なぜか)冒険に図鑑を持ってきているんだよね。

しずきは、

「違うわ。アプリで調べるの。植物のことを調べれるわ。」

と肩をすくめる。

しずきがコンピューターで調べるなんて、珍しいなぁ。

いつもは真っ先に図鑑をさっと出しているんだもん。

って、アプリ全部ブロックされちゃってるんじゃ……

しずきは、

「私が開いてみたところ、正常なものは一応あったわ。でも、それもすぐに書き換えられるでしょうけどね。」

と言った。

じゃあ、パソコンが役に立たなくなるって事⁉

その時、テレビが現れ、

「では、幻高山に行く地図をみんなにわたしておきます。そして、それが埋まっているところも、認識したので書いてあります。それを使って、プログラムの説明書を探してください。高山のモンスターは一時停止にしておきますので、モンスターに関しては、心配しなくても大丈夫です。」

と言った。

モンスターを一時停止にするって。

まるで、モンスターがロボットだった、みたいな感じじゃん。

テレビは、一瞬で消えて、どっかにいってしまった。

もう、全然、役に立つ情報を教えてくれないんだから。

そして、まさもとそみこ、さいとがガサゴソと動く音がした。

私は、パソコンをいったん閉じて、ブレスレットの中に取り込む。

さきは、

「この事、そみこやまさもに言った方がいいわよね?」

と私に聞く。

私は、

「うん。その方が、理由もわかってはっきりしやすいし、いいんじゃない?別に、そみこたちに秘密にする理由もないし。どうせ秘密にしたって勘が鋭いまさもとかさいとに暴かれるだろうしね。」

とうなずく。

そみこは、眠い目をこすりながら扉を開ける。

「あれ、3人揃って、なに調べているんですか?それに、珍しくキミコ、早起きしましたね。明日隕石が降ってくるんじゃないですか?」

と言った。

隕石が降ってくるって。

私が早起きしたからってそんなこと言って。

……まあ、私が早起きするのは、すごーい珍しいけど。

私は文句を言いたくなる心を抑え、言った。

「うん。5時くらいに起きて、さきといっしょに、自分達で作れそうなアイテムを探してたんだ。」

そみこは、

「順番に説明してください。」

とテントの床に座る。

そして、またカリカリ系変身道具(1)の眼鏡をかけてしまった。

さっきは、けっこういい感じの雰囲気だったのに。

いつもみたいに(見た目だけ)カリカリしてなくてさ。

さきは、

「私、今朝、あまり眠れなくて、4時に起きた後、アイテムのことを調べたの。昨日は、インターネットの接続ができてなかったから、今日調べてみようかな、と思ったんだけど…………」

と言う。

そみこは、

「今日も、インターネットの接続ができなかったんですか?」

と聞く。

私は、

「ううん、そうじゃなくて、インターネットの接続は調子よかったんだけど、新しい問題が発生したの。」

と訂正する。

まさもは、冗談を言ってくる。

「ニュースに『明日は隕石が降ってきます』っていうことが書いてあったっていうこと?」

すると、そみこは怒ってまさもに雷を落とす。

「まさも!!ふざけるのもいい加減にしてください!大事な話をしているんですからね!!!」

さきは、喧嘩する二人をなだめながら

「実際にパソコンを開くわね。口で説明するのはむずかしいから。」

とパソコンを開く。

そして、私は

「調べ物アプリのページ、大丈夫そう?」

とパソコンの画面をのぞき込む。

さきは、

「ギリギリ、大丈夫そう。それで、『自分で作れるアイテム』と検索すると、アプリが出てくるの。で、それを開くと…………」

と、アプリを開く。

そして、開くと、「このアプリは使用できません」という文字がでた。

そみこは、

「設定がおかしいだけじゃないですか?」

と聞いてくる。

さきは、

「そう思って設定のアプリを開き、検索したら、説明が書いてあったの。」

といって、設定のアプリを開いて見せた。

うっ、相変わらずの呪文。

そして、アイテム探しのアプリの設定の所を見る。

そこに書いてあったことに、そみことまさも、さいとは目を丸くする。

そこには、私の予想通り、

「アイテム探しのアプリは、現在プログラムを書き換えられた可能性があります。なので、強制終了となりました。プログラムが元に戻ったら、再会します。アプリのプログラムを元に戻すなら、通話アプリを開き、こちらに電話を繋げてください。くわしくは、電話アプリの説明書を読んでください。」

と書いてあった。

そみこは、

「それで、電話をかけたんですか?」

と聞く。

私は

「うん。それで、かけたら…………」

と、ここで言葉を切る。

ここから先はちょっと説明しにくいんだよね。

とんでもない展開になるから。

そみこは、ゴクリとツバを飲み込み、

「かけたら…………何ですか?」

と問いかけてくる。

私は大きく息を吸い、応えた。

「電話が繋がって、それで、こう言われたの。『プログラムのことですか?現在、私のプログラム設定社はピンチになっています。ここのピンチを救うのはあなたたちです!!私は幻高山にプログラムの説明書を植えたので、どこかで見つかるはずです。それを読んで、プログラムを元に戻してください。』って。」

そみこは、

「じゃあ、幻高山に行くつもりですか?」

と、私をにらむ。

私も負けじと、そみこをにらみ返して、

「もちろん。このままじゃ、パソコンも使えなくなっちゃうんだよ。モンスターも、動かなくしてあるから、安心だよ。」

と言った。

そみこは、

「ダメです!!!パソコンで調べなくても情報は得られるんですよ⁉第一、罠かもしれませんし、先に誰かが横取りしている可能性もあります。そんなところに行ったら、大変な目に合うかもしれません。キミコは、そんなところに行く気ですか⁉こんな危険なところは、早く脱出しないといけないっていうのに。キミコは、それを簡単にそっちのけにするんですか⁉鉱山というのは、命の危険が伴うんです。そんなところに行くなんて冗談じゃありません。」

私はそみこに言葉の必殺技を使う。

「チャレンジしなきゃ、何もわからないの。このまま、かわいそうなプログラミング会社を放っておく気⁉いつか、私達のテントに爆弾が仕掛けられたりしちゃうかもしれないの。プログラムが元に戻れば、犯人を捕まえられる手掛かりが入るかもしれないのに。インターネットなら、情報がたくさん入るってのに。そみこは、その希望とチャンスをつかもうとしていない。いつも、心配しているだけで、何にも行動しない。行動しなかったら、未来は変わらないの。行動しなきゃ、悪い状況がさらに悪い状況に変わっちゃうかもしれないの。そみこは、それでもいいの⁉確かに、本は情報を得られるけど、調べるのにはものすごい時間がかかる。それに、情報も古い。だから、インターネットを使うの。インターネットは間違っている情報があっても、調べるスピードは速くなるし、便利。例え、そみこがいやだって言っても私は出発する。そみこをテントにおいてね。私には、それくらいの覚悟がある。確かに、仲間と別れるのは寂しいけど。だけど……私には、それくらいの覚悟がある。」

すると、そみこはようやく言ってくれた。

待ち望んでいた、あの言葉を。

「わかりました。」

やった!!!

説得成功。

けれども、そみこの言葉にはまだ続きがあった。

「山は、準備しなければいけません。みなさん、準備したんでしょうか?」

せっかくのいいムードをぶち壊すなんて!!!

私は、怒りを抑えながら応えた。

「まだだけど、そみこが起きたら、準備しようって思ったの。まずは、酸素マスクがないとね。」

と、拳を握る。

そみこは、

「キミコ。まだ、朝の7時ですよ。幻高山はまだ夜中のように真っ暗です。まずは、道具を集めたり、朝ご飯を食べたりしてから、出かける準備です。」

と私の間違いを正す。

そして

「今日は、フルーツとパンを食べたいと思います。キミコ、フルーツは持っていますよね?パンは、私が昨日焼いた物があります。それを食べましょう。」

と言った。

私は、

「フルーツは、1人2個だよ。残しても良いからね。まあ、当分その気になるとは思えないけど。」

と肩をすくめる。

だって、食べるのはあの幻のミカンだもん。

しずきは、

「じゃあ、食べましょう。今日は朝から、アイテム探しをするわよ。」

と言った。

そみこは、あっという間に食べ終わり、言った。

「キミコ。さっき、酸素マスクって言いましたよね。酸素マスクは、ありません。消えてしまったようですね。酸素マスクは、あのテレビに足してきてもらってくださいね。」

私は、パンを頬張りながら、

「ひゃふぁひぃふぁ、パンひゃへぇてるふぁら、無理。」

と言った。

そみこは、

「キミコ、食べながら、返事をしないでください。行儀が悪いです。」

と注意する。

私はパンを飲み込むと、

「じゃあ、フルーツ食べよっか!!」

と、幻のミカンの実を出す。

幻のミカンは、見た目がめっちゃ奇妙なんだよね。

キノコみたいな形をしていて、派手な模様。

それを見ると、そみこは、

「これ、毒があるんじゃないですいか?」

と顔をしかめる。

私は、

「いいから、食べて!!」

と全力で言う。

そみこは、

「わかりましたよ。食べます。」

と、ついに食べた。

それを食べた瞬間…………

そみこは

「あれ、美味しい!」

と、次々に食べていく。

まさもやさいとも、パクパクと食べていく。

やった!

作戦大成功!!!

私も、ミカンを喉に滑り込ませる。

ミカンは、やはり絶品だった。

嚙んだ途端に、荷重が口の中にあふれ出ていく。

甘酸っぱい、オレンジ色の荷重が広がっていくんだ。

飲み込んだ後には、後味も楽しめる。

そみこは、

「これ、もしかして、幻のミカンですか?」

と聞く。

私はうなずき、

「じゃあ、お腹もいっぱいになったことだし、準備を始めようか!!」

と拳をあげる。

そみこは、

「わかりました。じゃあ、手ぶらで言った方が良いですよね。だから、準備した物はブレスレットの中にしまいましょう。キミコ、あのテレビをよんでください。」

と私に命令する。

私は、

「テ~レ~ビ!!!」

と思いっきり叫ぶ。

テレビは、

「はい、何ですか?」

とすぐに現れる。

私は、

「酸素マスクっていうアイテム、ちょうだい。」

とお願いする。

テレビは、

「う~ん。ただではあげれませんね。なら、今までためたコインがあります。それを使えば、できますが。」

と言った。

私は、ブレスレットをみてみる。

そこには、「100,000」と書いてあった。

じゅ、十万!?

こんなにたまっていたんだ!。

テレビは、

「1つにつき、5万円掛かります。キミコ。キミコは、5万円を払ってください。」

そう言って、私のブレスレットにタッチする。

その瞬間、テレビの中に沢山のコインが入ってくる。

そして、代わりに酸素マスクが1つブレスレットの中に入っていく。

そして、しずきは

「私、80,000よ。キミコよりも、バトルしていないから、あまり貯まらなかったのね。」

と言った。

そみこは、

「私は、99,000です。」

と自分の数字を言う。

さきは…………さきは、途中から仲間になったから、3,000だった。

私は、

「じゃあ、みんなの残りを合わせるから。えっと、じゃあ、私は3万。で、そみこは2万円。」

と言った。

さきは、なんとか酸素マスクを手に入れ、

「他にも、アイテムは必要ね。」

と言って、持ち物リストを書いていく。

そして、

「まず、酸素マスクを用意したわね。じゃあ、次は水筒。これは、ブレスレットの中に入れて。それで、その次は懐中電灯。そして、これも、ブレスレットの中。」

と説明する。

さきの説明は手っ取り早い。

私は、

「いれたよ。じゃあ、次は何?」

と聞く。

さきは、

「あとは…………とくにないかな。あっ、でも、食料はちゃんと持って行こう。まず、暖かい飲み物。これをたくさん持って行きましょう。でも、あっちではコケモモっていう、食べられる植物が生えているから、もし遭難しても、あまり食料の心配はないわ。じゃあ、これで、出発よ!!まず、テントを折りたたんでから、アイテムを作って、それから山に行きましょう。山はすぐ近くだから、普通にいけるはず。」

と言った。

意外にさき、高山の植物もよく知っている。

私は全然知らないよ。

高山は、ただ岩とか石ばっかりのイメージがあったけど、植物も生えるんだね。

でも、高山だと生きにくいと思うけど。

私はそう思いながら、手ぶらで出発しようとする。

その時、そみこが止めた。

「そのまま行くつもりですか?そのまま行ったら、凍え死にしてしまいますよ。」

すると、しずきが

「私、ちょっと心配で、いろいろな上着を詰め込んだの。6人分。予備だったんだけど、さきが着てくれて嬉しい。」

と、笑顔で言う。

そして、

「みんな、一番下には温かいヒートテック、次にハイネック、普通の春に着る服、セーター、カーディガン、パーカーを着て。その後はジャケットを着て。それで、レインコートを着て、それから、首には、マフラーをまいて、靴下も、ふつうの靴下の上にふかふかの靴下で行って。それで、靴はスノーブーツでお願い。それで、顔にはゴーグル。頭には帽子を付けて、下は今のズボンと、特別なズボンをはいて。動きやすい服とかだから、大丈夫。」

と言った。

ほんとだ!

重いはずなのに、体が軽い。

しずき、すごい!!

私はジャンプして、しずきに言った。

「これ、そのまま高山行った方が良くない?」

しずきは、

「そうね。そのまま行きましょう。」

と賛成した。

そして私たちは幻高山に出発したのだ。

ふう。

やっと幻高山に着いたよ。

しずきは、

「さあ、ここからが本番よ。手袋を付けて、行きましょう。」

と言った。

だけどさ、この崖、どうやって登れば良いの?

落ちたら死んじゃうよ!!

さきは、

「へこみやくぼみが全くないわね。さすが、幻高山。」

と感心している。

感心しなくていいよ!!

…………たしかに、全く、くぼみがないのはちょっと感心しちゃうかもしれないけど。

私は

「上の方に、くぼみがあるよ。あそこにロープを投げれば良いんじゃない?」

と聞いた。

しずきは、

「ちょっと待って。良いこと思いついた。あれに、ロープを引き寄せてもらいましょう。えいっ!」

と言って、ロープを投げた。

その瞬間、ロープはクルクルッとくぼみにひっついた。

やった!

作戦成功。

ロープは尖った石に結ばれたように、しっかりとしている。

さきは、

「世界最強の磁石を入れておいて良かった。これは、人がぶら下がっていても、落ちない磁力を持った磁石なの。幻高山は、磁力があるから。」

と言った。

さき、そんなこともわかっていたの!?

そしてそみこは、

「じゃあ、登り方のコツを教えます。」

と言った。

そみこはロープを自分の腰に巻き付け、体を斜めにして、岩に足をくっつけた。

そしてロープを伝って登っていく。

すごっ!!!!

そして、私たちもそのようにして登っていった。

その時。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!!!!

な、何!?

雪がどんどん、滑ってくる。

これ、雪崩じゃない!?

そみこは、

「みんな。崖に突き落とされてしまいます!!たくさん魔法を使って、雪崩を足止めさせてください!!!!」

と指示を出した。

私は、パソコンの技を使った。

その瞬間、パソコンから、大量の氷の結晶が飛び出した。

そして、そみこはいろいろな武器をぶちまける。

さいとは、氷結晶攻撃魔法と氷結晶守備魔法で雪崩を遅くして、最後にまさもが超強力メッサカリントンで、雪崩を消す。

はあっ、はあっ。

ただちょっと技を使っただけで、こんなに息が切れるなんて。

テレビは、

「ああ、それは、幻高山の大きな特徴ですよ。少し体を動かすだけで疲れてしまう。技でも同じ事が起こります。けれど、体力が減ったりするわけではありませんので、心配はしなくて大丈夫です。」

と言った。

えっ!!

ちょっと、それは先に教えてよね。

しずきは、

「まさか、回復魔法でも疲れてしまうなんて…………」

と、絶句している。

さきは、

「それは、調べてなかった。今、調べても手遅れね。」

とつぶやく。

テレビは、

「皆さんに、1,000コインで、疲れをとれるアイテムをお渡しします。いりますか?」

と聞いた。

私は、1,000コインを払って、残りは19,000。

そみこは、78,000。

しずきは、79,000。

まさもは50,000になっていて、さいとは34,000。

さきは、0コインになっている。

私は、

「じゃあ、そみことしずきで、さきの分を払ってあげて。」

と言った。

そしてしずきとそみこは1,000コイン払った。

そして、そみこの残りは77,000。

しずきは、78,000になった。

私は、19,000か…………

ひとまず、さきにコインをあげた方がいいかも。

しずきは、私と同じ事を思ったようで、

「さきとキミコにコインを分けた方がいいわね。じゃあ、私は13,000をさきにあげる。それで、私のは65,000になるわね。そして、そみこは12,000払って。それで、私と同じ数のコインになるわ。それで、まさもは50,000か……なら、さきに200あげて。それで、さいとは34,000だから、あげなくって大丈夫。これで、さきは27,000。キミコにもコインをあげないと。」

と言った。

さすがしずき、計算が速い。

そして、

「私は1,0000コインあげるから、みんなはあげなくて良いわ。」

と言って、自分のを私に分けてくれた。

私はお礼を言って、ふかふかの雪の上に座り込んだ。

しずきは、

「ちょっと休むとしましょう。疲れちゃったし。まさか、こんなに回復も遅いとは思わなかったわ。喋るだけで、ちょっと疲れちゃうもの。」

と言った。

そう。

大声で叫んだりすると、息が苦しくなる感じになるの。

だから、休息が結構必要なんだ。

私は、さきがくれた暖かい飲み物を一口飲む。

はあ、暖かい~。

ココア、最高!

私は、もう一口飲んでから、さきに渡した。

そして、さきがブレスレットの中に入れてくれる。

しずきは、

「疲れも治まったし、ちょっと登っていこう。どうやって登るのかが問題だけど…………」

とつぶやいた。

確かに、さっきの雪崩にめちゃくちゃにされてるもんね。

さきは、

「別の道を見つける?」

と、水筒をしまいながら言った。

私は、

「でも、横も塞がっていて、別の所はないよ。」

と反対する。

するとさきは、

「はぁ。雪かきスコップを持ってきたら、安全に脱出できそうだったのに。」

とため息をつく。

あっ、でも、あいつに頼めば…………

私は、

「テレビに頼んだら?」

とため息をつきながら言う。

あいつ、なんか生意気なんだよね。

しかも、調子がちょっと狂う。

でも、さきはうなずくと、テレビを呼んだ。

すぐに、テレビは現れる。

テレビは不満げに言った。

「なんですか、いちいち。私も仕事があって、忙しいんですよ。」

むっ。

また、生意気発言。

なら、こっちもお返ししてやる!

私は、テレビを捕まえて言った。

「へっぽこテレビ、早くアイテム出して。そうしなきゃ、捕まえたまんまにするよ。」

テレビは、

「はいはい。って、へっぽこテレビって、どういうことですか!!!」

と叫ぶ。

私は、

「さっきみたいなことを言うからじゃん!!自業自得だよ!!」

と叫ぶ。

…………ちょっと息が切れたけど。

テレビは、渋々と言った。

「ご注文、何ですか?できれば早めに。」

私は、

「雪かきスコップ。」

と即答。

ああ、もう。

テレビ、ちょっとは状況理解してよ!

私は、そう叫びたくなる。

でも、そんな私を無視してテレビは、

「ああ、ちょうどありますよ、最新型の、雪かきスコップをちょうど作っていたんです。今なら、10,000コインで買えますよ。」

とうなずく。

仕事って、それのことなの!?

くっだらない仕事。

そう思いつつ、コインを払う。

テレビは、

「じゃあ、説明書をよく読んで、使ってください。」

と言って消えた。

全くもう、逃げ足は本当に速いんだから。

とりあえず、スコップは手に入れた。

どんな機能が付いているんだろう?

私は、スコップに付いていた説明書を見る。

そこには、

「安心、安全なスコップ、それは、このA型最強便利スコップ。ボタンをポチッと押すだけで、様々な機能が!!超信頼できる、便利なスコップです!!普通の人には開発できない、優れもの!」

と書いてあった。

これは、宣伝なわけ?

たしかに、気になるけどさ、わざわざこんな風に宣伝しなくてよくない?

特に、「A型最強便利スコップ」の所とか。

ただの自慢にしか聞こえないんですけど。

私は、次のページを見る。

そこには、ちゃんとした説明が書いてあった。

「この商品を使ってくださる皆様へ  このスコップは、ボタンが3つあります。上の方から、解説していきます。まず、一番上のボタンは、『雪吸い込み掃除機』です。雪を吸い込むことができます。そして、これはふつうの掃除機ではないところがあります。この掃除機は、掃除機のボタンを押すとき、長押しすると、今まで貯め続けた、雪を解放できるんです!それを止める為には、もう1回、長押しすれば、止めれますよ。そして、なんとこの掃除機は、やろうと思えば、永遠に吸い込むことができるんです。そして、掃除機はボタンを1回押すと、止まります。2つ目のボタンは、『目的地マップ』です。目的地を喋ると、そこに行くためのマップが出てきます。その時、手に映し出されるので、一瞬ビックリするかもしれませんが、人体にはなにも影響はありません。3つ目の装置は、『エネルギー満タン特別機能』です。体のエネルギーが満タンになる機能です。これらの装置を付けたので、皆さんで協力して使ってください。」

…………なんかただの自慢みたいな所もあるんだけど。

みんなも、もう読み終わってるね。

よーし、行こう!!

私は、掃除機のボタンを押して、雪を吸い込み始める。

わ、思ったよりもスムーズに吸い込める!

しずきは、

「じゃあ、いったん、一方向に進んでいきましょう。」

と指示を出す。

そして、そみこはマップを開き、

「みなさん、進んでいる方向は合っています。けれども…………後ろから、何者かが付けていくんです。エネルギー満タン特別機能を使ってください。」

と言った。

私は、エネルギー満タン特別機能を開いた。

そして、何者かが、私達のそばにやってくる。

この人、プログラムを書き換えた人なんじゃない!?

そいつは、

「ふふふ。おまえ達が、私にプログラムを渡してくれれば、あのプログラミング会社の人たちは助かるだろう…………」

と、いやらし~いことを言ってくる。

そみこははっきりと、

「私達は、あなたたちには協力しません。」

と言った。

さきも、

「あなたたちは、武器を持っているでしょうけど、人数ではかなわないわ…………早く、このプログラムを元に戻して。」

と男達を睨む。

その人(ああ、もう言いにくい、プログハンでいいや。)は、

「俺は、プログラムを元に戻そうとしているだけだ。そんなことはしない。」

とはっきり言った。

けれども、さきは、

「じゃあ、プログラムを書き換えたと思う事を言います。あなたたちは、どうして、会社の人が助かるだろうといったのですか?私が電話した後、誰かが電話をしたりはしていませんでした。」

と言った。

おお~、さき、見事な推理!

そういえばこの前、雨粒名探偵レインの新作アニメが発表されたんだっけ。

あれ、見るの忘れてた!!!

プログハンは、

「偶然、その少女達よりも前にしたんだろう。」

と反論する。

さきは、

「電話していたなら、電話をできる機械を持っているはずですよね。それを、出してください。」

と言った。

でも、プログハンはまた言い返す。

「それは、今持っていないんだ。わざわざ、こんな山に行く奴がタブレットやスマホなど、持っていくと思っているのか?」

そう言って、

「これで、俺たちのことは怪しくないって証明しただろ。さっさと、プログラムを出せ!」

さきは、男の指を見ると

「そういえば、あなたはマニキュアをしているんですね。」

と言った。

プログハンは、少し早口で

「これは、ちょっとした趣味なんだよ。」

と怒ったように言う。

さきは、首を振る。

「いいえ。それは、趣味ではありません。あなたは、森林図書館にいた人ですね。そのマニキュアが証拠です。私は偶然、森林図書館であなたたちを見つけたんです。その時、女の人に変装していましたよね?その時、これと同じ柄のマニキュアをしていました。」

さき、この人のこの人知ってるんだ。

さきは、

「そして、私は、あなたたちが変装した、女の人の写真を撮りました。見せてあげましょうか?」

と言って、カメラを見せた。

プログハン達は、まだ反論する。

「ふん、同じ柄のマニキュアだからって、証拠だと言い張るんじゃない。別の所に売っているマニキュアかもしれないだろ。」

と笑う。

さきは、はっきりとした口調で、証拠を伝えた。

「じゃあ、徹底的な、写真を見せてあげます!新聞に書いてありました。ハッキングの天才、ワルオミです。ここの写真の、この人の顔、口の所にほくろがありますよ。これが、徹底的な証拠です。そして、口に傷もありましたね。そのマスクを取って、口の所を見させてください。それで、この新聞が届けられたのは、一週間もしていない頃です。傷は、薄くなっているでしょうけど、まだ完全には消えてないはずです!!ましてや、ほくろは絶対に消えません!」

プログハン達は嫌な笑い声を立てる。

「ばれちまったら、しょうがない…………だが、こっちには何十人ものの兵士と、ハッキングの天才がいるんだ。おまえらに、勝ち目はない。」そういった瞬間、ワルオミが襲いかかってくる。

私は、1人の攻撃をなんとなくかわす。

ところが、もう1人に腕を捕まれてしまった。

身動きができない。

助けて!

すると、そみこが叫んだ。

「みなさん、天使羽!」

そして、その時、まさもも押さえ込まれてしまった。

そみこは、天使羽で、プログハンをかわす。

けれども、プログハンは私を縛り上げ、絶壁からつるしてしまった。

下は、普通の地面。

落ちたら、けがしてしまう。

プログハン達は、

「俺たちを襲ったら、こいつの縄を切るからな!」

と脅してくる。

どうしよう、そみこ達は、もう無理みたい。

そして、そみこが小声で

「キミコ、しずきたちに攻撃してもらうので、落ちてください。その時、私が天使羽を付けます。」

と作戦を伝えた。

私はうなずいて、しばらくじっとまっていた。

その時、タイミングを見計らって、さいとが攻撃をした。

その途端、私は縄を切られ、真っ逆さまに落ちていった。

すると、間一髪でそみこが天使羽を付け、私を救ってくれた。

私は、天使羽で、頂上に一気に行く。

しずきちさいとも、ダッシュで頂上に向かう。

ところが、飛ぼうとした私の羽を、プログハンはつかみ、私は縛られて、羽を没収されてしまった。

しまった、プログハンのこと、すっかり忘れてた!

そみこは、一度だけ振り返ると、

「必ず、助けます。少しだけ、待っていてください!」

と叫んで、頂上の方へ向かった。

もちろん、スコップを持ったまま。

うう。

っていうか、二重で縛るなんて、きいてないよ。

まぁ、1回脱走しそうになったからしょうがないかもしれないけど。

その時、そみこがプログラムの紙を持ってきて、プログハン達の所へ行った。

プログハン達は、

「ここに降りてきたからには、絶対、おまえ達に紙を渡さないからな!!!」

と憎々しげに言う。

すると、しずきが叫んだ。

「そこまでしつこく、私達を狙ってくるのなら勝負しようじゃない!プログラムの紙は、取らせないわ!取れるものなら取ってみせなさいよ!」

げっ、しずき、ケンカを売っちゃったよ~!

するとそみこはすぐに、ブレスレットにプログラムの紙を入れる。

そして、

「私達は、プログラムの紙をどこかに埋めておきます。暗号が解けたなら場所を教えてあげますよ。暗号解読が成功したらですけどねっ!!」

と言って、今まで貯めていた雪を一気に噴射する。

そして、自分が持っていた暗号の紙をまき散らし、そみこと私が以外のみんなが、地面に氷を思いっきり、叩きつけた。

ボフンッ!!!!

煙が巻き起こり、プログハン達は思わず目をつむってしまう。

やった、成功したんだ!

みんな、頑張って!!!

今までとは比べものにもならない、敵。

でも、私達は絶対に勝ってみせる。

メリット
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第10章:新しい土の中の秘密基地

しばらくすると、そみこ達が戻ってきた。

良かった!!

でも、私、手伝えることが全くないんだよね…………

って、さきは!?

そみこは、

「さきには、プログラムを元に戻してもらっています。そして、プログラムを書き換えれないように、設定もしてもらいます。もう、あなたたちが書き換えることはできませんよ。」

と言った。

なるほどね、役割分担したんだ。

私も、頑張らないと。

すると、そみこはいきなりハリハリミコサーを使ってくる。

けれどもプログハン達は、それを剣でたたき落としていて、全くの無傷。

どうしよう、ハリハリミコサーが…………

その時、私はプログハン達が持っている剣を見て、そみこの狙いに気がついた。

そみこ達の本当の狙いは、武器をなくして、攻撃しやすくすることだったんだ!

そして、まさもが前から、超強力メッサカリントンを放った。

プログハン達は、ジャンプしてかわす。

メッサカリントンは一瞬で通り過ぎるから、ジャンプしたらよけられるようになっている。

しかも、メッサカリントンは崖の方へ。

もちろん、私は崖の所にいる。

私は、できるだけ頭を低くして、体を崖に貼り付ける。

そして、ブレスレットにある、天使羽を取り出した。

うう。やりにくい。

私は、無理矢理背中に羽を付けると、ちょうど持っていたはさみで縄を切る。

体は、下に向かって、まっしぐら。

っ!

やばい、ぶつかる!

でもっ、ここで…………諦めてたまるもんか!

私は死にも狂いで体を上向きにする。

そして、急上昇すると、縛られているまさもが目に入った。

まさも、捕まっちゃったの!?

早く、助けないと。

私はみんなに

「みんな、いったん、逃げて!!!!!!!」

叫ぶ。

そして、その瞬間にプログハンは動いて、そみこ達を捕まえようとしてくる。

そして、その時にまさもが飛び出す。

縄を切って、脱出したんだ。

まさも、危ない!

そう叫ぶ前に、まさもは腕を捕まれてしまった。

そして、その腕がスポンと抜ける。

ぎ、ぎゃああああああああああっ!!!!!

私は心の中で大絶叫する。

そして、その腕の中には、カードが入っていて、

「引っかかったね!」

と書かれていた。

そして、ようやく我に返ったプログハン達が上を見上げた頃には、私達はもういなくなっていた。

さっきのは、本当にビックリしたよ。

まさもはスポッと腕を出して、

「ビックリした?腕を捕まれそうになったら、こうすればいいんだよ。」

と、得意げに胸を張る。

っていうか、なんでそんな物を持ってきてるわけ?

まさもはマジシャンだから、そんなの当たり前かもしれないけど。

まあ、大変な状況から切り抜けたのは確かだね。

するとそみこが、なぜか厳しい顔(厳しい顔はいつものことだけどさ)、で言う。

「さっきの奴、やっかいですよ。だって、こんなか弱い子ども達に、銃を向けて、発砲するんですよ!?発砲犯罪です!!」

じゅ、銃!?

っていうか、私達、か弱い子ども達じゃなくない!?

何でそうなるわけ?

これは、そみこの全然おもしろくない冗談かな?

そみこ、頭が石みたいに固いから。

そみこが精一杯出した、初冗談!

今にもケーキが出てきそう。

そみこは、私が目をうるっとさせているのを見て、顔をしかめた。

でも、私の方を必死に向かないようにして言う。

「じゃあ、作戦を立てましょう。まずは、あの男達の特徴や弱点、長所、武器などをノートにまとめましょう。それを作戦に活かしていけば、勝つはずです。」

私は、そみこの発言をばっさり切り落とす。

「そんな細かいことやってたら、日が暮れちゃうよ。そんなことしなくても、あの男達には勝てるんじゃないの?」

その時、後ろから声が聞こえてきた。

「あの男達は人間よ。武器もたくさん持っているし、なによりパソコンのプログラムを破壊できる知識を持っているわ。」

この声は…………さき?

さきの声って、みんなよりも不思議な響きがある。

ふんわりとした声。

でも、どこかはっきりとしたさきの意志が宿っている。

優しくても、はっきりした声。

こんな声を出せるのは、さきくらいだけ。

この中で一番さきと声が似ているのは、多分しずき。

でもしずきの声は…………ちゃんと意志は宿っているけれど、はっきりした響きがない。

怒っている時は、声が別人みたいに怖くなるけど。

すると、右の方からしずきも意見を口にする。

「私たちよりも、いろいろな能力は勝っているのよ。そみこの言う通り、ギリギリまで作戦を立てて、攻撃した方がいいわ。攻撃は、明日からにした方がいいと思う。明日は辛くなるから、今日は作戦を立てるだけでいいわ。」

そみこは

「じゃあ、作戦を立てましょう。その前に、テントを移動した方が良いとは思いますが…………」

と心配そうにブレスレットをいじる。

しずきも頷く。

「そうね。ちょっと移動しましょう。プログハン達もすぐ来ちゃうだろうから。だから、みんなで穴を掘って。それで、テントを埋めるの。みんな、雪かきスコップ、まだ持ってる?それで穴を掘るの。」

そして、私達はなんとかテントを埋められそうな穴を掘ることができた。

テントはけっこう大きい。

だから、すごい掘らないといけないんだ。

終わった時には私達全員、気絶しそうだった。

そして、テントを埋め、中に入る。

テントはすっぽり入っていて、周りの幅も結構ある。

するとやっと息切れから立ち直ったまさもが、

「じゃあ、土をかぶせて、見つからないようにするね。」

と汗を拭きながら言う。

私はうなずき、秘密通路を作り始めた。

そして、外まで穴を掘り、土をかぶせる。

これで、大丈夫。

私達はテントの中に入る。

しずきは、

「ここは暗いから、灯りを付けるわね。」

と電気に向かって、リモコンのボタンを押す。

そしてそみこは、

「私がノートに意見を書くので、みなさんはどんどん意見を出してください。」

とキビキビした声で指示を出していった。

私はいすに座って発言する。

「じゃあ、まずはあの男達の特徴を書こう。」

と言った。

私たちはどんどん手を挙げ、最終的には

「パソコンのプログラムを破壊できる」、「かなり用心深い」、「たくさんの男達を連れている」、「いろいろな武器を持っている」、「ジャンプ力が高い」、「プログラムを奪おうとしている」、「戦闘能力も結構高い」

というような意見が出てきた。

しずきは

「もはやそれ、長所になっているわよ。」

と苦笑している。

た、確かに。

全部、長所になっている…………

そみこは、ものすごい速さで鉛筆を走らせて、特徴を書いていった。

しかも、全然字が汚くない。

どうしたら、そんなことができるの!?

まさもでもできないような芸当…………

私はため息をつく。

「最初、作戦を立てるの、楽しいかもって思ってたんだけどなんかやる気がなくなっちゃった。ゲーム的にやれたらいいんだけど。」

すrつお、しずきが提案してきた。

「じゃあ。次は弱点ね。まさもから、時計回りでいきましょう。それで、最後まで意見を言い続けた人が勝ち。」

と面白ろそうな遊びを提案してきた。

よ~し、やってやる!

まさもは、少し迷ってから言う。

「え~と、戦っているときは、他の所には注意を向けない!」

私も続けて、

「偽物に弱い!!しずきは?」

としずきの方を見る。

しずきも首をかしげて言った。

「う~ん、観察力が足りない、かしら?まさもとかはどう?」

「いつか、ぼろを吐いてしまう!!」

確かに、さきが見事に推理しちゃったもんね。

う~、もう見つからない!

しずきたちも、ギブアップ。

今回は、まさもの勝ち!!

ちょっとあり得ない。

あの、勉強とかすごい無理なまさもが!

言葉の授業とかだと、いびきかきながら眠っているまさもが!

この苦手そうなゲームに勝つなんて!!

まさに、奇跡じゃない!?

次は、長所。

うう、長所だと、たくさんありそう。

敵の長所なんて、あんまり言いたくないけど、勝つためにたくさん言わなくちゃ。

さっきの特徴は無しで、まさもは、

「ジャンプ力が高い」。

で、私の番。

私は、「ハッキングの天才」。

その時、さきがボソリと言った。

「あと、縛るのが大得意。」

た、確かに、私を縛るときも、上手だったような気がする。

しずきは、

「えっと、剣や銃の使い!」

と言った。

まさもも続けて、

「戦闘能力がめちゃくちゃ高い!まぁ、私ほどじゃないけど。キミコは?」

と聞いてくる。

まさも…………

それ、自慢って言うんだよ。

私は、呆れながら

「不適!」

と叫ぶ。

しずきは、首を振った。

「私、ギブアップ。まさもは?」

まさもも、

「私もギブアップ。キミコもそうでしょ?」

と言ってきた。

ふっふっふっ。

私は、心の中で高笑いする。

そして、“心の中”の高笑いをついにこらえきれず、声に出してしまった。

「ふふふふふふっ。えへへへ。あはははははっ!」

その様子を、まさも、しずき、そみこが気味悪そうに見つめている。

「キ、キミコ。もしかして、幽霊が乗り移ったの?」

まさもが不安そうに聞く。

もう、笑いが止められない。

「オホホホホホ。えへへへっ。あははははっ。」

「キ、キミコ、怖いです。やめてください。」

そみこが後ずさりしながら言う。

すると、しずきが言った。

「そ、そみこ。キミコを止める為にそみこの得意技、お願い。」

そみこが、一歩前に出た。

私は、床でジタバタしながら笑い転げる。

その腕を、そみこに掴まれた。

そして、足を払われる。

私の笑みと笑い声は、一瞬で消え去った。

体が宙に浮かぶ。

やばい、逆立ち状態!

これって、そみこに投げられるパターン!?

そみこめ!

私は、投げられそうな仕返しにそみこの顔面を思いっきり蹴る。

その瞬間、そみこの腕の力が弱くなる。

やった!

そして、そみこがゆっくりと後ろに倒れていく。

私はぎょっとして、そみこの頭から手を放し、しずきの頭へと逆立ち状態で飛び移ろうとした。

ところが、逆立ちの状態だったので、バランスを思いっきり失った。

うわあっ!?

すると、そみこが私の手を掴んだ。

その力で、私はさらに下へ落ちる。

しかも変な向きで手を握られたせいで、私の腕がねじれる。

私が落ちようとしていることを悟ったそみこは慌てて腕を振り上げ、そのまま私を投げ飛ばした。

私は、なんとか逆立ち状態で着地する。

でも、落ちたときの衝撃がすごすぎて、そのまま後ろにひっくり返った。

た、大変だった…………

私はそう思いながらも余裕そうな笑みを浮かべた。

「私にはまだ残ってるんだよ、敵の長所がね。」

まさもは、首をこちらに伸ばしてくる。

「まだあるの?なに?」

私は、

「動きが素早い!」

と応えた。

やった!

勝ち確定。

しずきは、

「今回の優勝者は…………キミコ!」

と私の名前を呼ぶ。

勝てたー!

しずきは、

「じゃあ、次は武器…………ね。」

と言う。

まさもは、

「剣!」

と叫ぶ。

私は「縄」で、しずきは、「銃。」と言った。

その時、さいとが、とんでもないことを言ってくる。

「あと、弓矢も持っていたよ。」

えええっ!?

ゆ、弓矢を持っていたの!?

さいとは、

「逃げるときに見つけたんだけど、どうかな?情報として役立つかもしれない。」

と言った。

そして、まさもは

「えーと、なんか天使羽みたいなのを持っていたような気がする…………」

とつぶやく。

私は、

「なんか石ころがあったよ。」

と必死に記憶を思い出す。

しずきは、

「あと、なんかわからないけれど、鉄の棒を持っていて、トゲラみたい、って思ったかしら。」

と言った。

そうなの!?

まさもは、

「もう、これ以上思いつかない。」

とギブアップしてしまった。

私も、ネタ切れ。

そういうわけで、ギブアップ。

しずきは、

「酸素マスクがあったわよ!」

と最後まで言い切った。

ということで、今回の勝者はしずき。

ようやく、そみこも書き終えたみたい。

そみこはこちらを睨んでいる。

ごめ~ん、そみこのことを忘れてたみたい。

そう思って、そみこの方を再び見ると、そみこが

「みんなは、意見を言うだけでさぞ嬉しいでしょうね!」

と私たちをにらみつけて言った。

そみこが怒ってる!

でも、そみこはいつも怒っているから、全然怖くない。

ただまた、さっきみたに投げられたらたまんないよ。

しずきは、

「そみこ。ひとまず、いろいろノートにまとめられたし、作戦を立てない?」

と助け船を出してくれた。

しずき、ありがとう!!

そみこは、

「わかりました。いつまでも、こんなことをしていたら日が暮れてしまいます。」

とため息をつく。

ほっ。

よかった~。

しずきは、私とまさもに目配せしている。

「ほら、そみこはこうやて落ち着かせるのよ。」

と目が言っている。

そみこは、

「弱点が少ないですね。どうすればいいのか…………弱点が簡単に作れるならいいんですが。」

と考え込む。

はあぁ。

私は心の中でため息をつく。

こっちの人数が多かったらなあ。

あ、でも!

こっちも、数を増やしたりできる。

あそこに行けば、できる!

今までは無理だった、新しい方法。

突然変わった私の明るい顔を見て、そみこがばっと身を乗り出した。

「キミコ、なにか思いついたんですか!?まさか、作戦とか!?」

私は、自信満々に言った。

「わかる?そみこ、さっき、『弱点を作ればいい』って言ってたよね。それがヒントになったの。」

そみこは、首をかしげる。

「弱点を作れるわけ、ないじゃないですか。そんなの、難しすぎます。」

私は、肩をすくめる。

「私達の弱点はね、人数なの。だから、人数をあいつらよりも増やして、弱点を作ればいいんだよ。でしょ?弱点はちょっと考えれば作れるの。」

そういうと、そみこが眉をひそめる。

「どうやって、弱点を作るんですか?」

私は言った。

そみこの方ではなく、さきの方を見て。

「さきの得意分野…………ロボットで、人数を増やすの。」

そみこは、

「でも、そもそもロボットなんて作れません。しかも、プログラミング会社がどこにあるかがわかりません。なので、そこからロボットをもらうことは不可能です。」

と反論した。

冒険の最初で見つけたでしょ、マップを…………

そみこは、私の心を読めたように、

「あ、もしかして、あのマップに…………!」

と叫ぶ。

私はこくりと頷き、

「そう。マップで位置を調べて、あのロボットを借りれば、人数が増えるってわけ。」

と言った。

そみこは、

「でも、あそこにロボットがあるとは限らないですよ!」

と再び叫んだ。

私は、

「プログラムをコントロールする人達なら、当然ロボットがどこかに置いてあるはずだよ。そのロボットのプログラムを書き換えて、私達の味方にすれば、ちょっとは勝つ確率が上がるでしょ?」

と言った。

ふふ~ん。

我ながら、いい作戦。

まぁ、この冒険のリーダーであり、この中で一番運動神経がよく、一番かわいい私にしては普通のことなんだけどね。

そみこは、私のそんな鼻高々ムードを一瞬にして叩き壊す。

「それはそうですが、どうやってプログラムを書き換えればいいんですか?」

私は、自信満々に仕事をさきに押しつけた。

「大丈夫。さきの実力を信じよう。さきなら、プログラムを書き換えることは、できるはず。」

さきは、ぐっと拳を握り、私達が待ち望んでいた言葉を言ってくれた。

「私、やってみる。ただ、あの人達がロボットのプログラムを書き換えたりしなければの話だけど。」

ただ、幸せは前半のことだけだった。

プログハンがプログラムを書き換えてしまうかもしれない。

ううっ、天国から地獄に突き落とされた気分!

私は、モットーの「なにも考えないで、ひたすら突っ走る」を使って、

「失敗しちゃったなら、その時に考えればいいでしょ。でも、挑戦しなくちゃ、なにも変わらない。だから、チャレンジしてみようよ、あの人達の悪巧みを、止めたいんでしょ?」

とはっきり言った。

すると、さいとが言った。

「いい作戦だね。」

やったぁ!

褒めてもらえた。

キミコ、嬉しいっ♡

な~んて、そっちの方で喜んでいる場合じゃない。

作戦、全部説明し終わったっていう方で喜ばないと!

そう浮かれていた私に、さいとが地獄の言葉を言った。

「ただ、その後はどうするつもりなのかな?キミコの顔を見てみると、作戦を説明し終わったー!なんていうように見えるけど。」

か、完全に図星なんだけど。

さいと、人の心を読めるの!?

もしかして、チョウノウリョクシャ!?

ま、まぁ、いちおう先生だから、そういうのは慣れてるんだろうけどさ。

さいとは、私の「図星」という言葉を待たずに続けた。

「その後の作戦、みんなで考えようか。あの人達は人間だから、私達の作戦も、言葉に出すとすぐに感づかれてばれてしまう。だから、『作戦1!!』とか言って、どうにかした方がいいと思うよ。」

たしかに、そこら辺は今までと違うね。

今までは、モンスターとかだったもん。

トゲラとか、みそらとか!!

テレビもいまいち謎だけど、敵ではなさそう。

だって、サポートしてくれているんだもんね。

まあ、最後に私たちを倒す………っていうやり方はあるけど。

まあ、そんなこと考える敵はあんまりいないだろうから、今考えてもしょうがない。

さきは、

「じゃあ、プログラミング会社の監視カメラをハッキングできるようにして、準備しておくわね。」

とパソコンを開いて、操作し始めた。

しずきは、

「じゃあ作戦の続きを立てるわよ。まだ、バトルする作戦は未完成だから…………」

と考え込む。

トゲラみたいに極端な敵じゃないから、騙すのは難しいだろうし、すぐ気持ちも通じちゃうから、かなり大変な敵なんだよね。

でも、言葉を利用して、騙すっていう方法もあるけど。

さっき、まさもがやった方法ではひっからないだろうし、言葉で騙すのもあまりいい考えとはいえないんだけど。

あー、難しい!

でも、バトルできなかったら、今までやって来たことが水の泡だし、招待状でも送りつけてやろうかな。

この方法、いいかも。

でも、問題はどうやって、あのプログハン達に招待状を送りつけてやろうかっていうことなんだよね。

その時、なぜかマップを持っていたそみこが、

「みなさん、プログハンの居場所を掴みました。そこで、またバトルしましょう。でも、プログハン達をどうやっておびき出せるのかが問題です。」

そみこも、私と同じ事を考えていたんだ。

私は、適当に作戦を考える。

「今、天使羽で、招待状を送ってあげればいいじゃん。まずは、紙を取り出して『明日、戦った者が来る。時間は…………』っていう感じに。時間は何時にしよう?」

そみこは、考え込む。

「そうですね。じゃあ、1時30分からにしましょう。今回のバトルは、さき無しで戦います。さきは、テントでロボットを操作して、頑張ってください。今回のバトルは、さきがちゃんとロボットを操作してプログハン達を追い詰められるかが、鍵です。」

と言った。

えっ、さき無しで戦うつもり!?

それだと、さきが持ってるプロペラミキサーも使えなくなっちゃうよ。

プロペラミキサーって強い技だから、使った方がいいと思うんだけど。

そみこは、

「さきのプロペラミキサー無しでも、こっちにはたくさんのロボットがいるんです。大丈夫ですよ。」

と説明した。

なるほど、だんだん、意見がまとまってきたね。

私は、

「そろそろ、意見が増えてきたから作戦をノートにまとめない?まず、段階1。『招待状を作って、天使羽でプログハン達の所へ行き、招待状をばらまく。』」

と作戦を言った。

しずきは、

「戦う前に、アイテムを補給した方がいいわ。その次に、アイテムを作ったらどうかしら。」

と言った。

私は、しずきの言ったことをまとめる。

「『段階2。森で、弓矢などの新しい武器を作る。』それで、『段階3。さきは監視カメラをハッキングして、私達はプログラミング会社に向かい、ロボットを借りる。その時さきは、そのロボットのプログラムを書き換える。』でいいんじゃない?」

そみこは、

「そうですね。で、戦うときの作戦は、ありますか?」

と聞いてきた。

私は、

「じゃあ、最後はまさものデスノコローノーゼでやっつけない?」

と言った。

デスノコローノーゼ、カッコイイもん!

そみこは、厳しい目で私を睨む。

「技を制限してしまうと、作戦がうまくいかなかった時に、困ります。そんなことも、わからないんですか。」

うっ、そんな目で見なくてもいいじゃん…………

私は少しひるむ。

そんな私を無視して、そみこが言った。

「順番に考えましょう。じゃあ、さきのロボットでプログハン達を追い詰める、という感じでいきましょうか。で、そのロボットが具体的にどんな形をしているのかがわかればいいんですが…………」

その時、プログラミング会社の事を調べていたさきが叫んだ。

「みんな!今、ロボット倉庫に、プロペラ高速飛行ロボットがたくさんあるみたいよ!!ロボットのビデオがあるんだけど、見る?」

見る、見る!

そみこは、さきのパソコンに集まる私達を押しのけて叫んだ。

「そのロボットのプログラムを書き換え、味方にしましょう。さき、ありがとうございます。じゃあ、動画を見てみましょう。なにかわかるかもしれません。」

そして、さきが動画を見る。

もう、プログラムを元に戻したんだ。

さき、やっぱり学年一のコンピューター天才だね。

コンピューター作業が早すぎる!

さきは、パソコンの画面をタップして、映像を見る。

「このプロペラ高速飛行ロボットは、戦闘能力と守備能力が抜群!いろいろなことに使えます。自分のパソコンでプログラムを作れば、どんなこともやってくれる超便利なロボット。それに、人間を乗せて、空を飛ぶということもできます!今ならパソコンも、半額で売っています!」

これ、結構いいロボットだね。

今回のロボットにピッタリ。

さきは、

「じゃあ、このロボットを借りて、あのプログハン達を追い詰めましょう。じゃあ、具体的に説明するわね。まず、私達は岩に張り付くように立つの。それで、プログハン達は、私たちを追い詰めようと近づく。そしてキミコは『作戦1!』と叫んでちょうだい。それで、その時に私がプロペラ高速飛行ロボットを送り込み、プログハン達を追い詰めるのよ。それから、プログハン達を追い詰めた時に、みんなは技を使って、攻撃してちょうだい。そして、作戦1って言う時に、私が自分で作ったメガホンで叫んで。ロボットを送りこむことに成功したら、私が『作戦1成功!』って叫ぶから、待っていてね。」

と作戦を説明してくれた。

よ~し、頑張らないと!!

さきは舞い上がって喜んでいる私を見て、

「でも、くれぐれも油断しないで。森林図書館でロボットに散々追いかけ回されたでしょ?」

と注意してきた。

うっ、あの時は、本当に大変だったもんね。

油断しないように、気をつけないと。

ちょっと、無茶かもしれないから、成功しない確率もあるし。

まあ、気楽に進んでいく方がいいよね!

うんうん、「笑う門には福来たる」だし。

しずきは、

「じゃあ、早速作戦の『段階1』をやりましょう。私、紙と鉛筆を持ってきてるから、それで書くわ。6枚くらいにする?全員で1枚書いて。」と言った。

私たちはしずきの意見に賛成する。

しずきは、

「ちょっとわがままを言うと、1人の人と同じような字を書いて欲しいの。だから、私を参考にして字を書いてもらえないかしら?」

と言った。

は~い!

私は元気よくうなずき、招待状を書き始めた。

カリカリ。鉛筆を動かす音が響く。

そして、招待状を完成させると、私はテントの外に飛び出した。

そして幻高山へ向かう。

幻高山では、あのプログハン達が頂上に着いたみたい。

遅っ!

私は驚く。

さっきから1時間以上経ってるんだけど。

そこだけは、運動神経全然良くない。

私はそう思いながら、招待状をばらまく。

するとプログハン達が、

「何だ?これは!!」

叫んだ。

プログハンの1人が言った。

「さっき戦った奴らが配ったんだろう。つまり、上空にいるということだ。俺達には、さっき完成させたジェット機があるんだ。ロージー、行ってこい!」

なっ、ジェット機!?

逃げないと!!

私は、もっと上へ行き、猛スピードで上空を進んだ。

その時、ジェット機に乗ったプログハン達が追いついてきた。

うそっ、こんな数秒で、こんな所につくわけ!?

ああ、急降下して、テントに戻れば良かった!!

でも、後悔しても仕方がない。

私は、光の檻を出して、ジェット機を目がけて飛ばした。

今のうちに、時間を稼いでおかないと!!

私は急降下して、ジェット機との距離をはなす。

ところが、ロージーを乗せたジェット機は、しばらく動けないでいたが、光の檻を弾き飛ばしてしまった。

どうしよう。

私は、急降下しながら、サッカリミリントンを思いっきり、ジェット機目がけて飛ばした。

ジェット機との間、どんどん伸ばしておかないと、追いつかれちゃう。

またしても、私の放った本は、効果無し。

ジェット機は、どんどん近づいていく。

そして、私の腕をとうとう掴んでしまった。

スポン。

なぜか、腕が簡単に抜けた。

そこには、私の本物の腕が。

ま、まさもが、こっそりやったんだ。

全くもう。

でも、おかげで命拾いしたよ。

私は、テントを目指して飛んでいく。

ジェット機がスピードを上げて、私に追いつこうとするが…………

シュウウウウウウ。

ゴー。

妙な音を立てて、ジェット機が故障した。

やった。

今だ!!

私は、テントの所へ向かう。

そして、穴の中に入れば、もう一安心。

プログハン達が近くに来て、

「あ、あいつ、どこに行ったんだ?まあ、招待状は受け取ったから、その時間になったら姿を現すだろう。今度こそ、決着を付けるぜ。」

と言う声が聞こえてきた。

ふう。

どうにか、場所はばれなかったみたい。

テントの中に入ると、みんなが集まっていた。

そみこは、

「どうでしたか?」

とのんきに聞いてくる。

私は、

「プログハン達が、ジェット機で襲いかかってきて、間一髪でここに飛び込んできたの。まさものおかげで、命拾いしたよ。一回、腕を捕まれてその時に腕が抜けて。ほんと、ビックリした!!」

と、これまでの状況を説明した。

あのロージーというやつがメチャクチャだったんだよね。

リーダーみたいなのではなさそうだけど、かなり危険な存在といえる。

追いかけられたのが私で、本当に良かったかも。

そみこ、まさも、さいとはまだしも、さきやしずきは、運動神経が良いというわけではないからね…………

まあ、しずきは走るのも別にできるけどさ、飛ぶのにちょっと慣れていないみたいだから…………

今度行ってもらうときは、そみこかさいと、まさもにしてもらおう。

私は、もう怖くなっちゃった。

飛べない奴ならいいけどさ、さっきみたいなのはやだ!

しずきは、

「招待状を配ったことだし、アイテムを集めに行く?材料をまず集めた方が良さそうね。じゃあ、そみこみたいな弓矢を作ったり、槍をたくさん作ったりして、頑張りましょう。」

と言った。

頑張って、アイテムを作らないと!

そみこは、

「あの、アイテム探しのアプリを使ったらどうですか?今はそのアプリを使えるので、やってみてもいいと思います。」

と提案してきた。

もう、そのアプリは使えるようになったもんね。

しずきは、

「わかったわ。じゃあ、開いてみましょう。」

と言って、パソコンを開いた。

そして、アイテム探しのアプリ開く。

今回は、うまくできそう。

しずきは、早速アプリを起動させ、ページを開く。

そこには、ちゃんと説明書や写真が載っていた。

よかった~、なんか、嫌な気配を感じたから、またハッキングされたのかと思ってたけど、そうではなかったみたい。

ところが。

さきが、

「あっ!!」

と叫んで、こう言った。

「これ、プログラムが組み込まれてる。多分、あそこのパソコン以外でここのページを開いたときに、コンピュータウイルスが発生するような仕組みになっていたんだわ。もう、ここの情報はプログハン達にコントロールされちゃっているのね。もう、私たちの手では止められないわ。データはたぶん、全部消滅してしまうはずよ。早く、元に戻さないと。」

えええっ、コンピュータウイルスがでたの!?

さき、なんとか止めて!!

さきは、

「そうだ。アイテム探しのアプリは、まだ支配されてないかも。ちょっと待ってて。プログラムを書き換えれる装置を、テレビに用意してもらったの。それで、アイテム探しのプログラムを元に戻せばいいわ。じゃあ、ちょっと待っていて。」

と言った。

なんか、嫌な予感がしたんだけど、それの正体はこれだったんだね。

その時、

「よし。奴らは、ここだな?今度こそ、俺たちの勝利で収めてやる。」

という声がした。

しずきたちにも聞こえたみたい。

そみこは、

「戦いますか?」

と私に聞いてくる。

私は、

「ううん。逃げる。まさか、ここがわかったなんて思いもしなかったから、準備もできていないでしょ。ちょっと待って。プログハン達が来る前に、テントをいったんしまって。それから紙に昨日の日付を書いて、『アイテムを探したり、クイズを出し合ったりして楽しんだ。』って書いて。そみこ、必殺技を使って書いて!」

と応える。

しずきは、

「じゃあ、テントをしまうわね。それで、そみこはテントからでて、ニセ日記をを書いて。それで、キミコ。隠し通路があるんでしょう。それって、どこだったっけ。」

と聞いた。

私は、

「じゃあ、場所を教える。私が土を崩して、通路の入り口を作るから、待っていて。」

と指示を出した。

しばらくしてそみこが

「できました。」

と言って、ニセ日記を地面に置く。

そして、通路の方に行って、私達の所へ向かう。

私は、入り口を土でしめて、通路の隠し部屋に行った。

こんな時のために隠し部屋を作っといて良かった。

そして、さっきまでいた場所にプログハン達がやって来たような音がする。

私は慌てて身を潜める。

あの男達は勘が良いから、息を殺さないと、逃げられない。

そみこが、

「やって来ました。」

と小声で言う。

その時、プログハンの1人が、

「今、何か、声がしなかったか?」

と最悪な事を言う。

ま、まずいっ!

私は震えていた足を、抑える。

そみこも、今度は喋らずにジッとする。

ところが、そのうちの1人が

「あ。ここ、なんか腕が沈むな。」

と言って、隠し通路の謎を見破ってしまった。

そみこは、

「キミコ。隠し通路を作ってください。今度は、硬めのやつ。」

と言った。

私は、隠し通路を作って、土を固める。

うっ。

プレッシャーなんですけど…………

そみこは、

「戦うことにしますか?これじゃあ、いつかは見破られてしまいます。」

と言った。

うーん、この狭い空間じゃ、戦うのも大変だよね。

でも、相手も動きずらいかも。

私は、

「まさも、足止めデスノコローノーゼをだして、足止めできるようにして。」

と言った。

まさもは、

「わかった。行くよっ、足止めデスノコローノーゼ!」

と叫ぶ。

プログハン達は、

「声だ!あいつ達がどこかにいる!隅々まで、探せ!!」

と言った。

もう、遅いよ!

足止めデスノコローノーゼは突き破れないんだから!!

その時、

「さがってください!ドリルで、奴らの出入り口をなくします!!」

という声が聞こえた。

この声…………

ロージー!!

あいつは特に、メチャクチャなやつ!!

そみこは、

「キミコ、あいつのこと、知ってるんですか?」

と聞いてきた。

私は、

「今はそれを説明できない。まさも。デスノコローノーゼをみんなに分けて。」

と言った。

そみこは、技コピーでみんなにデスノコローノーゼを分けてくれた。

良かった。

私達は、手分けして足止めデスノコローノーゼを放つ。

やがて、私達は真っ暗な部屋に閉じ込められた。

まあ、自分達で閉じ込めたんだもんね。

だから、安心。

そみこは、

「み、みなさん。どこにいるんですか?真っ暗で、よく見えません…………」

と言った。

その時、灯りがちょっと付いた。

振り返ってみると、さきがパソコンの電源を入れて、ここの電気を付けようとしている。

さき、さすがにそれは無理でしょ。

そして、さきは電気を付けるための、決定のボタンを押した。

で、できるの??

そして、さきはタブレットを閉じる。

もう、真っ暗になっちゃった~。

そして、私がさきに近くに行こうとすると…………

パッ。

部屋が一気に明るくなった。

中は、イルミネーションみたいになっていて、とてもキレイ。

ピカピカしてる。

さきは、

「ちゃんと灯りを付けて欲しい?それとも、イルミネーションバージョンで良い?」

と聞いてくる。

これ、ちょっと暗いし、お化けでも出そうだから、ちょっと怖い。

さきは肩をすくめると、

「まあ、普通に灯りを付けましょう。」

と言って、パソコンを操作した。

そして、いつも通り、灯りが付く。

ふうううう。

疲れたぁ。

私は、息をついて地面に座り込む。

外では、あいかわらずギーギー、ドリルの音が響いてる。

ちょっと一安心。

ロージーでも、あの足止めデスノコローノーゼは突き破れないって事が、よ~くわかりました。

そみこは、

「プログハン達がここを突き止めてしまうとは、予想外でしたね。キミコ、これからどうしますか?プログハン達は諦めなさそうですが…………やはり、戦うしかないようです。」

と言った。

まさもは、

「しばらくここにいれば、大丈夫だよ、そのうち諦めてくれるって。」

と気楽に言った。

さきは、

「このまま、ずっとここにいたら死んじゃうわよ。」

と呆れて言う。

えっ、どうして!?

さきは、

「この様子だと、1時間くらいしか空気を吸えないわ。空気がないと、死んじゃうでしょ?今は、まだ大丈夫だけど、いつかは酸素がなくなっちゃう。」

と言った。

あと1時間!?

短すぎ!!

その時…………

ガシャリ。

ウィーン。

機械の音がした。

これは、ロージーの、ドリル!?

みてみると、ドリルが足止めデスノコローノーゼを突き破っている。

これじゃあ、どうしようもないよ!!

私は、勇気を出して言う。

「ちょっと。あなたたちが作戦を立てる暇をあげるから、勝負は招待状に書いてある時に来て。明日なら、勝負を決着させてもいいけど。今は、ダメ。勝負しようとしても、私たちは逃げるから。」

と言った。

プログハン達は、

「ふん。今回は見逃すが、明日の勝負は、必ずこちらが勝つんだからな。せいぜい、覚悟しておけ。」

と言って、去っていた。

私は、

「もう、行こう。」

と言って、外にでた。

その瞬間…………

ドリルが、私がさっきいた場所に突き立てられた。

うそでしょ。

さっき、退散したはずなのに…………

そみこは、

「もう、私達はここを離れます。明日になったら、幻高山に行くので、時間をきっちり守って、来てください!」

と言った。

そして、姿を現す。

しずきは、

「逃げましょう。ひとまず、退散よ!!」

と叫ぶ。

けれど、すぐにロージーがジェット機をリュックから出して準備する。

前には、大柄な男達が2体。

私達は、小声で言う。

「『作戦1!』って言ったら、みんな、後ろに逃げようとした後で、敵の方へ突っ込んで行って。」

そして、私は

「作戦1!!」

と叫ぶ。

しずきたちは、天使羽を付けて、後ろの方へ行った。

ロージーは、すっかり準備を整えた。

そして、プログハン達に

「よし!ジェット機に乗って、こいつらを追いかけろ!」

と叫んだ。

私達は、その言葉を聞いた瞬間、方向転換して、大男達に突っ込んでいった。

そして、よろめいた大男達の足元をくぐって、外に出る。

入り口は、完全に壊されているから、開ける心配はなし。

私は、一目散に外へ出て外から土で穴を埋めた。

これで、少しは時間を稼げるはず。

まずは、高いところへ、避難しなくちゃ!

私は、

「みんな、幻高山へ向かって!できるだけ早めに。」

と叫ぶ。

そして私たちは全力で飛ぶ。

そして、ロージーが穴から出てきた頃、私達は幻高山に着いた。

しずきは、

「いったん、ここを離れた方がいいわ。じゃあ、プログラミング会社の所を突き止めて、あそこに向かいましょう。そみこ、調べた?」

と言った。

そみこは、

「少し遠いですが、行きましょう。マップは暗記しました。着いてきてください!」

と言って、飛び始めた。

その様子を、ロージーは双眼鏡でみていた。

ロージーは、指示を出し、私達がいるところへ向かった。

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第11章:キミコの名推理

ブオオオオオオオオオッ!!

な、何!?

振り返ってみると、猛スピードでジェット機が突っ込んできた。

私達は、一斉に散らばり、ジェット機の攻撃をよけた。

な、なんで、プログハン達がいるの?

プログハン達は、

「おまえ達は、安心しすぎだ。今日のところは見逃してやるが、次はない。さっそく、あの隠れ家はもらう!明日の勝負、無様な失敗を祈る!」

と言って、飛び去っていった。

勝負なら、成功を祈ってよ!

そう愚痴りたくなってくる。

そみこは

「じゃあ、まずはプログラミング会社の所へ行きましょう。全体の様子を見た後、近くの森で家を作りましょう。」

と言った。

そうだね。

しずきは、

「もう、プログハン達は、いないみたい。安心していきましょう。」

と言った。

私は、

「どうせなら、スピード出して行こう!」

と提案した。

さいとは、

「あんまりスピードを出して、何かにぶつからないように気をつけよう。鳥とかもいるからさ。」

と注意する。

はーい。

私は、

「そみこ、どんだけ早くできるか競争。絶対、はぐれないように気をつけて!」

と言った。

よーい、スタート!

私達は、全速力で飛ぶ。

気持ちいい~。

前を見ると、いつの間にかみんなは遠くの方へ行っていた。

わああああっ、しまった!

今は、そみこが1番リードしている。

その次にさき。

私は、できる限りスピードを出して、みんなを追い抜こうとする。

やっと、みんなと同じ所に行った!

でも、まだまだ体力はあるもんね。

そみこは、

「キミコ。どちらが会社に着くか、競争です!」

と言って、再び飛び始めた。

私は、あのジェット機にも、追いつかれなかったもん!

そみこ達よりも、速いよ!

すると、だんだんそみこが遅れ始めた。

やった!

今のうちに追い抜いてやろう!

私は、一気に飛ぶ。

そして、会社が見えてくると…………

ビューン!!

横を、しずきが通っていって、会社に着地する。

その後、そみこがやって来て着地しようとする。

私も慌てて着地したけど、そみこの方が速かった。

そみこに負けちゃった!!

ズーン。

そみこは、

「まだ、体力はあったんです。でも、私の横をいきなりしずきが駆け抜けていって、びっくりしました。」

と言って、しずきを見る。

しずきは、余裕たっぷりの邪気のない笑顔で言った。

「体力が、あなたたちは残り少なかったのね。体力は多いけど、ちゃんと調節した方がいいわ。最初に速くして、後から遅いとなると、みんなに抜かされちゃうわよ。」

でも、そみこに負けたのは悔しい!

一生の恥だ!

そみこは、

「もう1回試してみます?勝利は、私が掴むでしょうけど。」

と挑発的に言った。

むう。

なんなら、さっきの場所に戻れるか競争だ!!

私とそみこが戻ろうとすると、しずきが止めた。

「あのね。何の為にここに来たわけ?あなたたちが、勝ち負けを決めるため?そんなわけないでしょう。このプログラミング会社を、観察するために来たの。偵察するために来たの。そのこと、わかってるの?」

うう。

確かに、その通りだ。

しずきは、

「さっき、見学させて下さいって、お願いしたから、もう大丈夫よ。」

と言った。

い、いつの間に。

しずきは、

「まさもが足止めデスノコローノーゼを放ったとき、見学っていう方法をひらめいたの。それで、だいたいの物などがわかるでしょ。」

と言った。

ナイスアイデア!!

しずき、すごい。

そして、私たちは見学をしたのだ。

ふう。

見学楽しかった~。

しずきは、

「じゃあ、寝どころみたいなのを作りましょう。それに、もう暗くなってきてしまったし。あ、しまった!!食べ物を補給することを忘れていた!どうしよう。私のはもう全部、使っちゃったし。」

と叫ぶ。

そみこは、

「晩ご飯、抜きなんですか?さすがにそれはきついです。」

と反対する。

しずきは、

「じゃあ、そみこ。食べ物って、持ってる?みんな、いったん確認して。」

と言った。

私は持ってない。

まさもとさいとも持っていないみたい。

あと、頼れるのはさきだけ。

さきは、

「一応、持ってきたわ。缶詰なども持ってきたから、夕飯と朝ご飯はたっぷり食べれるはず。」

と言った。

やったあああああああっ!!

私としずきはつい、ハイタッチをしてしまった。

しずきは、

「じゃあ、今日は隠し部屋などを作らずに、普通にテントをはるだけでいいわよね?」

と言った。

そみこは、

「それは、ダメです。今日は、かなりの風が吹くはずです。だから、地面を掘って、なんとかした方が良いと思います。」

と反対した。

しずきは、

「いいわ。なら、掃除機で雪モードを切断して、土モードに切り替えましょう。」

と頷く。

私は、スコップの掃除機アプリを土モードに切り替えた。

そして、土を吸い込んでいき、穴を作った。

かなり、深い穴になったはず。

しずきは、

「念の為、土の部屋を作って、防ぎましょう。」

と言って、床を掘り始めた。

私も、土を掘り始めたしずきの土を吸い込む。

そみこ達も必死になって穴を掘る。

この作業の繰り返し。

そして、私たちが我に返ったときは、部屋が完成していた。

しずきは、

「じゃあ、天井を塞ぎましょう。石でやった方が良いわね。」

と言って、天井に石を挟み、それからそこに部分を今まで貯めた土を一気に出して、土の山を作り、岩が落ちないようにした。

これで、大丈夫。

まさもとさいとはテントを張り、リビングに大の字で寝っ転がった。

疲れたあ。

テレビは「

なんで、そんなにぐったりしているのですか?そうだ、本に、何か書いてあるようです。開いてみては?」

と聞いてきた。

本当!?

私が本を開くと、そこには

「会社には、2つのやっかいな物があるのだ。それに私が用意した装置を付け、ボタンを押すとそれは仕掛けが解除される。そのやっかいな者は、『赤外線保安ロボットビーム装置付け』というロボットと、「地面ウニョウニョ縛りロボット』だ。最初に言った者は赤外線に反応し、それをしつこく追いかけ、ビームを出し、相手を気絶させる。最後に言った者は、侵入者の体を縛り、動けさせなくさせるロボットだ。よく観察し、弱点を見つけるのだ。」

と書いてあった。

えー、かなり厄介だね。

もうちょっと簡単なやり方、ないの?

そう思うと…………

バシイッ!!

いてっ。

思いっきり、本に頭をたたかれた!!

本は、

「今、最先端の方法を教えたのに、そんな生意気な口を利くとは!!」

と怒る。

そんなに怒らなくてもいいでしょ。

そみこは、

「武器はどうしますか?」

と尋ねた。

私は、

「明日の朝、武器を作ればいいよ。」

と応えた。

しずきは、さきと話している。

「ねえ。さき、パスワードを教えてくれない?

私、パスワードがわからなくて、ホーム画面を開くことができないの。」

さきは、

「じゃあ、教えてあげる。そのうち、キミコ達にも話すから、今聞いてもしょうがないかもしれないけど。パスワードは、『森冒険12073307大好き』。覚えておいて。暗記、できる?」

と言った。

なるほど。

えーと、

「森冒険12073307大好き」ね。

これくらいなら、暗記できる。

メモしなくても大丈夫。

そみこは、

「さき、ちょっと食べ物を出してくれませんか?何があるか知りたいんで。」

と言った。

さきは

「結構持ってきたわよ。えーと、サケの缶詰3つ、サバの缶詰6つ、ホタテの缶詰2つ、サンマの缶詰7つ、ツナの缶詰ちょっと多めに10つ、お肉の缶詰6つ。それから、ベーコンポテトチップス3袋、フルーツグミを12袋、さっぱりレモンタルト味のせんべい4つ、動物チップス8袋、レタス1つ、トマトが1つ、たまごが2つ、人参1本、タマネギ1つ、ジャガイモ4つ、かしら。あと、私が前もって作ったキャラメルもあるわよ。」

と言った。

す、凄っ…………

しずきも、ポカーンと口を半開きにしている。

しずきのこんな顔、なかなか見られないよ。

しずきは、

「じゃあ、今日は痛みやすい食材から使っていきましょう。じゃあ、まさも、家庭科で作った、レタスのサラダのレシピ、覚えてる?それを作りましょう。」

と言った。

まさもは、

「は~い!」

と言って、キッチンにかけだしていった。

しずきは、

「じゃあ、キミコ、そみこ。手伝って!役割分担して、頑張りましょう!!」

と言った。

ええっ。

また、あの恐怖の料理が始まるの!?

そして、私はそみこにキッチンへ引っ張られていったのだ。

「はい。では、まさもは野菜を切ってください。そして、キミコは野菜を洗ってくださいね。あと、まさもの手伝いをしてください。もし時間があったら、お皿を拭いて片付けてください。そして、それでも時間があったら、お皿を洗ってください。私は、ゆで卵を作ったり、みんなの手伝いをします。そして、時間があるときは洗い物をします。しずきは、材料を取り出したり、野菜を冷蔵庫にしまったりしてくださいね。それから、ゴミ袋を、ゴミ箱に持って行ったりしてください。さき達には、その他の家事をお願いしました。」

と指示を出した。

結構、嫌な予感がするんですけど。

そみこは、

「よーい、スタート!!」

と言って、みんなにいきなり声をかけた。

「しずき!!レタスとトマトを出してください!それから、卵をお願いします!!その卵は、私に渡してくださいね!キミコは、まな板と鍋を拭いて、それから、しずきから野菜を受け取り、洗ってください!洗い終わったら、まさもに渡してください!まさもは、洗い物を拭いて、机に置いといてください。それを、キミコや私が片付けるので。そして、キミコがまな板に野菜を置いたら、それを切ってください。そして、切り終わった物は、お皿を用意して、そこに入れてください。キミコは、役目が終わった後、お皿を片付けたりしてください。時間が余ったら、お皿洗いの方もお願いします。しずきは、私が指示を出すので、指示の通りに動いてくださいね。みなさん、今日も頑張ってご飯を作りましょう!」

と言った。

もう、わけがわかんなくなったんだけど。

しずきは、ドタバタとさきのリュックの方へ向かい、リュックを手に取り、私達の所へ運んできた。

そして、私はまさものお皿を片付け、食器を置く。

そみこはお皿洗いをしている。

うわっ、どんどん洗ってる。

そして、しずきが私の所に野菜を置き、そみこのところにゆで卵を置いた。

はぁ、はぁ、疲れる。

そして私達は動き出し、野菜やゆで卵を調理し始めた。

私は、野菜を洗い、まさもの所に置いた。

もちろん、そこにはまな板があって、ちゃんと切れるようになっていた。まさもは、洗い物をしていた手をを止め、まな板の方に走っていく。

そして、運悪く私に突進していってしまった。

私は、洗い物をしていて、水でお皿を洗っていたところだったのだ。

私は、見事にひっくり返って、まさもの下敷きになった。

ああああっ!

そう叫ぶ間もなく、お皿が宙に舞う。

そして、まさもの腕が何故か伸び、それをキャッチした。

た、助かった。

っていうかまさも、まさもの腕が伸びた!

まさもは、

「なにかあったときのために、偽物の腕を用意しているんだよ。」

と、得意げに言った。

す、凄っ。

さすが、小学生マジシャン!

そみこは、

「まさも!!なんてことをしてくれたんですか!!キミコ。あとで、まさもにお仕置きしてください。」

と言った。

まさもは、

「ひいいいいいいいっ!!!!お助けをおおおおおっ!!」

と叫ぶ。

そみこは、

「キミコ。光の檻を技コピーでください。」

と小声で言う。

もちろん、私をすごい怖い目で睨みながら。

私は仕方なくうなずくと、光の檻を技コピーでそみこに貸した。

そみこは、

「まさも。覚悟してください。外に出でてください。」

と冷たい笑顔で、まさもを外に追い出す。

まさもは、ガチガチになって氷になりかけている。

そみこはまさもに向かって光の檻を出した。

そして、まさもは閉じ込められてしまった。

その瞬間…………

「ぎゃああああああああああああああああああっ!!!!!だすけてえええええええっ!!!そおおおおおおみいいいいいこおおおおおおっ!!!!!」

という絶叫が響き渡った。

そみこは、

「静かにしなさーい!!!」

と怒って、まさもにげんこつを落とした。

またしてもまさもは、

「うわあああああん!!!助けてえええっ!!キミコおおおおっ!!!」

と泣きながら言う。

そして、

「キミコが助けないなら、私が逃げ出すんだから!」

と言って、メッサカリントンを放った。

そして、メッサカリントンは光の檻に向かって突進していった。

けれども、光の檻は輝きを増しただけで、何も起こらない。

まさもは、デスノコローノーゼを飛ばした。

そのデスノコローノーゼが光の檻に当たると、光の檻は吹き飛び、まさもはこっちへ走ってきた。

そみこは、

「はあ。じゃあ、まさもにはたっぷりこれから挽回してもらいますからね。じゃあ、早速言いますよ。まずは、ツナを持ってきて、サラダにかけてください!それから、サラダをリビングのテーブルに持って行って、リビングの掃除!それもできたら、洗濯機を作動させて、今日の服を洗ってください。それから、テントにかぶった土も外から払ってくださいね。それが終わったら、外の掃除。土を集めて、袋にそれを入れてください。そして、その袋は森の少し奥に持って行って、その掃除が終わったら、リビングに集まってください。」

と莫大な量の指示を出した。

まさもは、

「えーと、ツナを持ってきてサラダにかけて、それをリビングに持って行くんだね。はーい!」

と言って、

ツナを急いでかけ、リビングに持って行った。

そして、まさもはリビングをほうきで掃き始めた。

しばらくしてヘロヘロになったまさもにそみこは

「じゃあ、洗濯機を作動させて、テントの土を払ってください!」

と次の指示を出す。

まさもは、洗濯機の元へ走って行き、作動させる。

それから、また玄関にドタバタと戻っていき、テントの上の掃除を始めた。

そして、それが終わった後、そみこが叫ぶ。

「次は、掃除機で穴の掃除!2回分ありますからね。」

まさもは、掃除機アプリを開き、外を掃除し始めた。

そして、上を掃除し始めた。

しばらくすると、ゾンビまさもがヘロッヘロになった状態で、

「で…………できた、よ…………ご飯…………」

と言った。

そみこは、

「はあ。わかりました。じゃあ、食べましょう。頂きます!」

と言った。

まさも、いい加減に掃除とかやってないよね?

心配になる。まあ、あんだけ怒られたんだから、少しは反省してるはずだよね。

あまり心配しないようにしよう。

ご飯を食べ終わった後、私たちはお風呂に入り、早めに寝た。

そして、寝静まった後。パッ。

まさもが起きた。何もをするつもりだろう?

まだ寝てない私は、不思議に思い、机に置いていたブレスレットを腕に付ける。

そして、さきに教えてもらった通り、

「森冒険12073307大好き」

とパスワードを当てはめる。

そして、まさものことを監視する、と書いて、監視カメラの映像を映し出す。

みてみると、何故か監視カメラの映像が真っ暗になっていた。

何これ!?

胡椒のはずがないし…………??

まさも、何をしているんだろう?

私は、こっそりベットから抜け出し、リュックや昨日着た服、一昨日着た服などを布団の中に入れた。

これで、しずきたちは私が寝ているように見えるはず。

私は、こっそりベットから離れると、寝室の扉を開け、誰かが来ていないか確認した。

防犯カメラを設置している場所はリビング、玄関、洗面所、2階の物置。これらをみていけばいい。

私は、洗面所には入る。

洗面所は白い紙で写らないようにしてある。

なるほど。どうやらまさもは、ここに来たみたい。

私は、リビングに向かう。

その時、まさもがリビングから出てきた。

わっ!

私は、慌てて洗面所に隠れ、まさもが通り過ぎるのを待った。

トコトコ。

まさもの足音がだんだん遠ざかっていく。

ふう。

次は、どこに行くつもりだろう?

でもまず、リビングの方をみた方がいいか。

私は、少し考えてからまさもを追うことにした。

2階は、家の屋根の所みたいにみたいに天井が低い。

下手したら、見つかっちゃうかもしれない。

でも、物置だから、段ボール箱がたくさんある。

かくれんぼには好都合だ。

まさもは、部屋の真ん中に行くと、穴を開ける道具(キリナミ工具)を取り出した。

あ、穴を開けるつもり!?

まさもは床にに穴を開けると、段ボールから取っ手みたいなのを取り出した。

なんで、それを出すわけ?

その後、まさもはすごく長い糸を取り出し、穴に通し、あらかじめ床にくっつけといた取っ手に糸を巻き付ける。

そして、汗を拭うと、歩き始めた。

しまった。

私は、物陰に隠れる。

運が良ければ、逃げられるはず…………!

まさもは私に気づかず、物置を通り過ぎた。

ふう。

さっきの、一体何だったんだろう?

まさもは1階に戻ると、リビングに行き、座布団の下に何かを置いた。

何だろう?

まさもはそこまでやると、防犯カメラの付いていない1階の物置部屋に行った。

またまた、何をするんだろう?

その時私は、部屋の真ん中に糸が垂れているのに気がついた。

これって、さっき2階の物置小屋から垂らしていた糸!?

しかも、これ、糸じゃない!

これって、まさか導線!?

まさもは糸の下に磁石を付ける。

あれ、凄く磁力が強い磁石だ。

あれで何をするつもり!?

まさも、いたずらするつもりなのかな?

まさもは、磁石の電池みたいなのをオフしにしている。

これなら、磁力は発生しないんだよね。

どういうこと?

もしかして、リビングに隠してたのって、磁石なんじゃ…………

私は、リビングに向かい、座布団を上げる。

まさもが何かを隠してた所はさきの座布団のはず。

思った通り、磁石がある。

どういうこと?

私は、不思議に思いながら、隠れた。

まさもが来たのだ。

まさものいたずら?

でも、わざわざさきにいたずらをする必要はない。

するとしたら、そみこのはず。

一体、どうしてさきの座布団にしたんだろう?

すると、まさもは隠れている私に気づかず、磁石を確かめた。

その時。

ジリリリリリリッ!!

そみこの目覚まし時計が鳴った。

まだ、朝の4時なんですけど!

って、リュックサックとか布団に詰めたままだった。

まさもも予想外だったのだろう。

まさもは慌てて廊下に行き、寝ているふりをした。

そして、そみこはその作戦に引っかかったのか、まさもに言った。

「まさも、なに、廊下で寝ているんですか!!風邪ひきますよ!」

まさもは、

「はーい。」

と言いながら、眠ってしまう。

ほとんど徹夜だったもんね。

ま、それは私も同じだけど。

私は、本を取り出し、机で読んでいるふりをする。

というか、漫画なんだけどね。

そみこは、

「キミコ、起きていたんですね。でも、なんで目の下にクマができているんですか?」

と聞いてきた。

私は、とっさに言い訳をする。

「えっと、今日、会社に忍び込んだり、強敵とバトルするでしょ?だから、プレッシャーで眠れなくって。しばらく、布団の中で寝ようと努力したんだけど、眠れなくって。それで、さっき起きて、本を読み始めたの。もう、どうせなら起きちゃおうって。」

そみこは、

「ダメですよ、ちゃんと寝なきゃ、いけません。あと、起きるまでに3時間ありますからそれまで寝ていてください。」

と珍しく微笑んだ。

そうだ、そみこに言わなくちゃ。

私はそみこに、

「そうだ、悩みがあるんだけど、誰にも言えなくって。しずきはまだ起きていないし、まさもはまだ寝たいだろうし。今まで、ちょっと我慢していたけど、話してもいい?でも、ちょっと恥ずかしいから、みんなにはまだばらさないで。」

と言った。

そみこは

「わかりました。じゃあ、リビングでお話ししましょう。」

と言った。

私は、小さくうなずくと、

「そみこ、さきの座布団には座らないで。自分の座布団に座ってね。」

と言った。

そみこは、

「お悩みじゃないんですか?」

と不思議そうに言った。

私は、

「まさもって、もう寝た?」

と聞いた。

そみこは、

「寝ました。」

と即答する。

私は、

「これ、まさもが起こした事件の解説を話すためにそみこを連れて行ったんだよ。」

と言った。

そみこは、

「え?」

と首をかしげる。

私はさきの座布団をめくる。

そこには、磁石がある。

そみこは、

「これ、世界最強の磁力を持つ、磁石ですよね?」

と言った。

私は、今度は2階にそみこを連れていく。

そして、部屋の真ん中に進むと、

「そみこ、何か変わったことをない?」

とそみこに聞いた。

そみこは床を指で指した。

「床に、取っ手があります。糸がたれているんですけど、それはどこにあるんですか?」

と言った。

私は、1階の物置部屋にそみこを連れていき、あるところを指で示した。

「ここに、糸はあるんだよ。ここに、磁石が付いてるよね?その磁石と座布団の下の磁石をくっつけて、何かをするんだよ、まさもは。」

そみこは

「なるほど。では、私はどうすればいいですか?」

と聞いた。

私は、

「予想だけど、まさもはこの仕掛けを使って騒動を起こそうとしているんだよ。そのすきに、さきの何かを回収するはず。」

と言った。

そみこは、

「何を回収するんでしょうか?」

と言った。

私は、

「そこで、そみこにやってもらいたいことがあるんだ。リビングのどこかに、防犯カメラを設置して。そして、まさもがやって来たら録画をスタートさせるの。そして、隠れていた私がまさもを捕まえ、真相を暴く。どう?」

と言った。

そみこはため息をつくと、

「わかりました。」

と言ってくれた。

やった。

その時、さきとしずきが起きてきた。

しずきは、

「もう、起きる時間?ごめん、今日、ちょっと寝不足で、まだ眠いの。だから、ちょっと顔洗って眠気を飛ばすから。」

と言って、洗面所に行こうとする。

そみこは、

「いいえ。これは、私が計画を立てようとして準備したので、さきとしずきはまだ寝ていて大丈夫です。あと、ゆっくりしていいのは2時間半くらいです。」

と首を振る。

さき達は、寝室に戻り、早速寝てくれた。

そしてそみこは、

「じゃあ、私は朝ご飯を用意します。キミコ。手伝ってください。早起きしたからには、ビシバシ働いてもらいますからね!!」

と言った。

ひ~!

やっぱり、

「早起きは三文の損」だ!

そみこ、怖すぎる!

そみこは、キッチンに行くと、

「じゃあ、朝ご飯を作ります!キミコ。今日は、スクランブルエッグです!作れますよね?」

と言って、早速料理に取りかかった。

私は、たまごを6こもってくると、そみこに渡した。

そして、オリーブオイルを取り出し、それからフライパンを出して、コンロに火を付ける。

その時、そみこが

「キミコ!!チーズをください!」

と叫んだ。

私は冷蔵庫に行くと、チーズを持ってくる。

そして、ボウルの中にチーズを入れる。

ふぅ、疲れた。

そして、コンロをみるとオリーブオイルが流れていて、ちゃんと全体に行き渡っていた。

そみこは、高速で卵を混ぜると、フライパンの上に全部入れる。

そして、私は箸で混ぜる。

しばらくして、やっとスクランブルエッグができた。

そみこは、

「じゃあ、私はスクランブルエッグを装いますから、キミコは洗濯物をお願いします。干してくださいね。」

と叫ぶ。

私はドタバタと戻っていき、洗濯機から洗濯物を取り出した。

そして、洗濯袋の中に入れていた物を全部出す。

あ~、忙しい。

私は、それらを全部洗濯かごに入れると、物置へ走って行って、ハンガーを入れている籠を持った。

うう。

重いっ。

私は、よろよろと階段を下っていったけど…………

よろっ。

ガッ。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!!!!

思いっきり階段を踏み外して、転げ落ちた。

運悪く、その下にはそみこがいて、そみこは私の下敷きになる。

そして、籠が私の背中にドシンと落ちてしまう。

はあ、泣きっ面に蜂って、この事を表すのかな。

そみこは、

「大丈夫ですか?階段を踏みまずしたんですか?」

と聞いてきた。

私は、

「かごが重すぎて、ちょっと、階段を踏み外して落ちただけ。大丈夫!」と強がる。

そみこは、

「無理しないでくださいね。」

と言って、戻っていった。

私は洗濯物を干してから、監視カメラを移動させる。

よしっ、準備完璧!!

そみこは、

「こちらもできました。キミコ、次は暖炉に火をたいてください。寒いので。」

と言った。

私は、外から木の枝を何個か拾って、火をおこした。

その時、ジリリリリリリッ!しずきとさきの目覚まし時計が同時になった。

まさもは飛び起き、ぽつりと言った。

「今度こそ、さきの隠している物がわかる…………」

まさもは、さきの何かを目的で、騒ぎを起こす作戦にしたんだね。

そして、まさもは

「ちょっとトイレに行ってくるね。」

と言って、部屋を出る。

なるほど、仕掛けを作動させるんだね。

まさもはやっぱり仕掛けの部屋に行く。

そして、2分半ちょっとくらい待つと、仕掛けの部屋に行った。

そして、仕掛けをオンにする。

ダアアンッ!

思いっきり壁がはじけ飛び、磁石はさきの座布団へ飛んでいく。

やっぱり。

そして、廊下にまさもがへたり込んでいる。

これも、演技のはず。

まさもは、

「なんか、磁石が動いたんだけど!」

と言った。

そみこは、

「それはありません。キミコ。お願いします。」

と言って、私にささやく。

「キミコ、あそこには、まさもの指紋が付いているはずです。まさもの指紋は、私が知っています。キミコ、チョークの粉が入った袋、持っていますよね?それをまぶして、息を吹きかけたら、指紋が浮き出てきます。」

私はその通りにした。

私は

「じゃあ、まさもが犯人という証拠を見せるね。まず、この磁石に指紋が付いているはず。私が尾行したとき、まさもは手袋をしていなかった。そみこ、実験をまかせるね。」

と言った。

そみこは、

「まさもの指紋は、これと一致するはずです。見ててください。」

と言って、まさもの指紋を順番に調べていく。

すると、まさもはあの指紋と一致した。

私は、

「まさもは物置の真ん中で穴を開けていた。そして、その穴に糸を通していて、それに磁石を付け、さきの座布団に磁石を置いたんでしょ。多分まさもは、さきの何かを回収しようと思っていたんじゃない?」

と推理を言う。

まさもは、

「さき。例の物、ある?」

と言って、手を差し出した。

さきは、

「え、何のこと?」

と言って、ポカンとする。

まさもは、

「幼稚園のころ、友達になったとき、物を交換したんじゃん。それで、今の学年になったら、こっそり返して、こっそりもらおう、って。」

と言った。

な~んだ、理由って、そういうことなんだ。

さきは、

「そうだったわね。じゃあ、交換って事で。」

と言った。

まさもは、

「ねえ、もう、朝ご飯できてるんでしょ?食べようよ。」

と言った。

そして、私たちは仲良くご飯を食べたのだ。

私は、ため息をつく。

スクランブルエッグ、あまりにも美味しすぎて、4回もおかわりしちゃったんだよね。

さすがの私も、お腹いっぱい。

けっきょく、テントにいらない物を全部置いていくことにした。

お腹パンパンだもん。

私はどんどん荷物の整理をしていった。

この後、大変なことが起こるとも知らないで。

メリット
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第12章:プログラミング会社に忍び込め!

ガサリ。

私は、会社の入り口の近くの茂みに隠れる。

実は、服装を変えたんだ。

私は、黒の長袖に深緑のズボン。

そみこは私とお揃い。

しずきは、藍色のTシャツに銀色のズボン。

といっても、灰色みたいな色だけどね。

さいとは、深緑の長袖に、藍色のズボン。

みんな、スカーフを身につけていて、顔を隠している。

まさか、昨日見学した客が物を盗むなんて考えてないだろうけど、念の為、ね。

もし見つかったら、会社の人は烈火のごとく怒って、私達を追い出そうとすると思う。

そみこは天使羽を付け、

「では、さきに監視カメラを切断してもらったので、裏口から入りましょう。さきからルートは聞いています。みなさん、イヤホンをしてください。これは、さきと繋がっています。ボタンを押すと、私たちと繋がります。」

と説明した。

そして私はイヤホンを付ける。

すると、イヤホンのネットワークがさきと繋がった。

さきは、

「じゃあ、順番に説明していくわね。まずは、警備員をやっつけて、中に入って。それがクリアできたら、次の指示を出すから。いったん、そみこ達と通信を繋げて。」

と言った。

私がボタンを押すと、そみこがイヤホンを通じて、

「まず私が行きます。」

と言って、スカーフで口元を隠し、警備員の所へ行った。

警備員はうろたえながら、そみこに向かって叫んだ。

「お、お前!何を勝手に侵入しようとしている!」

私は警備員の数を数えてびっくりする。

なんと、警備員は10人もいたのだ!

どういうことなの、さき!

私は、ボタンを押そうとする。

すると、しずきが私を止めた。

「私が聞いてみる。キミコは今興奮しているから、大きな声を出して敵に気づかれてしまうかもしれない。」

うっ。

確かに、そうかも。

しずきはイヤホンのボタンを押し、小さな声で言った。

「さき。どういうことなの?…………え?正面の方が敵が少なかった?なるほど、泥棒とかは、裏口から入っていくものね。でも、なんでさきはこちらに行かせたの?…………えっ?情報が隠されていたの?まあ、私たちに任せて。なんとか警備員を退治するから。私も体力を回復したり、いろいろ頑張るから。」

しずきは再びボタンを押し、私に言った。

「警備員の情報が隠れていたみたい。実は、正面の方が敵が少なかったんだって。ほら、泥棒とかも、物を盗んだりするとき、浦口を使うでしょ?じゃあ、私たちも行くわよ。」

私たちは一斉に草むらから飛び出し、警備員の所に行った。

警備員達は、拳銃を持っていて、簡単には倒せそうもない。

そして、2人がかりで私たちを倒そうとする。

私は、軽くジャンプして攻撃をかわすと、地面に着地した。

そして、そみこを狙っていた男達がしずきの方に飛びかかった。

残念。

しずきはこう見えても、戦闘に慣れているんだからね。

ところがしずきは、他の男に気を取られていて、今飛び出した男に気づいていない。

危ない!!!

私は、とっさに叫ぼうとするが、しずきは抑えられてしまった。

そして、2人の男が暴れるしずきを連れていった。

その時、しずきは全回復魔法をコピーして私にくれた。

私は、さいとに回復魔法をあげると、しずきからもらった全回復魔法をブレスレットの中にしまった。

私も、頑張らないと!

そみこは、1人の男にタックルすると、ハリハリミコサーを使って、2人の男を眠らせた。

そみこ、ナイス!

さいとはさいとで、一本背負いで敵を倒したりして、頑張っている。

まさもは、デスノコローノーゼでドアの窓を破壊した。

私も、みんなみたいに攻撃しなくちゃ。

私は、3人の男めがけて、本を振り落とした。

サッカリミリントン攻撃、成功!

男達は3人とも気絶する。

やった、全員倒せた!!

私は中に入ると、誰かがいないか確かめた。

そみこは、

「ロボットに気をつけましょう。こんなに明るいなら、見えるはずですが…………」

と言った。

その時、さいとがのんびりと

「ロボットか。もしかして、あれがロボットなんじゃないかな?」

とそばにいたロボットを指さした。

え?

あれ、故障してるから関係なくない?

その瞬間。

ガチャリ。

「侵入者発見…………直ちにドローンを呼べ…………大量のロボットもだ…………」

という声がした。

誰か、いる!

私達はたちまち警戒する。

そみこは、

「あの胡椒しているロボットだと思います。みなさん、武器を持ってください!!」

と叫んだ。

そんな大きな声を出したら見つかるってば。

でも、幸い近くに人はいなかった。

すると、故障していたはずのロボットは、立ち上がり、ビームを出した。

これ、赤外線ロボット何だけど!

そして、ロボットは早速動き出す。

ビッ!

思いっきり、私の所にビームが来る。

私は、ジャンプしてかわす。

ロボットは相変わらず、ビームを出している。

今度も、私の方!

これを、なんとか止めさせないと!

その時、そみこが

「強力ビーム銃、発射!」

と叫んだ。

その瞬間、ロボットが放ってきたビームにそみこのビームが正面激突した。

そして、2つのビームは見事に下に落ちた。

た、助かった。

っていうか、そみこ、その銃、どうしたの!?

そみこは、

「さっき、プレゼントが置いてあったんです。それを開いて、さいととまさもに渡したんです。しずきとキミコの分は、私が持っています。あとで渡すので、今はこのロボットとバトルしましょう。」

と早口で言った。

その間も、ロボットはビームを放っている。

このままじゃ、いつかビームに当たっちゃう。

そうだ!

一瞬、動けなくさせよう!

そして、私はブレスレットの所の鉄の棒を取り出した。

ところが、ロボットのビームで、ブレスレットの結び目が切れてしまった。

私はなんとかビームをかわすと、ブレスレットを拾おうとした。

あれがないと、攻撃できない!

その時、ロボットの手が伸びて、ブレスレットを没収されてしまった。

どうしよう!

もう、頼れるのは自分と仲間とこの鉄の棒だけだ。

私は、残った鉄の棒を構える。

ところが、ロボットはブレスレットに入っている技、光の檻を私にかぶせてきた。

わっ!

私は見事に捕まってしまった。

まさかあの技を使いこなすなんて!

私はやって来たドローンに檻ごと連れて行かれた。

私は、檻の扉を鍵で開けられ、別の檻に閉じ込められた。

そして、ロボットは

「おまえ達は、明日焼却処分にする。」

と感情のない、鉄板のような声で言って、檻の鍵をかけた。

檻の中は、結構広い。

普通の家くらいのサイズだ。

私は、部屋を見て回る。

その時、寝室のベッドで誰かが寝ているのを見つけた。

しずきなのかな?

しずきは、震えていて、泣きそうだった。

私はベッドに座ると、

「しずき。私もいるのに、どうして泣いているの?」

と言った。

しずきは、はっと顔を上げると、私を見た。

しずきは、

「1人で寂しかったの。でも、キミコがいてくれるなら安心。そういえば、何でブレスレットを付けてないの?もしかして、取られちゃった?」

と聞いてきた。

私は、

「回収…………いや、没収されちゃったんだよね。しずきも、ブレスレット付けてないけど。どうして?」

と聞き返した。

しずきは、

「捕まった後、ここの取り調べ室で、ブレスレットを外せって言われたの。本当は外したくなかった。でも、今から私を焼却処分するって脅されて、仕方なく外したの。」

と言った。

私は、

「なるほど。じゃあ、2人でここからでる方法を探そう。まずは、部屋の特徴を知ったり、リラックスしようよ。泣いているだけじゃ、何もできない。もう、しずきは1人じゃない。私がいるんだから。きっと、なにか発見があるはず。」

と励ました。

しずきは涙を拭いて頷き、

「この部屋、なんか怪しいのよ。まるで、私たちを試してるかのような。」

と呟いた。

不思議な部屋だね。

その時、外から

「ふふ。作戦大成功だ。おまえ達が何をするかは想像できている。ドローンをプログラミング会社から盗むんだろう?」

という声が聞こえた。

もしかして。

私の予想通り、姿を現したのは、プログハン達だった。

しずきは、檻の扉をガタガタ揺らして、

「何を企んでるの!?もしかして、あなたたちが…………!!」

と言いかけて、言葉を飲み込んだ。

たぶん、叫んでもどうしようもないって事がわかったのだろう。

私は、

「しずき、落ち着いて。怒らせちゃったら、すぐに焼却処分されちゃうよ!!」

としずきを止めた。

しずきはプログハンに向かって叫んだ。

「わかったわ。でも、私たちは絶対ここからでるんだから。焼却処分されるのは、絶対に嫌よ。今に見てなさい!絶対、ここからでるんだから!」

そう言うと、奥の部屋へ戻っていった。

しずき、すごく怒ってる…………

しずきって、怒ると怖いんだよね。

その時、バターン!

と扉が開いて、まさもが運ばれてきた。

まさもは、ジタバタジタバタ暴れていて、すごく怒ってる。

う、うわ~。

怖すぎ!

まさも恐怖大王だ!

まさもは、乱暴に檻の中に入れられた。

しずきは、何かを思いついたみたい。

小声で、私に耳打ちした。

「キミコ、私が『せーの!』って言ったら、外に飛び出してちょうだい。」

私は、頷いて、しずきの声を待った。

そして、鍵を閉められる…………前に、しずきは

「せーの!!」

と叫び、ジャンプした。

そして、檻の外に出る。

私は、まさもを引っ張って出た。

まさもは、アワアワして

「ど、どうすればいいの?私、天使羽3人分しか持ってないんだけど。」

と言った。

3人分あるなら十分でしょうが!

まさもは単純な計算もできないほど、おバカなの?

私は心の中で突っ込みながら、まさもに天使羽を借りて、あっけにとられているプログハン達に、攻撃した。

そして、しずきが、私の鉄の棒をコピーした。

3人分の武器は、OKだ。

あとは、攻撃するだけ!

そして、我に返ったプログハン達は、私たちを追いかける。

しずきは、頃合いを見計らい、鉄の棒を相手の体に叩きつける。

まさもも、自慢のマジックで、風船を取り出し、ターゲットのところで麻酔薬をばらまく。

まさも、その風船は、どこから持ってきたの…………?

そして、あと1人!

これは、いったん広い場所へ行った方がいい。

しかも、残りの1人は、ロージーだし。

私は、大急ぎでドアを蹴破り、体育館のような所へ逃げた。

体育館までご丁寧に用意してくれるなんて。

ここ、本当にプログラミング会社なの?

ロージーは、ジェット機で追いかけてくる。

私は、猛ダッシュでそみこと別れた所に行った。

ちょうど、そみこは捕まえられてしまっていたところだった。

そみこはバタバタ暴れていたが、全然手を振りほどけない。

その時、ボフンッ!!

という音を立てて、ロボットの電源がオフになった。

私はそみこを助けて、さきと連絡を取る。

さきは、

「今、3分間だけ時間を稼いだわ。私なら普通、5分くらいは稼げたかもしれないけど、ロージーがなかなか手強いの。だから、キミコはその間に敵を退治してちょうだい。ドローンも移動中止にしておいたから、後は頑張って。」

と言って、通話を切った。

私は、しずきたちに3分間、時間を稼げることを説明した。

さいとは、

「その時までにドローンを回収しなければいけないね。じゃあ、ドローンを借りよう。今、一時的に監視カメラが起動してしまっているんだ。さきでも、一瞬でいろいろな物をハッキングするのは難しいみたいだ。じゃあ、とりあえず倉庫に行こう!」

と言って、走り出した。

私も、全力で走り、倉庫に向かった。

速くしないと!

1分で倉庫に向かい、1分でドローンを手に入れる。

そして、1分以内にプログラミング会社から出るんだ!

さいとは、止まっているドローンの電源をオフにして、持って帰ることにした。

そして私は、ハッキングができなかったロボットとバトルすることにした。

しずきとそみこ、まさもは走り出し、ロボットの所へ向かった。

ロボットは倉庫の前まで来ている。

さいとはブレスレットの中にドローンを入れると、逃げ出した。

ロボットはさいとを追いかける。

私は精一杯声を張り上げた。

「あんたの相手は私達だよ!今なら、勝負してあげる!ブレスレットを、返してよ!」

もう、誰かに見つかるなんて心配する暇はない。

作戦が失敗するか、成功するかだ。

私はロボットに鉄の棒を叩きつけた。

けれども、ロボットはシュッとよけると、私に光の檻をかぶせてきた。

この手には、もうかからない。

私は、間一髪で避けて、再び攻撃する。

できるだけ、早くしないと!

その時、そみこが私に光っている銃を渡した。

そこには、光の銃って書いてあった。

その銃を見て、ロボットが一瞬固まる。

今だっ!

私は、光の銃を発射させる。

銃口から、光が飛び出した。

光はロボットの目に当たった。

私は、鉄の棒をロボットに叩きつけようとした。

けれども、ロボットは丸い玉を打ち付けてくる。

そんな玉、よけれ…………

バアンッ!!

その玉は、空中で爆発して、鉄の棒を火をつけた。

なっ、なんで、私の場所がわかったの?

もしかして、赤外線!?

そみこは、すぐにビームを放つ。

そして、運良く、ロボットに当たる。

けれども、それは弾かれ、そみこの腕に当たる。

そみこの腕には、レーザーの火傷がくっきりと付いていた。

そみこは、その火傷の痛みによって体力が少しずつ減っていく。

しずきは、慌てて全回復魔法を使って、そみこの体力をアップさせた。

けれども、またそみこの体力は減っていく。

今度は毒消しを使用したけれど、効かなかった。

全く打つ手無しだ。

その時、まさもがそみこの体にお札を貼った。

そしてしばらくすると、そみこの体力は回復された。

そして、ロボットの方をみると、ロボットは倒れていた。

本を反射的に見てみると、そこにはこんなことが書かれていた。

「ここは、プログハン達が作った会社なのだ。気をつけてバトルするが良い。赤外線ロボットは、回復魔法で主にダメージを受ける。回復魔法を使え。そして、そこでは新しいアイテムをもらえる。おまえ達が頭をよく使えば、作戦は順調に進むだろう。」

なんか、毎回毎回、詩みたいなかんじだよね、ここに書いてある言葉って。

昔の人が書いたのかって思うくらい。

しかも、すごく偉そうだし。

そして、私達はロボットからみんなのブレスレットを取り出し、天使羽を使って、元の場所に帰っていったのだ。

持ち帰ったドローンは、さきにプログラムを書き換えてもらい、味方となった。

作戦成功!

さきは、

「じゃあ、アイテムを作りましょう。万が一、ドローンを呼べなかった場合、あなたたちがバトルすることになる。私も、すぐには助けにいけないわ。もう、あと3時間くらいよ。ご飯を取りに行く人と、アイテムを作る人とで別れましょう。じゃ、フルーツチームは私、そみこ、まさも。そして、アイテムを作るのは、キミコ、しずき、さいと。これでいいわね?じゃあ、それぞれで後は行動しましょう!」

と言って、早速フルーツを取りに行ってしまった。

私達は、木の棒を拾って、弓矢を作った。

そして、近くにあったつるを編んで、そこに石をまき、つぶてを作った。

あと、二又に分かれた木の棒にゴムを付けたりして、パチンコを作り、とがった石を集め始めたとき、さき達が戻ってきた。

さきは、数々のアイテムを見て、

「わあ。どれだけ作ったの?パチンコもある!これなら時間を稼げそうね。じゃあ、いったん石はテントの外に置いて、他のアイテムは机の上に置いといてくれる?」

と目を輝かせた。

私は机を広げるのを手伝う。

けれども、そみこが

「まさも!まだ、お仕置きは終わってませんよ!」

と言って、まさもに机を広げるのを横取りされてしまった。

昼ご飯は、フルーツビュッフェ。

フルーツ盛りだくさん!

私達は、ガツガツフルーツを食べ、一瞬で食べ終わってしまった。

そして、私たちはご飯を食べ終わった後に、石集めをした。

約束の1時間前には、およそ400個ものの石が集まったほど。

さきは、

「これくらいで終わりにしましょう。いったん、休憩。じゃあ、30分よ。」

と言った。

そして、私たちは休憩の間ゲームをやったりして遊んだのだ。

いざ、出発!!

幻高山に着いた私がメガホンで叫ぶと、ドローンがやって来て、プログハン達を取り囲んだ。

プログハン達は抵抗しているけれど、あっちに勝ち目はない。

ところが、プログハン達の体力が半分になったころに、ドローンが全部故障してしまった。

私は慌てて光の銃を発射させる。

それは、見事にかわされ、ロボットに当たり、ドローンは修理しても直らないくらいにボロボロになってしまった。

こうなったら、全力で勝負するしかない。

そう決意した瞬間、そみこがビーム銃を放ち、プログハン達を追い詰めた。

すると、そみこと息ぴったりにまさもが天使羽を付けて、私たちに叫んだ。

「みんな、一気に飛んで!」

まさもは、近くの岩にデスノコローノーゼを当てると、その岩を粉々にした。

見事、岩は粉々になって、プログハン達は岩を避けるようにジャンプした。

…………崖の方へ。

地面から足から離れたプログハン達は、真っ逆さまに落ちていった。

ところが、ロージーだけはジェット機で浮かび上がり、私達に攻撃をしてきた。

痛いっ。

ロージーの動きは素早い。

このままじゃ、私達が追い詰められちゃう。

どうしよう。

また、攻撃が来る。

今度は、石の塊だ。

ガンッ、ガンッ。

地面に当たった石が跳ね返る。

あんなのを食らったら、まともに動けない。

ドシン。

あっ。

どうしよう。

地面に落ちた石に足を引っかけて、転んじゃった。

上には、大きな石が振ってきている。

今度は、避けられない…………

そう目をつぶった時、さいとが氷結晶守備魔法で私を守ってくれた。

氷で作られた矢が、石に刺さり、進路を大きくずらす。

私はその間に体勢を立て直した。

でも、そんな事で諦めるロージーじゃない。

今度は、まさもに向かって武器を放った。

するどく尖った枝がまさもを狙う。

まさもは、逃げ遅れて枝が腕をかすり、怪我をしてしまった。

このままじゃ、私たちが負けちゃう。

なんとかして、攻撃しないと。

その時、さきがやってきて、プロペラミキサーを放った。

プロペラミキサーは、ジェット機のプロペラを壊した。

でも、ロージーのジェット機は宙に浮かんだままだ。

どうして!?

混乱しながらも、私はジェット機にサッカリミリントンの攻撃をしかけた。

ところが、ジェット機は壊れるどころか正常にまた回り出してしまった。

げっ。

もしかして、本がエネルギーだったわけ!?

それは、考えてもいなかった。

ジェット機には本が被さったまま。

これだと、どんどん復活していっちゃう。

私がぎゅっと拳を握りしめ、プロペラを見つめていたとき、さきの放ったプロペラがこちらにやって来た。

どういうわけ!?

さきのプロペラミキサーは、私を巻き込み、プロペラの所に私は落とされた。

私の体力がどんどん減っていく。

その瞬間、プロペラが高速で回転した。

吹き飛ばされちゃう。

頑張って掴まらないと、死んじゃう!

下には、何もない。

あるのは、はるか遠くに見える地面だけだ。

そして、一生懸命に捕まっていると、やがてプロペラが完全に動かなくなった。

私は、ジェット機を掴んで、ロージーの所にぶら下がった。

もちろん2人乗りだと、ジェット機は重さに耐えれず、下に落ちる。

私の思惑通り、ジェット機は、くるくる回転しながら落ちていった。

私は、天使羽で横によけた。

そして、下を見ると、ロージーが倒れていた。

私は、素早く紙に、

「あなたたちが、コンピューターなどを使って悪さをしなければ、私たちはちょっかいを出しません。いいですか?少しでも、悪さをしたら、すぐに私たちがかけつけます。もう絶対に、悪さはしないでください。」

と書いた。

その時、空から大量のコインが幻高山に振ってきた。

そして、テレビがなぜか現れて、

「みんなで、コインを取っていきましょう。幻高山は敵を倒すと、たくさんコインがもらえます。プレゼントも今回は2個もあります。新しいアイテム、大事にしてくださいね。」

と言って消えた。

あ~、もう何なの、この人は(人じゃないけど)!

急に現れたり、急に消えたり。

なんだかんだいって、大事なときにはでてこないし、べつに出てきて欲しくないって時に出てくるんだよね。

空気が読めない人ですねえ。

って、人じゃなくて、「空気が読めないテレビ」だね。

そみこは、

「とりあえず、コインをゲットしましょう。みなさん、準備は良いですか?」

と聞いた。

そして、スタートするとみんな一斉に飛び立ち、コインを取り始めた。

さいとは下の方のコイン。

さきは、その上の所のコイン。

その上には、まさも、その次がそみこ、そして1番上はしずき。

私はとれないんじゃないかって?

ふふ。

可愛くて賢い私は、みんなの所を回って、たくさんコインを取ることにしたんだ。

私はまず、さいとの所へ行き、さいとの前に出る。

ごめんなさ~い!

私はさいとの目当てのコインを横取りして、どんどん進んでいく。

そして、やっと満足できたから、しずきの所へ行く。

しずきの所は、あまりコインがなかった。

私は諦めて、そみこの所へ行く。

そみこの所はコインがいっぱい!

私もいただいいちゃおうっと。

私は、高速で天使羽を飛ばし、コインを取っていく。

最後は、さきの所。

でも、さきは冒険を始めたばかりだからアイテムも少ないし、譲ってあげよう。

私がそみこのところへ行くと、そこのエリアはコイン無しだった。

そみこは他のところでコインを横取りしようとしている。

ちょっ、そみこ。

19,607って。

いくら何でも取り過ぎでしょ!

私でも、9,009だよ!?

これでも満足できないなんて。

止めに行かなくちゃ。

そみこは、量が多いさきの所へ行こうとする。

私は、高速でそみこを追い抜いて、さきの所へ向かった。

さきは、途端にスピードを上げる。

私は、

「そみこがコインを取ろうとしてるの。私が守るから、さきはそのままコインを取り続けて。」

と小声で言った。

さきは、安心して次のコインを取ろうとする。

途端に、そみこが飛んできて、コインを横取りしようとした。

ダメ!

私はとっさにそみこに体当たりし、さきにコインを取らせた。

そみこは、

「何で、私の邪魔をするんですか!取るのは、自由ですよね?私、あんまりコインを持ってないんですよ!お願いだから…………」

私はすぐさま言い返した。

「へえ、嘘つくんだ。本当はコインをたくさん持ってるくせに。数字、当ててあげよっか?19,607でしょ?」

そみこは肩をすくめて、

「残念でした。キミコの推理はあってません。そのコインの数は、19,929でした。」

と言った。

どっちも、多い数でしょうが!

そみこは、

「まあ、今回は諦めて、プレゼントをさきに開けてます。いつか、借りは返させてもらいますからね!」

と言って、飛び去っていった。

さきは、ぺこりと頭を下げてお礼を言った。

「ありがとう。だけどキミコ、何で助けてくれたの?それに、さっきも見逃してくれたし…………」

私は、

「だって、さきはアイテムが少ないから、足りない分をコインでもらうしかないもん。だから、さきにはコインが必要かなって。みんなは、アイテムをある程度持ってるし、この冒険にも慣れている。でも、さきはまだ冒険し始めたばっかりだから、見逃してあげたんだよ。」

と言った。

まだ、近くにいたそみこは

「フンッ!かっこつけバカアホキミコ!」

とそっぽを向いてしまった。

しずきは、

「まあまあ。プレゼントをみんなで開けましょう。」

と私たちをなだめた。

でも、全然プレゼントは見つからない。

というか、みんなのも無いみたいだ。

その時テレビが、

「ハンマーを貸すので、自分の力でプレゼントを掘り出してください。」

と言って、ハンマーを貸してくれた。

もう、タイミング悪いなぁ。

もうちょっと前に現れて欲しかったのに。

私は、テレビが消える前に

「ちょっと!自分の力で掘り出しなさいって、どこにプレゼントがあるの?それに、私達は仕事を終えて、クタクタなの!そんなことしてる暇はないから、さっさとプレゼントをあんたが取り出しなさい。」

と叫んだ。

テレビは、首を振った。

「ダメですね。じゃあ、私はこの冒険のサポートをやめましょう。そうしたら、プレゼントが出てきます。でも、私がいなくなれば、あなた達が持っているブレスレットは消滅し、アイテムはなくなります。それで良いのですね。では。」

え?

私達が呆然としていると、テレビは容赦なく魔法をかけようとした。

一番最初に我に返ったさきが、慌てて嘘をつく。

「ごめんなさい、今、キミコはお腹がすいていて機嫌が悪いの。だから、ここは大目にみてちょうだい。」

気まぐれテレビは、機嫌を直すと、

「では、ご自分の力で掘り出してください。」

と言って、今度こそ消えてしまった。

はぁ、もう。

面倒な事させるね。

そして、私達は自分達でプレゼントを掘り始めた。

「あっ、プレゼントじゃないかな、これ?」

やがて、そんな声が聞こえて来た。

振り返ると、すぐそばを掘っていたさいとがプレゼントの角を指さす。

そして、周りを掘り出し、5分くらいすると、プレゼントがもう少しで抜けるところだった。

プレゼントは、2段になっている。

さいとは、プレゼントを引っ張り出す。

そして、リボンをほどき、中を開けるとそこには、「スターピコタリング」という物があった。

調べてみると、その星の形のピコタリングを体に貼ると、何かに襲われたとき、体を守ってくれるんだって。

そして、もう1つ。

それは、「携帯型灯りスイッチ」。

これは、携帯みたいな感じなんだけど、たった1つのスイッチを押すと、灯りが付くんだ。

ライトみたいな感じなんだって。

これは、普通のアイテム。

で、ちなみにピコタリングっていうのは、体に貼るとピコンと音が鳴って、リングみたいな形になるおもちゃ。

私の家にもあるんだ。

貼って剥がせるから、何回でも楽しめるんだよね。

そろそろ、私のプレゼントがでてくれないかな~。

ずいぶん掘ってると思うんだけど。こんなに苦労するとは思ってなかった。

あっ!

なんか、角が見えてきたぞ~。

プレゼントゲット!!

私は、思いっきりハンマーで岩を割った。

その瞬間、岩が飛んできて、私の体に当たりそうになる。

あ、危ないっ!!

私はジャンプしてかわし、プレゼントを見つける。

プレゼントは、無事みたい。

そして、プレゼントの中身を取り出す。

プレゼントの中には、「雲集め磁石」があった。

雲を集めて、足場を作るやつみたい。

そして、次に取り出したのは、「噴水攻撃魔法シール」。

シールを手のひらに貼って、噴水攻撃と叫ぶと、手から噴水が出てくれるんだって。

これはまあまあ良いかもね。

横を見てみると、しずきが一生懸命、プレゼントを掘り出している頃だった。

私は、

「手伝うね!」

と言って、掘り始めた。

しずきは、汗だくの状態でうなずいた。

けれども、掘っている途中にハンマーは折れてしまった。

私はテレビを呼んで、

「あんた、ハンマー持ってる?しずきのプレゼントを掘るの、手伝っていたんだけど、ハンマーが折れちゃって。」

と言った。

テレビは、

「ああ、それはそうなってるんです。自分のハンマーで他のプレゼントを掘ると、自動的にハンマーが折れる仕組みになっているんですよ。さっき、私が言いましたよね?『自分の力で』と。なので、これは当たり前なのです。あなた、全然人の話を聞いていませんね。そんな質問、バカな人しか言えませんよ。」

と言った。

相変わらず、一言多すぎ。

私は、

「そ、その仕組みを変えたらどうなの?この世界は、あなたが管理しているんでしょ。なら、仕組みを変えることくらい簡単じゃないの!?」

と叫んだ。

テレビは、

「私はこの中ではサポート係ですが、それはこの世界の中では、の話です。そして、私だけでその世界をコントロールしているわけではありません。この仕組みは、私が管理しているのいではなく、別の人が管理しています。なので、仕組みを変えることはできません。」

と言った。

私はため息をつくと、しずきの方を見た。

しずきにはプレゼントが見えているみたい。

だけど、しずきは疲れてきたみたいで、別の所にハンマーを突き刺している。

私は、しずきのハンマーを手に取ると、掘り出し始めた。

今度は、最後までちゃんと掘り出せた。

テレビも、少し整備が甘かったみたいだね。

しずきのハンマーを使えば、なにも影響ないみたいだ。

アイテムをしずきと2人で見ると、アイテムは「デコピンパチンコ」と「透明マント」だった。

デコピンパチンコは、空気をはじくだけで、パチンコのボールが出てきて、相手に飛んでいくという武器。

透明マントは、かぶると透明になるアイテム。

どっちも役立つなあ。

しずきはお礼を言うと、穴の中をのぞき込む。

何で?

しずきは、

「さっき、私が掘り出すときに一瞬、土がちょっと光ったの。だから、この中にあるのかなって…………」

と言った。そして、中に顔を突っ込む。そして体を入れると、手を伸ばし、中に入る。

すると、ガタンと音を立てて、しずきが戻ってきた。

穴をのぞき込むと、そこには通路が。

私は急いで自分のプレゼントがあったところに行くと、中に入った。

そして、仕掛けを試してみたけれど、できなかった。

そして、そみことまさも、さきが戻ってきて、口々に言った。

「キミコ、私は、つかみ手袋と救助花火です。つかみ手袋は、手の形をした手袋で、狙った物を捕まえることができます。そして、救助花火は花火が出てきます。さきは…………」

「私は、スタンプ型攻撃ガードと、スーパージェット機よ。ロージーが使ってたやつと同じやつなんだって。」

「フンッ!このまさも様は、メチャクチャ良いやつを持ってるんだよ!まず、立体文字!魔法の紙付きなんだって!それで、最後が最強デスノコローノーゼ!目当てのモンスターを追いかけてくれるアイテムなんだ!」

みんな、一気に喋りすぎ。

私は、アイテムのことを話すと、しずきの所に集まって、不思議な仕掛けについて説明した。

私は、

「それで、提案なんだけど。みんなで、これに繋がる通路を見つけない?」

と言った。

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第13章:不思議な通路

「あの。この先が、崖とかになっていたらどうするんですか?」

そみこが聞いた。

私は、

「まあ、とにかく行こうよ!!」

とそみこを穴に押し込む。

「みみも、みみまみみむもみゃまむまいめみゅみょ!」

なんて言っていたけれど、無視、無視!

さきは、そみこの次に入って、懐中電灯の灯りをつける。

そみこも懐中電灯をつけて、明るくする。

その次に入ったのはまさも。

まさもは、たいまついつの間にか作ってきて、それを持って灯りにしている。

私は、その次に入った。

そして、武器を手に持ったまま、灯りをつけた。

さいとは、携帯型灯りスイッチを使って灯りを付ける。

これはこういうときに役立つんだね。

しずきは、一番後ろに行き、後ろ向きで進む。

そみこは、四つん這いで進むと、足を止めた。

その先は、見事な崖になっている。

しかも、そこには水が押し寄せてきて、もうすぐここに届いてしまうほどだった。

反対側には陸地があったけれど、渡れる距離じゃない。

そみこは、

「引き返しましょう。ここにいても、危険なだけです。」

と言って、くるりときびすを返した。

もう、そみこってば、怖がりだなぁ。

私は、

「ロープがあるから、それで渡ろう。反対側に、行ってみない?」

とにやりと笑った。

そみこは、

「そんな危険なこと、やってられますかっ!私は、キミコ達にこの変な森に連れてこられたんですよ!?これ以上、危ないことしないでください!この前は運が良かったものの、今回は落ちたら助かりませんよ!私は反対です!!!」

と叫んだ。

私は、迷ってから

「う~ん、じゃあ、いったん離れて、安全な方法を見つけよう。でも、あそこの方が安全だと思うよ。」

と言った。

そみこは、

「少なくとも、安全に渡れる方法を探すべきですっ!」

と鼻息荒く言った。

しずきは、

「みんな。どんな物を持っている?」

と聞いた。

私は、

「えーと、まず、アイテムでしょ、あと、最近ビニール袋を持つ癖があって、ビニール袋なら持ってるよ。」

と言った。

しずきは、

「私、たくさん持っていかないと心配だから、たくさん持ってきてるわ。テント、タオル、薬、着替え、予備のパラシュート、ビニール袋、鉛筆、消しゴム、日記帳、方位磁針、さきからもらった缶詰め、アイテム、ロープ、段ボール、のり、地図、それからこの前手に入れたクローバーのと、くし、ピン、絆創膏、包帯、水、裁縫用の針よ。」

と言った。

し、しずき、そんなの、どうやって持ってきたわけ!?

まさもは、

「アイテム!」

と応えた。

それだけ!?

まあ、荷物はあんまり持ってこなかったけど。

さいとは、

「ビニール袋、方位磁針、裁縫セット、アイテム、あと非常用の食料、地図かな。」と言った。さいとは良いバランスで物を持ってきてるね。」

と応えた。

そみこは

「私も結構持ってきています。手袋、着替え、薬、絆創膏、包帯、お守り、食料、ビニール袋、水泳服、ボンベ、方位磁針、地図、水、日記帳、ノート。それから、筆箱と傘とアイテムと図書館で借りた本です。」

と自慢げに言った。

そみこ、何で連れてこられたのに、準備万端なわけ?

私が怪しげにそみこを見ると、そみこは、

「私は意外と神経質なんです!」

と自慢のように胸を張った。

そみこ、それは自慢じゃないからね。

そう心の中で突っ込みながら、荷物を整理する。

さきは、

「うーんと、私はシンプルが一番だと思うから、タオル、ティッシュ、アイテム、水筒、あとなんかあったときのための水とロープとビニール袋100枚よ。」

と言った。

さきも良い感じ。

でも、ビニール袋100枚なんか、いつになったら必要になるんだろう…………?

しずきはまだしても、そみこは要らない物を持ちすぎ…………

本なんか、川に捨てちゃってもいいんじゃにの?

その時、さきが

「みんな。川を渡るとき、私の袋で体を包んだら?もし落ちたときに、ダメージを軽くするために。」

と提案してきた。

そみこは、うんうんと頷く。

「確かに良い考えですね。ただ、もうすぐ5時です。いったん、ご飯を食べてからにしましょう。」

私達は穴から出て、テントを張り、ご飯を食べ始めた。

今日の夜ご飯は、さきが持ってきてくれたお弁当。

私のは、チーズハンバーグ、海草のご飯、野菜炒め。

そみこは、ビーフシチュー、ロールケーキ、チンジャーロース。

そして、しずきは煮魚とプリン。

そして、牛肉とキャベツの炒め物。

さいとは、野菜セット。

そして、さきがさいと特製おにぎり。

さいとは、おにぎり作るのが得意なんだよね。

さきは、コンピューターの形をしたおにぎりと、うさぎがたの形のおにぎりを頬張っている。

うさぎがたのやつには、顔がのりで作られてるし、コンピューターのやつも凄く手が込んでる。

私も食べたいな~って、私にはチーズハンバーグがあるんだった。

そして、お腹がいっぱいになると、私たちは潜水服に着替えて、ボンベを付けた。

さきは、ボンベを外し、

「そうだ。天使羽で飛んでこえたら?」

と言った。

そみこは、キョロキョロと目を泳がし、ぽつりと呟いた。

「それが…………天使羽のレンタル料が高すぎて、コインを全部みんなの使ったんです。それでも、足りなかったので、天使羽を全員分没収されて、70万のコインを払えっていわれたんです。」

とうつむく。

な、な、な、70万!?

無茶だよ!

コイン全部使っても払えないって!

コインが~!!!!!!!!

どうにかしてください!

神様あああああっ!

じゃあ、何とかして向こうに渡らないとね。

そみこは、

「もう、諦めましょうか。」

と言った。

ちょっと!

私は、叫んだ。

「一回くらい、ドキドキの冒険させてよ!いいでしょ!?」

とそみこに頼んだ。

そみこは、私に負けないくらいの大声で叫ぶ。

「キミコッ、何回、ドキドキの冒険させてあげたと思ってるんですか!今度という今度は、許さないんですからね!今回は、やめてください!天使羽がない状態で、どうやって行くつもりですか!?下手したら、死んでしまいますよ!」

私は、叫ぶのをやめてはっきりと言った。

「でも、行動しないと、何も始まらないよ。ぐだぐだ考えて、必死に作戦を練っても、行動しないと、意味が無い。ずっと進んでいなくてもいい。誰でも挫折はあるし、頑張って進んだけれど、後ろに下がらないといけないこともあると思う。でも、せっかく、自分の前に出てきたチャンスをみすみす見逃して、その場でずーっと立ち止まっていることは許されない。私達は、この世界をクリアしないといけないの。そみこだって、それはわかっているはず。立ち止まっている暇はないの。」

そみこはとうとう、うなずくと、材料を確認し始めた。

「じゃあ、ボンベを付けたりしてください。そして、今回はロープウェイみたいな感じで行きます。まず、ロープを向こう側に生えている木に結びつけます。この長さなら、全員のロープを合わせればいけるはずです。そして、こちらのロープは針金みたいな所に巻き付けましょう。そこは、簡単にとれないはずです。」

と説明した。

早速、私たちはそれを実行する。

その時、しずきが

「あの。そみこがもっている弓で木を倒し、橋にするっていうのはどう?」と言った。

そみこは、首を振った。

「それも考えたんですが、あの木の長さだと、ギリギリ足りなさそうだったので、やめました。」

と言って、さらに説明する。

「そして、ロープを巻き付けたらさきが持ってきた袋を頭からかぶり、なぜかしずきが持ってきたらしい、7本の命綱を付けて、ここを渡りましょう。上がりなので、ジェット機を付けて、渡ろうと思います。あのジェット機は、不安定なので、命綱がないとダメです。」

私たちはうなずき、さきの袋をかぶる。

あれ、さきの袋、意外と丈夫な袋だ。

私は、先頭に立つと息を吸い込み、命綱を体に付け、ジェット機を発射させて、向こう側まで渡る。

そして、順番に渡っていって、振り返ると、さっきの陸地が崩れていた。あれ、もしかして、帰る方法がなくなった!?

そみこは、ブツブツと不満をぶちまける。

「だから不安だったんです。」

そみこ、今更そういうのは無しだよ。

その時、地面が思いっきり崩れた。

ガッシャーン!

想像以上に、大きな音がして、地面が割れる。

私達は、川の中に叩きつけられた。

川の中には、ロープがある。

私はそのロープを掴み、こっちに引き寄せた。

さっきの衝撃で、さきの袋は傷が付いてしまったけど、割れたりはしなかった。

そして、ロープをぎゅっと握ったとき、さきの袋が割れた。あああああっ!

って、みんなはどこ!?

みんなは、私の前にいる。

もうとっくに袋は破れている感じ。

みんなは川の勢いにのまれて、そのまま流れ続けるしかなかったみたい。

急な流れだもん、しょうがないよ。

でも、さすがに体が冷たくなってきた。

その時、さきがこちらにベストを投げた。

私はギリギリで受け取って、ベストを着ようとする。

ところが、私は沈んでしまって、その表紙にボンベが落ちてしまった。

私は何とかキャッチしたけれど、息が吸えない。

そのまま私はベストを着た所で、気を失ってしまった。

バッシャーン!!!!

ある音に、私は目を覚ます。

どうなっているかを見てみると…………

私達は、海の沖にいた。

しずきたちは、近くにいる。

うう。寒いっ。

天使羽があったら良いのに…………

その時、サメが現れた。

な、なんで!?

どうしよう、絶体絶命だよ。

死にたくない!

その瞬間、バッシャーン!と音がして、イルカが現れた。

サメは、その音にビックリして、私たちと距離をとる。

そして、イルカはこちらに背びれをみせてきた。

ここにつかまれって事かな?

イルカの数は6頭。

私達は、背びれにつかまることにした。

その時、テレビが現れて、

「今だけのプレゼントですよ。動物と話せるペンダントを渡します。」

と言った。

私は受け取って、首に付けた。

すると、イルカの声が聞こえてきた。

「ねえ、早く逃げないと、追いつかれちゃう!背びれにつかまって!」

私は、背びれにつかまり、

「あなたの名前は?」

と聞いた。

イルカは、

「僕の名前は、ジャンピー。ジャンプの達人さ!」

と言った。

しずきの方の子は、エリ。

宙返りが上手な子。

そして、そみこの方の子は、グルモ。

グルモは、潜るのが大好き。

さいとの方のイルカはピードス。

泳ぐスピードがとても速いんだ。

さきの方は、カナセ。

カナセは、ジャンプして背中から着地するのが上手な子。

ジャンピーは

「今からジャンプするから、息を吸い込んで!」

と叫び、ジャンプの準備をした。

そして、私が息を吸い込んだ瞬間…………バッシャーン!

思いっきり、水の中に飛び込まれた。

その瞬間、サメが泳ぎ出す。

私は必死に泳いでいるイルカの背びれにつかまり、風に耐えていた。

もうすぐ、陸に上がれる!

岸が見えてきた!

ところが、目の前には滝があった。

さっきの滝!?

イルカたちは、突っ込んでいこうとする。

私は、

「ダメッ!!ここからは、私達が頑張って…………」

と叫んだ。

私は後ろを振り返ってきて、サメを見る。

ん?

なんか、角みたいなのがある。私は勇気を出して、

「ジャンピー、あのサメに向かって突っ込んでいって!」

と指示を出した。

そして、サメたちが大きな口を開けて襲いかかる!

ジャンピーは得意のジャンプでかわし、サメの体に向かって突っ込んでいった。

私の予想通り、サメはツリーのモンスターだった。

しずきは、ベストを脱いで、水着の姿になる。

私達もそうして、ジャンピーの背びれにつかまる。

ツリーのモンスター(もう、名前を勝手に決めちゃえ!ツーリーでいいや。)は

「よくも、この正体を見破ったな…………さあ、勝負だ…………私はズルイ手を使わないよ…………ただ、今回はあなたたちが負ける…………覚悟してお…………けっ!!」

と言って、私たちに襲いかかってきた。

ジャンピーは、思いっきりジャンプしてサメの周りに着地した。

私は

「私達は、絶対負けないんだから。最強のチームワークこの力、見せてやる!あんたは、黙ってみていれば良い!あんたの思い通りなんて、絶対させないんだからね!」

と叫んだ。

そして、私はジャンピーから手を放すと、鉄の棒を手に取った。

このモンスターを退治して、コインをもらわなくちゃ。

それに、このツリーの怪物の近くに宝があるみたいだし、このバトルは絶対負けられない。

天使羽の借金を返さないと!

そんな簡単には手に入らないけど。

天使羽は、レアアイテムだから、借りた分コインを払わなくちゃいけないんだもん。

それに、70万のコインを要求されるとは思わなかった。

作戦を立てている暇はないけど、仲間は12人もいるんだよ。

そんな簡単には勝てないよ。私は、鉄の棒で一気に攻撃した。

けれど、ツリーのトゲで鉄の棒にひびが入ってしまった。

どんだけ頑丈なわけ!?

そうだ、パチンコ!

私はパチンコを手に取る。

ところが、ツーリーが大量のトゲを噴射してきた。

私はそれをまともに受けて、海の中に叩きつけられた。

しかも、ボンベが飛んでいってしまった。

うっ、息を吸ってないから、苦しいっ。

そして、ツーリーのトゲが私のお腹に当たる。

私の体はますます、海の中に沈んでいく。

本当に溺れちゃう…………

何とかしないと!

でも、息が…………

この、ままだと…………

私はもがきながら、助けを求める。

その瞬間、バッシャーン!

エリが、宙返りして私のそばに来る。

私、絶対勝つって決めてるのに、何、弱気なこと考えていたんだろう。

私は、みんなの所に戻ることを決意してエリの背中に乗る。

そして、私はギリギリで水面に浮かび上がる。

あれ?

ブレスレットがない。

もしかして、海に沈んだ!?

ボンベはまだしても、ブレスレットは沈んじゃったら大変だ。

その時しずきがグルモに乗って、水中に潜っていった。

私はとっさに叫ぶ。

「しずき、ダメ!それは私が取り返しに行くから。しずきはみんなの体力を回復させて。」

しずきは、口の動きで

「任せたわよ、キミコ。」

と言って、海の中に消えていった。

私も、しずきの仕事を受け取らないと!

私は、イルカの背中に乗り、

「ジャンピー。イルカ専用の得意技ってある?」

と聞いた。ジャンピーは、

「それはジャンプ!!イルカといえば、ジャンプだよねっ!」

と言って、思いっきりジャンプする。

ちょっ!

酸素ボンベがないのに!

その瞬間、しずきが戻ってきて、私の口にボンベを付けた。

良かったあ。

でも、水中で息を吸えるアイテムが欲しいなあ。

何とか、あのツーリーを陸に追いやりたいよ。

その時、ジャンピーが

「そうだ。他にも得意な技、あるよ。ちょっと危険な技だけど。」

と言った。

私は、

「どういう技?」

と尋ねる。

ジャンピーは、

「うん、あのツーリーを陸に上がらせれる技。」

と言った。

これこそ、望んでいた技だ!!

そんな私たちの会話を聞いて、エリが

「ダ、ダメよ、ジャンピー!!あの危険な技をやるつもり!?失敗したら、浜に乗り上げちゃうのよ!あの技をやって、死にかけたことがあったじゃない!!」

と叫んだ。

ジャンピーは、

「それでもやる。だって、キミコとお友達になったんだもん。エリも、僕のためなら何だってするでしょ?それと同じ。」

と諦めない。

そして、

「キミコ、そみこ、しずき、さき、さいと、まさも。みんなで、ツーリーを囲んで!陸に行かせるから!」

と言った。

私達は、真正面の所をジャンピーが通れるようにして、ツーリーを囲んだ。

その後、勢いを付けたジャンピーが突っ込んで、ツーリーを陸に行かせた。

もう、浅瀬だ。

ジャンピーは!?

私はジャンピーを探す。

ジャンピーは、浅瀬で尻尾をバタバタ動かして、なんとか沖に戻った。

もう、ここでお別れなんだ…………

その時、テレビが現れ、

「あのイルカたちを仲間にさせます。皆さん、彼らをサポート役としてください。」

と言った。

ちょ、ちょっと待って、ちょっと待って。

ジャンピー達はイルカだよ!?

陸には上がれないんだから、そんなこと、できないでしょ!!

テレビは、

「陸にいるときは、ブレスレットの中に入ってもらいます。その中にいる限り、安全ですから。水に入ったときはイルカたちを出せるようになっています。水があれば、どんなところでも行けますよ。」

と言った。

私は、

「うん、そうして。でも、今は、このツーリーを止めるの手伝ってよ!」

と叫ぶ。

テレビは淡々と

「じゃあそのバトルが終わったらブレスレットの中に入れます。そして、人間の言葉をしゃべれるようにします。なので、心配しないでくださいね。あとで、あれを渡すので、それを見てから決めてください。」

と言った。

なんか、嫌な予感がしてきたんですけど…………

気のせい?

でも、まずは水中に戻ろうとするツーリーを止めないと。

そみこが、

「キミコ、早くこっちに来てください!止めるのが大変なんですから!」

と言った。

そして、私は

「みんな。いったん、説明だけする。だから、陸の方にツーリーを引きつけて!それで誰かが挑発して!」

と指示を出した。

まさもは

「フンッ。あんたなんか、すぐに倒してあげるんだから!あっかんべー!」

と言った。

そして、挑発したかいあってツーリーはまさもを追いかけ始める。

…………かなり無理のある挑発だったけど。

まさもは広い野原へと逃げていった。

私はまさもとツーリーを追いかける。

その時しずきが、まさもに技コピーしてもらった氷結晶攻撃魔法をツーリーに向かって投げる。

その瞬間、ツーリーは横に行けなくなる。

しずきはさらに、後ろも追い詰めて、前方だけしかいけなくさせた。

まさもは、広い草原みたいなところで立ち止まった。

ツーリーは思いっきりジャンプしてまさもに覆い被さる。

まさもはギリギリでかわして、私たちに言った。

「みんな、早く攻撃して!」

私は本をツーリーに向かって投げる。

ツーリーは、余裕でかわす。

私は本の山を消した。

その後、さいとが氷結晶守備魔法で氷をツーリーに向かって投げる。

そみこも三本矢を放ち、ツーリーの体力は残り60。

もう少しだ。

まさもは、デスノコローノーゼを開きかける。

私は、デスノコローノーゼが私たちに向かってこないように

「しずき。さいと。氷結晶攻撃魔法出して。」

と言った。

しずきとさいとは私達を氷の織りで囲んだ。

その後、まさもがデスノコローノーゼを出した。

ところが。

ツーリーはデスノコローノーゼに凄い息を吹きかけた。

さきは、

「あのツーリーはデスノコローノーゼが回復魔法になるみたい。そういう情報が出ていたわ。」

と言った。

さき、調べるのが早すぎるよ!

さきは、プロペラミキサーを放つ。

ところが、ツーリーは口でプロペラミキサーを吸い込んでしまう。

さきは悔しそうに、

「どうしよう。パソコンに『ツーリーは口で吸い込んだ物は敵に攻撃できる』って書いてある。これだと、プロペラミキサーで反撃してきちゃうわ。」

と言った。

私は、

「そうだ、光の檻を使ってみたら?」

と提案した。

さきは、

「残念ながら、光の檻は凄く邪悪な物だと通じないらしいの。私はアイテムをあんまり持ってないから、これ以上攻撃する技がないかも。」

と応えた。

そ、そんな…………

私は、

「じゃあ、さきは離れた場所でツーリーの弱点を調べて。」

と言った。

そして、

「そみこは、弓矢での遠距離攻撃!しずきはみんなの体力を回復させて。みんな回復していたら、デコピンパチンコ。まさも は、メッサカリントンやデスノコローノーゼでツーリーを追い詰めて。さいとは、み んなのサポートをして、助けてあげて。それで、私はとにかく攻撃をするから。」

と短く作戦を言った。

そみこは、ツーリーの近くにいたけれど、ジャンプして距離をとった。

そして、三本矢でツーリーを攻撃する。

でも、ツーリーは口 に三本矢を入れる。

でも、そみこには作戦があるはず。

そみこは、ツーリーが口で三本矢を吸い込もうとしているのをみて、思いっきりジャンプし、至近距離でハリハリミコサーを放つ。

そして、ツーリーの体に針が刺さる。

ツーリーは慌てて、何かの呪文を唱えた。

その瞬間、ツーリーの体が変化する。

私たちの目の前に経つツーリーは、人間になっていた。

でも、その目は表情がなくて、まるでロボットみたいだ。

髪の毛は私達と同じくらい伸ばしている。

しかも、その髪の毛はうねうねと動いていて、まるでメデューサみたい。

姿でいうと、さっきの方がマシだったかも…………

さきは遠くから叫ぶ。

「みんな。そのツーリーは変身できるの。しかも、体力を回復することもできる。それから今のツーリーは、回復魔法が誰か1人使っちゃうと、キミコ達が持っている技を一気に全部出せるようになっちゃうの!!だから、回復魔法は使わないで。あと、その髪の毛には注意して。まだはっきりとした情報は掴んでいないけど、その髪の毛を自由自在に使って攻撃することもできるらしいから。ちなみに、その髪の毛は100メートルも伸ばすことができるらしいわ。気をつけてちょうだい。」

と言った。

うわあ、回復魔法を使えないって、かなり難しいし。

あいつが魔法とか使わなければまだしも、全部技を出しちゃうっていうのは…………

あ。

魔法を使わせないアイテム。あれを使おう。

いざとなったら、あれを使えば大丈夫!!

私はそう思い、

「じゃあみんな、やっつけるよ!」

と叫んだ。

そみこは、

「わかりました。情報集めはさきに任せていれば安心ですね。」

と言った。

だよね、さきはインターネット使うの得意だから、さきに任せておけば安心。

でも、さきって現実世界では徹夜していることが多いんだって。

なんか、そういう噂があって、私の耳にも届いたんだ。

でも、今のところさきが徹夜しているっていうイメージはないんだけど。

まあ、今はバトルに集中、集中。

私は

「もしかしてツーリー、変身できるわけ?」

とツーリーのことを探り始めた。

ツーリーは、無言だ。

私はさらに聞いてみる。

「言葉はちゃんと話せるわけ?聞こえているならちゃんと応えてよ。」

ツーリーはようやく話した。

けれども…………

「質問は却下。以上だ。」

と言うだけ。

えええっ。

質問を簡単に却下するなんて…………

やっぱりさっきのツーリーの方が良かった。

今のツーリー、最悪だ。

でも、これがロボットという可能性もある。

私は、

「みんな。このツーリーはロボットかもしれない。でも、なんとか倒そう!!!」

と言った。

そみこは、

「じゃあ、さっきのキミコの指示通りどんどん体力を減らしましょう。」

と言った。

私は早速攻撃する。

何を選んだかっていうと…………

光の檻。

今のツーリーにはそれを使うことができるんじゃないかって思って、これにしたんだ。

ところが、ツーリーは髪の毛で檻の一部を絡め取ると、光の檻は瞬く間に黒く、邪悪な色になってしまった。

そして、ツーリーは光の檻を口に運ぼうとする。

その瞬間を見逃さず、そみこは矢を放った。

ところがまた、ツーリーは髪の毛でそれをとめてしまう。

さいとも、氷結晶攻撃魔法と氷結晶守備魔法を使って攻撃する。

ところが、それも髪の毛で全部掴んで止めてしまう。

そして、口に運ぼうとする。

あの速さの攻撃魔法と守備魔法を、全部髪の毛で掴んじゃうなんて…………

その時、まさもがひらめいたようにメッサカリントンを出す。

けれども、ツーリーはそれを軽く飛び越えてかわしてしまった。

しかも、私たちが今まで出した技を全部口に運んでしまった。

その時しずきが、全回復魔法で私達の体力を回復してしまった。

私はそれと同時に、魔法ができないようにすることができる技を出した。

一か八か、やってみるしかない!!

その後、ツーリーは私達の技を全部出した。

けれど、ギリギリあのアイテムの効果が出たみたいで、魔法は少しの間、飛び続けていただけで、途中で消えた。

だから、なんとかそみこの三本矢が降ってきただけで終わった。

だけど、安心した途端に光の檻が振ってきて私達は閉じ込められてしまった。

ツーリーの体力は残り50。

倒せない体力ではない。

私は、光の銃を放った。

パンッ!

キレイな音がして、ツーリーの体力は20になる。

光の銃は、ダメージを受けることもあるんだ。

よし、もう1回やればっ!!

私は光の銃をまた使う。

けれど、ツーリーは慣れてきたのか弾を掴んで止めてしまう。

その時、そみこが強力ビーム銃を使って、体力を10にした。

その後、私はサッカリミリントンを使ってツーリーに本を落とした。

そして見事、ツーリーを撃退することができた。

やったー!!

その瞬間、ツーリーがいた場所に宝箱が12個も落ちてきた。

だけど、私たちに被さっている檻は消えないまま。

だけど、檻が消えてくれないので、宝箱は開けられない。

あー、目の前に宝箱があるのに!

1人2個もアイテムとれるのに!

その時しずきが、まさもに

「まさも。竹串を貸してくれる?たくさん。」

と言った。

何でこんな大事なときに竹串が必要なの?

でも、しずきのことだから何かアイデアがあるのかも。

しずきはまさもに10本の竹串をもらうと、さらに自分のブレスレットからテープを出した。

そして、なぜかそみこに、

「そみこ。矢を貸してくれる?」

と言った。

もう、全く意味がわからない。

どうやってアイテムを取るわけ?

そしてしずきは自分が持っていたストロー11本をテープでつないだ。

ますます、意味がわからないんだけど。

さらにしずきは竹串に矢を付ける。

そして、ストローの先を潰してテープで竹串に付けた。

やっぱり、意味不明だ。

しずきはそれを檻の外に出して、プレゼントの方に延ばす。

そして、矢がプレゼントに刺さる。

そして、しずきはストローを引いていった。

すると、檻の目の前にプレゼントが届けられる。

私達は目の前に置かれたプレゼントの蓋を開けた。

その時テレビがやって来て

「ああ、そのプレゼントは1人1個ですよ。」

と言ってきた。

なんで!?

12個あるんだけど。

もしかして、意地悪テレビの幻!?

テレビは、

「キミコに1個、ジャンピーに1個というようになっています。」

と言った。

なるほど。

ジャンピーにあげるためにはどうすれば良いの?

テレビは

「ジャンピーと書かれているところを長押しすれば、ジャンピーの部屋が出てきます。

そして、ジャンピーの体をタップすると彼に物をあげたりアイテムをあげたりできるようになっています。ちなみに、今回バトルしてもらったコインは、めでたく40万です。あと、30万残っていますからね。それを全部返しきるまで、天使羽はお返しできません。」

と言った。

とっても嫌なこと言う人。

今でも思い出したくないのに…………

そしてテレビは最悪なことをいった後、消えた。

あのテレビ、どうしてくれるのよ!

しずきはムカムカしている私に

「まあ、もうさっさとプレゼントを開けちゃいましょう。」

と言った。

私は仕方なくプレゼントを開けることにした。

まず1つ目。

そこには、「イルカフード」というのがあった。

これは、ジャンピーのだね。

そみこやしずき達もイルカフードがでたみたい。

みんなブレスレットの画面っぽい所を長押ししてそれぞれのイルカの部屋を開いている。

私もジャンピーの部屋を開く。

その瞬間、ジャンピーの姿が空中にでた。

ジャンピーは海の中にいるみたい。

ジャンピーは

「あ、キミコ!今ね、お家を出てちょっと海の中で遊んでるんだ。家の中、みてみたい?」

と言って自分の家を案内してくれた。

ジャンピーの家は、洞窟の中。

こんなところが家なの?

その時しずきが

「すごいわ…………キレイなサンゴ礁…………」

と私の隣でつぶやいた。

私はしずきの方をみる。

そこにはキレイなサンゴ礁がある。

たくさんのサンゴに囲まれていて、キレイな色の海。

しかも、そこにはたくさんの生き物が。

ジャンピーはしずきの方をみて

「ああ、そうそう、僕の家もこんな感じ!でもね、僕の家は特別なところがあるんだよ。」

と言った。

私は気になって

「え?それってどんなの?」

と聞いた。

ジャンピーは洞窟の中に入っていく。

そしてしばらくすると、たくさんのサンゴ礁が現れた。

ジャンピーはある海藻がたくさんある林に入っていく。

そして真珠みたいに虹色に光っているな貝が置いてあるところを進んでいくと、ある1つのくぼみにたどり着いた。

ジャンピーがそこに降りると、砂が崩れてジャンピーの家が現れる。

わあ、凄い仕掛け!!

私は

「家の中ってどうなってるの?」

と聞いた。

ジャンピーは家のドアみたいな所から入ると、家を見せてくれた。

そこには、ふかふかの絨毯とふかふかのベットがあった。

ほかにも洗面台があったり、私たちが今、住んでいるテントにそっくり。

ジャンピーは

「でもね、今のところ食べ物もないし、遊べる道具とかも家にないから、海で遊んでいるってわけ。」

と言った。

私は、

「あ、そうだ。今回、バトルに勝ってアイテムをもらったんだけど、ジャンピーの分を渡すためにジャンピーのお部屋を尋ねたんだよね。」

と言った。

そして調べてみると、

「このイルカフードは小魚が入っています。」

と書いてあった。

ほかにも役に立つ情報、ないかなぁ?

私は少し考えてから本を開くことにする。

そこには

「イルカフードは毎日イルカに缶詰1個あげるべし。中には缶詰が10個入っている。それを使うのだ。それはコインを支払えばいつでももらえるようになっている。もらいたければコインを支払え。なお、最初はアイテムとしてもらえる。」

と書いてあった。

私は部屋の中にお皿があるかジャンピーに聞いてみた。

ジャンピーは

「うん、食器棚にあったよ。」

と応えた。

私は食器棚から1つお皿を取り出した。

といっても、なぜか食器は貝でできていたんだけれどね。

そしてそこにイルカフードを缶詰全部入れた。

すると、そのお魚が逃げ出してしまった。

私はやっとの事で捕まえると、広いお部屋に持ってきた。

そこは、ホールになっていてとてもい広い。

お魚はそこで泳ぎ始める。そして私はジャンピーに

「えっと、お魚はホールで泳いでるからお腹がすいたらそれを食べて良いよ。」

と言った。

ジャンピーは大喜びでホールに泳いでいく。

ちょっとだけ見てみようかな。

ジャンピーは、小魚を追いかけ始める。

そして、思い切りジャンプして、水に向かって体を叩きつけ、小魚を食べた。

ジャンピーは、エサを食べる時でもジャンプするんだね…………

私はジャンピーに別れを告げるとジャンピーの部屋を閉じた。

そしてプレゼントを開くと、そこにはバランスボールが1つ置いてあった。

は?

私は一瞬からだが固まってしまった。

しずきは、

「なにこれ!?アイスクリーム1本!?」

とビックリ仰天している。

あ、アイスクリーム1本って…………

どう考えても意地悪すぎるアイテムでしょ。

そみことさいとはトランプ。

そしてさきとまさもは、イルカのお友達だった。

まさもはその子に「ピルミ」という名前を付けた。

そしてピードスとカナセの部屋を開くと新しいお友達を入れた。

2人は大喜びで家の中で遊びまくっている。

私はバランスボールをジャンピーにあげることにした。

ジャンピーは、バランスボールで早速遊び始めた。

ボヨン、ボヨン。

勢い余ってジャンピーは背中から地面に落ちてしまった。

「ぐえっ。」

って言うジャンピー、すごくおもしろい!

そみこは私のアイデアに気づいてトランプをグルモにあげた。

グルモも早速夢中になって遊び始めた。

さいともそみこと同じようにした。

今回は自分以外のアイテムって感じだったね。

ちょっとアイテム欲しかったなあ。

そして私は叫んだ。

「テレビ!!この檻、どうにかしてくれない?」

と言った。

テレビはすぐ現れて

「はいはい。わかりましたよ。でも、次回は被さってきたら助けませんからね。」

と言った。

わかってるよ。

テレビは、呪文を唱えた。

「魔法オン。トヨカミサミレ。片付けモード全開。光の檻を我がブレスレットに取り込め。片付けモードオフ。トヨカミサミレ!魔法オフ。」

凄い呪文。

その呪文を唱えてテレビが手をかざした瞬間、キラキラと輝いていた光の檻の輝きが増した。

そしてゆっくりとテレビの手に集まった。

テレビの手は輝いていて、小さな光の檻のスタンプが付いていた。

そして、テレビはその手をブレスレットに近づけた。

そして、光の檻は瞬く間にブレスレットに戻った。

私は

「ふう。ありがと。」

とため息をつく。

テレビは

「私も忙しいので、研究所に帰らせてもらいます。では。」

と言って消え失せた。

あっという間の出来事なんだけど。

っていうか、さっきの呪文、何だったわけ?

でも、テレビのおかげで自由になれたから、よしとするか。

あのテレビ、研究所で働いてるんだね。

ってことは、人って事なのかな?

ナビゲーターみたいな感じの人だと思うんだけど。

まあ、そんなことどうでもいいや!

テレビがどこの研究所で勤めるかなんて、私が知らなくても良いことだもんね。

いつか、テレビから情報集めて結論を導き出してあげるんだから!

それで、そのキミコ様の名推理をテレビに聞かして…………

ああ、その時の驚いたテレビの表情、みてみたいなあ。

まあ、まだ先の話だけど。

それにしても、アイテム、もう1個、渡して欲しいよ~!!!

そう私は思ったのだ。

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第14章:ずる賢いモンスター

「キミコ、今日はどこにテントを張りますか?」

ふと、そみこがそんなことを聞いた。

うっ、その事はまだ考えていなかった。

「うーん、今日は、結構寒くなりそうだからできるだけ暖かいところが良いな。」

私は、少し考えて応えた。

すると、そみこが、

「宝物は明日探しましょう。地図でいうと、宝物はこの近くにあるらしいです。じゃあ、キミコ。今日もしっかりと働いてもらいますからね。」

と地獄の暴言をさらりと言った。

ぎゃああああああっ!!!

最初は、「やった!」って思わせるような事を言っておいて、あとで地獄に突き落とすなんて…………

そみこ、嫌い!

終わりよければすべてよし、っていうありがた~いお言葉に逆らうようなことをして。

どうしたら、そんな頭になるの!?

でも、ここでその言葉を流さないとそみこの思うつぼになっちゃう。

私は、怒りを抑えながら苦し紛れにまさもに話を振った。

「じゃあ、まさもにも、きっちりやってもらわないとね。」

そみこは、キリッと切り替えて

「まさも!まだ、あの借りは残っていますからね!しっかり、今日もやってもらいます。ビシバシこき使いますからね。」

と言った。

まさもは、冷や汗ダラダラ状態で慌てて私の後ろに隠れる。

なんで、私の後ろに隠れるわけ!?

勝手に私に罪をなすりつけないでよ!

そみこは、

「さいとやしずき、さきにもきっちりやってもらいます。くれぐれも、油断はしないでください!こんなくだらない冒険なんか、とっとと終わらせてやるんですから!!」

と言った。

そみこ、瞳がメラメラ燃えているよ…………

私は呆れた。

そみこは、早速自分が言ったとおり、「ビシバシ」指示を出し始めた。

「キミコとまさもでテントを張ってください!その間に、さいとは火起こし、さきはさいとの手伝い!そして、しずきは全体のサポート!私は、食べ物を取ってきます!近くに小川がありますよね?そこで魚を捕ってきます!」

あああっ。

スパルタそみこ、登場。

私の脳にある、スパルタいやいやそみこ警報がピーポーピーポーと鳴る。

もうちょっと、前に警報が鳴っていたら、回避できたのに…………

この警報、修理しなきゃダメかな?

メンテナスしないとダメかも!

じゃあ、今度、そみこを自分から遠ざけてメンテナス期間をを取ろう!

え~と、暖かそうなのは、あそこかな?

私は丘の方に行って、まさもと一緒にテントを立てた。

よしっ、完成。

そみこはいなくなったから、10分くらいのメンテナスはできるかも。

みんな、自分の仕事をやり始めそう。

いい調子、いい調子。

さきも、慌てて薪を拾いに行こうとした。

その時。

「待って。さきはみんなのサポートをして。薪拾いはこっちがするから。」

さいとがさきを止めた。

「なんで?」

私が思わず首をかしげると、さいとが理由を教えてくれた。

「さきは、そんなに、運動とかが得意な体質じゃないよね?」

「うん、確かにそうかも。」

「だから、さきの得意分野のサポートをお願いしたんだよ。」

なるほど。

確かに、バカそみこより、すごく筋が通っている。

そみこ、残念だったね。

さいとから理由を聞いたさきはうなずくとみんなのサポートに向かった。いってらっしゃ~い。

さいとも、薪を拾いに歩いて行った。

私達、テント立てるの終わっちゃったし、どうしようかな…………

よし、いいこと思いついた!

あまりに天才すぎる思いつきに顔がにやけてしまった。

私は、ぴょんとジャンプして(1メートルくらい)まさもの前に降り立った。

「まさも、ピルミにテント見張らせておける?それで、危険な時、ジャンピーに教えるように伝えて。」

「OK!」

ご機嫌まさもは、二つ返事で引き受けてくれた。

そして、ブツブツとピルミに向かって耳打ちすると、ブレスレットをテントの中にそっと置き、その場を離れた。

幸運なことに、テレビからただで、ピルミ無しの仮のブレスレットをもらえた。

私はまさもと一緒に走りながらそみこに

「食べ物を取ってくるね!!」

と言って、森へ入っていった。

森の中は薄暗く、結構寒い。

私は我慢して、食べ物を探した。

そうだ。

お花をいくつか摘んで持って帰ろう。

まさもはいきなりお花を摘み始めた私を見てびっくりして言った。

「キミコ、何をしているの?お花は食べれないよ?」

私は、どんどんバスケットに花を入れながら応えた。

「お花ってね、食べられるお花も結構あるんだよ。だから、それを持って帰ろうと思っているの。」

まさもは納得して、お花を摘み始めた。

しばらくたった後、私はテントの方に戻ってご飯を作る準備をした。

そみこは、

「まず、さいとは火のところで魚焼き!キミコは、お花の土を落としたり、食べられないところを切ったりして下さい!あと、どんぐりも拾ってきたんですよね?それも、さいとに一緒にフライパンで炒めてもらいます!!!私は机の整頓をしますから、まさもは洗濯物をたたんでください!しずきは洗濯物を入れて、さきは周りをキレイにして…………ゲホゲホッ。」

と言って、机を整頓し始めた。

あちゃー、なにも無かったかのように自分の役割を開始し始めたけれど、私は大きな声を出しすぎたそみこがゴホゴホなったのがわかりましたよ。

私はニヤニヤしながら、早速お花の土を落とす。

今回、結構取ってきたから洗うのにも時間が掛かる。

まさもは、リビングへ去って行き、さきも玄関の方に向かった。

しずきもまさもと一緒に出て行った。

私はやっとお花を洗い終わると、いらない所を切った。

そして、それを終わらせて振り向くと、後ろにまさもとしずきが立っていた。

私は、思わず声を上げる。

「まさも、しずき!全く気がつかなかった!もしかして、2人は幽霊!?」

まさもは、笑いをこらえながら、

「終わったら、みんなのサポートだって。そっちは、もう終わったの?」

と聞いてきた。

私は

「あと、お皿に並べるだけ。切ったり洗ったりするのは終わったよ。しずきはさきの所で掃除のサポートをしてくれる?ここさ、ある程度キレイにしとかないといけないんだよね。というか、ほぼテントの掃除みたいな感じだけど。」

と言った。

その時さきがやって来て

「ああ、もう、外とかの掃除は終わったわよ。後は中だけ。」

と言った。

私は

「じゃあ、しずき、さきと一緒に中の掃除をして。まさもはお皿を持ってきたりお願い!!」

と指示を出した。

さき達は早速動き出した。

まさもは、テキパキとお皿を準備したりして、しっかりサポートしたりしている。

しずきはさきと一緒に中の掃除を始めた。

私は、みんなにつられてお花の数を数えてみんなに分けることにした。

そして、お皿に分けるとまさもはさいと達の手伝いに行った。

私は今まで使っていた料理器具を洗い始める。

そして、5分後には台所もテーブルもピカピカ。

そみこも目が飛び出すくらいビックリして目を丸くさせていた。

えっへん!

そみこは

「じゃあ、さいとの様子を見に行きましょう。」

とやや冷静さに欠ける声で言った。

そしてドアに手をかけた瞬間、ドアが開いた。

うわっ、ビックリした。

中に入ってきたのは、さいと、さき、まさも、しずきだった。

私は少し驚きながら

「もう終わったの?」

と尋ねた。

しずきは

「中の掃除を、まさもとさいとがが手伝ってくれたの。」

と応えた。

なるほど。

どうりで、私達よりも早く準備ができたわけだ。

でも、まだ聞きたいことがある。

「じゃあ、魚は?」

「ブレスレットの中に入れたよ。これかな。」

私の質問に今度はさいとが応え、魚の串焼きを取り出した。

そして、私達は幸せな夜を迎えたのだ。

ガサゴソ。

次の日の朝。

私はリュックサックをあさった。

昨日、ブレスレットをリュックサックの中に入れたはずなんだけど。

どこにもない。

あれがないと、バトルができない。

バトルができないってことは、まだあの30万の借金は…………

返せない~!!

朝起きた瞬間、私を叩き起こしたそみこに、

「キミコ。今日はバトルの日です。テレビに小さな弱いモンスターがいる地図を渡してもらいました。なので、宝の所に向かった後、そこに近くにいるモンスターを倒して借金を返しましょう。」

って言われたんだよね。

すると、そみこが目ざとく私の行動に気がついた。

「キミコ、何をしているんですか?」

ここで、嘘をついてばれたら最悪だ。

私は正直に言った。

「ブレスレットがないの。昨日、ちゃんとリュックサックの中にしまったはずなんだけど。」

そみこは、ニヤニヤしながら私の顔を見た。

「キミコ。鏡で自分の姿を確認してください。そうすればブレスレットは見つかります。」

はあ?

鏡をみてどうするわけ?

なにか、呪文でも唱えるわけ?

そして、仕方なく鏡を見てみると、そこにはブレスレットを既に付けている自分の姿が映った。

なんで!?

ブレスレット、昨日ちゃんとリュックの中にしまったのに。

そして私は気がついた。

今日、先にブレスレットを付けとこうと思って、起きたときに付けてたんだった。

そしてそみこはブレスレットを腕に付けて

「じゃあ、宝をさっさと捜しますよ。」

と言った。

私は水筒をブレスレットの中に放り込み、玄関でみんなを待った。

 「もうすぐ着きますね。ただ、宝の近くにモンスターがいるみたいです。宝を囲んでいるようですが…………どうしましょうか?」

そみこが聞いた。

私は、人差し指をあごに当てて考え込む仕草をした。

でも、20秒くらい考え込んだ後、ぱっと顔を上げて言った。

「コインがもらえるなら、正面衝突した方がいいんじゃない?」

そみこは頷いてくれた。

「わかりました。強そうなモンスターではないので、そのまま行きましょう。さきは、少し遠くであのモンスターの弱点、武器、特徴などを調べて伝えてください。さいとはそこの近くで武器を作って、必要な時は氷結晶守備魔法や氷結晶攻撃魔法を使ってください。キミコは、とにかく攻撃してくださいね。キミコは攻撃が一番得意なんですから。そして、しずきがみんなを回復できないような酷い状態の時は、キミコも回復を手伝ってください。私も、キミコが回復魔法を使っているときはサポートします。しずきはとにかく回復魔法を使ったり、みんなのサポートをお願いします。まさもはデスノコローノーゼやメッサカリントンで遠距離攻撃をしてください。」

とやるべきことを言った。

長すぎて、意味がわからない。

私が指示の長さにうめいた瞬間、ポトンと手に紙が落ちた。

なんだろう?

私は、その紙を拾い上げた。

そこには、さきの文字でこんなことが書かれていた。

「キミコ:攻撃(時間があったら守備も) しずき:守備(サポート)そみこ:攻撃(サポート) まさも:攻撃 さいと:道具集め さき:情報集め」

「これ、なに?」

しずきが、ポツリと言った。

さきがスラスラと言った。

「そみこの説明って、いつも長いでしょう。だから、簡単にまとめてみんなに渡したの。それで、役割を覚えてちょうだい。」

これなら、見やすい。

私は全ての役割を覚えると、音を立てないように敵に近づいた。

確かに、池を囲むようにして何万匹のモンスターが立っている。

そのモンスターはオオカミみたいなたくましい体つきだった。

…………何か、小さな敵にしては知能が高そうなかんじなんだけど。

そみこは、しばらく見ていたけれど、さきに木に登るように指示をした。

自分も木に登った。

そして私達を招くような身振りをした。

私が木に登ると、木の枝につるが結びつけられていた。

きっと、そみこは、これであそこに行こうとしているんだ。

そみこの腕が、ふるふる震えている。

きっと、怖いんだ。

そして、池の所を見たそみこの表情が変わった。

キリッとした、大人びた感じになる。

同時に、強い決意も感じた。

そして、そみこがつるを掴んで、池に向かって体を放り投げた。

そみこの体が浮いた。

そして、そみこは浮き上がっている途中でつるを離した。

その瞬間、オオカミがそみこに襲いかかった!

そうはさせないっ!!

私はつるを掴み、木の幹を蹴って勢いを付けた。

そして、つるが横になったとき、私は思いっきり体を放り投げた。

その時、体が風を掴んだ。

まるで鳥になったような感覚だ。

そんなことを思った時私の体は思いっきり一頭のオオカミの体に突っ込んでいった。

うわっ!

私は驚いて、1回宙返りをすると、タンッと地面に着地した。

それが合図になって、さいとは、武器を作り始めた。

頑張ってね、さいと。

私が、そう心の中で呟いていると、そみこが攻撃魔法を使用した。

例の、ハリハリミコサーだ。

私も、頑張らなくちゃ。

私は近くにいたオオカミの体に向けて光の銃を放った。

これで、少しだけ動きが止まるはず!

そう思った私の予想は外れた。

なんと、オオカミはしなやかな体でそれを避けたのだ。

「嘘でしょ!」

私は思わず叫んだけれども、それは嘘でも幻でもない。

オオカミは、もの凄い速さで飛んできた弾を、避けたのだ。

しかも、あのオオカミは余裕っていう感じだった。

私だったとしても、あんな弾は本気にならないと避けられない。

なのに、あのオオカミは避けたんだ。

どうしよう。

勝つ方法なんて、ないのかもしれない。

このオオカミ、なんでこんなに強いの!?

テレビによると、これは弱いオオカミらしいのに…………

そう思っていると、弾は他のオオカミ体に当たった。

よかった、なんとか体力を減らせた。

すると、私の弾をよけたオオカミが私に襲いかかってきた。

えっ!

私は慌ててジャンプし、オオカミの攻撃をかわした。

このオオカミ、動きが速い。

しかも、知能が高そうだ。

いつの間にか、私はたくさんのオオカミに囲まれていた。

そみこも、私と同じ事になっている。

そうだ。

まだ、勝つ手はある!

“まさも、私たちがオオカミを引きつけている間に、デスノコローノーゼを放って!”

まさもが、こくりと頷いた。

さすが、まさも。

幼い頃から一緒にいたから、コミュニケーションが上手にとれる。

私達が敵を引きつけている間に、まさもがデスノコローノーゼを放った。

そして、私とそみこを囲んでいたオオカミは体力が70以下くらいになった。

よかった。

今回は、なんとかなりそう。

私はほっとしたけれど、私にもデスノコローノーゼに当たっていたみたいで、残りの体力が40になってしまった。

どうしよう。

そう作戦を考えたとき、2頭のオオカミが私に体当たりをしてきた。

作戦を考えていたので、避ける間もなく、オオカミの攻撃は私に直撃してしまった。

体力は!?

私が体力を確認すると、残り体力、1だった。

なんで、こんなに攻撃力があるの!?

意味がわからない!

その時、しずきが全回復魔法を使ってくれた。

ふわりと魔法のエネルギーが私を包み込んだのがわかった。

よし。

体力は100になっている。

ところが反対にしずきの体力が少なくなってしまった。

しかも、さっきの私の体力と同じ体力になってしまった。

わかりやすく言うと、しずきの残り体力が1になってしまった、という事だ。

すると、テレビが現れて、しずきに何かを喋った後、しずきの体力を回復して全回復魔法を持って行ってしまった。

どういう事?

あまりにも一瞬の出来事に、私はポカンと立ち尽くしてしまった。

そして、テレビに体力を回復された後はしずきも元気になって回復魔法の準備をした。

どうして、しずきの体調が悪くなったの?

私は疑問に思ったけれど、今は質問するべき時じゃない。

そう判断して、攻撃を続けることにした。

そして、さいとが戻ってきた。

さいとは、なぜか10万のコインを持っていた。

そして、それをテレビに渡すと私たちの元に行った。

なんで、10万のコインを…………

ああ、疑問が多すぎる。

さいとは、私達の所へ行くと、さいとが弓矢攻撃をした。

あと、オオカミは50頭。

それでもかなりの数だ。

私はそみことさいとに言った。

「そみこ、さいと。2人で集まって。それで2人にオオカミが集まってきたところを光の檻で仕留めるから。そみことさいとはかわしてね。」

そみことさいとは頷くと、そみこがわざと転ぶふりをした。

しかも、下には石がある。

演技力抜群のその転びに、私は本当にそみこを助け起こしたくなった。

そして、さいとがそみこに駆け寄る。

そして、2人はオオカミを引きつけた。

私は、光の檻を使ってオオカミを40匹くらい仕留めた。

そして、そみことさいとの様子を見てみると、2人は檻の中に閉じ込められてしまったところだった。

どうする?

光の檻をどかせば、そみことさいとは助けられる。

でも、あのオオカミは檻の外に出てきてしまうだろう。

そして、そう悩んでいる間にそみこの体力が0になってしまった。

しかも、オオカミたちは光の檻を壊そうとして暴れている。

さいとも体力が0になってしまった。

ど、どうしよう。

早くそみこ達を回復させてあげないと!

そみこ達は気絶してしまって、体が一部透けているところがある。

私は、全回復魔法を使ってそみこ達を回復させようとした。

けれども、オオカミの体にに当たって効かなかった。

うううっ、これじゃあ、そみこ達、死んじゃうよっ!!

あの時、私がすぐに光の檻をどかさなかったから、いけないんだ。

私のせいだ。

どうして、あの時、すぐに光の檻をどかさなかったんだろう?

借金を返すために、2人を見殺しにしようとしていただなんて。

どうすればいいの?

もう、残り時間は少ない。

どうすれば、そみこを助けられるの?

誰か、教えて…………

すると、残っていたオオカミが戻ってきてしまった。

私は、攻撃するために攻撃魔法を使った。

お馴染みの、サッカリミリントンだ。

そして、1頭のオオカミの体力が10になる。

そして、私が攻撃を続けようとすると、オオカミが止めた。

「おい。せっかくなら、公平にやろうじゃないか。順番に、相手を攻撃していく。どうだ。簡単だろ?」

私は反論した。

「でも、10対1は、ずるすぎる。その判断は、そみことさいとを回復させて、しずきとまさも、さきも参加したらにして。そして、相手の人数は特別に相手の数は10人で。」

オオカミは

「ふん。いいだろう。結果などの表示はブレスレットで調べられる。順番は、一番経験が高い奴からだ。もう、許可は取ってある。さあ、これならどうだ?公平だろう?」

と偉そうにふんぞり返った。

そして、約束通りそみことさいとだけを解放すると、回復魔法をかけた。

私は、みんなにその事を伝えると、小声で言った。

「今回はジャンピー達も使おうと思っているの。宝がある場所にイルカたちを行かせて、私たちはここでバトルすればいいでしょ?」

「いい考えね。キミコにしては。」

としずきが頷いた。

キミコにしては、って…………ひどい。

ひどすぎる。

私、いつの間にか成績悪い子、みたいに見られてるんだけど。

そして、しずきとそみこ、さいと、まさも、さきがバトルの所に来た。

さきがブレスレットを見て順番を確認した。

私も、ブレスレットを見てみる。

そこには、

「1,オミカ2,キミコ3,シキミコミ4,そみこ5,ミヨコ6,さいと7,オンコニー8,まさも9、しずキ10,ヨンズ11,キシオ12,ヨシキ13,キズカ14,オシロキ15,ミサ16,さき。以上の者で対決をする。」

と書いてあった。

さきが。

「私が一番最後ね…………」

と苦笑した。

私は、オミカを覗いてダントツ!

っていうか、もう、順番覚えきれないんだけど!

すると、さきがブレスレットを見ずにスラスラと言った。

「『1,オミカ2,キミコ3,シキミコミ4,そみこ5,ミヨコ6,さいと7,オンコニー8,まさも9、しずき10,ヨンズ11,キシオ12,ヨシキ13,キズカ14,オシロキ15,ミサ16,さき。以上の者で対決をする。』って書いてあったわ。それで、キミコが2番、そみこが4番、さいとが6番、まさもは8番で、次がしずき。最後の16番が私ね。関係ないけど、今日はお好み焼きを作らない?お好み焼きの材料、全部あるから。」

さ、さき。

それ、全部暗記したわけ?

しかも、お好み焼きの材料が揃っているだなんて、どうやって覚えたわけ?

記憶力、すごすぎる。

頭がどうかしてるよ。

そして、そう思っている時に、しずきがイルカたちを出した。

そして、イルカたちは池に現れた。

そして、みんなもイルカたちを出して宝物の所に行かせた。

私は

「ジャンピーお宝を見つけてちょうだい。」

と頼んだ。

ジャンピーは

「任せて!お宝探しなら大好きだから。あ、でも、ついでに言っておくけど、僕は探すのよりもなくす方が得意なんだよ。そういえば、後で相談があるんだ。でも、今から宝物を見つけてくるよ。」

と元気よく応えた。

ジャンピーって、凄く元気だよね。

っていうか、探すよりもなくす方が得意だなんて。

私と一緒だ。

でも、この冒険が終わったら、ジャンピーとはお別れになっちゃう。

それに、みんなとの絆も深まったし、アイテムをもらえるワクワクや、モンスターと戦うときのドキドキ。

それらが元の世界に帰ったら、なくなってしまうんだ。

ジャンピーもその事、知っているのかな?

でも、今はちゃんと戦わないと!!

そして、早速オミカが攻撃してきた。

でも、なにもおかしな所はない。

私がブレスレットを見てみようとのぞき込んだとき、びっくりした。

なんと、オミカは縄攻撃で私をぐるぐるまきにし、私の順番をスキップさせてしまったのだ。

あ。

いつの間にか、縛られている!

それは、もう1階私の番がきたらほどけるらしい。

でも、その先、私は攻撃を当てようとすると自分もその攻撃に当たってしまう。

このオミカって奴、本当に腹立つ!

そして、私の順番はスキップされて、シキミコミの番がやってきた。

シキミコミは守備結界を作ってきた。

けれども、その疲れで一回休みになった。

よ、よかった。

でも、守備結界って何?

私がさきにこっそり聞くと、さきは目にも留まらぬ速さでキーボードを叩いた。

え~と、「森冒険 技 守備結界 効果」って書いてあるのかな?

さきは文字を打ち終わると、パシッとエンターキーを押した。

すると、呪文が目の前に現れた。

げっ、なにこれ。

くらくらして、倒れちゃいそうなんだけど!

目を回している私に向かって、さきが平然と文字を音読した。

「調べてみたんだけど、守備結界っていろいろな種類があるらしいの。それで、シキミコミが今出したのは、攻撃力が半分になるっていう守備結界。他にも、しばらく完全に攻撃が通らなくなる守備結界とか、いろいろあるらしいわ。」

す、すごい…………

あれだけの速さでキーボードを打てるのもすごいけど、何よりあの呪文にしか見えない文字をスラスラ読むなんて。

私には一生できない芸当だ。

私がさきの力に感心している間、そみこが技を何にしようかずっと迷っていた。

さっき、そみこはさいとにアイテムをもらったらしい。

アイテムは、私の技である、「噴水攻撃魔法シール」だった。

でも、残念ながら弱いモンスターが持っていた魔法らしくて、1日で効果は消えてしまうらしい。

あとは、しずきが持っている「デコピンパチンコ」。

これも、扮す攻撃魔法シールと同じように、1日で消えてしまう。

そみこは、この2つを手に持って見比べていたけれど、噴水攻撃魔法シールを体に貼り付けた。

そみこが手を伸ばすと、噴水がオカミを中心に現れ、オミカを飲み込んだ。

ところが、しばらくすると…………

シュワリ。

噴水が溶けてしまった。

すると、ずぶ濡れになったオミカ達が姿を現す。

そして、ブレスレットを見てみると結果の表示がしてあった。

そこに、敵のダメージの事が書いてあるはずだ。

私が見てみると、そこには、くらりとする文章が書いてあった。

「そみこの噴水攻撃魔法シールシールで、オミカ、ミヨコ、オンコニー、ヨンズ、キシオ、ヨシキ、キズカ、オシロキ、ミサはシキミコミの守備結界でダメージが半減! 残りの体力 オカミは95、シキミコミは89、ミヨコ、オンコニー、ヨンズ、キシオは73、ヨシキ、オシロキは54、ミサは31になった。 追加効果 オミカは弱点を狙われて、体力が40になった。ボーナスとしてそみこに1,000コイン入る。」

意味わかんない。

私がズーンと落ち込んでいると、しずきが翻訳してくれた。

「つまり、そみこの攻撃でオオカミがダメージを受けた。また、シキミコミが作った守備結界でダメージが半減。そして、オミカは弱点を攻撃されたので、体力が40になった。そのボーナスとして、そみこに1000コイン入るってこと。」

う、う~ん、それでもよくわかんないなぁ。

私がピンと来ないのを察して、しずきがブレスレットのメモ機能を使って、状況をまとめてくれた。

「そみこの噴水攻撃→オオカミ全員にダメージ(シキミコミの守備結界でダメージ半減)→オミカは弱点に攻撃が当たり、体力40→ボーナスでそみこに1000コイン」

なるほど。

やっと、理解できた。

そみこ、やるね。

…………今更だけど。

そして、ミヨコの番が来る。

ミヨコは、思いっきり爆弾をこちらに投げてきた。

そして、その爆弾にそみこが当たる。

ボンッ!爆発が起きて、そみこは、思いっきり倒れてしまった。

それから起き上がり、さきのパソコンを見た。

その結果を見て、悔しそうに顔を歪める。

私達も見てみるとそこには、

「ミヨコは爆弾を投げた!!攻撃対象:そみこ(敵味方区別無し)そみこは爆弾の攻撃を受けた!残りの体力が60になった」

と結果が書いてあった。

やっぱりよくわかんない。

そう思って首をかしげると、またしずきがメモ機能で翻訳してくれた。

「ミキコが爆弾攻撃(敵味方区別なしで、攻撃対象はそみこ)→そみこは体力40」

うわあ。

ミヨコも本格的。

なんか、じわじわ体力が減っていってるような気がする。

すると、さきが呟いた。

「次はさいとね。さいとはあの強力な氷結晶攻撃魔法的なのを使うんじゃないかしら。」

さきの予想通り、さいとは氷に関する魔法を使った。

だけど、さきの予想とは1つ違うところがあった。

そう。

さいとは、守備魔法の方を使ったのだ。

さいとが放った守備魔法の矢は、全員に向かって一直線。

ブレスレットに、また結果が表示されたので私はしずきに翻訳してもらった。

「さいとが氷結晶守備魔法を使った→オオカミがダメージ(シキミコミの守備結界でダメージ半減)→さいとの攻撃によって、シキミコミの守備結界が敗れた→次から、ダメージ半減は、なくなる。」

やった!

守備結界がなくなった!!

私とさきはハイタッチした。

パチーン!

辺りに音が響き渡った。

すると、私とさきのブレスレットにコインが追加された。

すると、テレビが現れ、コインが回収された。

テレビは、偉そうにふんぞり返り、

「今回は特別に借金をあと50コインにしてあげます。感謝してくださいね。」

と言って、消え去った。

ぐぐぐぐぐっ。

あいつめ!

あの、ポンコツ役立たずのテレビめ!

「感謝してください」なんて、偉そうな言葉をこのキミコ様に言うなんて…………

本来は、変な所に連れてこられて、テレビが私達にペコペコするはずなのに!

許さない!

生意気だ!

そう、怒っている私を見てしずきが苦笑しながら私をなだめた。

そして、オンコニーの番になった。

オンコニーは、いきなりジャンプした!

そのジャンプに、何の意味があるんだろう。

そう思った瞬間。

ドーン!!!!

ものすごい地響きがして、私の前にオンコニーが現れる。

地面を見てみると、私の所の地面が割れた。

そして、私は中へと真っ逆さま。

「うっ、うぎゃああああああっ!」

「危ないっ、キミコ!」

「キミコ、ダメです!」

「キミコ!」

「キミコ、急いで助けを求めるんだ!」

「やっ、やだっ、キミコ!」

しずき、そみこ、まさも、さいと、さきの声が響き、一斉に手を伸ばされた。

最後の、チャンス…………

私は、必死で手を伸ばした。

けれども、数センチくらいの所で、手がかすり、私は池の中へ突き落とされた。

バッシャーン!

私は、池の中にたたき込まれた。

ううっ、ジャ、ジャンピー、助けて!!

私はオミカの縄で縛られている。

このままじゃ、そして、私は池の奥深くへと沈んでいったのだ。

私は、さき。

キミコが池の中に沈んだ後、私は地面を見てみた。

もう、私達がキミコを助けられる手だてはない。

だから、今度は自分の身の心配をしなきゃいけない。

地面をじっと見てみると、自分の所にもひびが入っていた。

こっちまで、キミコみたいな事になったらいけない。

そう思って、私は慌てて別の地面にパソコンを抱きかかえながら転がった。

他のみんなも無事みたい。

あれ?

自分の事に必死になっていて、気がつかなかった。

しずきが、いない!!

私はパソコンを地面に置き、しずきを探し始めた。

すると、そみこが、しずきの腕を引っ張っていた。

私は、そみこの腰の辺りに手を回し、引っ張った。

お願い、助かって。

そう願って、全力でそみこの体を引っ張っているうちに、しずきは何とか外に出てこられた。

パシャ。

突然、息が楽になった。

私は、キミコ。

もう、わかるかな?

…………とでも言いたいけど、今はそんな場合じゃない!

というか、なんで息が楽になったの?

私が不思議に思って、目を開けてみると私の体がイルカになっていた。

あ…………

ジャンピーが近くにいる。

「宝は見つけたから、早く、陸に上がって!」

ジャンピーが叫んだ。

「それで、石垣にへばりついて。僕が、縄を引きちぎるから!」

私は、急いで石垣の隙間に指を滑り込ませた。

すると、ありったけの力で引っ張られた。

そして、陸にあがると、体からするりとイルカの皮が抜け落ちた。

しずき達の方に行った。

しずき達は無事みたいだ。

私はしずきに駆け寄って言った。

「しずき、大丈夫!?」

しずきはこくりと頷くと、パソコンをみつめた。

そこには

「キミコが縄をほどいた!次のターンはキミコも参加できるようになる。」と書いてあった。

やった!

しかしそこには続きがあった。

「しかし、キミコは呪いの池に沈んでしまい、次から守備的魔法が使えなくなる。しずきも、下半身水につかってしまったので、守備魔法が当たる確率が50%になってしまう。しずきのターンではルーレットで守備魔法の運命が決まる。」

げ。

呪いの池って!!

不吉な名前すぎじゃない!?

読まなければ良かった…………

次はまさもの出番だ。

まさもは何を選択するんだろう?

私はさきにその事を予想してもらった。

さきは少し考える素振りをしてから言った。

「そうね。まさものことだから、デスノコローノーゼやメッサカリントンを使うんじゃないかしら。あれ、強力だから。でも、今はデスノコローノーゼで突進しても、敵が分散して多分当たらない敵もいると思うから、メッサカリントンがいいかも。でも、普通のメッサカリントンよりもあの超強力メッサカリントンを使った方がいいんじゃない?あの技は、自分で向きを変えれるから。」

まさもは気合い十分で腕まくりした。

「よしっと!まさもの得意技、デスノコローノーゼを使おうーっ!!」

さきは、慌ててまさもを呼び止め、小声でささやいた。

「ま、まさも。今の状態だと、敵はまとめて倒せないわよ。みんな分散しちゃってる。」

まさもは振り返って、呆れたように

「え?普通のデスノコローノーゼを使うって、誰が言ったの?敵をまとめて倒せないことくらい、知ってるってば。だからこそ、このデスノコローノーゼを使うんだよ。」

と言った。

はあ?

どういう意味かさっぱりわからない。

まあ、いいや。

これはまさもに任せよう。

さきは、不思議そうに

「まさも、超強力メッサカリントンみたいな感じのアイテム、持っているのかしら…………?」

とつぶやいた。

その言葉がヒントとなって、私は気づいた。

あれだ。

きっと、あれなんだ!

足止めデスノコローノーゼ!!

あれを使えば、守備ができる!!

まさもは、私の予想通り、足止めデスノコローノーゼを使った。

さきは、

「あ、足止めデスノコローノーゼ…………って?」

と首をかしげた。

さきはあんまり知らないか。

さきはパソコンで調べ始めて、しばらくすると言った。

「足止めデスノコローノーゼは、デスノコローノーゼマスターの人しかできない、専用魔法よ。それをまさもができるって事は、まさもが立派なデスノコローノーゼマスターって事?敵を足止めできて一切攻撃を通さないって書いてあるけど、まさもは習い事とかしてないっていってたわ。もしかして、まさもって世界で有名な、あのマスター・ライブミ・コノゼー?あの人、足止めデスノコローノーゼを使える世界でただ1人の魔法使いよ。まさもがあの人だなんてっ…………」

えええええええっ!?

まさもがあの有名なライコ!?

あ、ライコっていうのはマスター・ライブミ・コノゼーの省略したあだ名。

何でまさも、その事を隠していたの?

私はぐるぐるしている頭を必死で落ち着かせ、さきに

「さき。まだ、まさもがあのライコだっていうのは特定しなくてもいいんじゃない?だから、これは2人の秘密で一緒に調べよう。」

と言った。

さきは、心配そうに顎に指を当てる。

「でも、みんなが気づいちゃうかも。それに、まさも、意外と勘が良くて、私が一回不審に思ったことを尾行したとき、まさもが私のことを気づくのに1分もかからなかったわ。だから、十分気をつけて尾行しなきゃ。」

まさも、たしかに裏ではミステリアスなこともあるもんね。

だって、料理ができたり、実は恋愛小説が大好きだったり、意外なところがたくさんあるもん。

私も実は誰にも知らせたくないことがあるんだよね。

私、意外とすごい時間、ゲームをしてるの。

毎日、2時間以上。

それで、視力検査で悪い結果を取っちゃって、お母さんにガミガミ叱られて、おやつ抜きにされたり、押し入れに閉じ込められたりしたんだよね。

うう、思い出すだけでもやだ。

そして、しずきの番になった。

しずきは全回復魔法を使った。

そして、ルーレットが回り始めた。

そして、あるところで針が止まった。

そこは、外れの場所だったみたいだ。

何も起こらず、体力も増えない。

そして、ヨンズの番になる。

ヨンズは手からしずくを出し、私達の所へ飛ばした。

ううっ!!

かなり痛い。

しずくは1回私達に体当たりをすると消えた。

私は体力のゲージを見た。

私は27みたい。

誰かに回復魔法を使ってもらわないと、0になっちゃうかもしれない。

さきは89もあるし、大丈夫だと思う。

ただ心配なのは、そみことさいとの体力だ。

そみこは12で、さいとは今のしずくの攻撃を2個分受けて、19になってしまっている。

これじゃあ、けっこう危ないかも。

さきがブレスレットを見て報告した。

「ヨンズの攻撃で、私達全員がダメージを受けたみたい。追加効果は無しね。」

次はキシオの番だ。

キシオ思いっきり、そみこに突進していった。

私は思わず、そみこを突き飛ばし、転がって攻撃をかわした。

けれど、それにしずきが当たってしまった。

しずきは体力が2になってしまった。

そして、さきのパソコンを見てみた。

さきは厳しい表情で言った。

「しずきの体力が危ないわ。次は多分、ヨシキの番でしょ?ヨシキはそれでしずきをゲームオーバーにするつもりよ。これだと、回復魔法が使えるまさもまで持たないわ…………」

私は、

「じゃあ、私がしずきを守る。」

と応えた。

さきは、

「でも、キミコの体力は27しかないのよ!?まさもにやってもらった方がいいわ!」

と反対した。

私は

「じゃあ、まさもと2人で守る。これなら、できるはずだから。」

と引き下がらずに言った。

さきはうなずくと、

「わかったわ。よろしくね。まさも、しずきを守って。」

と言った。

そして、ヨシキの番になる。ヨシキの背中には、実は大きな翼が隠れていたのだ。

あれじゃあ、しずきを攻撃しちゃうよ。

今は天使羽もないし…………

そしてヨシキは空中からナイフを放ってきた。

お願い、しずき当たりませんように!

私とまさもはしずきを抱きかかえて守った。

けれども、体にナイフが刺さってしまい、体力が4になってしまった。

まさもも体力が32になってしまった。

やばい。

このままじゃ、絶対やられちゃうよ。

それに、回復魔法が使えないなんて…………

その後はキズカだ。

キズカは氷の結晶を放ってきた。

私はしずきをまさもに任せて、結晶をかわし始めた。

1個でも当たったら、確実にゲームオーバーになる。

そして、私は氷の結晶に当たらずに過ごせた。

次は誰の番だ?

えーと、オシロキだったっけ。

オシロキは、なぜか眠っていて、鼻ちょうちんを膨らませている。

そして、割れたそれが私の所に飛んでくる。

これはまさかっ!

私はとっさに走って逃げる。

そして、近くにいたそみこの手を掴んで逃げ出した。

すると、また割れた鼻提灯はしずく状にまとまり、そして、また割れた。

そこから大量の毒スミレの粉が飛び散って、さっきいたところが粉だらけになった。

そして、ミサの番。

ミサは鋭い爪と翼を持っている。

そして、私を掴むと、毒スミレの粉があるところに放り込んだ。

私はたちまち毒スミレの粉でおおわれる。

これ、体に傷がなければ効かないはず。

そして、背中を見ると、ナイフが刺さってしまったところの傷口が開いていた。

痛みはないんだけど…………

っていうか、そういうことは、毒スミレの粉がきいちゃうって事!?

そして、体力ゲージを見ると1になっていた。

その瞬間!

ドンッ!!

そみこが思いっきり蹴飛ばしてきた。

すると、私の体に張り付いていた粉がとれる。

そして、体が軽くなった。

あっ…………

オミカを見てみると、オミカの体力が0になっていた。

さきが、プロペラミキサー吹っ飛ばしたみたいだ。

でも。

私は、泣きそうな顔でそみことさいとに謝った。

「ごめんね、本当に。そみことさいとが、あの檻に閉じ込められたとき、すぐにあの檻を開けていれば、そみことさいとが死にかけることはなかったのに。」

すると、そみこは優しげな顔で言った。

「大丈夫です、キミコがいなかったら、私は助かっていなかったんですから。全然、気にしないでください。」

さいとも、頷いた。

「そうだよ。キミコに、私達は何度も助けられている。それくらい、大丈夫だよ。」

2人の言葉に、私は思わず抱きついた。

そして、泣き出した。

よかった。

2人が、嫌な思いをしなくてよかった。

そんな思いが、頭で渦巻いていた。

けれども、その時も、チクタクと絶望の時計は針を刻んでいたのだった…………

メリット
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第15章:仕掛けられた爆弾

その後、私たちはやっと天使羽の借金を返すことができた。

しかも、運のいい事に、他のオオカミを操作していたのはオミカみたいだったみたいで、オミカがゲームオーバーになった後、すぐに他のオオカミはシュッと消えてしまった。

宝も手に入れたし、借金も返せたし、今日はいいことしかないなぁ。

それにしても、さきはすごい。

さきは、パソコンでオミカの弱点について調べていた時、その弱点に気がついて、プロペラミキサーでオミカの体力を0にしたんだ。

私はテントに着くと、ジャンピーの部屋を開けてみた。

ジャンピーは、すぐに近くまで来た。

そして、めずらしくパニックになって、

「もう、ダメだ!どうしよう!あと1時間であのタイマーが作動しちゃうんだ!」

と叫んだ。

私が

「どうしたの?」

と聞くと、ジャンピーは慌てて辺りをせかせか歩き回ると、

「あのね、この海のどっかに、爆弾っていうのが仕掛けられたんだよ!それで、あと1時間で爆弾のタイマーが作動しちゃうの!でもそれは、ある海の洞窟にあるんだ。それで、なんか僕の家に手紙みたいなのが置いてあったんだよ!気味悪いよ~!!!」

と言った。

そして、地震の時みたいに机に隠れた。

ちょっと、おもしろい。

でも、爆弾って…………

どうしよう。

私達が解除するしかないけど、やっぱり不安だ。

でも、まずはジャンピーを落ち着かせないと。

ジャンピー、バタバタして机とかひっくり返し始めたり、体育館の壁をボコボコにしたりしている!

私はジャンピーにイルカフードをあげて落ち着かせることにした。

落ち着いてくれるかな?

今回は、そのまま死んじゃった魚をあげることにした。

ジャンピーは、パクッとその魚を一口で食べた。

そして、いつも通り

「もっとちょうだい!」

とコールし始めた。

私はさらに10匹あげると、ジャンピーの部屋を閉じた。

みんなに、この事を知らせなくちゃいけない。

私は勇気を出して、みんなが集まって話をしているリビングへと向かった。

「「「「「えっ!?海に爆弾が仕掛けられた!?」」」」」

私の話を聞いてみんなが叫んだ。

私は

「うん、あと、タイマーが作動するまで30分ちょっとしかないの。」

と伝えた。

さきが、冷静さに欠ける震える声で言った。

「い、いい、一回、じょ、状況を整理、してみましょう。」

しずきは、さきよりも冷静な声で

「まず、ジャンピーの部屋にある海の洞窟に爆弾が仕掛けられたのね。それで、ジャンピーはその事に気づいた。そして、家に行くと、手紙みたいな物が置いてあった。これでいいかしら?」

と整理した。

さすがしずき。

そみこみたいに、ぐだぐだ長くない。

ジャンピーは、少し冷静になって

「うん、それで、洞窟に爆弾が仕掛けられたっていう噂が広がったんだ。それで、どこの洞窟かを聞かせてもらって、行ってみたら、貼紙があって、『この洞窟に爆弾を仕掛けた。』って書いてあったんだ。それで、家に帰ったら洞窟にあったのと同じ紙が届いていたんだ。」

と応えた。

そみこは、顎に手を当てて考え込むポーズをした。

「爆弾には制限時間みたいなものがあるはずです。ジャンピー、覚えてますか?」

ジャンピーは少し思い出すように天を仰いでから、

「うん、3時間って表示されてたよ。」

と言った。

3時間…………

普段なら長く思えるような時間だけど、爆弾解除の場合は短く感じた。

どうして、そんな事が起きたの…………

そみこは厳しい顔でみんなに告げた。

「早くしないと、ジャンピーが危険です。解除しなければいけませんね。」

そうだ、この事、もしかしたら本に載っているかもしれない!

私は本を見てみた。

そこにはやはり、いろいろなことが書かれていた。

「今回、ジャンピーの住む海に、爆弾が仕掛けられた。制限時間は3時間。それまでに解除しなければ、その海は破壊されてしまうだろう。そこで、こちらも協力することにした。アドバイスをしておこう。それを読める者は、今まで冒険をしてきた、キミコ、しずき、そみこ、まさも、さいと、さきだけだ。そのもの達への詩が次のページに書いてある。」

ごくり。

私は唾を飲み込み、本のページに手をかけた。

そして、ゆっくりとめくった。

はらり。

この状況にはふさわしくない、ふんわりとした音がした。

私は今めくったページを読んでみた。

さき達も一斉にその本を見る。

そこには、よくわからない言葉がならんでいた。

とりあえず、読んでみよう。

私はそこをじっと黙読した。

「テレビにアイテムをもらい、ジャンピーの危機を救え。イルカになり、ミシニモ洞窟を目指す。その途中に恐ろしき危機があるだろう。それに辛抱強く立ち向かうことで、洞窟への道は開かれる。仲間と共に、助け合い、洞窟を目指せ。その後のことは洞窟に入れたら見られるだろう。1つ1つ、こなしていけば道は開く。」

さきが言った。

「どう?この内容。」

まるで、自分がその本を作ったかのようだ。

私は応えた。

「…………よくわからん。」

「え?」

そみこがきょとんとした。

まさもは、体をごろごろと転がして爆笑している。

その体が、勢いあまってこっちに転がってきた。

うわぁっ!

私はびっくりして慌てて避けた。

危なかったぁ。

けれども、後ろにいたさきがまさもの体につまずき、こっちに倒れてきた。

わああああっ!

私は完全に油断していて、さきのぶっ倒れ攻撃を思いっきり受けた。

そして、倒れ込む。

それが前にいたそみこに当たり、そみこはソファに頭を思いっきりぶつけた。

ゴンッ!

すると、その音にびっくりしたさいとが飛び上がって、着地に失敗して、背中から着地した。

何よ。

緊急事態なのに。

なんでこんなことになるわけ!?

すると、しずきが真面目な顔で

「まずは、この詩を何とかして解かないと。」

と言った。

そうだね。

まずは、暗号を解かなきゃ、なにもあてにできないもんね。

しずきの言葉を聞いて、そみこが、肩をすくめて

「まあ、1つ1つこなしていけばいいんですね。まずは、整理してみましょう。まず、やること1,テレビにイルカになれるアイテムを貸してもらう。やること2,イルカになって、ジャンピーの部屋に入る。やること3,ミシニモ洞窟に行く。ヒント その途中に恐ろしい危機があるけれど、それに仲間と一緒に助け合い、立ち向かうことで、それを倒すことができる、ですね。じゃあ、まずテレビを呼んでみましょう。」

と言った。

私は、テレビを呼んだ。

テレビは、いつもの憎たらしい口調で言い始めた。

「はい。何ですか?というか、むやみに呼ばないでくださいよ。私だって、やる事があるんですから。くだらない事を言わないでくださいよ。あなた達は冒険者の中でも一番の馬鹿チームなので、優秀な私がナビゲーターをしてあげているんです。」

こいつめ。

いらつく。

私は怒りを必死に押さえ込み、なんとかいつもの顔を作った。

すると、テレビが鼻で笑った。

「キミコ、変顔大会でもやっているんですか?そんなくだらない事をするなら、私はあなたが土下座して泣いて謝って、『テレビ様、あなたは神です!いつも、優しく対応してくださって…………私達にはもったいないお方です。ああ、こんな優秀ですばらしくて神のような存在の人がナビゲーターをやってくれるなんて…………私達は、なんて幸せなのでしょう。テレビ様。さきほどは、本当に失礼なことを言ってしまってごめんなさい。あなたのためなら、どんな事でもします!』って言ってください。」

ムカムカッ。

私は、ギリギリと歯をこすりあわせた。

こいつめ。

そんなこと、言うわけないでしょうが!

私が爆発しそうなのを、しずきが止めた。

「キミコ、まずは爆弾解除が先よ。」

私は、必死で怒りを抑え込み、

「イルカになれるアイテムが欲しいの。くれる?」

と言った。

テレビは、わかったというように首を縦にふった。

「ああ、その爆弾事件のことですね。私は全て知っています。でも、そのアイテムは、あなた達がすでに持っていますよ。それから、洞窟に着いたときには 私を呼んでください。」

ジャンピーに聞いたら、なにかわかるかな?

私はジャンピーの部屋を開けた。

ジャンピーはイルカフードを食べていた。

げっ。

もう、9匹目だし。

なのに、お腹がいっぱいになった兆候を全く見せない。

ジャンピー、かなりの食いしん坊だね…………

私はジャンピーに尋ねた。

「ねえ、イルカになるにはどうすればいいの?」

ジャンピーは、ポカンとした後、元気よく叫んだ。

「簡単さ!こっちの世界に来ればいいんだよ!」

こっちの世界に来いっていわれてもさあ…………

来られないんだよね。

私がさらに、

「どうやって来るの?」

と聞くと、ジャンピーはきょとんとした。

「え?ここの世界の物をここの部屋に置いたら、入れるよ。」

私はこっちの世界の物を探した。

そうだなぁ。

自分の爪とか?

でも、私の爪、短いしなぁ。

すると、そみこが近くの枯れ葉を拾ってグルモの部屋に置いた。

ところが、そみこはグルモにダメ出しされてしまった。

「うーん、それだと、うまくこっちにワープできるかどうかわかんないね。自分が持っている物ならできる確率が100%なんだけどね。」

私はそれでアイデアを思いついた。

そして、自分の髪の毛をジャンピーの部屋に置いた。

えいっ。

OKがでますように。

すると、ブレスレットの所に大きくOKと出た。

しずきも、さいとも、そみこも、まさもも、さきも私と同じようにした。

すると、全員がOKになった瞬間、ものすごい眠気に襲われた。

気がつくと、私は海の中にいた。

でも、呼吸もしやすい。

そして、みんなの方を見てみるとみんながイルカになっていた。

しずきは、水色だ。

雨粒みたいな清らかな色に、思わず目がひかれる。

そみこは、若草色だった。

春に生えてきた、新しい草の色。

落ち着いていて、どこかほっとできるような色だ。

まさもは、炎色。

体の色に、情熱と力が見えた。

さいとは、青色。

深い、青色だ。

どっしりしていて、安心できる色だった。

さきは、サーモンピンク。

可愛らしくて、見てるだけでキュンキュンする。

私は、みんなに聞いた。

「私の体の色、何色なの?」

すると、しずきが答えてくれた。

「太陽…………ううん、ひまわりみたいに明るくて、神々しい色。」

そみこは、イルカ語で私に話しかけてきた。

「キミコ、行きますよ、ミシニモ洞窟へ!」

私は

「OK!」

と返事をして、泳ぎだした。

あっ…………

私は、びっくりした。

すいすい、泳げる。

他のみんなも、すぐその異変に気がついたようだ。

水をひれでかく時、体がまるでふわりと浮いたように感じた。

泳いでいる時、信じられないくらい体が軽い。

まるで、空を飛んでいるみたいだ。

しばらくして、泳ぎ続けた私はそみこがふぅ、と肩の力を抜いて休憩したのを見て、

「こっからどっちに行くの?」

そみこが、ポカンとなる。

な、なに、その表情?

困惑している私に、そみこが、呆然としながら言った。

「わ、私、キミコが、てっきり、道を知っていると、お、思っていて。そ、それで、キミコにつ、ついてきたんですけど…………」

「え?私、そみこのをあてにしていたんだけど。」

ってことは…………

私達は、みんなをまじまじと見た。

結局、みんな、お互いの事をあてにしていたって事だよね?

そみこは、ため息をついて、

「仕方ないですね。グルモに、地図をもらいます。コインをください。」

と言った。

そして結果は、みんな合わせてコインの数が120だった。

少なっ!

まあ、私も40くらいしかなかったんだけどね。

そみこはブレスレットで何かを操作すると、私のブレスレットに通知が届いた。

私は送られてきた物を見る。

それは、マップだった。

まぁ、さっきそみこが堂々と「地図」って言ってたけどね。

しずきは地図を見て首をかしげた。

「まず、私たちはどこにいるのかしら?」

すると、さきがカタカタとパソコンのキーボードを叩いた。

これ、水の中でも使えるんだよね。

防水体質になってるし。

私は、時計を見た。

あと、爆発まで2時間40分。

頑張らなきゃ!

さきは、しばらくパソコンを操作していたけれど、しばらくすると言った。

「現在地アプリの開き方がわからないの。設定の所を探ってみたんだけど、正常だって書いてあったわ。」

しずきは、

「じゃあ、現在地を調べて。」

と言った。

そして、5分ほどで現在地アプリが開けたようだった。

さきが現在地を調べている間に、私はアイテムを色々整理した。

そういえば、もうここに着いてから、2ヶ月ぐらい経ったな。

自分の家が懐かしい。

でも…………じゃっかん、こっちの方が私にとっては好きかも。

だんだん皆のチームワークが整ってきたところだし、幻のミカンを食べることができたり、アイテムを貯めることができたり。

いつまでもこの冒険が続けばいいのに。

私はそう思いながらさきの作業が終わるまでアイテムを整理し続けた。

さきが現在地を教えてくれたおかげで、道を進むことができた。

私は地図の端っこまで行く。

すると、地図が変わって、また新たな目的地が示される。

それにしても暗いなあ。

っていうか、道が分かれているんですけど!

私は懐中電灯のスイッチを付けた。

でもそこには何もなかった。

ただ、なんか、何かがあるような気がする。

気のせいかな?

そみこがぽつりと言った。

「なんか、おかしな感じがします。」

みんなもおかしな感じをとらえているみたい。

その時。

カッ。

目も眩むような明るさが周りを包む。

目を開けてみると目の前に1つの箱が落ちていた。

私はその箱を慎重に開けた。

そこには巻紙が入っていた。

私はそれを読んでみた。

「ここまでたどり着いた者達よ 新たな道に進むが良い 自分が信じる道を進めば きっと次の目的地までたどり着くだろう」

この前の本に書いてあったのよりは分かりやすい。

私はその箱をブレスレットの中に入れた。

そみこは、分かれ道の所をじっと見つめた。

「分かれ道はどうすればいいんでしょうか?」

私は、「どちらにしようかな」をして、すぐに左の道に決めた。

私はスイスイと泳いでいった。

しずきは回復魔法の準備をしている。

そして、少し体力が減っている私達に回復魔法をかけてくれた。

しずきは、体力が100になっているから心配ないはずだ。

しずきはあんまり誰かに狙われるようなタイプじゃないしね。

まあ、攻撃よりも守備の方が得意なのは確かだけど。

しずきって攻撃魔法、どれくらい持っていたっけ?

忘れちゃった。

確か、デコピンパチンコとかそういうの持ってたはず。

まあ、自分のアイテムがわかってたら問題ないか。

私は安心して泳ぎ始めた。

バシューン!!

うわあああっ!?

なに、この音は!

しずきたちもビックリして立ち止まっている。

振り向くとそこにはテレビがいた。

テレビは、

「すいません、あのバトルの時のアイテムを忘れていました。皆さんに送ったので、それを見て下さい。では、私も時間がないので。」

ドシューン!!!

さっきよりもすごいうるさい音が響く。

なんか妙に雑なんですけど。

そみこは送られてきた物を見て絶句している。

私も送られてきた物を見た。

何のアイテムかな?

そこにはなんか見覚えのあるようなやつが…………!!

しずきは、びっくりしたように

「これは、空気と水の実験でやる物?」

と首をかしげた。

そう。

それは、私達が学校で使っている実験道具。

なんか、空気と水の実験だったような気がする。

さきは、

「そういえば、空気鉄砲とか水鉄砲を作ったっけ。あれなら使えそうね。というか、全員同じ道具が今回配られたの?」

と不思議そうに言った。

というか、こんな物、役にたつのかな>

その時パソコンを開いていたしずきが立ち止まり、

「ここから先、崖になっているわ。」

とつぶやいた。

その瞬間、崖の下で、ズドーン!!

という鼓膜が破れそうになるような音が響いた。

見てみると、下にはブニョブニョしていて見るからに気持ち悪そうな怪物が砂から出てきた。

そして、その振動で崖が崩れた。

危ないっ!

私は、ギリギリで崖の端を掴んだ。

他のみんなも、掴まっている。

腕が、脱臼しそうだ。

はぁはぁ。

私の息が切れ始めた。

みんなは、もう少し安定している。

すると、私の重さで崖の一部にひびが入った

そして、パキーンと崩れた。

私は、思いっきり落ちた。

すぐに、あの怪物が目の前に現れ、口をあけた。

うえええええっ。

気・持・ち・悪い!!

心の底から気持ち悪い!

私はその口へと真っ逆さま。

口は湿気でいっぱいで、ますます気持ち悪い。

とうとう、私は吐いてしまった。

モンスターは私を吐き出す。

けれども、モンスターの近くに私は落ちた。

そみこは、

「どうしますか?」

とみんなと相談している。

ここからでも、なんとか話を聞ける。

まさもは

「詩にも粘り強く立ち向かえ、って書いてあったじゃん。バトルすればいいんじゃない?」

と応えた。

そみこは、こくりと頷いた。

さいとは

「でも、あの敵はかなり強そうだよ。だから、用心深く近寄ろう。」

と言った。

しずきは全回復魔法の準備をする。

まさもも、デスノコローノーゼの準備をした。

さいとは氷結晶攻撃魔法の準備をする。

そみこも、弓矢の用意をした。

私は鉄の棒の用意をする。

あれ?

さきがそみこをじっと何か言いたそうに見ている。

そみこは

「何ですか?」

と聞いた

さきは言いにくそうに

「別にわからないけど、水の中じゃ弓矢は飛ばないんじゃないかって思って。ここはテレビが作った場所だから飛ぶかもしれないけど。でも普通は飛ばないから使うときには気をつけた方がいいと思うわ。」

と言った。

なるほど。

確かに、飛ばない可能性がある。

そみこは

「それもそうですね。何が いいでしょうか?」

とブレスレットの画面を操作し始めた。

さきはブレスレットの画面をのぞき込んだ。

「そみこって、どういう武器を持っているの?」

そみこはブレスレットを見ながら

「えーと、鉄の棒、弓矢、それから強力ビーム銃ですね。」

と応えた。

さきはそみこにアドバイスした。

「じゃあ、遠くからでも狙える物があってもいいかも。」

そみこは強力ビーム銃を手に取った。

さきはプロペラミキサーだ。

さきは、

「まず、遠距離チームを急接近チームで分かれましょう。Aチームは急接近チーム。遠距離攻撃チームはBチーム。Aチームは、さいと、キミコ、しずき。Bチームはまさも、私、そみこ。さいとは魔法で攻撃したり、みんなのサポートをしてちょうだい。しずきは、こまめに体力を回復させてちょうだい。暇なときは、パソコンを開いてこのモンスターのことを調べて。それから、私はプロペラミキサー、光の檻で敵を追い詰めるから。まさもは、デスノコローノーゼやメッサカリントンで攻撃して。近くの子が体力減っていたら、回復魔法で回復させてね。そみこは強力ビーム銃で攻撃して。でも、攻撃する人が必要になったら、行ってちょうだい。このチームワークで行けば、何とか倒せると思うわ。」

と作戦を説明した。

うう、今回の敵、気持ち悪くなる。

吐きませんように。

私はブレスレットを見つめた。

途端に、何かが送られてきた。

それは、メッセージやアイテムを送れる便利なアプリだった。

さっき、そみこが残ったコインで買ったアイテム。

そみこは

「これで、連絡をとりあいましょう。まさかとは思いませんが、ローマ字をまだ覚えてない人っていますか?」

て言ってた。

ローマ字がわからない人って。

さすがの私でもわかるよ。

3年生の頃に散々勉強したよ、めっちゃしつこくやったもん、そりゃあ覚えてるでしょ。

すると、さきがAチームのみんなに

「行ってちょうだい。時間がないわ。いつもは制限時間がなかったけど、今回はあるんだから。」

と早口で言った。

あと、2時間15分。

頑張らないと!

私はあのグニャグニャモンスターに向かって突撃していった。

あのグニャグニャモンスターは

「おまえは誰だ!」

と叫んだ。

今さら、それを聞くの?

まぁ、いいや。

自然に応えなきゃ。

私は用意しておいた言葉をしずきたちにアプリで送った。

しずきたちはそれを見て、少し考えた。

グニャグニャモンスター(もう省略しちゃえ!これからがグニャモンにしようっと)はもう1回言ってくる。

「おまえは誰だ!おまえの名がわかったら、俺の名前も教えてやろう!」

私は、グニャモンに負けないくらい偉そうな態度で言った。

「名前を教えてあげる。私の名前はツイン。そして、水色の髪の毛の子がシキミコミ。それで、大人の人なのがサリファだよ。」

まあ、これはテキトーに言っただけなんだけどね。

それで、シキミコミはあのオオカミのシキミコミから取った名前。

苦し紛れで言ったんだけど、後でしずきに呆れられちゃうかも…………

実はメールでこんなことを私は送ったんだ。

「しずき、さいと。多分、敵は私達の名前を聞いてくると思う。でも、本当の名前を応えたら、情報が知られちゃうかもしれない。多分、海の所では私たちのことが噂になっていると思うから。だから、私が適当な名前を言う。みんなもそれに合わせて。」

ちょっとわざとらしかったかもしれないけど。ブニョモンは私達の事は何も聞いてこずに

「俺様の名前は、タコミヨサキコハミズミト・コロワタサミレ・スピューミコサンド・ボロミコミヒャ・ランドピュー・ミ・コサワーシェルカだ!かっこいい名前だろう?」

と威張ってきた。

いや、かっこいいっていうか、ただ言いにくいだけでしょ!

っていうか、「ボロ」って…………

雑魚モンスターにぴったりの名前だね!

こんな変な名前はいいから、ブニョモンでいいや。

ああ、もう。

上にいるそみこ達も呆れてるよ。

まさもなんか、笑いすぎてひっくり返ってるし。

しずきは、必死で名前を覚えている。

さいとも、

「あの~、その名前、長すぎるんで、僕達で新しい名前を付けていいですか?」

なんて言ってる。

ブニョモンはえばりながら

「ああ、いいとも。ただ、俺が気に入らなかったら、即却下だからな。」

と言った。

偉そうに言うんじゃないよ!

私は心の中で叫ぶ。

さいとも、眉間がピクピク引きつっているよ。

すると、崖の上にいるさきが提案した。

「じゃあ、イケモンって言うのはどうですか?」

ブニョモンは

「ああ、いい名前だ。それがいいな!いかにもイケメンのモンスターみたいだ。海の奴らにちやほやされている俺にぴったりの名前だな。」

と言った。

さいとは、すぐさま本題に入った。

「ところで、そこ、通してもらえませんか?」

ブニョモン…………いや、イケモンは

「ダメだな。俺を倒さない限り、道は開けない。か弱い子ども達には倒せるもんか!」

と反対した。

私はとうとう、我慢しきれなくなり、鉄の棒を手に、

「か弱い子どもで…………悪かったね!」

と言って、攻撃した。

ところが、たこみたいな吸盤が鉄の棒に絡みつき、攻撃できなくなってしまった。

その時、さきがプロペラミキサーを使って、タコみたいな形をしたイケモンを巻き込ませた。

そして、ぐるぐる目が回っているバカタコに向かって、さいとの氷結晶守備魔法が飛んできて、吸盤に刺さった。

タコは傷みにおどろき、鉄の棒を放す。

助かった!

私は体制を整えると、光の銃を今度は取り出した。

そして、すぐに発射させる。

ところがイケモンは墨を吐いて、それを追い返してしまった。

墨が目にしみる。

それと同時に、光の銃がこっちに帰ってきた。

私は光の銃に当たり、体力が80になってしまった。

しかも、目の前で光の銃が爆発したせいで、目がチカチカしている。

他のみんなは大丈夫みたいだ。

その瞬間、私の体力が回復された。

しずきが全回復魔法を使ったのだ。

まさもは、すきを見計らってデスノコローノーゼを出すつもりらしい。

手に、小さな石が浮かんでいる。

私は、光の檻を使って敵を倒そうとした。

ところが、光の檻はイケモンに届く前に黒くなって消えてしまった。

この敵、強すぎる。

最初、「雑魚モンスター」なんて事言っちゃったけど、そして心の中で「弱小モンスター」とか思いついたけど、この敵、強いよ!

そして、私が武器を準備している間に、今度はさきが捕まってしまった。

イケモンは吸盤の先でさきを締め付けた。

さきはもがくけれど、結果は明らかだった。

断然イケモンの力の方が強い。

許さない。

大事な仲間に、手を出すなんて!

私は、サッカリミリントンを出した。

ところが、イケモンは墨を吐いてそれを全部返してしまう。

そして、私も捕まってしまった。

Aチームの残るはしずきとさいとだけになってしまった。

その時、そみこがこっちに降りてきた。

あれ?

そみこ、体が人間に戻ってる!

みんなもだ。

そみこは、強力ビーム銃でイケモンを狙った。

銃は、イケモンの顔に当たった。

イケモンの体力は600になる。

体力を見た瞬間、私はブチッと堪忍袋の緒が切れそうになった。

こいつ、最初、体力が1,000だったんだよ。

理不尽すぎる。

けれどもイケモンは、私とさきを放さない。

そして、私たちに何かのカプセルを近づけてきた。

さきは、目を見開いて、

「それは、新しく開発された、毒薬にも抗生物質にもなれる、薬!?それを何に使うのよ。」

と言った。

もう、結果はわかりきっている。

きっと、それで毒薬を作って、私達を…………

ここから先は、言いたくない。

イケモンは、追い打ちをかけるように

「これは世界一強い毒と言われている物だ。それを飲んだら、たちまち死んでしまうだろう。まあ、たちまちと言っても30分間苦しんで、死んでいくという恐ろしい薬だがな。おまえ達が攻撃してこなければ、こいつらに薬を飲ませたりはしない。だが、おまえ達が攻撃してきたらこれを飲ます!」

と脅した。

さすがのそみこも顔が凍りついている。

さきの目に、涙がたまり、みるみるあふれた。

まだ、さきは私達よりも経験値が少ない。

しかも、こんなふうに脅されるだなんて。

きっと、怖くて仕方がないのだろう。

私も、泣いちゃいそうになってくる。

イケモンは、にやりと笑うと、命令してきた。

「この薬をこいつらに飲んで欲しくなかったら、全員こっちに来い。」

さいとが、迷っている。

私は、さいとに叫んだ。

「ダメ!これで、私たちが薬を飲まないなんて事、あり得ない!そみこ、しずき、さいと、まさも、来ちゃダメ。」

そみこも、どちらに進むべきか迷っている。

さいとは、ぎゅっと拳を握りしめ、静かに言った。

「少し時間をください。4人で話し合います。」

イケモンは、私達をさらにきつく握りしめた。

うっ…………

痛い。

私がそう思っていると、イケモンは右手を挙げた。

すると、その右手から光の檻が生まれた。

いや、光の檻じゃない、邪悪な色をした檻だ。

イケモンは私達をそこに入れると、檻に紐を通し、鳥かごのように近くの所にぶら下げた。

さきは、

「どうしよう、2人ともつかまっちゃった。」

とうつむいた。

私は、必死で作戦を考えた。

その時。

パリン!

何かが檻に辺り、鉄格子の一部分が砕け散った。

けれど、以外と闇の檻は丈夫で、一部が欠けただけだった。

私は、必死に恐怖とパニックを忘れるために、さきに聞いた。

あえて、どうでもいいことを。

「全然関係ないけど、あいつの元の名前って何だっけ?さき、覚えてる?」

さきは、少し落ち着いて、

「タ、タコミヨサキコハミズミト・コロワタサミレ・スピューミコサンド・ボロミコミヒャ・ランドピュー・ミ・コサワーシェルカ、よ。」

よく、あんな覚えにくい名前を暗記したね。

しかも一瞬で!

私なら絶対できないよ!

さきは、しばらく泣いていたけれど、少し落ち着いて私にささやいた。

「この檻、プロペラミキサーでふっ飛ばすわ。用意はいい?」

と言った。

その時。

ジュッ。

私達の周りの空気が変わった。

なぜか、私たちをぼんやりとした守備結界?

みたいなのが覆っている。

すると、さきが尋ねた。

「私達の周り、なんか変じゃない?キミコ、わかる?」

「ここは、陸だね。」

私は言った。

闇の檻。

これは、中が陸、外が海になっているんだ!

さきは

「ねえ、手ってなんとか海の方に届くわよね?」

と言った。

私は腕を通してみた。

ちゃんと、通る!

さきはさっきもらった理科のセットを取り出した。

そして、水をくむ。

私は、さきがやろうとしたことに気がついた。

さきは、水鉄砲を作っていたのだ!

私は、スポンジ(弾の代わり)の先端に、光の檻の鉄格子を破れるナイフを取りつけた。

でも、これは勢いが付かなくちゃいけないから、空気鉄砲にしたんだけどね。

これ、最近見つけた物で、光の檻に自分がつかまると、現れるアイテム。

ところが。イケモンがこっちを振り向き、ブレスレットを操作しているのを見られてしまった。

しかも、さきが水鉄砲を用意しているのを見てしまった。

さきは慌てて水鉄砲を隠す。

イケモンは、低い声ですごんだ。

「おい。そのブレスレットをこっちによこせ。」

さきは、必死で歯を食いしばり、言った。

「これは、お母さんからもらった、大切なお守りです。勝手、に、取らないで…………ください。」

イケモンは、私達をギロリと睨む。

そのすごみのある視線に、私達は飛び上がった。

「だが俺はおまえ達が本名で呼び合ってることに気づいた。」

私は、

「それは、私たちのあだ名なんです。私の本当の名前はツインだし、さきの本当の名前はキサです。」

と言った。

イケモンは、ニヤリと笑った。

「まあ、いい。ただ、おまえ達はいつかこの檻を壊しそうだ。なので、俺の家に行っておくれ。」

「いっ…………嫌です。」

私は震える声で抵抗した。

さきも、私に続いて、

「や、やや、やめて。」

と反抗する。

イケモンはそれに構わず、

「プロパティハウス!」

と呪文を叫ぶと私たちを捕まえた檻は近くの洞窟に向かって飛んでいった。

「いやっ…………」

さきが目に涙をためる。

そして、檻の真ん中でぎゅっと丸くなった。

しばらくすると、檻が棚の上にのった。

すると、何かのロボットが私たちの所にやって来た。

しかも、鎖を手に持っている。

もしかして、あれで私たちを縛る気!?

ロボットは、鍵で檻を開けた。

私たちは夢中で外へ出る。

今が、チャンスだ!

ところが、ロボットの大きな手で捕まれ、手首と足首を縛られてしまった。

しかも、

「プロティミュージックノー。」

と感情のない声で言って、口を開けないようにしてしまった。

そして、身動きがとれなくなった私たちの体を見て、ロボットが言った。

「魔法、発見。直ちに回収する。」

そして、私たちの手首からブレスレットを外そうとする。

そうはいかないんだから!

私は床を転がる。

でも、結果的にブレスレットを取り外されてしまった。

そして、ロボットは私たちを元通り檻の中に入れると、鍵をかけ、去って行った。

さきは黙って外の景色を見ている。

そして、立ち上がった後、ぴょんぴょんと真ん中の方に移動して、寝そべった。

ここは、絨毯が敷かれていて、しかもちょっとした棚もある。

そこには、食べ物がたくさん入っている。

そして、今さきが行ったのは、床に敷かれている布団の所だった。

さきはそこに寝そべり、私にこっちに来て、という合図をした。

私もさきの隣に寝そべる。

さきは、後ろ手で紙を足りだして文字を書いた。

「魔法文字で話しましょう。これだと、ばれちゃうかもしれない。」

私はそれを読んでOKのサインを作った。

魔法文字は、私達が学校で習う、指文字みたいな物。

例えば、中指と薬指を折って相手に見せたら、「あ」っていう文字になる。

でも、めんどくさいから普段使わないだけ。

でも、しゃべれないときはそれを使ったりするんだ。

私は、早速さきに

「どうやって逃げ出す?」

と聞いた。

ちなみに、はてなマークは首をかしげる。

びっくりマークは、驚いたっていうことを示すんだ。

さきは

「しばらくここで待ってる。多分そみこ達が来てくれると思うから。」

と伝えた。

そして、さきと私は檻の中で待っていたのだ。

メリット
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第16章:危険いっぱいのミシニモ洞窟

ああもう!

キミコとさきは何をしているんですか!

思わず私、そみこは叫びたくなる。

イケモンがキミコとさきを捕まえたせいで、全然こっちが手を出せないじゃないですか。

今までと違って、ずる賢いやり方ですね。

でも、さきとキミコはどこに行ったのやら。

全く見当が付きません。

手出しをされていないといいんですが。

あのイケモンのことだから、何かしているかも…………

どんどんと不安が頭から出てくる。

私は震える声で、イケモンに尋ねた。

「あ、あんたは、キミコとさきに何かしたんですか?こんなの、ルール違反です。やめてください!」

「ふん。バトルなんかにルール違反なんてあるか。俺のパソコンには誰かが捕まえられたら、自動的にロボットへのプログラムが組み立てられるように、ちゃんと設定しているんだ。パスワードもちゃんと設定してある。誰かが設定を解除すれば、たちまちアラームが鳴り、ロボットにつかまるだろう。解除するには、俺の顔認証システムが必要なんだ。そんな簡単には解除できないさ。」

イケモンが言った。

「関係ないはずだが、奴らに似た、別の人間達がこの世界に入ってきて、俺の支配を邪魔しようとしているんだ。リーダーの名前がキミコ。そして、しずき、そみこ、まさも、さいと。それから、新しいメンバー、さき。偶然だとは言わせない。おまえ達は、俺の邪魔をしていた奴らだな?」

うっ。

やっぱり、私達のことがこの世界で知られてしまったんですね。

キミコの予想、合っていたことを後で言わなければいけません。

爆弾の爆発まで2時間。

詩のところにあった、恐ろしき危機というのはこれのことだったのですね。

確か、本を読んだときに、タコのことが書いてあったかもしれません。

タコの弱点は三本矢。

タコには、心臓が3つある。

でも、水の中だと、弓矢は飛ばない。

いったん、作戦を立てた方が良さそうです。

でも、あのキミコとさきがいないと…………

いいえ、キミコがいなくても作戦はできるはずです。

私は

「い、いったん、時間をください。」

と言った。

イケモンは、

「いいだろう。だが、5分までだ。」

と言ってきた。

早く、作戦会議をしないと!

私はまさもとさいと、しずきを呼ぶと言った。

「作戦を立てます。まず、タコは心臓が3つあると言われています。だから、私は槍や弓矢で狙おうと思います。でも、弓矢は水の中では飛ばないので、槍にしたいと思います。」

と意見を言った。

まさもは

「じゃあ、さいと、そみこ、それから…………で行けば良いんじゃない?」

と言った。

まさも、聞こえません。

でも、多分、さいと、そみこ、まさもと言いたかったのでしょう。

しずきは

「私はどうすればいいの?」

と聞いた。

私は

「しずきは、遠距離攻撃をお願いしようと思います。」

と応えた。

さいとは、

「なるほど。タコの心臓を同時に刺してゲームオーバーにするという事なんだね。」

とうなずいた。

しずきは、パソコンの画面を見て、意見を発表した。

「私、イケモンのことを調べたんだけど、イケモンはほとんど魔法に頼ってるんだって。だから、魔法の効果が無しの奴を使えば、できると思うわ。」

と言った。

私はノートにメモした。

魔法無効シールを使う。2,タコをゲームオーバーにする。」

その時、しずきが

「でも、タコさん、かわいそう。いくら、キミコやさきに手出ししたとしても、ゲームオーバーにするのはちょっと…………」

と口ごもった。

まさもは

「じゃあ、メチャクチャにお願いしまくろう。」

と提案した。

私は「でも、あの卑怯な奴がちゃんと聞いてくれるかはわかりません。」と反論した。

すると、まさもがぽつりとつぶやく。

「…………ようにする。」

私はまさもの口に耳を近づける。

またまた、声が小さくて聞き取れません。

いつもは、もっと声が大きいのに。

まさもは、今度はちゃんと聞こえる声で言った。

「本当に困った時まで、困らないようにする。とにかく、目の前にあるやれることをやれなくなるまで、実行する。」

しずきは、首をかしげた。

「どういうこと?」

まさもは応えた。

「これは、くいみが残した言葉。」

ああっ、確かにありましたね、歴史の授業でやった、えーと、確かこの星に住んでいた、昔に大活躍した人だったような…………

最強のモンスターと戦ったっていう人ですね。

ものすごい頭がいい、という噂がありました。

と、そういうことはほっといて。

まずは、メチャクチャにお願いしまくる。

そういう結論が立てられたんですね。

キミコと、さきを、助け出しましょう。

絶対に。

パッ、パッ、パッ。

私とさきは魔法文字でさきと会話する。

なんとか、1時間だけ30分の1の確率で助かる魔法をかけてくれた。

そして、作戦を立てようとした瞬間、ロボットがやって来て、

「魔法文字を使う者はだれだ。」

と言った。

ひっ…………

私達は慌てて魔法文字で会話するのをやめる。

ロボットは、私を睨んだ。

「おまえ達を除去する。ドローン、薬をこいつ達に飲ませろ。」

と命令した。

やばい。

もはや抵抗のしようがなかった。

私達はすぐに体を持ち上げられ、薬を飲ませる部屋へと連れて行かれた。

ウィーン。

ドローンは私とさきをある椅子にくくりつけた。

周りの椅子からは悲鳴が聞こえる。

すると、近くで絶叫が聞こえてきた。

頭も動かせないので、目だけ動かして隣に座っている人を見ると、その人は叫び、のたうちまわって、やがて、動かなくなってしまった。

そして、ドローンはその人を箱みたいな所にぽいっと入れた。

そして、再び私たちの元に来た。

どうしよう。

あれを飲まされたら、死んじゃうよ!

ドローンは、人型ロボットに薬のカプセルを渡すと、どっかに行ってしまった。

人型ロボットが、ウィーンとこちらに迫ってくる。

「やっ…………」

私は思わず悲鳴をあげた。

さきが、ぎゅっと目をつぶる。

すると、人型ロボットがカプセル(ガチャガチャみたいなの)を割るのが見えた。

そして、薬の本体が現れる。

うっ…………

どうすれば、いい?

体がガタガタと震える。

すると、薬を飲むよう指示された。

そして、腕の拘束だけが外される。

やだ!

飲まない!

私は、薬を受け取らずに、必死で逃げようと身をよじらせた。

すると、ロボットが冷静な声で

「今、薬を受け取らなかったら、問答無用で飲ませる。」

と言った。

私は、震える声で言った。

「30秒だけ、考えさせて。」

ロボットは、頷くと、タイマーを作動させた。

1秒1秒が、早く感じる。

問答無用で飲まされるより、自分で飲んだ方がいいかもしれない。

その方が、覚悟ができるかもしれないから。

私は、残り5秒になると、ごくりと生唾を飲み、

「自分で飲む。」

と言った。

さきも、私と同じ事を言った。

私は、薬を受け取ると、ゆっくりと口の方に運んだ。

ロボットは、氷のように冷たい声で言った。

「あと、30秒して飲まなかったら、力ずくで飲ませる。」

私は、頷いた。

「そんな事になる前に、自分で飲むから。」

そして、残り10秒になった。

私は、深く息を吸うと、薬を口に運んだ。

さきが、悲鳴をあげる。

「キ、キミコ、やめてっ!死んじゃうわ!」

私は、それに構わず薬を口に入れた。

すると、ロボットが私をじっと見た。

そして、ただ一言、

「早く、薬を飲み込め。」

と言った。

残り、3秒。

さきが、ぎゅっと目をつぶって、薬を口に入れた。

まだ、喉は動いていない。

私の口の中の薬が、溶けていく。

私は、ゆっくりと薬を飲み込んだ。

さきが驚愕の表情になる。

ロボットが言った。

「10秒後に、効果が現れる。」

私は、震えながら10秒、待った。

そして、あと1秒という所でさきが薬を飲み込んだ。

運が良ければ、助かるはず。

その瞬間!

ズキズキズキッ!

体のあらゆる所に電流が流れたみたいに痛みが貫き、私は椅子にばたりと倒れ込んだ。

魔法、効かなかったの!?

そして、時間がたつにつれ、痛みは酷くなってきた。

ビリビリビリ。

「きゃああああああっ!」

さきが悲鳴をあげた。

私も、20分経つとついに、

「ぎゃああっ!」

と悲鳴をあげた。

あと、1分。

それまでに、そみこが助けに来なければ、私とさきは死んでしまう。

助けて。

助けてっ!

私の目に、涙があふれる。

あと、10秒だ。

「きゃああああっ!」

「ぎゃあああああっ!」

私とさきは悲鳴をあげる。

痛い。

私の目の前が、チカチカしてきた。

あと、3秒だ。

その時。

バーン!!

そみこがドアを蹴破る。

そみこ!

どうやってここに!?

そみこは、一直線にドローンへ頭突きしていく。

ああ、もうダメだ。

私は、目を閉じた。

あ。

意識がある。

助かったんだ。

そみこが、ロボットを倒しながらほっとした表情を見せた。

その瞬間、腕がズキッと痛んだ。

でも、あの薬の時と比べたら、たいしたことない。

腕を見てみると、腕からたくさんの血が流れていた。

そみこが必死で戦っているおかげで、敵がどんどん倒されていく。

その時、私は気がついた。

背後から新しいドローンが来ている!

私は、口を開きかけた。

「そみ…………」

けれども、もう遅い。

私は、ぎゅっと目をつぶった。

すると、そのドローンははじけて、テレビが姿を現した。

あ…………

私が呆然としている間に、テレビは二足歩行ロボットに向かって弾を投げた。

ところが、テレビが投げた弾は二足歩行ロボットのレーザーで燃やされてしまった。

そのロボットの隙をそみこは見逃さなかった。

そみこはロボットの背後に回り込み、つかみ手袋を使ってロボットをぶんぶん振り回し、最後に思いっきり投げた。

地面に叩きつけられたロボットはバラバラに壊れた。

その調子でそみことテレビはドローンやロボットを全員倒してしまった。

けれど、そこからまた新しいロボットがぞろぞろやってくる。

そみこは、汗を拭っていったんテレビにロボット達を任せ、私達の体力を回復させた。

体力が回復されると共に、私は立ち上がった。

私達は、目で合図して、作戦を伝え合った。

そして、私達は動き始めた。

「はあっ!」

そみこが、ロボットをたたき壊した。

テレビも、必死でロボットの気を引きつける。

ロボットの目が、作戦通りにそみことテレビに集まった。

誰も、私とさきを見ていない。

私は、さきにプロペラミキサーを出してもらい、ロボットが弱った時に、思いっきり鉄の棒で攻撃した。

そして、ようやくロボットを全部倒し終わった。

そういえば、そみこ達はどうやってここに来たんだろう?

敵を倒したにしては、ここに来る時間が掛からなすぎだ。

そみこは、テレビに言った。

「テレビ、もう消えてくれて構わないですよ。」

テレビは、ボフンと音を立て消え去った。

「そみこ、敵は退治できたの?」

「ああ、それはですね、しずきやさいとが、イケモンの気を引いている時に、私がこっそり、ここに忍び込んだんです。そして、テレビを呼んでからロボット達と戦ったんです。それで、闇の檻がからっぽになっていたので、そっちの研究所の方に行ったというわけです。」

私が聞くと、そみこはこれまでのちょっとしたことを説明してくれた。

なるほどね、そういうことか。

そう納得した私だったけれど、あることに気がついた。

「ってことは、しずきとさいとはまだ戦っているって事?」

そみこは、

「それが、しずきの意見で、『あのタコさんを、殺してしまうのはかわいそうだ』っていうことになって。それで、とにかくお願いしまくることにしたんです。」

と言った。

じゃあ、もうお願いしまくるしかない。

私達は、全速力でイケモンのいた所に向かった。

私はイケモンの所に着くと、すぐそばに降り立った。

イケモンは、私とさきを見て絶句する。

「お、おまえ…………さっきロボット達に脱走されたという話を聞いたんだが、それはおまえ達だったのかっ!」

私は、すぐさま言い返した。

「イケモンが勝手に私たちを闇の檻に閉じ込めて、私たちが行きたくもない研究所に連れて行って、しかもロボット達に私たちを殺そうとさせたでしょ!なのに、その言い訳は何なの?偶然そみこがこの研究所の場所を突き止めて、行ってなかったら、私達はあの世に行ってるはずだったんだから!」

するとイケモンは、

「あの世とは何だ!おまえ達は、サンプルになるだけのことだ。あの世にはいかない!そんなことも知らないのか?そんなちっぽけな脳で、脱走できるわけがない。」

と叫んだ。

私は、顔をしかめた。

「サンプル?あんた、人のことをサンプルって呼んで!どこまで記憶力がないの?私はサンプルじゃない。人間だってば。もう一回、おバカさんに名前を教えてあげる。私は、『キミコ』っていう立派な名前があるんだからね!」

あ~、私って、本当にいい子!

こんな敵に、親切に名前を教えるなんて。

イケモンは、眉間をぴくぴく引きつらせる。

「はあ?俺の記憶力がないだと?それに、俺のことをおバカさんって呼びやがって!一生、俺の魔法でたたってやる!」

ご勝手にどうぞ。

1人で無様にわーわーやってれば。

私とイケモンはお互いにそっぽを向く。

すると、いきなりそみこが私の頭を叩いてきた。

「いたっ!何すんの?文句でもある?」

私は文句を言った。

そみこは、私の腕を引っ張って、自分の所に連れてきた。

そみこは、イケモンに聞こえなさそうな場所で私を叱り始めた。

「キミコ、イケモンを怒らせてどうするんですか!?

とにかくお願いしまくろうって、約束したのに、勝手にけんかして!これで、イケモンが機嫌を損ねて、交渉してくれなかったら、せっかく立てた作戦が台無しですよ!」

私は、そみこに反論した。

「先にけんかするきっかけを作ったのはイケモンだもん。何で私が怒られなくちゃいけないわけ?」

そして、喧嘩になりそうになった私とそみこを、しずきがペリッと引き剥がした。

「ちょっと、そみこ、キミコ!何、けんかしているの!?イケモンに、通してもらうように交渉するんじゃなかったの?ここに仕掛けられた爆弾は、あと2時間くらいで爆発するのよ?なのに、そんなことでけんかして、時間を無駄にする気!?ジャンピー達が住んでいる海が爆発したら他の海の生き物たちも死んじゃうのよ!キミコ達は、ジャンピーや海の生き物たちが死んじゃうのは、嫌でしょう?さいとやまさも、さきは一生懸命、交渉できなかった場合のことを考えているのに。2人だけ、何けんかしているのよ!」

私とそみこは、しずきの剣幕に驚き、慌てて謝った。

そして、しずきはまさもとさいと、さきに

「まずは、イケモンにお願いしてみましょう。」

と言って、イケモンの前に行った。

イケモンは、突然しずきが堂々と出てきたので、ビックリしたようだった。

いい気味。

私は誰にも見られないように、にやりと笑った。

イケモンは、一瞬びっくりしたものの、気を取り直して構えた。

「おまえ、俺様に何のようだ。」

しずきは、ハキハキとした声で喋り始めた。

「実は、この近くの洞窟に爆弾が仕掛けられているんです。だから、私達はその爆弾を解除しにいくんです。」

イケモンは、やっと話を聞く気になったらしく、返事をした。

「ほお、それなら、俺には用がないだろう。さっさとそこに行って、解除しに行けばいいじゃないか。」

しずきは、イケモンに見られてびくりと震えたけれど、すぐに言った。

「その爆弾がある場所は、ミシニモ洞窟なんです。そして、そこに繋がる道があなたがいる所。そこを通過しなければ、爆弾を解除することができません。」

「爆発する時間は後どれくらいだ?それに、小さい爆弾なら解除しなくてもいいだろう。」

しずきは、堂々とイケモンの質問に応えた。

「爆発するのは、後2時間くらいです。爆弾の大きさは多分、ここら辺の生き物たちが死んじゃうっていうくらい、大きい物だと思います。だから、私達は爆弾を解除しにいきます。海の生き物を危険に晒したくないので。その、だからそこを通してもらえませんか?このままだと、爆すると、超ミラクルな事が起きた。

なんと、なんと、イケモンがこんな事を言ったのだ!

「なら、1分だけ時間を与えよう。その間、私はここをどく。だが、1分経ったら、おまえたちを追いかける。」

気のせい?

幻?

夢?

私は呆然として慌てて目をこする。

でも、景色は変わらない。

しずきは、こちらを見ると、

「許可が出たわ。1分だけ、通してくれるみたい。でも、1分経ったら、私たちを追いかけてくるって。」

と報告した。

そして、イケモンが道を通させてくれた。

とにかく、今は全力で爆弾を解除することだけ考えないと。

イケモンのことは、後で考えればいい。

はやく、ミシニモ洞窟に行かないと!

私達は、ミシニモ洞窟に行く道を、全速力で泳ぎ始めた。

 「ストップ!行き止まりよ!」

私はしずきの声を聞いて、急ブレーキをかけた。

目の前に、大きな岩が立っていた。

ずっと下を向いて泳いでいたせいか、この岩に全く気がつかなかったみたいだ。

これ、洞窟なのかな?

しずきは、ブレスレットを一瞬触ると、私達に忠告した。

「今から行く洞窟は、普段歩くような洞窟じゃないはずよ。だから気をつけて。」

私達は、一回、テントを立てて中で準備することにした。

私は、テントの中に入った瞬間、しゅわりとサイダーの泡のように海で息を吸える力が失われたような気がした。

するとしずきが、持ち物リストを私達に配った。

「水筒 食べ物 ロープ ブレスレット 懐中電灯 着替え 杖 ナイフ ライター ヘルメット」

しずきは、順番に説明していった。

「水筒は、自分が持っている中で一番大きい物を持って行ってちょうだい。食べ物は、缶詰やお菓子などがいいわ。まだ持っているでしょう?そして、ロープとブレスレットは当たり前。懐中電灯は、一応予備の電池も、持って行って。着替えは、動きやすい物がいいわね。それで、できれば水をはじく服がいいわ。今、ずぶ濡れになっているでしょう?だから、今着ている服は洗濯しちゃうわね。杖は、私が持っているからあげるわ。ナイフは、カッターみたいなのがいいわね。ライターは、火を付ける時に使うわ。あと、ヘルメットは学校の奴をかぶっておいて。確か、顔まで包んでくれるし、快適なやつなんでしょ?温度もちゃんと調節されているし。はい、杖。」

そして私達は、水をはじくことができるリュックサックに、スノーウェア、そしてヘルメットをかぶった。

リュックサックにはちゃんと、持ち物リスト通りの物が入っている。

よ~し、出発!

そして私たちは、ミシニモ洞窟へ向かったのだ。

 何この洞窟。

やっと洞窟の入り口が開き、中には入れた私達。

この洞窟、中に入るのも一苦労なんだけど!

さきがひびを見つけて、押していなかったら、この世界はどうなっていたことやら。

しかも、その後が大変だった。

他のみんなは入れたけど、私は近くにいなくて、慌てて入り口の方に泳いで、入り口の前に来たらもう扉は閉まる寸前。

無我夢中で飛び込み、何とか洞窟に入れたけど、危うく閉め出される寸前だった。

はあ、もう。

本当に大変だった。

私は、乱れたツインテールを直そうとして髪の毛ほどいた。

さらりと髪の毛が肩に落ちる。

そして、私はゴムで髪の毛を結んだ。

さきは、懐中電灯をつけ、杖を取り出した。

そして、ゆっくりと前に進んだ。

すると…………

ドボン!

「きゃあああああああああっ!!」

私は、慌てて、杖と懐中電灯をしまい、駆け出した。

さきが、どこかに落ちたんだ!

すると、カランと音がして、私が走るときに蹴ってしまったさきの懐中電灯が、下に向かって落ちて、ドボンと音を立てた。

さきの懐中電灯だ!

下が、ぼんやりと光っている。

私は、思わず下に飛び込んだ。

みんなも次々に飛び込んでいく。

さきは水中でもがいている。

ヘルメットが作っている酸素があるのに。

どうして?

そう思った瞬間。

私は、ドボンと足から水中に入っていった。

けれども、その直後。

ズボッ。

私の足が泥にはまってしまった。

私は、まだ降りてきてないそみことしずきに言った。

「こっちに来ちゃダメ!これ、沼だよ!もしかしたら、底なし沼かもしれない!」

もう、さきはすっかり足が沈んでしまっている。

まさもやさいとも、もうすぐ落ちちゃう!

すると、まさもとさいとが杖を柔らかい岩にところに突き立てて、沼にはまるのを免がれた。

そみことしずきは、ロープを取り出し、2人の方に投げた。

そして、さいととまさもはそのロープに掴まった。

杖は、片手に持ったままだ。

そみことしずきは、がんばってまさもとさいとを引き上げている。

まさもとさいとは杖とロープをうまく使って何とか登ってきている。

頑張って。

ようやく、まさもとさいとは陸に上がれた。

みんなは、まさも以外のロープをつないでいる。

もしかして、私とさきも助けるの?

さき、もう、顔の所まで泥が来ている。

私は、腕が飲み込まれてしまった。

そんな状態で、どうやって助けるつもり?

そみこは、ロープの端っこの方を結んで、ターザンロープのような人が乗れる大きさにした。

そして、さいとがロープを下にたらした。

ロープは無事に、私たちの元に来た。

私は無理やり、腕を上にのばした。

けれども、私の体は沈んでいくばかり。

どうしよう。

さき、もう、泥が口の所まで来ている。

ヘルメットの上の所には、穴が開いている。

そこから、泥が入ってきちゃうかもしれない!

そみことさいと、まさもはロープを持ち、しずきはロープを掴むと、するするとロープを降りて、私達の方へやって来た。

そして、そみこがしずきにロープを投げる。

まさものロープを。

その時、私は青ざめた。

しずきの所に、ロープが届かないかもしれない!

すると、しずきがロープが結んであるところで立ち、思いっきりロープを振った。

しずきは、まさものロープをギリギリでキャッチした!

やった!

私はほっと安堵のため息を漏らす。

ところが、その安堵のため息は1秒後に消え去った。

しずきは、そのロープを持って、自分から底なし沼に飛び込んだのだ!

しかも、プールで潜るときのように頭から。

しずきは、さきの所へ必死に泳いでいく。

そして、さきを見つけると、ロープで少しだけ引き上げてくれた。

さきもじっとしている。

そして、さきのからだが完全に引き上げられた。

ようやくさきを抱えて泥の所から上がったしずきは、汗を拭って言った。

「ふう。次はキミコね。でもちょっと、待って。そみこに交代してもらうから。」

私の方は、もう口まで泥が来ている。

数分も持たないかもしれない。

すると、そみこ達はさきがロープに上ったのを確かめて、ロープを引っ張った。

そして、次はそみこが私を助けに来てくれた。

そみこは、懐中電灯を持って私の所へ泳いでいく。

そして、私をロープの所まで引き上げてくれた。

助かったんだ…………

でも、私達が元の場所に着いた時には、全員ヘトヘトだった。

そみこは

「ふう。みなさん、少し食べましょう。お腹がすいたと思います。私は森冒険に行く前から一応、座れるようなビニールシートを持ってきたので、大丈夫です。」

と言ってきた。

ん?

そんなに準備万端って事は、そみこ、最初から冒険に行く気満々だったって事!?

私は、思わず言ってしまった。

「そみこ、最初から、冒険に行く気満々だったって事なんじゃないの?だから、そんなに準備万端なんでしょ!」

そみこは、飛び上がって、言い訳した。

「ぼ、冒険に行く気なんか、ありませんでした!でも、キミコが無理矢理…………」

「はい、言い訳禁止!今から名探偵キミコが言う、推理を黙って聞きなさい!」

私はそみこが言い訳するのを、自分の声で消した。

そみこは、ため息をつくと言った。

「じゃあ、食べながら下手下手推理をしてください。」

むっ。

「下手下手推理」ってなんなの、もう!

私は、少しイライラしながら、リュックサックからおにぎりとお菓子を取り出すと、ビニールシートに腰掛けた。

しずきは、今大人気のおにぎり、「ビックリおにぎり」を食べている。

ビックリおにぎりは、中に外れか当たりの具が入っていて、種類はツナマヨ、わかめ、ゆかり、鮭、梅干しの5種類だ。

梅干しが入っていたら、種を取り出して、それを店へ持って行くと、景品みたいなのがもらえるんだって。

今まで景品をもらった人の話を聞くと、クーポンだったり、おにぎり割引チケットだったり、ただでおにぎりをもらえたりするらしい。

それにしずき、「プチグミ」っていうお菓子を取り出してる!

私、プチグミ大好きなんだよね。

プチグミは、ちょっと小さめのグミで、口に入れると、はじけるグミなんだよ。

あ、そみこは、「カリカリラーメン」と、「野菜ポテトチップス」を持ってきてる!

カリカリラーメンは、お菓子のラーメンみたいで、中にちょっとした具みたいな物や、カリカリのラーメンがはいっているんだ!

まさもは、どんなのがあるんだろう?

うわっ。

まさも、それ…………

それみたら、みんな絶対ビックリするよ。

まさもは、大量のお菓子を持ってきていたのだ。

元気飴でしょ、そみこのカリカリラーメンでしょ、他にも、パッチングミ、おせんべいもあるし、ラムネもあるし、コロコロ金平糖もあるし。

すっごく持ってきてる!

みんな、まさものお菓子を見て目を丸くしている。

まさもは、えっへんと何故か胸を張って言った。

「これ、みんなに1個だけあげる。でも、他は全部私が食べるから!」

どんだけ食い意地張っているんだか。

さいとは、手作りのおにぎりに、「プチプリン」。

さきも、いろいろなお菓子を持ってきている。

私達は、ビニールシートで食べ物を広げた。

っていうかまさもは「溶けない綿飴」っていうお菓子も持って来てるし!

私は、コンビニで買っておいたおにぎりを食べ始める。

ま、さっきのドッキリおにぎりみたいに、くじ引きみたいな感じのやつではないけど。

私のは、中に唐揚げが入ってるんだ。

私は、おにぎりをブレスレットのあらかじめ、最初にあった、食材を温めるアイテムで、おにぎりを温め、1口食べると言った。

「じゃあ、名探偵キミコの推理を始めるよ!」

すると、そみこがぼそりと言った。

「名探偵キミコじゃなくって、名探偵外れキミコだと思います。」

私は、怒りを静めて、そみこに言った。

「黙って聞いて。」

そみこは、カリカリラーメンを食べて、

「はいはい、わかりました。」

と適当に返事を返す。

私は、推理を始める。

「私ね、冒険に行く前、誰かに付けられている感じがしたの。でも誰もいなかったから、安心して家に帰って、冒険の準備を始めたの。そみこが、一緒に帰るのを断ったのは、私をつけて、冒険に行く気だったかでしょ。そして、そみこは冒険の準備をし、わざと私たちを止めるふりをして、冒険に行くことにした。それに、そみこが冒険に行くところを、誰かに見られたら、学級委員に悪い噂が流れちゃうよね。だから、そみこはそれを恐れて私達を止めるふりをして、崖から落ちたんでしょ?」

そみこは、しばらく黙っていたけれど、ふっとため息をついた。

「そうです、その計画、成功したのに、後でばれちゃいましたね。まさか、ポンコツキミコがそれを解くとは思いませんでした。」

と言った。

そして、少しの間、重苦しい空気が漂い続けたけれど、まさもがじゅるりじゅるりとよだれを垂らしながら言った。

「まあまあ、お腹すいたから食べようよ。」

そして、私たちは再び楽しい話をしながらご飯を食べ始めた。

 「だから、それは生まれつきの才能ですよ!」

「ええ?そみこ、なんて言った?これは、そみこのうちにあった物でしょ!当然、そみこの方が上手に決まってるよ。そんなの、ズルでしょ、ズル!それだけで勝ちって決めないでよね!」

今、私とそみこは、おしゃべり中。

これ、けんかみたいな感じだけど、けんかじゃないんだよね。

いつものじゃれ合いなのです!

今は、そみこのお家にあったゲームの話をしているんだ。

今、大人気のゲーム、「エイリアンバトル」で、この前そみこに負けちゃったんだ。

くやしい~!!

その時しずきが言った。

「でも、私、やっぱキミコとそみこのお気に入りのトブカとか、ルミクよりも、私はピナコの方がすき。」

トブカって、すごい強い武器持ってるんだよね。

それに、切れ長の目。

光沢を帯びている、夜空色の髪の毛。

それを、後ろに束ねて長いボニーテールにしているんだ。

服は、戦士って感じで、すごくかっこいいの!

ルミクは、優しくて、全体的にふんわりしている感じ。

でも、戦いの時は魔法を使って、仕切れる感じになるんだ。

しずきが言っていた、ピナコは、魔女の格好をしている。

金色の瞳に、鮮やかなピンクの髪の毛。

それを、ハーフアップにしている。

そして、仮面を取ると、すごい美少女なんだ。

たしかににあの子は可愛いけど、でもトブカとか、ルミクのほうが好き!

しずきは、

「そういえば、知ってる?最近、私の中で人気一位の『ピンクと不思議な出会い』が発売されたの。小説だけど、みんなも読んでみて。読み始めたら、夢中になってやめられなくなるわよ。」

と話し出した。

私は、頬杖をつきながら言った。

「でもさあ、しずき。その本、今はないんでしょ?」

しずきは、予想外の答えを返した。

「私の部屋にあるわ。だから、この爆弾事件が終わったらぜひ読んでちょうだい。」

もう、お腹はいっぱいだ。

私は立ち上がると、

「奥へ進もう!そうだ、本を読まないと!」

と言って、本を取り出した。

そみこも、頷いてくれた。

「そうですね。ここから適当に向かっても、爆弾は解除できないかもしれませんし。とりあえず、見てみましょう。」

私は、本を開く。

本には、

「ミシニモ洞窟の中に入ったら、地面の下に危機が迫っている。足元に注意せよ。その時はさらに、団結力が強くなる。時々、休みをもらいながら進んで行くと、少しでも良い方に進んでいくだろう。その先に、仕掛けなどがあるかもしれない。何事も、注意深く見つめていることで、爆弾解除への道が開かれる。」

と書いてあった。

げっ。

ちゃんと、入り口に着いたとき本を読んでれば良かった。

じゃなかったら、こんな手間が掛かることはなかったのに~!!

そみこは、本を読んで頭を抱える私を見て言った。

「今さら後悔しても、時は戻ってきません。さっさと、先に行きますよ。本のメッセージ通り、休憩したんですし。まだ時間が1時間以上あるっていっても、爆弾までの道のりは遠いんですからね。」

確かにそうだ。私は気を取り直して、いろいろな物を片付けし始めた。

そして、私たちは片付けを済ませると、一方通行の道を歩き始めたのだ。

メリット
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ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。

第17章:洞窟の管理人・ターコ

はあ、いつになったら、この道は終わるんだろう?

私は顔をしかめて、延々と続く道を睨んだ。

今の私は、準備万端。

私は、トゲラと戦った時の鉄の棒を握り、杖代わりにしている。

使わない時には、まさもが作ってくれた色違いのベルトに差すんだ。

私のは、黄色とオレンジを編んだベルトなの。

お気に入りなんだ。

しずきは、全回復魔法をセットし、懐中電灯を持っている。

しずきのベルトは、青と白。

そみこは、本をリュックサックに入れ、頑張って作った弓矢を手に持って、ブレスレットの最初からあった機能、腕時計ライトを使って前を照らしている。

じゃあ、私も懐中電灯じゃなくって、腕時計ライトにしようかな。

私は腕時計ライトをつけると、懐中電灯をリュックサックの中に入れた。

そみこは、レーザー銃をベルトに刺している。

ちなみに、そみこのベルトは若草色と銀色を編んだベルト。

そみこに似合っている。

まさもは、懐中電灯を持っている。

そして、ブレスレットの画面をメッサカリントンにしていた。

しかも、赤と金色のベルトに、鉄の棒を差している。

さいとは、パチンコとこの前作った石つぶてをベルトに差している。さいとのベルトは、ピンクと紺色。

少し女の人っぽくしたいっていうさいとのリクエスト通り、まさもは作ったみたいだ。

さきはパソコンを開き、ライトモードにしてその灯りで歩いている。

そして、情報がたくさん並んでいるアプリ、情報アプリでミシニモ洞窟のことを調べている。

ブレスレットの画面はプロペラミキサーにしている。

さきは、赤に金色のラメが着いている糸と、ベージュみたいな色を組み合わせて作った感じのベルトをしている。

そして、ベルトには光の檻を吸い込んだ袋を差していた。

その袋は、テレビに貸してもらったアイテムなんだ。

どんな物でも吸い込むことができるんだ。

動く物だってね。

一回、私が吸い込まれてみたけど、白い部屋に閉じ込められていて、一瞬パニックになっちゃった。

すぐに出られたからいいけど。

そみこは腕時計ライトで時間を確認する。

しかもこれ、ライトがつくだけじゃなくって、時計の裏側を取ると手裏剣が用意してあるっていう物なんだ。

それで、息を吹きかけるかくぼみに手を当てると手裏剣が飛んでいくんだ。

手裏剣は、10発。

この腕時計ライトは人気らしくて、私達は何とかレンタル料を支払って、借りたんだ。

買うのは、すごいお金掛かるから、レンタルにしたの。

レンタル料も結構高かったから、借りるのが大変だったんだ。

テレビに、何時間も説得してちょっと割引してもらって借りれたんだ。

まさも、説得の仕方が上手で、テレビが

「割引なんてできません!しつこいですね!」

っていったら、得意の嘘泣きで

「ひっぐ…………なんで、テレビさんはいじめるのぉ。いじわる…………え~ん!!」

って言って、むりやり割引させたの。

おもわず手を叩きそうになっちゃったよ。

でも、問題はこの一本道がいつまで続くかって事だ。

どこまでも、どこまでも続いていく。

その時、前を歩いていたしずきが、いきなり止まった。

私たちは揃って転んでしまった。

そみこは立ち上がると、しずきに詰め寄った。

「しずき!何で急に止まるんですか!!もしかしたら、みんな揃ってまたあの沼にはまってしまうかもしれないんですよ!止まるなら、一声かけてからにして下さい。」

しずきは、慌てて謝り、それから前を腕時計ライトで照らした。

すると、そこは岩で道を塞がれていた。

私は、言うまでもない事実を、口にした。

「どうしよう、岩で道が塞がれてる。このままじゃ、前に進めない。きっと、別の所に爆弾があるんだろうけど…………引き返そう。他に道があるかも。」

と今きた道を戻ろうと自分の体の向きを変えた。

すると、しずきが私に頼んできた。

「お願い、キミコ。引き返すのは、もう少し調べてからにしましょう。もしかしたら、この近くに別の道があるかもしれないわ。」

さきも、しずきに賛成する。

「そうね、私、この前、洞窟の本を図書館で見つけたの。とてもオシャレな本だったから、見てみたくなって。それで、見てみたら確か、『洞窟はすごく狭い通路があって、気づかないときもある』って書いてあったの。だから、もう少し調べても良いんじゃないかしら。まだ、完全に行き止まりって決まったわけじゃないでしょ。30分たって、それでも道が見つからなかったら、諦めて別の道を探すことにしましょう。」

私は少し考えてから、

「そうだね。そうしようかな。」

と言った。

さいとは、

「じゃあ、そみこ、まさもと一緒に岩をどかせるか挑戦してみるよ。かなりの大岩で、動きそうにもないけどね。」

と言って、そみこやまさもと一緒に岩をどかそうとした。

しずきは、ぎゅっと拳を握りしめ、言った。

「私、頑張って通路を見つけてみるわ!キミコもお願い。」

そう言って、しずきが壁をコンコン叩いたり、床に隙間がないか調べ始めた。

私もしずきと一緒に、壁に隙間がないか見てみた。

さきも、パソコンの拡大鏡アプリを使って、隙間を調べ始めた。

私は、さきに言った。

「ねえ、さき。このシニモ洞窟のこと、調べられた?」

さきは、首を振って応えた。

「ううん。全然、ミシニモ洞窟の情報は見つからなかったわ。そもそも、ミシニモ洞窟の名前が出てこなくって。洞窟って検索したらたくさん出てくるんだけど、ミシニモ洞窟って検索すると検索できませんって出ちゃうの。だから、こうやって拡大鏡を使って調べているわけ。」

その時、さきが叫んだ。

「みんな!ここ、小さな隙間がたくさんある!」

私たちは一斉にそこに集まった。

さきの指す地面を見ると、ほんの1ミリくらいの隙間が、ちょんちょんとあった。

さきが、拡大鏡で隙間を移すと、そこから先、空洞になっているこtがわかった。

その時。

ガチャリと音がして、誰かがミシニモ洞窟の扉を開けた。

そして、ヒタヒタという音と共に、誰かがここに近づいてきた。

さきは、すぐにその音に気づき、慌てて自分の腕時計ライトを消した。

そして、腕時計ライトを付けているのは私だけになった。

さきは、小声で

「この足音、悪い奴の足音よ。キミコは腕時計ライトを付けていて。」

と指示をした。

私は腕時計ライトの明かりを隙間に向けた。

そみこが、そこの隙間に手をかけて、引っ張り出そうと持ち上げた。

すると、洞窟の床のような色だった布が外れて、くぼんだ岩が出てきた。そみこが、岩を押すと…………

ガシャン!!

大きな音がして、岩の塊が落ちた。

ばれちゃったかもしれない!

でも、この小さな空洞には体が入らない。

一体どうすればいいの?

ん?

なにか、布の裏側に書いてある。

あっ!

噴水攻撃魔法シールを使えって書いてある。

私は早速、噴水攻撃魔法シールを使用した。

すると…………

ガシャーン!

床が大きく揺れて、私達がいた床が崩れた。

私達は真っ逆さまに落ちて、床に叩きつけられた。

いたたたたた。

私は背中をさすりながら起き上がって、上の方を見てみた。

あ。

上の地面が、元通りになっている!

ふう。

これで、しばらくは足止めできるかも。

ほっとしたと同時に、布が振ってきた。

そこには、こう書いてあった。

「しずきとブレスレットを犠牲にしてここに来るとは。今まで、油断をしていたが、次は容赦しない。覚悟しておけ。」

私は、へなへなと地面に崩れ落ちて、腕時計ライトをあちこちに向けた。しずきは、いない。

そんな、しずきが、犠牲になっちゃった。

気がつくと、ブレスレットはなくなっていて、噴水攻撃魔法シールが隣にポトンと落ちているだけだった。

そみこたちも、呆然として手首を見た。

やはり、そみこ達のブレスレットはない。

しかも、私とさき以外、全員手に技を持っていなかったから、そういうのは全部、取られてしまったのだろう。

そみこは、近くに落ちていたパソコンを拾い上げ、壊れてないか確認した。

そみこは、しずきがいないのに気づいて、キョロキョロとあちこちを見回した。

当然、しずきはいない。

そみこは腕時計ライトの灯りを付けると、まさもとさいと、さきを起こした。

さきは、パソコンを手に持つと、立とうとした。

ところが、落ちたときにさきは足首をひねってしまったようで、再び座り込んでしまった。

そみこは、さきの様子を確かめた。

「足首を捻挫して、動かすことが難しくなってしまいましたね。回復魔法でも、傷は治りませんし…………これはテレビに頼んで、救急セットをもらうしかありません。」

まさもは、テレビを呼んで救急セットをもらった。

そみこは、救急セットの中身を開けると、赤く腫れ上がっているさきの足首に、薬を塗って湿布をした。

そして、落ちたときにけがをしてしまったところを、薬を塗り、絆創膏を貼って私達にも手当てをしてくれた。

そして、さきに声をかける。

「さき、捻挫してしまったときは、休むことが大事。湿布したとはいえ、無理に動くと、捻挫が悪化してしまいます。テレビに頼んで、休ませてもらいますので、休んでていてください。」

さきは、首を振って

「ダメ。休めないわ!しずきがいなくなって、さらに私がいなくなったら…………もしかしたら、敵が来た時に負けちゃうかもしれないじゃない!」

と言って、立ち上がろうとした。

そみこは、さきを止めて、

「やめてください!」

と大声で叫んだ。

さきは、びくりと身を震わせる。

そみこは、いつもの冷静さを、全部捨ててさきに向かって叫んだ。

「さきが捻挫で無理矢理戦ったら、足手まといになりかねません。さきが今、休まなかったらみんな、困ってしまいます。負ける可能性が、高くなってしまうかもしれません。だから、きちんと休んで、体の状態をよくしてから、バトルをしてください。」

そして、まさもがまたテレビを呼んで、さきを休ませて欲しいと伝えた。

テレビは、さきを連れて行ってくれた。

そみこは、唯一のアイテム、腕時計ライトを見て、手裏剣があるか確かめた。

ところが。

ガシャン!

あっ、あの謎の人がここを突き破ったんだ!

謎の人は、私達の所に来た。

女の人だったんだ。

その人は、長い髪の毛をふんわりとカールさせていて、とてもキレイな人だった。

でも、見た目には騙されないんだからね!

私は、手裏剣を発射させた。

女の人は、勢いよく飛んできた手裏剣を掴むと、ポケットの中に入れてしまった。

あの早さの手裏剣を掴むなんて!

女の人は、話し始めた。

「私は、ここの管理人、ターコ。しずきとブレスレットは、奥に行けばあるはずよ。」

その時、捻挫して休んでいたはずのさきが現れた。

さきは、震える声で言った。

「あ、あなたは、誕生日、何月なの?」

ターコは、

「私?12月よ。」

と応えた。

さきは、

「あなたは、偽名を使っているのね。12月の誕生石は、ターコイズ、ラピスラズリ、ジルコン、タンザナイトよ。あなたのターコは、ターコイズから取った名前でしょ。まあ、宝石は和名もあるから、違う名前で覚えている人もいるだろうけど。」

と言った。

果たして、ターコはそれを認めるのか…………

微妙なところだ。

女の人はさきを真っ直ぐ見つめてにこっと笑った。

「あら、私の名前が偽名だとわかるなんて。そうよ、さっきのは偽名。私の名前は椎名よ。ひらがなだと『しいな』ね。」

さきは、

「あなた、自分が管理人じゃないって事、何で認めないんですか?」

と言った。

「あら、なんでそう思うのかしら?」

「この洞窟のことを調べた時、観光地ならちゃんと検索できたはずです。でも、この洞窟は検索できなかった。管理人がいるとしたら、ちゃんと検索できたはずです!このお話星では、管理人がいない洞窟は、すごく有名ない限り、検索しても出てきません!」

さきは、叫んだ。

椎名は、パチパチと手をたたいて、

「お見事。全て、あなたの言う通りよ。私は、あらたな目的を果たす為にここへ来たのよ。爆弾を、爆発させるためにね!」

と言い、私が腕に付けていた時計を私達側にして、手裏剣を発射させてしまった。

手裏剣は、私達の肌をなんの躊躇もなく切り裂いた。

そして、私達は痛みのあまり気絶してしまった。

私達が気絶すると、椎名は同じく気絶してしまったしずきを爆弾の部屋に行き、しずきに爆弾をくくりつけた。

そして、しずきの手を柱に縛り付けると足をロープで柱に縛り、遠隔装置のボタンを手に持った。

そして、気絶してしまったキミコ達の所へ戻ったのだ。

う、う~ん。

私はようやく目覚めた。

ズキリ。

首が痛んだ。

他のみんなを見てみると、みんなも同じように首の所に切り傷ができて、地面に横たわっていた。

その時、椎名が奥からすっと現れた。

椎名は、微笑み

「あら、目が覚めたのね。」

と言った。

私は、椎名にくってかかる。

「『目が覚めたのね。』じゃないでしょ!爆弾を爆発させるってどういうこと!?なにか悪いことを企んでいるんじゃないの?」

椎名は、にこりと邪気のない笑顔を浮かべると

「よく覚えていたわね。でも、あなたたちが持っているブレスレットは私が頂くわ。テレビ達の弱みを握るために、このブレスレットという手がかりが重要なのよ。しずきのブレスレットは、すでに私が持っている。あなたたちには勝ち目がないんじゃない?」

と言って、ポケットからしずきのブレスレットを取り出した。

あっ!

しずきのブレスレットには回復魔法がある。

もしかしたら椎名の体力を回復させてしまうかもしれない。

すると、そみこがゆっくりと起き上がった。

そして、椎名に言った。

「あなた、爆弾を爆発させるなんてどういうことですか!それに、しずきを勝手に連れて行って!」

椎名は、

「あら、私の手裏剣を食らいたくなかったら、降参して元の世界に戻りなさい。」

と言って、何かのボタンに指を近づけた。

「降参しなかったらどうなるというんですか?」

そみこは震える声で聞いた。

椎名は、誰もがメロメロになりそうな笑顔で、恐ろしい事を言った。

「まず、この海にいる物には爆弾で死んでもらうわ。そして、しずきには命令の粉を振りかけて、私の言う通りに動いてもらうことにしましょうか。」

なんで、この人はこんな事が言えるわけ?

そみこは、全員をいったん起こすと、小声でみんなにささやいた。

「いったん、作戦を立てましょう。まだ何とか1時間あります。ここは、降参したふりをして、また来ることにしましょう。キミコ、私に合わせてください。」

私はうなずくと、椎名の方を真っ直ぐ見つめた。

椎名は、相変わらず自信たっぷりで

「私の手には遠隔装置があるわ。いつでも、爆弾を爆発させれる。そして、しずきの体に爆弾をくくりつけたわ。私以外の人が触れると、爆弾が爆発する仕組みになるのよ。さあ、降参するかしないか。どちらをあなたたちは選ぶ?」

そみこは、ぎゅっと唇をかみしめて言った。

「私達が諦めると思ってるんですか?私達は、長年修行を積んでいます。しかも椎名、あなたの体力は50しかありません!私達全員で攻撃したら、簡単に倒せるレベルです。いい加減、諦めたらどうですか?」

「あら。私の手に、遠隔装置があるのを知らないのかしら?」

「知っています!あなたは、それを持っていなきゃ勝てないということもわかりました。」

2人の会話はどんどんヒートアップしていき、椎名も少し言葉にとげとげしさが含まれるようになってきた。

「私は確かに、体力が少ししかないわ。私がこの遠隔装置を持っていなかったら、あなた達に簡単に倒されるレベルでしょうね。でも、別に私は体力が少なくたって、あなた達を倒すことができる最大の武器を持っているわ。」

私も、腰に手を当てて椎名に言った。

「何なの?椎名の得意技なんて、役に立たないでしょ。そっちは1人。こっちは今4人もいるんだから。比べものにならないよ。あんたの得意技といえば、嫌みを余裕たっぷりので言う事かな?」

「あら、そんなこというなら、今度こそ爆弾を爆発させるわよ。それでもいいのかしら?さし川キミコさん?」

と言って、遠隔装置のボタンを押そうとした。

そみこが、慌てて止める。

「ちょっと待ってください!あなた、どうして、キミコの名前を知ってるんですか?あなた、私達と会ったことがあるような口ぶりです。さあ、真実を言ってください!」

椎名は、頭を指さした。

「私の武器は、頭脳よ。それで、今回もしずきをあそこの部屋に行かせたわけだし。」

私は、反論する。

「頭?そんなの、しずきやさきの方がいいよ!そみこも、そういうのすごい得意だし!」

と叫んだ。

「あら。でも、さきもしずきもいなくなったわ。あなたたちが頼れるのは、そみこやさいとだけ。それだけで、私の頭脳に勝てるかしら?」

椎名はそう言って、わざとらしく首を傾けた。

そみこは、ブルブルと震え、言った。

「あなたの、自慢話はまっぴらです。みんな、行きますよ!」

そして、我慢できなくなった私達はいっせいに椎名へ突っ込んでいき、攻撃した。

当然、体力が少ししかない椎名は、遠隔装置を押す間もなく、倒されてしまった。

残念。

油断するから、こんなことになるんだよ~!

まさもは、ペロッと可愛く舌を出してピースサインをした。

「なんか、あっけなかったね~!」

私達は、全速力で奥に向かった。

みんなで、土の壁を押すと、入り口が開いた。

そこには、柱に手足を縛られ、爆弾もくくりつけられてしまっているしずきが見えた。

そみこは、爆弾を手早く解除していく。

すると、爆弾のタイマーがあと数秒のところで止まった。

そして、みんなでしずきの縄をほどいた。

しずきは自由の身になると、ぴょんぴょんとジャンプした。

そして、みんなで仲良くおしゃべりしながら、洞窟の外へ行き、森の中へ入っていったのだ。

メリット
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第18章:自分のするバイトを決めよう!

ドサッ。

私は疲れてテントのカーペットに座り込んだ。

すると、スパルタそみこは、

「キミコ!明日は訓練の日です!その次は、働く日ですからね!今のうちに、テレビから地図をもらい、町がある方に移動しましょう。テレビ!ここから町までの地図をください!」

と叫んだ。

テレビは、車椅子に座ったさきと共に現れた。

さきは、少し笑って言った。

「私ね、テレビのところで治療を受けてもらった後、バイトの情報を読みあさっていたの。テレビに頼んで、パソコンを持ってきてもらったりもしたわ。ひたすら、いろんな物を調べまくって。でも、そのおかげで足をけがして動かせない私でも、できるようなバイトがたくさん見つかったのよ。だから、私もポイントを稼げるわ。私はテレビにお願いして、今から移動させてもらうことにしたの。だから、少しポイントは稼げると思う。けっこう休んだから、徹夜でもいけると思うわ。頑張ってポイントを稼ぐから、キミコ達はちょっと訓練とかして頑張ってちょうだい。キミコ達には、別の役目があるんだから。」

私はうなずくと、ヘトヘトになった体を起こし、さきに荷物を渡して「行ってらっしゃい。頑張ってきてね。明日は私達がポイントを稼ぐから。さきはちょっと休んでいていいよ。」

と言った。

その時。

しずきが、さきの方へ歩いて行った。

「私もやるわ。今日、キミコ達が戦っている間、私はずっと眠っていたの。だから、体も疲れてないし、眠くもない。だから、私もさきと一緒に働くことにする。キミコ達も、頑張って体を鍛えてね。」

そみこは、しずきとさきを見送るとバッと私たちの方を見て、いつの間にか手に持っていたプリントを取り出して、私とまさもに配り始めた。

何これ?

そみこは、

「さいとに作ってもらった全教科のプリントです。4枚あるので、それぞれの科目のプリントを解いてください。そして、それが終わったらやることリストを配ります。さいとはキミコやまさもが行き詰まってしまったときに助けてあげてください。私はちゃんといけると思うので、キミコとまさもを見てあげてください。それから、さいとはこのやることリストを完成させてくれませんか?キミコ、今日は、学校でも習った読心術と魔法文字の事も勉強しますよ。それから、その後は筋トレと柔軟、それが終わったらやること柔道と剣道の練習をします。これを全部、やることリストに書きます。各自で頑張ってください。私も、頑張ってやります。あと、さいとはプリントの丸付けもお願いしますね。それから、さいとも訓練はちゃんとしてくださいよ!いっぱい仕事をやったからって、怠けるのは禁物です!皆さんには、ナマケモノみたいになって欲しくありません!コツコツ働くハムスターみたいになって欲しいです!あと、しずきとさきがいない分、家事も頑張りますよ。ヘトヘトなので、プリントの問題は簡単のにしておきました。復習問題なので、授業の話をちゃんと聞いていれば、解くことができるはずです。さあ、皆さん、やり始めましょう!」

と言った。

ふう、やっとそみこの指示が終わった。

そみこの指示ってめっちゃ長いんだよね。

っていうか、やること多すぎない?

さいとなんか、せかせか働いてるし!

今日は、バトルしたばっかりで疲れてるのに、そみこはいつも通り訓練するなんて…………

オニ!

まさももげっそりしながらプリントを見てるし。

っていうか、まさも、全然書いてなくない!?

もしかして、先生の話をちゃんと聞いてなかったとか?

まさも、結構どんくさいもんなあ。

運は結構強いけど、当てずっぽうは絶対そみこにばれる。

そみこはテストとか勉強のことはすごい勘がいいから。

はあ。

まさも、大変そう。

そみこが見たら、

「自業自得です。」

って言うに決まってる。

げっ、何この問題。

「A成分と、B成分を合わせたとき、MB成分に変わります。KM成分と、MB成分を合わせたときには、どうなりますか?」

A成分をB成分を合わせると、MB成分。

だから、MB成分はAとBが混ざったやつって事か。

あ。

もしかして。

私は、解答欄に、

「MB成分とKM成分」

と書き込んだ。

たしか、さいとから聞いたはなしだと、KM成分とMB成分は、同じ文字がくっついていて、もう同じ成分がある。

だから、同じ分量でその成分を混ぜると、同じ成分同市で分かれちゃうんだ。

MB成分が多くて、KM成分が少なかったら、MB成分っていう答えになるけど。

反対に、KM成分が多くて、MB成分が少なかったらKM成分になる。

ああ、この問題解けて良かった。

って、時間は!?

時間は、あと10秒。

あと1問!

私は、問題を読んだ。

ここの問題は得意。

ふうん。

なるほどね。

問題文は、

「長方形の積み木を二つ置きました。正面から見ると、後ろの積み木の方が大きいです。さて、この積み木は、どちらの方が大きいでしょうか。」

だった。

これ、まさもは絶対に正解しないね。

この前、そみこが勉強の時に言ったんだ。

「これはトリックです。後ろの方が大きく見えるけれど、実は両方とも同じ大きさ。問題のヒント、あげたと思って感謝してくださいよ。」

って。

その時は意味がわからなかったけど、この事を意味してたんだね。

私はそう思いながら、さいとにプリントを渡した。

シャッ、シャッ、シャッ。

さいとがペンを走らせる音が響く。

私達は、休憩。

そみこは、自信満々な声で私に言った。

「キミコ、この前みたいに全問不正解にならないですよね?私は、絶対に100点です。」

う、うるさいっ!

そみこってば、そんなイヤミしか言えないの!?

私はそみこに向かって言った。

「じゃあ、賭ける?休憩時間の飴。そみこが100点だったら、そみこに飴をあげる。でも、そみこが100点じゃなかったら、そみこが私に飴をあげるの。どう?」

その言葉を言った時、まさもが私の方へジャンプしてくる。

はっきり言って、絶対2メートル以上ジャンプしたと思う。

助走なしで。

「私も賭ける!私が0点をとらなかったら、飴ちょうだい!それで、0点とったら飴あげるから!」

そみこは

「いいですよ。絶対に、私が飴をもらいます!」

とやる気満々で言った。

まさもと私は同時に叫んだ。

「飴は、私がもらう!!」

その時さいとが採点し終わって、プリントをこっちに持ってきた。

「盛り上がってるところ悪いけど。テスト採点できたよ。」

なになに?

げ。

まさも100点じゃん。

そみこは95点。

私は…………

100点満点!

やった!

じゃあ、そみこの飴は私の物になって、まさもは、100点だから…………

まさもが2個、私が1個。

そみこは0個。

って事は、この賭け、まさもの勝ちだ。

っていうか、まさも、なんで正解したわけ?

まさもは、私の不思議そうな視線を受けて、耳打ちしてきた。

「私ね、テストに何とか勝つために、色々テストに勝つ手段を探してたの。そうしたら!地球という星では、鉛筆を転がしてテストを頑張るって言う結果が出てきて。だから、それを試したの。そうしたら、100点とれたんだよ!やっぱこの方法、最高!」

ブチリ。

私の堪忍袋の緒が切れた。

「まさもめええええええっ!私の飴をこんな運試しでとるなああああああっ!!そみこにばらしてやるううううっ!」

私はそみこに、まさもが100点をとった理由を言った。

そみこは、

「あなたは罰として、飴を0個にします!キミコ、飴を奪ってください!」

と叫んだ。

私は、まさもから飴を奪い取ると、そみこに1つだけ渡し、パクッと飴を自分の口の中に放り込んだ。

まさもは号泣。

「キミコ様!私、霜庭まさもは、とても酷い事をしました!だけど、どうか飴だけはください…………!!」

土下座して謝ってる。

私は、まさもに向かって言った。

「まさも!あなたの飴取り罪は、こんな土下座と号泣でごまかせると思ったのか?」

そみことさいとは呆れている。

「キミコ…………殿様になっちゃった?」

「もう!これは、時代劇じゃありません!」

だけど、私とまさもの時代劇はまだ続いたのだった。

 「さあ、柔道練習ですよ!」

そみこが言った。

時代劇ごっこを終えた後、私は剣道の練習と勉強で終わらせた。

ふう、あとちょっとで練習が終わる。

今は、午後7時くらい。

けっこう辺りも暗くなってきた。

私は、テントの広い体育館みたいな場所の電気を付けた。

そみこは、にやりと笑った。

「キミコ。この柔道では、好きなだけ走り回ったり逃げたりしても大丈夫です。そして、この練習に勝てたら、明日はここでドッジボールをやれます。そして、負けたら徹夜で仕事をしますよ。」

げげっ!

これは嫌な賭けだ。

どうしよう。

でも、こうなったら、あの手段を使うしかない。

私は、そみこに

「じゃあさ、ペアで一緒に戦うっていうふうにしない?私のペアにはまさも。そみこのペアにはさいとでどう?」

と言った。

そみこは、少し考え込んでから

「わかりました。」

と頷いた。

よし!

交渉成立!

それで、今度はこの手口を使って…………

と。

私は、そみこに提案するような感じで話しかけた。

「ねえ、そみこ。あとさ、ちょっとペアなら、チームワークが大切でしょ?だから、作戦会議を5分だけしてもいい?」

そみこはうなずいてくれた。

よしっ!

これなら、勝てるかもしれない!

私は、まさもと一緒に作戦会議を始めた。

私は、咳払いをして言った。

「まず、そみこの弱点って何か。これを考えた方がいいね。そみこは、頭もいいし、柔道も習っているから、頭がいい方が勝ちって言う作戦じゃないほうがいいかも。近づいてそのまま柔道で勝負する方法も無しだね。だとしたら…………いったん、最初は逃げた方がいいかもしれない。でも、そみこがギリギリ追いつけないスピードで。そみこよりも、私達の方が体力はあるし。それで、そみこの体力がほとんどなくなったときに、2人でそみこを投げ飛ばそう。」

まさもは、少し考え込んでから口を開いた。

「でもさ、問題はさいとだよね。さいとは、体力があんまりないけど、頭脳勝負は得意だし。さっきのキミコが言ってた体力勝負作戦は、そみこを倒すための作戦でしょ。そみこ達の思考を考えてみてよ。絶対、そみこを倒そうって逃げた時に私達の行くところを邪魔して投げ飛ばしたりするって。だから、私達は、逃げるときに二手に分かれて逃げるの。その時、そみこ達は多分そっちも二手に分かれて追いかけてくる。そうしたら、挟み撃ちとかできなくなるでしょ。それで、お互いに逃げ続けて、合流しないようにする。合流しちゃったら、すぐにまた二手に分かれて逃げよう。それで、後はキミコの作戦通り体力がなくなったそみこ達を投げ飛ばすの。」

おお~!!

素晴らしい作戦!

私は思わずパチパチと手をたたいてしまった。

そみこ達に気づかれた!

やばい、作戦がばれるかも!

私は、一瞬である方法を思いつき、大声でしゃべり始めた。

「まさも~!!あのさ、そみこ達って、体力がけっこう多そうでしょ?だからさ、二手に分かれて逃げよう!そうしたら、そみこ達は当たり前だけどちゃんと挟み撃ちしてくる。まっさか、あのそみこ達が二手にまた分かれて追ってくるわけがないし。そうしたら、わざと動きを遅くさせて、そみこに向かっていって、投げ飛ばしたらどう?」

まさもは、ビックリしたような顔に一瞬なった。

でも、さすがまさも。

すぐに私の言いたい事が伝わり、

「ああ~!!確かにいいね。その作戦で勝つ!そみこ達、盗み聞きしてないといいんだけど。まあいいか。どうせそんなこと、そみこがやってるわけないし。そみこって、『正々堂々』って言葉がぴったりだもんね!!」

と言った。

っていうか、すぐにその

「賛成!」

って顔になるの、すごすぎる!

私ったら、ちょっと顔が引きつっちゃったし。

まあ、そみこに背中向けてたから良かったんだけど。

すると、そみこが立ち上がって言った。

「さあ、キミコ達!始めます!!10分で勝負を付けたいと思います!時間内に、多く投げ飛ばすことができた人が勝ちです。では、よーい、スタート!」

そみこは、さっきの会話 の罠に引っかかってくれたみたいで、二手に分かれ、私達を追ってきた。

よーしっと、最初はスピードを調節しながらやればいいか。

タッタッタッ。

私は息が切れない程度に走った。

ところが!

なぜか、そみことさいとは挟み撃ちをしてきたのだ!

うわっ!

反対方向から来た達はぶつかりそうになって、慌てて交わった。

げっ!

2人とも私を狙ってるし!

私は、2人にホールの角っこへ追い詰められた。

やばい!

私 は、横に行くのを諦め、立ち止まった。

そみこかさいとが襲ってきた時に、足を引いて、素早く体を蹴る!

この作戦で行こう!

まさもが、こっちに来てそみこ達を投 げ飛ばそうとしてる!

ごめん、まさも、あんまり近寄らないで!

私の思いが通じたのか、まさもは足を止め、気配を消した。

そみこ達は、じりじりと迫ってくる。

私は少し近くに来たのを感じると、背中を向け、横に逃げる仕草をした。

そみこが、そっちに手を置く。

私は、壁の方へ寄っていく。

そして、そみこが攻撃を仕掛けてきた。

私は、足を勢いよく引き、そみこを蹴った!

はずだったけれど…………

そみこは、ひらりと蝶のようにジャンプしてかわした。

そして、私を思いっきり投げ飛ばした!

私は、慌ててくるりと宙返りをして、着地する。

これだと、投げ飛ばされた回数にならないんだよね。

ギリギリセーフ。

でも、今の作戦だとそみこを倒せない。

これは賭けだけど、やるしかない!

私は、まさもに合図を送った。

そして、私はそみこに向かって突っ込んでいった。

そみこは、ジャンプして私の攻撃をかわした。

その時、背後から突然現れたまさもに、体を捕まれ、投げ飛ばされてしまった。

いきなりの事に、そみこはドシンと床に倒れた。

「やったね、まさも!」

「うんっ、キミコが作戦の合図を送ってくれなかったら、私も気づかなかったかも。」

私はお互いにハイタッチした。

私はまさもにだけ聞こえるように耳打ちした。

「まさも。あと、時間は3分。だから、それまで頑張って逃げよう。今度こそ、罠に掛からずに。角っこの方は危ないから、避けてね。」

その瞬間。

そみこがいきなり襲いかかってきた。

それを、まさもは床に伏せてから、そみこの足を軽く蹴った。

この攻撃は、ポイントにならないんだよね。

そみこはそれをかわすためにジャンプした。

私は宙に浮き上がったそみこの腕を掴み、投げ飛ばした。

やった!

これで、逃げれば大丈夫。

もし、床に倒れなくても、少しは時間を稼げる。

まさもは、一足先に逃げ、さいとの気をそらしてくれた。

そみこは、くるりと一回転して、無事に着地すると私を追いかけ始める。

げっ!

そみこ、すごく速い!

私は全力で逃げ、そみこの苦手な急カーブをした。

そみこは、勢い余ってさいとに向かって突っ込んでしまった。

そして、そみことさいとはもつれ合って倒れ込んでしまった。

私とまさもは、2人が起き上がってくる前に、さいとの体を思いっきり投げ飛ばし、離れた。

そして、さいととそみこが立上がり、私たちを追いかけようとした時…………

ピピピピピピピピピピ。

タイマーが鳴った。

はあ、助かった。

あ、これができたら明日はドッチボールできるんだっけ。

やった!

そみこは、息を切らしながら言った。

「キミコとまさもはチームワークができているようですね。よく、私の弱点を見抜きました。」

えっへん。

私は、胸を反らした。

今日は、私の勝ち。

そみこはため息をつくと、自分の部屋へ戻って、また別の部屋へ行った。

私も、ついて行く。

そして、あ部屋のドアノブに手をかけると、ゆっくりと引いた。

ここは、調べ物の部屋。

パソコンがたくさん並んでいる。

え~と、「その他」のカードのパソコンはどこかな?

あ、このパソコンは、本物のパソコンだからね。

で、「その他」っていうカードは、色んな事に使えるパソコン。

それで、他のパソコンには「冒険」っていうカードが貼ってあったりするの。

私達はその他のカードが貼ってあるパソコンの方に向かい、椅子に座った。

ちなみに、私達が調べるのは、仕事のこと。

力仕事が必要な仕事にするの。

で、図書館チームとパソコンチームに分かれたんだけど、私は絶対パソコンチーム。

図書館のことなんか全然知らないし。

図書館って、この世になければいいのにって思っている私は絶対に、図書館不向き。

そみこはかなりの図書館好き。

だから、図書館チーム。

だから、おてんばまさもも、図書館チームにして、私とさいとはパソコンチームにしたの。

さいともパソコンは得意だし。

私はまさも達に別れを告げると、「検索☆広場」を開いた。

これ、よく使うんだ。

便利なアプリなの。

私は、早速文字を入れるところに「力仕事のバイト情報」と書き込んだ。

すると、たくさんの情報が出てきた。

私は、一番上の検索結果をクリックする。

すると、画面が切り替わった。

なになに…………

そこには、こう書いてあった。

「新聞配りの手伝い」

私は、画面をスクロールして内容をさらに読んでいく。

「新聞配りの手伝いバイトでは、新聞を家へ届ける仕事、新聞の束を車へ入れる仕事、新聞を作る仕事があります。新聞を配る仕事では、注文された新聞を家に届けます。そして、新聞の束を入れる仕事は、新聞の束を車の前までどんどん積んでいき、配達係の人に運んでもらいます。新聞を作る仕事では、パソコンを操作して新聞を作っていきます。配達係の人は普通の服でいいです。新聞の束を車の前まで運ぶ人は、冬ですでも力仕事なので、夏に着る服を着てきてください。新聞を作る人は、もしかしたら服が汚くなってしまう事があるかもしれません。なので、汚れてもいい服で来てください。」

おお~!!

私、新聞の束を車に運ぶ仕事にしようかな?

それで、そみこかさいとがコンピューターの仕事やって、まさもが配達係をやれば、いいんじゃない?

私は、一番近くにいたさいとを呼んだ。

さいとは、その内容を読むと、

「キミコにピッタリの仕事だね。じゃあ、私はこのパソコンのやつにしようかな。まさもは、配達係にしたらいいかもね。じゃあ、ちょっとキミコはまさもを呼びに行ってくれないかな?私はちょっと他にもいいバイトがないか探してみるよ。」

と言った。

私は、パソコンをパタンと閉じると、図書館へ走って行った。

うわっ、広っ!

まさかこんなに広いとは…………

一つのテントにこんな馬鹿でかい図書館が収まってるなんて信じられないよ。

私は、まさもがいそうな場所に行った。

そして、パソコンの所へ連れて行くと、仕事の所を見せた。

まさもは、やっぱり配達係にした。

私は、応募する名前の欄に、

「さし川キミコ 霜庭まさも 金川さいと」

と書き込み、読みがなのところに

「さしかわキミコ しもにわまさも かながわさいと」

と書いた。

そして、それぞれの仕事を書くと、カシャッとエンターキーを押し、送信した。

そして、パソコンの電源を切り、自分の部屋へ行った。

私はそみこです。

今、まさもがキミコのバイトを決めたところです。

私達は、図書館の所に行ったんですけど、全然仕事のコーナーがありません。

まったく、こんなに広いと、本を探すのも大変ですね。

今度、コーナーの場所を知るための貼紙をしましょう。

ここの図書館の壁は、紙がペタッとくっつくんですよね。

私は、後ろの方から着いてくるまさもを見た。

ここの図書館を詳しく知っているのは、私なんですから!

今は、まさもを案内しないと!

あ。

ありました。

私はまさもの方を振り返って、言った。

「まさも、ここが仕事のコーナーです。ありったけ、調べまくりますよ。まず、まさもははしごの上に上ってバイトの本らしき物を私に向かって投げてください。本当は、投げちゃダメですけどね。じゃあ、お願いします。はしごでも届かない所は、私に教えてください。」

まさもは、一瞬げっそりした顔をしたけれど、すぐにはしごを用意して上っていった。

私は、手を差し伸べた。

まさも、ちゃんと落としてくれるでしょうか。

そして上を見ているとまさもがバナナを食べているではありませんか!

そして、まさもはバナナを食べ終えると、ゴミをポケットの中に入れ、棚に一端積み上げた本を、全部私に落としてきた。

私は、慌てて本を受け止めた。

その後、まさもが私の近くに投げたバナナの皮を投げたのに、私は気づかなかった。

そして、ピコンというビデオを取る音がすると、床を歩いていた私はバナナを踏んで、つるりと滑って転んでしまった。

その様子を大笑いしてビデオに記録していたまさもは、はしごの段を踏み外して、落下。

そして、お尻から着地したまさもは、バナナの皮に滑ってごろごろっと床を転がる。

そして、壁にぶつかると、やっと静かになった。

はあ、事項自得ですよ。

私はため息をつきながら、まさもの所へ行った。

まさもは、右足を押さえてしゃがみ込んだままだ。

よく見てみると、まさもの足首から、たくさん血が出ている。

私はぞっとして立ち上がると、キミコを呼びにパソコンの部屋へ走り出した。

よし、明日のドッチボールのチーム分けでもしとくか。

私・キミコは大きな画用紙を取り出した。

その時、扉が勢いよく開いた。

私は飛び上がる。

そこには、そみこが汗だくで息を切らせながら立っていた。

「キミコ。今、まさもがはしごから転落したんです。捻挫とか骨折ではないんですけど、血がいっぱい出ていて…………!!」

私は、図書館の方へ全速力で走った。

そして、まさもを見つけると、足の傷を調べてみる。

よかった。

血は結構出てるけど、足の傷口はあんまり広くない。

しかも、もう血は固まってきてる。

私は、まさもの傷に薬を塗ると、ばんそうこうを貼った。

まさもは、もうすっかり元気。

そみこは、ため息をつくと

「はあ、もう、心配かけないでくださいよ。」

と言った。

まさもは、

「明日のドッチボール、楽しみ!そうだ、そみこ。バイトは新聞を作っていくっていうのにしたら?パソコンを使うんだって。そみこはプログラミングとかも上手だし、ぴったりだよ!さいともそれにするんだって!」

と言った。

そみこは、はしごに登ると一つの雑誌を手に取り、私に向かって投げた。

そして、パラパラッとページをめくるとさっき検索結果にもでていた同じ写真が載っていた。

そみこは、パソコンの所のページをしばらく読んでいたけれど、ゆっくりと顔を上げ、

「私はこれにします。」

と言った。

やった!

って、もう、夜だ!

しかも8時!

私達は、もう寝る準備している時間だし。

そして私達は自分の部屋へ行って寝たのだ。

メリット
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第19章:ドッジボールをしよう!

今は朝の4時。

私は、ベットから起き上がる。

そして、1人でドッジボールの作戦を考え始めた。

まずは公平なチーム分けをしなきゃ。

そみこと私は違うチームにしよう。

私とそみこは両方ともリーダーに向いてるから。

じゃあ、しずきは私のチームに入れようかな?

私としずきのコンビは最強だから。

そみことさいともいいコンビだし、さいとはそみこの方へ入れようっと。

で、あとはさきとまさもだね。

そみこのチームにはしずきと同じような冷静な判断をできる人がいない。

よし。

そみこの方はさきにしよう!

後は残ったまさもが私のチーム。

よし、私のチームは私、まさも、しずきのチームだね。

それで、そみこのチームはそみこ、さき、さいとでオッケー。

あっ!

みんなで作戦考えた方がいいかも!?

よし、まさもとしずきを起こさなきゃ。

しずきは、あんまり寝なくても大丈夫らしい。

それはさきもだけど。

まあ、2人とも今の時点で4時間くらいは寝てるはずだし。

それで、ちゃんと公平になるようにそみこ達も起こして、作戦会議の時間をあげようっと。

私は、スキップしながらみんなを起こしに行った。

「よし、全員集まったねっ!」

私は大きな声で叫んだ。

結果的に作戦会議の時間がとれたんだ。

しずきが口を開いた。

「まずは、そみことさいととさきの特徴を出してみるといいんじゃないかしら。それは、ノートに書けばいいと思うわ。長所、短所、思考を出してみたら、いろいろ作戦が考えつくんじゃない?それから、自分達の長所と短所、思考をかき出してみましょう。自分では気がつかない特徴があるかもしれないから、みんなで1人ずつやる方がいいわね。」

私達はすぐ賛成して、ノートを出した。

まず、そみこの特徴の長所。

まさもは、

「きちっとしてる!」

と言った。

続いて、しずきが

「足が速い!」

と言い、私が最後に

「リーダーに向いてる!」

と言った。

そして、次はそみこの短所。

まさもは

「くだらないことでガミガミ言ってる。」

と明らかにそみこが聞いたら怒りそうなことを言う。

しずきが、苦笑しながら

「つまり、細かいことを気にしちゃうっていう事でしょ。その声がもしもそみこの部屋に届いていたら、ひっぱたかれるわよ。」

と言った。

私は、

「些細なことでビックリする!」

と出した。

しずきは、完全に呆れている。

「2人とも、それはそみこの悪口なの?」

私は、慌てて言った。

「え~と、そみこは演技が下手。」

しずきは、その事を書き留めていく。

そして、ぽつりとつぶやいた。

「その事がそみこに知られたら、大目玉を食らうわね。」

そして、そみこの思考。

私は言った。

「う~ん、そみこは、私が必ず攻撃してくるって思ってるはず。」

そのあと、いろいろ3人でそみこの思考を考えてみたけれど、それ以外は思いつかなかった。

そして、次はさいとの長所。

まさもは、

「さいとは、しっかり者!」

と言った。

うんうん、確かにさいとはこの中の全員の特技をちょびっとずつ足していった感じの人だよね。

私は

「さいとは、サポートが上手。」

と言った。

しずきがうなずく。

「そうね。さいとは、戦いの時も私達をサポートしてくれるわよね。本当に助かるわ。」

「作戦を立てるのが上手。」

まさもが言った。

そうだね、さいとは相手の動きの予測を立てるのがけっこう上手だもん。

今回は、強敵だね。

そして、次はさいとの弱点。

しずきは、

「さいとは、激しく動くのが苦手だから、そこを狙えば倒せるかも。」

と言った。

確かに。

さいとは激しく動くのは私達よりも苦手なんだよね。

まさもが手を挙げる。

「なあに?」

しずきが聞くと、まさもはキリッとした顔で

「さいとは、怒るのが苦手!というか、怒るっていう感情がわからない。」

と言った。

たしかに、さいとが怒っているところは未だに想像できない。

次は、さいとの思考。

しずきは、

「さいとのことだから、みんなの長所を生かせて、短所を使う場面を減らせるような作戦を立てているんじゃない?」

と言った。

まさもは、

「えっと、さいとは私達の短所ばっかり使わせようっていう作戦を立ててるのかなって。」

と言って、宙返りする。

まさもは相変わらず朝から元気だなあ。

って、まだ朝じゃないけど。

次はさきの長所。

私は、どんどんさきの長所をいっていく。

「えっと、さきは計算がすごい得意なんだよね。だから、私達が次にする行動を計算したりするのが得意なんだ。それから、演技が上手。自分の作戦がばれないように、秘密にしておけるような才能があるんだよね。それから、暗記も得意で、パソコンの扱いがうまい!」

しずきとまさもはただポカーンと聞いているだけだ。

私は、

「しずき、ノート書いて。計算が得意・演技が得意・パソコンの扱いがうまい、ね。」

と言った。

しずきは、ささっと書き留めると、

「次。さきの短所は?」

と言って、鉛筆をノートに置いた。

私は、

「さきは、運動が苦手。体力があんまりないから、さきは当てやすいと思う。それから、さきはすごい…………」

といっている途中に、しずきに言葉を遮られた。

「キミコ。1人だけたくさんいうのはダメ。」

でも、もうまさもは考えつかなかったみたいだった。

私は、

「さきは心配性。」

と言った。

そして、次は思考。

「さきは、ほぼ、さいとと同じ感じだと思う。」

そんな私達の言葉に、しずきは頷きノートにその事を書き留めた。

そして、私達。

私は、

「思考は考えなくていいよ。長所と短所だけみんなで出し合おう。」

と言った。

しずきはゆっくりうなずくと、

「たしかに自分達の思考はもうわかっているし、なくてもいいかも。」

と言ってくれた。

そして、まずは私の番。

しずきは、

「キミコは攻撃したりよけたりするのが上手ね。それに、体力もこの中では一番多いかもしれない。」

と言った。

さすが幼なじみのしずき!

まさもは、

「キミコが1番リーダーシップがあって、みんなを引っ張っていける!」

と言ってくれた。

そして、私は自分で言った。

「私は、すごく元気でいつもポジティブ思考!」

次は私の短所。

しずきは、スラスラと

「キミコは、頭脳対決には全然向いてないわね。まさもよりはマシだけど、この中では2番目に頭が悪いわ。それから、どんくさいわね。あと、おっちょこちょいで、先生をからかって怒られる問題児の人。それで、記憶能力が全然ないわ。ダチョウに似てるかしら。」

ぐさぐさぐさっ!

どんくさい、おっちょこちょい、問題児、頭が悪い、記憶能力が全然ない、ダチョウって!

なんか私って欠点の方が多くない?

ひどっ!

そして次はしずき。

私は、

「しずきはこの中で一番思考力が働いていて、それで、運動も上手なパーフェクトな子。かわいくて、たくさん才能がある!」

と一気にまくし立てた。

しずきは、顔を赤くする。

そして小さくつぶやいた。

「もう。恥ずかしいじゃない…………」

まさもは、

「勇気がある!あと、友達思い!」

と言った。

しずきは、もう耳まで真っ赤だ。

次はしずきの欠点。

しずきのことは私が1番知ってるもんね!

私は、

「友達のためなら、自分の命も犠牲にしちゃうっていう、ちょっぴり困った子で、ちょっと内気だから、作文とかせっかくできていても発表がうまくできない!でも、冒険に出かけたとき以来から、少し内気が治ったかも?」

と言った。

しずきは、

「私が内気って、だんだんドッチボールに関係ないことになっているじゃない。」

と呆れて言った。

次は、まさもの長所。

私とまさもも長い付き合いだから、色んな事を知ってるよ。

私は、

「いつでもポジティブ思考で、マジックが得意。ダンスも得意で、お裁縫も得意。料理はプロ級で、演技も大得意。一見、まさもは特技なんてほとんどないんじゃないかって思うけど、意外な特技がある。」

と言い終わった。

しずきは、

「この世界では、キミコと同じように攻撃系が得意ね。」

と言った。

おおおっ!

この世界に関係することをしずきはズバッと言った!

まさもは、自分で

「私は世界一かわいい子!」

と叫んだ。

しずきは、その事を書くふりをして、さっさとまさもの短所へ話を進めた。

私は、

「まさもはすごいテストの点数が悪くって、演技はできるのに演技を見破るのが大の苦手。ネガティブに考えることが全くできない。私よりもドジでバカで、いつも先生に怒られていて、それで、おっちょこちょいでどんくさくって、可愛くもないのに、なんか人気!」

と言った。

まさもが口をとがらせる。

「ちょっと、キミコ。いくら何でも私の短所多くない?長所より多いんだけど!それに、私はすごく可愛いんだから!」

しずきは、言い争いになりそうな私とまさもの間に割って入って、

「ちょっと、この事がそみこにばれたらどうなると思う?絶対、あっちのグループも真似するでしょ。」

と言った。

そして、

「今日の服を決めたりもしなきゃ。作戦もね。この短所とかをいうのに、1時間くらいかかっちゃったわ。まだ5時だからいいけど。あと2時間でドッジボールよ。さっさと作戦を立てなきゃ。」

と言った。

私は、

「まずみんなの服をここに集めよう。それで、服を決めない?」

と言った。

しずきたちはうなずくと、自分の部屋に服を取りに行った。

ずらっ。

服が床にキレイに並ぶ。

私は、ワンピースやスカートを除外した。

ワンピースとかスカートはうまく動けないもんね。

後、タイツもダメ。

長い靴下も。

今は春の終わり頃。

もう、ショートパンツと半袖の服でいいね。

私は、長袖の服も除外する。

そして選んだ私の服は、よく見かける青色のショートパンツと、フラミンゴの絵が入っている服。

完璧!

しずきも、青色のショートパンツに、ツルの絵が入った服。

まさもは、またしても青色のショートパンツに、紫と青が混じったような服。

そして、後は靴下と、靴と髪型。

私はピンクの靴下。

しずきもピンクの靴下だ。

まさもは薄紫の靴下。

そして最後はくつ。

私は動きやすいスニーカー。

しずきは、ボタンで留めることができる靴だ。

まさもは、小さな飾りが付いている靴を履いている。

よし。最後は髪型だね。

私は、まさもに髪の毛を結んでもらうことにした。

私が机に座ると、まさもは

「どんな髪型がいい?」

と聞いてきた。

私は、少し迷った後、

「ツインテールか、ポニーテールか、まさものオススメかな。最初ポニーテールやってもらって、ポニーテールが気に入ったらそれにする。」

そして、まさもは髪の毛をとかし始める。

痛っ!

まさもは、あまりにもバリバリな私の髪の毛に顔をしかめる。

「キミコ、これ全然髪の毛の手入れしてないね。どうやったらこんなバリバリになるわけ?」

うっ。

たしかに、しずき達は、お風呂入った後、髪の毛の手入れをしてるんだっけ。

そして、まさもはなんだかんだ言いつつ、ポニーテールに結んでくれた。

だけど、なんか変な感じ。

まさもも首をかしげ、三つ編みを3つ作り、それをまたさらに編み込むという髪型にしてくれた。

うーん、それもなんか違う。

まさもは、また髪の毛をほどき、いつものツインテールにしてくれた。

今回のリボンはピンク色。

うん、やっぱりこれが大好き!

まさもはしずきの髪をとかし始める。

しずきの髪の毛はサラサラ。

凄い!

まさもは、しずきにも髪型を聞く。

しずきは、

「私、動きやすい髪型にしてもらうわ。横髪をカールさせてくれないかしら。そして、そのカール以外、ポニーテールに結んでくれる?それと、ゴムはキミコと同じピンクを使って。」

と応えた。

まさもは、しずきの横の髪をピンで留めると、

ポニーテールを作った。

そして、横の髪の毛をカールさせていく。

ふわりふわりと、しずきの髪の毛が肩に、背中に落ちていった。

しずきは、瞬く間にかわいくなった。

そしてまさもは、しずきの後ろの髪の毛をポニーテールにまとめた。

よし、セットは完璧!

まあ、仕事に行くときはまたセットし直すけど。

よし、ドッチボールの作戦を立てるぞ!

 「で、作戦ってどうする?そみこの短所は、演技が下手、些細な琴にビックリする、敏感な人。それで、ガミガミ言うだけでしょ。この「ガミガミ言う」はなくていいんじゃない?」

とまさもが言った。

しずきはアイデアがひらめいたとばかりに、ポンと手を打った。

「そうだわ。そみこは、些細な事に反応しちゃうんでしょ。なら、1番あのチームで運動が得意なそみこの悪口言った人に気をそらせて、誰かにボールを当てるっていうのはどう?悪口言うのは、まさもがいいわね。まさもが一番上手に言えるだろうから。私が言っても、感情がうまくこもらないから、ダメよ。キミコは、この中で一番攻撃が得意よ。だとしたら、まさもしかいないの。しかも、そみこが怒ってまさもにボールを当たらせようとしても、まさもは軽くよけたりキャッチできるでしょ?だから、この役はまさもがピッタリなの。お願いできる?」

まさもは、にやりと笑って言い返す。

「嫌だと言ったら?」

しずきは、悲しそうに目を伏せる。

「そんな…………まさもがやってくれないなら、このチームの勝ち目が1つ減ってしまうわ。私とキミコは演技が下手だし、この役目はまさもにしかできない特別な役なのに…………」

しずきは、目をうるうるさせて言った。

「まさも、やってくれない?私も、そみこ達に勝ちたいの。まさもだって、勝ちたいでしょ?この役目は、きっと演技になれているまさもには簡単よ。ただ、そみこを怒らせる言葉をたくさん言えばいいの。それだけよ。」

私は言った。

「まさも!そみこ、まさもがからかったら、ゆでだこみたいになるかも!まさも、やってみたら?怒らせれば怒らせるほど、ゆでだこみたいになるよ!」

まさもは、にやっと笑うと、「わかった。やる。そみこをゆでだこにするぞ!よし、扉の隙間から、挑戦状を出そう!」

と宣言した。

というか、挑戦状って…………

私は、ちょっと呆れた。

まさもは、紙に文章をさらさらと書いていく。

そこにはこう書いてあった。

「挑戦状 キミコ達と対決しろ。ゆでだこになる可能性ありだけどな。負けたら、働く時間を減らすようにしてくれ。そして、勝ったらキミコ達だけ徹夜で仕事をさせられる。怪盗リモン」

「ちょっと!今まさも、とんでもないことを書いたね!私たちが負けたら、徹夜で仕事をさせることができるって!というか、怪盗リモンって何なの!?」

私は叫ぶ。

まさもは、

「だって、それを書かないとそみこのやる気を引き出せないもん。そみこはいつも冷静だけど、こんな挑戦状だされたら、手当たり次第に投げるに決まっている。計算とかできなくなるよ。そうしたら、多分私たちが勝つ。そうだ、キミコは、この事をばらさないように、秘密にしておいて。」

と言った。

よし!

私は、男の人になりきるために、まさもを肩車し、しずきに変装させてもらった。

そして、カツラをかぶってシルクハットをかぶれば!

私達は、こっそりそみこの部屋の前へやって来て、部屋の床にカードを滑り込ませ、そみこの部屋を立ち去り、急いで変装道具を片付けた。

そして、まさもがささやく。

「キミコ。ちょっと口を挟むくらいしか喋らないで。キミコは余計な事を喋りやすいから。ぼろが出るかもしんない。」

その時。

ガチャッ。

私の部屋のドアが開いた。

そみこが来た!

まさもがいつもの口調で言った。

「そみこ、今、作戦会議の途中なんだけど。作戦は聞いてないよね。さっき、妙な足音が聞こえたから作戦がばれるかもしれないって思って、耳打ちに変えたんだけどね。」

そみこは、まさもが滑り込ませたカードをかがげた。

「これが私の床に置いてあったんです。そんなことをできるのは、あなた達しかいません。」

まさもは、読むふりをしている。

「なになに…………ああ、このカードね。私の所にも届いたの。ほら。怪盗リモンっていう人がここに忍び込んで送ってきたんじゃないの?」

そみこは、

「なぜその事を私に言わないんですか!まさもがこのカードを私に滑り込ませたっていうことぐらいしか考えられません!」

と言った。

さすがそみこ。

鋭い。

私は言い返す。

「何言ってんの、そみこ。このカードは私の方にも届いたんだよ?しかも、このチームにはしっかり者のしずきがいる。まさもがやったなら、しずきが止めてくれるはずだよ。」

まさもも負けじと言った。

「そうだよ、それだけで私たちを疑うなんて、酷い!」

そみこは、

「推理をいっただけです!まあ、今回はテントの外にいるやつらのの仕業でしょうし、この手紙をおい求めるのはこれくらいにしておきます。」

と諦めてくれた。

よかった。私はほっと息をつくと、作戦会議に戻った。

「まさも、よくあんな案を思いつけたわね。すごいドキドキしたわ。」

しずきが言った。

まさもは、

「へへ。私はこういうのも得意なの!」

と鼻高々だ。

しずきは、ポンと手を打つ。

「さあ、作戦会議の戻りましょう。」

まさもは、

「どんな計画を立てる?」

と聞いた。

私は手を挙げる。

「ねえ、まず、並び順を考えたり外野を決めたりしないと。

そういえば、ドッジボールの外野決めって、どうやってしたらいいのかな?」

しずきは、

「それはそうね。そうだ、たしか、パソコンのアプリに検索広場もあったわ。そこで検索すればいいんじゃないかしら。」

と提案した。

まさもは、さっそくパソコンを開き、検索広場のアプリをタップする。

すると、すぐに検索広場が出てきた。

まさもはしずきにパソコンを渡す。

しずきは、パソコンのセットと一緒にあったキーボードをまさもから受け取り、キーボードを打ち始めた。

そして、検索広場の所に「ドッジボール 最初の外野の決め方」と入力した。

すると、検索家かが表示される。

けれども、写真ばっかり出てきてしまう。

しずきは、もう一回検索広場に戻り、今度はちょっと付け足した。

「ドッジボール 最初の外野の決め方 ウェブ」

すると、最初の欄に良さそうな検索結果が表示される。

そこをタップすると、

「外野を決めるときには、ドッジボールが上手な人にすると良い。」

と書かれていた。

私達は、パソコンをしまう。

しずき達はいっせいに私を見る。

うっ。

そうだね、今回の勝負は私が外野の方がいい。

私は、ノートに

「外野:キミコ」

と書いた。

しずきは体育はちょっと苦手だから、さきと対決した方がいいかも。

それで、まさもはさいと、私はそみこと戦うことになった。

これで、いい感じになったかも。

こんな感じで、Oかな!

しずきは

「みんな、相手の短所と長所、思考、それから自分の短所、長所を覚えておいて。あら、大変。もう6時だわ。もう結構日が長くなったから、もう明るいわね。なら、ちょっとさいとを呼んでくるわ。その間にキミコは今日の朝ご飯アンケートを採ってきて。私はパンケーキ。」

と言った。

私は、まさもに朝ご飯は何が食べたいか聞いた。

まさもは、カップケーキか。

私達はそみこの部屋のドアをノックする。

そみこは、

「何ですか?」

と顔をしかめながらドアを開け、腕の時計を見る。

「っ!もう朝じゃないですか!さいと、朝ご飯作りましょう。今日はおにぎりが食べたいです!さいととさきは?」

「うーん、私はパンケーキかな。さきはどうかな?」

さきは、

「私もパンケーキがいいわ。」

と応える。

さいとは、アンケートの用紙をのぞき込み、

「今日の朝ご飯はパンケーキだね。1人2枚でいいかな。ごめん。今日は、ちょっとキミコ達でやってくれないかな?まだ作戦を立てている途中なんだ。」

と言った。

私は、立ち上がってキッチンに向かって歩いて行った。

「キミコは、火を使うのはできないからまさもにやってもらうわ。まさもは、火を使うのとあと材料を混ぜたりするのよろしく。私は材料を混ぜたり量ったり、人手が足りないときは火も使うわ。キミコは、材料の用意と、サポート。それから、机の上を拭いたりして。今回は3人しかいないわ。頑張りましょう!」

しずきが説明する。

しずきもそみこのようなスパルタじゃありませんように。

私は、そう願いながら、たまごをたくさん持ってくる。

そして、しずきに手渡すと冷蔵庫の牛乳を持ってきて、机に置く。

次は砂糖とベーキングパウダーと小麦粉。

私は腐りにくい物が置いてある部屋へかけだした。

そして、ベーキングパウダーと小麦粉を両手に抱えてキッチンに戻ってくる。

そして、また腐りにくい物が置いてある部屋に行くと、砂糖を持ってきた。

そして、休憩する間もなくしずきが指示を出した。

「キミコ、ゴミ袋持ってきて!」

私はビニール袋を持ってきた。

そしてしずきがたまごの殻をそこに入れ、また私に指示を飛ばした。

「キミコ、テーブルをキレイにして!」

私は、ぞうきんを持ってくると机を拭く。

そして、テーブルクロスを掛けた。

すると、またしずきから指示が。

「キミコ、フォークとナイフセットして!あと、全員のおにぎりを温めて。おにぎりは冷蔵庫にあるわ。それから、のりも巻いてね。その後は、メープルシロップをかけるやつを持ってきて。それから、パンケーキのお皿も準備して!」

ひいいいいいいっ!

しずき、そんなにたくさん覚えれないよ!

まず、フォークとナイフをセットするんだったっけ。

私は、6人分フォークとナイフを持ってきて机に置く。

そして、冷蔵庫からおにぎりを出すと、電子レンジで一個ずつ温める。

ふぅ。

疲れた。

私は、いったん一息つくと、そこから動き始めた。

電子レンジで温めたおにぎりを、どんどんのりでまく。

そして、それをお皿に入れる。

その繰り返し。

やっと終わった。

次は、パンケーキのお皿だったっけ。

私は平たいお皿をまさも達の方へ持って行った。

すると、またしてもしずきから指示が飛んでくる。

「材料をあの部屋に帰してきてちょうだい!」

あああ。

すごく忙しい。

休憩する間もないや。

私は、小麦粉の袋とベーキングパウダーの袋を抱えてさっきと同じ所に戻す。

そして、砂糖を戻すとまたしずきから声があった。

「パンケーキのお皿持って行って!それから、バターを取り出してそみこを呼んできて!」

私はバタバタと冷蔵庫の所まで行くと、バターを取り出し、机に置いた後そみこ達を呼びに行った。

ガチャリ。

ふわっ。

パンケーキの美味しい匂いが私の鼻をくすぐる。

私は、すぐに自分の椅子に座った。

そしてパターを付けた後メープルシロップをかけて食べると…………

美味しい!!

ふわっとしたパンケーキの感触。

とろりとしたメープルシロップの甘さ。

溶けたバターがいい感じの味になっている!

そして、食べれば食べるほど、体が温まってきた。

おにぎりを食べてみると、のりはパリッとしていて、ご飯はほかほか。

幸せ!

そして、私達は朝ご飯を食べたのだ。

 ガチャリ。

そみこが体育館のドアを開けた。

そして、私達は早速チームに分かれる。

絶対に、負けられない!

私は外野の所へ行く。

そみこのチームでは、さきが外野。

最初は、そみこ達が投げるターン。

そみこは、まさもかしずきに悩んでいるようだ。

まさもは、早速そみこを挑発する。

「そみこ、ホントに悩むの長い!そんなんじゃ、モテないよ。まあ、そみこは悩むのが長くなくてもモテないけどね。私とは大違い!そみこはガミガミ厳しくって、ドッチボールが下手くそで、しかも顔もいつも怒ってるもんね。」

そみこは怒ってボールをまさもに向かって投げた。

まさもは、ちょっと高めに上がったボールをジャンプしてキャッチした。

まさもは、さいとの方を見ている。

そして、思いっきりさいとの方に投げようとした。

けれども、それはさいとを通り越して、ギリギリ私の所へ転がってきた。

さすがまさも!

まさもはピョンピョンはねて喜んでいる。

私は、さいとを狙う。

さいとは、ボールをキャッチしようと一歩、前に出る。

よし!!

私は、さいとに向かって投げた。

それも、低い位置で。

ボールは見事、さいとの膝の方に当たった。

よしっ!

さいとは大人だから、低いところは防御しずらいはず!

あとは、そみこをやっつければ、楽勝!

まあ、そみこをやっつけるのが一苦労なんだけど。

そみこは、もう冷静になってきている。

まさも、まさも、もう一回お願い!

まさもは、またそみこを挑発し始める。

「そみこ、また怒った顔になっちゃって。かわいくな~い。あ~あ。私の方が遙かにかわいいなあ。そみこのかわいさは、0.00000001%。そみこ、別に本当は目は悪くないんだから。知ってるよ。視力検査、見たよ。あそこ、一見見ただけだったらCだって思うけど、実は違うよね?本物とそっくりにコピーされてるんだよ。だってさ、よく考えたらわかるでしょ?そみこって、今5年生だけどさ、4年生の時視力はBとAだったよ?いきなり悪くなるわけないでしょ。学級委員になりたい、めがね掛ければいいんじゃないかとか考えたんじゃない?文房具が大好きなそみこならわかったんじゃない?あのペン、実は、すごい温かいと、文字が消えるって事を。私でも、それはわかんなかったよ。保健の先生に聞いて、やっとわかったって感じ。それで、そみこはそこのペンの所を、同じペンで書き直した。癖がわからないように、ちゃんと似たような字をね。そみこなら、いつも宿題とかなぜか字がキレイだから、本気を出せば本当にお手本みたいな字が書けるはずだよ。ね?そみこ。どう?私にはばれてるんだよ?冒険から帰ったら学校のクラス全員にばらしてもいいの?」

まさも、最後の方、脅しみたいになっているよ。

そみこは、顔を上げて

「証拠はあるんですか?私のめがねが、実は学級委員になるための物だという推理、完璧に見えるでしょうね。私以外には。その推理を確実にさせるためには、証拠が必要です。この推理が本当だという証拠はあるんですか?」

と普段では言いそうにないことをペラペラと喋っていく。

まさもは、自信満々に

「あるよ。本当のめがねだったらね、顔の輪郭が違うの。でも、今、そみこの輪郭は真っ直ぐになっている。それは、偽物のめがねだよ。それでも文句があるなら、そみこのめがねを貸してよ。それを視力のいいしずきにはめたら、多分しずきは、『このめがね、すごい見えやすいわ。』っていうと思うよ。じゃあ、しずき。試してみて。」

とそみこからめがねを奪い取り、しずきに渡した。

そみこは少し顔をこわばらせる。

しずきは、めがねを掛けてみると

「あ、私でも見える!って事は、そみこ、本当に、これはただの小道具だったの?」

と言った。

まさもは、そみこが答えるより前に言った。

「ほらね、そみこ。もう、言い逃れはできないよ。」

ああ、すっかりミステリードラマみたいになっちゃった。

そみことまさも以外全員呆れている。

ああ、楽しいドッジボールがまさものくだらない推理ショーになっちゃったよ。

そみこは、しずきからめがねを取り上げると自分の目に掛けた。

まさもは、そみこに聞いた。

「さあ、そみこ。何で、めがねを掛けているのか理由を教えてもらえるかな?念の為の確認だけど。」

そみこは、ぽつりと言った。

「みなさん。パリキラ☆ファッション雑誌を知っていますか?」

その本なら!

私としずきは、あわてて自分の部屋に駆け込み、パリキラ☆ファッション雑誌を全部体育館に持ってきた。

パリキラ☆ファッション雑誌は、今人気のかわいいファッションモデルの女の子がいっぱい載っている雑誌で、オススメの服装や髪型が載ってたりしていて、すごい人気なの!

知らない人はほとんどいないぐらい、有名なんだ。

そみこは、パラパラとページをめくっていく。

そして、ひときわ目立っているきれいな背の高い女の子を指さす。

「これが、私です。」

えっ!?

でも、この子、そみこみたいに厳しそうでもないし、にっこり笑っているし、メチャクチャかわいいし。

そみこは、めがねを外した。

そして、写真できている服をバックから取り出して、写真と全く同じポーズをした。

まさもは、

「じゃあ、そみこ。もしかしたら変装のためにめがねを掛けてたわけ?」

とビックリして言った。

そみこは、上から来た服を脱ぐと

「そうです。」

と言って、まためがねを掛けた。

そして、叫んだ。

「ドッジボール、開始です!」

そみこは、驚くような素早さでまさもにボールを当ててきた。

まさもは、ギリギリ間に合わず、ボールが体に当たった。

ああっ、まさも!

しまった、これだと、しずきが1人になっちゃう。

私は頭を抱える。

あの作戦は、外野になってしまった場合、実行できない。

どうしよう。

そう思っている間に、ボールが私の所に転がってきた。

そして、まさもが外野に行くときにぼそっと言った。

「キミコ。しずきに投げてもらって。しずきにも、この作戦は伝える。」

よし。

このチャンスは逃せない。

私は、まさもにボールを当てたそみこの方をキッとにらむ。

そみこは、完全に騙されている。

私は、そみこの方に向けた自分の体を、しずきの方向にした。

そして、そみこが反応る間もなく、私はしずきにボールを投げた。

しずきは、そのボールを手に取るとそみこにボールを当てた。

そみこは呆然としている。

ふふん。

私達のチームワークは最強だよ!

そして、そみこは外野に行った。

後は、さいとだけ。

さいとは、私にボールを投げようとし、それからボールをすごい高いところまで投げ、自分も思いっきりジャンプした。

そして、そのボールはしずきに当たる。

ああっ!

私達、負けちゃった。

そみこは、ガッツポーズ。

私は、そみこをにらむ。

そみこは、

「キミコ。負けたら、ちゃんと働いてくれますよね?まさか、あのカードを忘れているなんてこと、ありませんよね。」

と憎ったらしい笑みを浮かべて私のそばに寄ってくる。

うっ。

完全に忘れてた。

まさも。

なんであんな手紙出しちゃったわけ?

思わず、叫びたくなる。

まさもは、苦笑い。

今日は私達だけ一晩中働かされることになるのだ。

私とまさもは、がっくりと肩を落とし、自分の部屋に行った。

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第20章:初めてのお仕事

「みなさん、着替えたら、リビングに集合です!そこで、今日の持ち物リストをみんなに配ります。そして、それをリュックサックに入れてくださいね。30分で着替えを終わらしてくださいよ。あんまり時間はありませんから。ドッチボールをやったので、急がないと。」

スパルタせかせかモードのそみこが言った。

私は小声で文句を言いながら自分の部屋に行って、服を決めた。

多分、まだ午前中だけど、私がやるのは力仕事だし、これにしよう!

私が決めたのは、真っ白なTシャツと紺色のショートパンツ。

それから銀色のスニーカー。

あ~、でも、これだけだと息行きとか帰りが寒かったりして大変かも。

ドッチボールの時は体を動かすからTシャツでも大丈夫なんだけど。

じゃあ、パーカーを持っていこうかな。

下は、長ズボンを重ねて着ればオッケー。

服は、仕事場に着いてから着替え部屋で脱げばいいし。

次は、髪のセット。

まだ、ツインテールにしたままだった。

私は、ゴムを手に取ってすっと髪の毛からゴムを抜くと、引き出しにピンクのゴムを入れた。

あの水色のゴムでまさもに髪の毛をセットしてもらおう。

優しい水色の背景に、金色の金箔みたいなのが散っていて、すごくキレイなんだ。

私はささっと着替え、玄関に靴をセットした。

よし。

私は、水色のゴムを持っていてまさもの部屋に行った。

まさもは、2組の水色のゴムを見て、私が注文する前に

「ツインテールだね。」

と言って、私の髪の毛をゴムで結んだ。

よしっと。

支度、ほぼ完了!

私は、そみこに持ち物リストをもらいにリビングに来た。

リビングには誰もいない。

私はあちこちさがして、ようやくソファの上の紙を見つけた。

そこには手紙があり、

「もしかしたら、私が間に合わないかもしれません。名前が書いてある持ち物チェックリストをさがして持って行ってください。」

と書いてあった。

私は、持ち物リストを手に取って自分の部屋へ戻り、リストを見てみた。

そこには、

「タオル ティッシュ 携帯 ブレスレット 時計 ナイフ」

と書いてあった。

意外と、持ち物は少なかった。

もう、ブレスレットは手に付けてあるから、ブレスレットは大丈夫だね。

私は次々に持ち物をリュックサックに入れていった。

よし。

やっと終わった。

私はしずきの部屋の前を通ってまさもの部屋に行こうとした。

元々、私が出かける前にしずきの部屋にのんびり遊びに来る事って、全然ないもん。

しずき、準備が早すぎて30分くらい前に準備して、暇を持て余していることだってあるんだから。

まさも、準備できてるかな。

まさもはドジだから、またなんかやらかしているかもしれない。

すると、しずきがちょうどドアを開け、その扉が私の顔の横にぶつかった。

「いたっ!」

私は思わず悲鳴をあげた。

部屋の中から出てきたしずきはびっくり。

「あ、ごめんなさい、キミコ。あの、私、寝ようとしたけれど全然寝れなくて、やっぱり仕事しちゃおうかなって。なんか、新聞を作るのって楽しそう。そみこに今から伝えようとしたんだけどね。あと、さきにも、話があるし。でも、キミコにぶつかっちゃって。キミコは多分、配達の仕事か力仕事の仕事よね?」

私は唖然とした。

「しずき。なんで、仕事のことを知ってるの?」

しずきは、ちょっと目をそらした。

「その…………私、ちょっとさきよりも先に帰ってたの。」

「そうなの?」

私が聞くと、しずきは頷いた。

「それで、布団の方に行ったんだけど、寝たい気分になれなくて。それで、パソコンの部屋にいるかなって思って、足音を偲ばせて部屋の前に行ったら、話し声が聞こえて。それで、ちょっと、その、本当はダメだけど、話し声をずっと聞いてたの。そうしたら、仕事の話が出てきて。それで、あのパソコンはドアの近くにあって、しかもキミコの所のパソコンはすごい内容が見える所にあったから、思わず見ちゃって。キミコは、検索広場で検索してたでしょ。それで、私もパソコンを開いて検索広場を開いてキミコと同じ検索結果にたどりつこうと思って、ずっとキミコのパソコンを見ていたの。それで、他にも情報があるかなって思ってたんだけど、みんながどの仕事にしたかは聞こえてなくて。まさもの声がちょっととぎれとぎれに配達係にするってことを教えてくれたけど、キミコとさいとの情報はわからなかったわ。そみこは、あの性格から新聞を作る係だって事がわかったんだけど。それで、みんなが寝ようとしている声が聞こえたから、あわてて物音をたてないように自分の部屋に行ったのよ。」

しずきは、いったん言葉を切った。

「それから、検索広場を開こうとしたの。だけど、検索広場のアプリを開こうとしたら、なぜかブロックされましたって書いてあって。ちょっとびっくりしたわ。だって、この世界のネットワークは、全部プログラミング会社が管理しているでしょう。プログラミング会社を見学したときに、24時間交代交代で働いています。って書いてあったからきっと天才的なハッカーみたいな人がやったんだと思う。プログラミング会社のセキュリティは強いって噂されているもの。それで、みんなが起きる前にパソコンの部屋に行ってパソコンを開いてみたの…………」

私は、しずきの言葉を聞いてごくりと生唾を飲んだ。

しずきは、ゆっくりと話を続けた。

「それで、検索広場を開こうとしたんだけど、ブロックされましたって表示されたの。どのパソコンでもそうなっちゃうの。しかも、平然とハッキングされていたわ。他のアプリも、全部ブロックされましたってなってた。それで、唯一開けたのが、パソコンの部屋のキミコが使っていたパソコンのメッセージアプリ。それで、それを開いたら…………ぞっとしたわよ。だって、そこにはだれかもわからない、新しいアカウントができていて、『あなたの行動は全部見えているわ。もうすぐ、全部あなたたちのパソコンはハッキングされる。ここまでやっても気がつかないとは、がっかりしたわ。このパソコンを私がハッキングされたら、他のパソコンも全部使い物にならなくなるわ。電源さえ、入らなくなるの。そうなる前に、セキュリティを強化してちょうだい。また、メッセージを送るわ。』って。どこにいても、私たちは監視されてるんだって思って、怖くなったわ。」

私は、震えそうになるのを必死で堪えて、しずきに聞いた。

「そ、その後、しずきはどうしたの?」

しずきは、ぎゅっと拳を握りしめて言った。

「それで、私はまだ間に合うって信じて、ガタガタ震える手を押さえながら返信メールを打ったの。『お願い、あと、今の状態で1日だけ待って。』って。そうしたら、すぐに『わかったわ。でも、1日過ぎたら、容赦なくハッキングしてあげるから。』っていう返信メールが届いたの。この人は天才ハッカーだって、この瞬間確信を持てた。それで、みんなに今日言おうって思ったの。さきなら、もしかしたらハッキングを防いでくれるかもしれないって思って。だから、キミコ。時間があったら、さきを呼んできてくれる?一刻も早く。あの量をハッキングされたなら、もう間に合わないかもしれない。でも、私はさきを信じている。キミコ、私の代わりにさきを呼びに行ってくれる?」

私は頷くとさきの部屋まで走って行った。

そして、バンッ!と思いっきりドアを開ける。

さきは、びっくりして飛び起きた。

私は、まだ寝ぼけているさきをパソコンの部屋に連れてきた。

パソコンのハッキングとメールを見たさきは、今まで寝ぼけていたのがうそみたいに、目がキリッとなった。

私も、メールを改めて読んでぞくりと鳥肌が立った。

さきは、こわばった表情でキーボードを触った。

「キミコ。これは、さいととしずきの助けが必要かもしれない。この量だと、とてもじゃないけど私1人だと無理よ。キミコ、いつ気がついたの?」

私は、仕事としずきのことを話した。

さきは、ぎゅっと唇を引き結んで言った。

「こんなことになる前に気がつけば良かったわ。あの時は、眠かったからパソコンの部屋には寄らずに寝たのよ。でもまさか、こんなことになるなんて。キミコ、しずきとさいとを早く呼んできて!」

私は、ダッシュでしずきとさいとを呼びに行った。

しずきとさいとは慌ててパソコンの部屋に向かった。

お願い、間に合いますように。

そみこはしずきの話を聞いて考え込んでいる。

「まずいですね。さいとがいなくなると、予約をキャンセルしなければいけません。でも、今はネットが使えませんですし。もしかして、携帯も…………」

私は、自分の部屋に戻り、パソコンの携帯のアプリを確かめてみた。

すると、予想通り全部アプリがブロックされていた。

そんな…………

私は携帯をリュックサックから取り出した。

これで迷子になったら大変なことだ。

そして、そみこの部屋に再び行くと、そみこは首を振った。

「ダメです。全部ブロックされています。これじゃあ、連絡できません。」

どうしよう…………

「そみこ、行ってキャンセルはできないの?」

そみこはまた首を振った。

「わかりません。忘れてしまいました。パソコンが使えないので、確認もできません。」

私は、

「じゃあ、現地に行ってからキャンセルしよう。」

と言った。

そみこは、頷くとぽつりと、今、私がちょっと不安に思っていたことを口にした。

「キャンセルしてくれるかどうかわかりませんが。その場合、みんなで説得しましょう。」

よし、これで大丈夫。

そして、そみこはまさもに髪を編んでもらうためにまさもの部屋に行った。

私は自分のリュックサックを玄関に置くと、パソコンの部屋に行った。

私が、助けになるとは到底思えないけれど、やるしかない。

やれることは、やらなくちゃ。

絶対に、失敗するわけじゃないんだから。

念の為、そみこのベットに

「そみこ、パソコンの部屋に行ってさき達の手伝いをしてきます。準備はオッケーだから、そみこは準備が整ったらパソコンの部屋に行って。」

と書いた置き手紙を残して。

さきは、私に言った。

「キミコは、ハッカーとメッセージのやりとりをしてちょうだい。それで、少しでも情報を手に入れて。さいと、しずき、私はハッキングの仕事をするわ。ごめんなさい、悪く思わないで。ちょっとキミコは、ハッキングよりも簡単な仕事の方がいいと思って。だから、お願いね。」

私はこくりと頷いて私が昨日座ったところの椅子に腰を掛けた。

すると、そみこから話を聞いたまさもがお茶を私たちの机に持ってきてくれた。

しかも、さきとしずき、さいとの所には巨大な水筒が!

こんな最悪な状況でも、思わず笑ってしまった。

さき達は、喜んで一口飲んだ。

私も、ちょっと飲んでみる。

美味しい!

冷たいんだけど、キンと喉が痛くなるようなお茶じゃない。

もっと、易しい感じ。

言葉では言い表せないほど、美味しい。

すっきりした味で、でも、飲んだ後、口に甘みが残る。

まるで、いつしか家で食べた、レモンみたいだ。

頭の中が冷静になれるような味。

これなら、さきに任せられた仕事ができそう!

私は、早速メッセージアプリを開いた。

そして、コメントを打ち込む。

「ハッカーさん。あなたの名前は何?いちいち、ハッカーさんって呼ぶのはなんか、気が引けるから。だから、仮の名前でもいから、名前を教えて。そうしたらその名前で呼ぶから。」

そして、しばらくすると返信が来た。

「私の名前はリンティよ。あなたの名前は何?」

私は、少し考えた後、コメントを打った。

「あなたは、私の名前を知ってるんじゃないの?どこにいてもあなたは監視されているっていう感じの内容を書いてたじゃない。それだったら、私の個人情報を調べられるんじゃないの?」

今回は、いつもみたいな口調じゃなくて、しずきの口調を真似たんだ。

なるべく、メッセージを打っているのがしずきだと思わせるために。

すると、すぐに返信メールが返ってきた。

「あら、あなたの個人情報はさすがに調べないわよ。まあ、調べようと思えば調べられるかもしれないけれど。ちょうど、あなたの所からブロック問題を解決しようという手があるのよ。まさか、ここまでセキュリティを強くしたりすることができるとは思わなかったわ。でも、あなたはあのもう1人、夜中に起きていた子とは別人ね。なんか、文が放っているオーラが違うもの。あの子の方が用心深いような気がするわ。それと違って、あなたは自分のことがばれても、私の方を攻めてくる。あのもう1人の子は、自分の情報を一切もらさないように必死だったけれど、あなたは自分が傷を負っても、私のことを暴いてみせる気ね。さあ、あなたの名前は何?」

今回は長い文章だなあ。

まぁ、そみこのあの無駄無駄長々言葉よりはいい方だけどね。

そみこ、言葉に無駄が多すぎるから。

私は、カシャカシャとパソコンのキーボードを打った。

「私の名前は、輪花よ。読めないかもしれないわね。読みがなは、りんか。私は漢字よりもひらがなの方が気に入っているわ。ひらがなの方が柔らかいイメージがあって、私に近いから。さて、簡単な自己紹介が済んだところで、ちょっとおしゃべりしましょう。まあ、もうあなたが言っている、『あの子』に似せる必要はないわね。普段の私の話し方でメールを書いてもいい?今のこの話し方は、やりにくい言い方だから。」

しばらくすると、返信メールが返ってきた。

「あら。名前はりんかちゃんなのね。なるほど。これは友達同士のおしゃべりみたいな感じよ。気軽に、自分が話したい方法で話せばいいわ。」

うっ、自信満々。

さすが、仕事にやり慣れているハッカーだ。

簡単には、情報は引き出せない。

私は、すぐにメールの返信を打った。

「なんか、あなたみたいなハッカーがそんなこと言うなんて、ちょっと気味が悪いけど。」

まだ、完全にはしずきの話し方が抜けない。

もう、癖になっちゃったのかも。

私がそう考えながら送信ボタンをカシャリと押すと、また、すぐに返信がパソコンに送られてきた。

「あら。りんかちゃんは私が『気軽に喋ったらいい』って言ったのが気に入らなかったのかしら?」

私は言動に気をつけながら文字を打っていった。

こんなに、慎重に文章を考えた事なんて、今までなかったかも。

私は文章を書く記憶を頭の中から引き出しながら、また送信ボタンを押した。

「ううん、ダメって言うわけではないけど、意外だなって言っただけ。それと、私のことはりんかちゃんじゃなくて、りんかって呼んで。りんかちゃんなんて呼ばれたことはあんまりないから、ちょっと違和感あって。こっちも、あなたのことをリンティって呼び捨てで呼んでもいい?気に入らないなら、私が今度は譲るけど。ずっと、あなたに譲ってもらってばっかりだったから。」

そして、返信を待っている時、パソコン部屋のドアが開いてそみこが現れた。

私は、今にも口を開きそうなそみこに言った。

「ちょっと待って。今、ハッカーとメールのやりとりをしてるの。すぐ終わらせるから。」

私は、振り向いて再びメールを打とうとした。

今まで、すぐにメールが送られてきたから、何かあるのかもしれない。

私は、コメントを打っていった。

「どうかしたの、リン」

そこまで打ち終わると、画面上にコメントが現れた。

私はコメントの内容を見る前に今書いていたコメントを全部消した。

よし。

これでオッケー。

そして、私は画面に顔を近づけて食い入るようにコメントを見つめた。

「私も、リンティって呼ばれる方がいいわ。ちなみに、今からあなたのことは『りんか』って呼ぶから。」

げっ、そみこが何かしたそうに、うずうずしている。

ここでメールを終わらせないとピリピリそみこが爆発するかも。

私は、まだリンティの情報を引き出したいという気持ちを抑え込んで(そみこ、めんどくさっ)、午前中最後になるであろうメールを送った。

「ごめんなさい。私も忙しくて。だから、いったん、リンティとのメールは終わり。でも、帰ってきたら、メールのやりとりをしよう。お願いだから、メールの内容は消さないで。まだ、リンティとお喋りしたいから、メッセージアプリはブロックしないで。まぁ、本当はリンティをやっつけるのが目的なんだけど、だんだんお喋りするのが楽しくなってきちゃったのもあるんだけどね。」

ようやく、私の普段の口調に戻れた。

リンティとメールのやりとりをするのが楽しくなってきたのは本心。

相手は、もしかしたらうそだって思っちゃうかもしれないけど。

でも、これは相手を動揺させる作戦にも使えそう。

なんだか、リンティが友達みたいに思えてきちゃった。

なんだかんだ考えていると、メールが返ってきた。

「あら、そうなのね。でも、私もハッカーの仕事で忙しいから。でも、また帰ってきたら一緒におしゃべりしましょう。私も、あなたとのメールのやりとりは楽しいわ。じゃあ、行ってらっしゃい。」

私は、パソコンのメッセージをさきに見てもらった。

ちょっと怒られちゃうかもなぁ。

でも、言い訳すればいいか。

さきは、早速メッセージを全部紙に写し取った。

「ありがとう、っていうかキミコ、リンティとのメールが楽しくなってきたなんて、うそよね?ただの、相手を動揺させる罠よね?」

私は、少し迷ってから首を振った。

「ううん、リンティとメールのやりとりをするのが楽しくなってきたっていうのは本当の気持ちだよ。」

さきが、今にも泡を吹いて倒れそうな表情になった。

「キ、キミコ…………これ、遊びじゃないんだから…………」

「でもさ、リンティ…………いや、偽の名前かも知れないけどさ、なんか、いつかちょっと仲間になってくれたら心強いなっていうのも考えてるし。じゃあ、さき。私、ポイントを集めに行ってくるね。そみこには、ちょっと、私だけ早く帰れるようにお願いするから。その分、ちゃんと働くし。お金は、ちゃんと稼ぐから。」

さきとしずき、さいとは仕事場に行く私とそみこ、まさもに手を振った。

よし、仕事、頑張るぞ!

 「キミコ、あのドッジボールの時の約束、覚えていますよね?約束したじゃないですか!しかも、理由がくだらない趣味のメールだなんて!」

そみこが言った。

今は、そみこを説得中。

リンティと約束した通り、私は早く帰れるようにそみこを説得してるの。

「いや、そみこ!リンティの情報を頑張って引き出してるんだってば!それで、天才ハッカーの情報が取れたら、嬉しいでしょ!」

そみこは、リュックサックから本を取り出した。

すると、まるで透明の手が字を書いているように、文字が浮かび上がった。

「今回の問題は重大だ。今回の状況だと、キミコが正しい。今の問題はポイントではなく、あのテントのインターネット状況。あのままだと、インターネットで調べることができなくなり、もしかしたら大きな問題に直撃してしまうかもしれぬ。ポイント集めはそみことまさもがやるといいだろう。」

と書いてあった。

ほらね!

そみこは、少し目を閉じて考え込むと、

「わかりました。」

と言って、やっと私が早く帰るのを許してくれた。

よかった。

危うく、そみこと喧嘩になる所だった。

本はテレビと同じで偉そうだけど、けっこういつも頼りになる。

私は、あることを思い出した。

「そみこ。あのさ、暗い森の中を帰りも歩くんでしょ。足元見えないんじゃないの?懐中電灯がないと。」

そみこは、はっとした顔をして青ざめた。

「忘れてました!まさも、地図を持って、町の方に歩いてください。私はテントに戻って懐中電灯を持ってきます。」

そう言った直後、そみこはテントの方に戻っていった。

速っ!

なにそれ、忘れ物しただけであの速さ?

意味わからないんだけど。

私とまさもはそのまま普通のペースで町の方へ行った。

そして、やっと町が見えてきた。

すると、遠くの方にそみこが見えた。

そみこは、ハアハアと息をきらしている。

まるで、20メートルシャトルランの後みたいな表情だ。

ちなみに、シャトルランは音楽に合わせて走って、それをどんどん繰り返すっていう、いわゆる体力勝負みたいなのだけど、その記録は今回も私が学年一位だった。

もちろん、去年も。

あれ、ちょっと疲れたけどね。

確か、91回やったっけ。

あれが、限界。

みんながバテている間、私は涼しい顔をして走っていた。

もう、60回くらいになるとみんなポカンとしている状況だ。

まぁ、驚くのも当たり前だけど。

小学生でそこまで身体能力高かったら、オリンピックに出られるかもっていうくらいだから。

あと、ソフトボール投げはこの前、学校のプールに落ちちゃったんだっけ。

この前、校舎を越えて運動場も越えて、プールの濁った水に落ちちゃったんだ。

そして、100メートル走は7.2秒。

握力は、13くらい。

握力っていうのは、腕の握る力を測る競技。

あと、幅跳びはすごかった。

3メートル90センチ。

普通だったら、1メートル70センチとか、それくらいなんだけど…………

あと、上体起こし(腹筋)とかは、89回。

半服横飛びはちょうど70回。

けっこう(普通は、考えられないけど)いい記録を取れてうれしかったなぁ。

そして私達は仕事場に行ったのだ。

「ようこそ、新聞工場へ。」

仕事の案内をする人が3人きて、私達をそれぞれの所へ案内してくれた。

私は、サナさんという人に仕事場の所に連れて行ってもらった。

サナさんは、

「ここで、あのトラックに新聞の束を入れてもらいます。他の人と協力してやってくださいね。」

と言った。

私は、トラックの方に行った。

そして、始まりの合図がなると同時に、私達は一斉に新聞の束を持ちあげた。

新聞の束は少し重めで、ずしりという感触がした。

すると、近くにいた男の子が、にやりと笑って挑発してきた。

「おまえなんかのひ弱な女に、この仕事ができるわけがない。」

「なんなの、その失礼な態度は!なんなら、勝負をする?どっちが長いこと仕事をやっていられるか!先にギブアップした方が負けね!」

男の子は、

「売られたけんかは買ってやる!」

と叫び、早速新聞の束を持ち上げた。

よし、絶対にこの勝負に勝ってやるっ!

私は、どんどんトラックの前に置いて、次の人に渡した。

今が春だっていうことがうそみたい。

でも、ここでギブアップしたら、こいつに負ける!

あいつには絶対勝つ!!

5個目、10個目…………

どんどん運ぶ。

ひたすら運ぶ。

いくら頑張っても、また新しい新聞が目の前に置かれる。

どんどん新しい新聞が作られてるからだ!

今日、きっとたくさん新聞を印刷するんだ、きっと。

私はどんどん運んでいった。

ようやく、休憩の時間。

でも、私とあの憎たらしい男の子は運び続けた。

絶対に、この勝負は負けられない!

私は、みんながご飯を食べている間、黙々と働き続けた。

やっと、目の前のトラックがいなくなった。

でも、また次の新聞が何もない状態のトラックが来た。

まだ、新聞の束は山のようにそこら中に積み上げられている。

今では、新聞の束を持って、トラックの階段を上がって荷台に入れなくてはいけない。

大変すぎるっ!

男の子の額にも大粒の汗が湧き上がってきていて、顔は高熱が出たみたいに真っ赤だ。

私もこんな顔になってるんだろうな。

男の子は、まだまだ諦めない。

私だって、絶対に負けないんだから!

私の体力テストの結果を見せてやりたい。

この、憎たらしいこいつに。

そして、私達は、お昼ご飯を食べずに働くことになるのだ。

うう、やっぱり、大変。

お腹すいたし、手は汗で紐が滑るし、紐を持ちすぎて手にまめができて皮がむけるし。

顔は滝のように汗が流れ出ている。

口に入ったり、目に入ったり。

うう、絶対に、もうこんな仕事やりたくないっ…………

男の子はまだギブアップしていない。

私だって、ギブアップするもんかっ!

あの男の子がギブアップするまで、私はギブアップしない!

絶対に、あんなことを私に言った事を後悔させてやる!

もう何回も新聞の束を地面に落としている。

もう、裸になりたい気分だよ。

男の子は、まだまだ、という表情でこっちに向かってにやっと笑ってきた。

もう、許せない!

私の方が、たくさん働けるんだから!

私は、電光石火の勢いで思いっきり新聞を荷台に積み上げていった。

汗が浮き上がり、頬に滑り落ち、地面にぽたりと一滴、落ちた。

熱すぎるのと、くらくらするので涙が出てきた。

でも、今となっては泣いてもばれない。

汗が多すぎて、きっと顔には水しか浮き上がっていないだろう。

それなら、泣いても泣かなくても同じ事だ。

男の子はびっくりしながらも、動きを止めないように頑張って新聞の束を運んでいった。

早くギブアップして!

そして、1時間くらいして、私の喉はカラカラ。

お腹はすくし、汗は気持ち悪いし、服はぐっしょりしてて嫌だし、目や口や鼻に汗が落ちたりしていて、痛かったりする。

でも、絶対に諦めちゃダメッ!

そして、もう1時間くらい働き、私がギブアップしようとしたとき、男の子がギブアップして、自分の荷物の飲み物をごくごく飲んだ。

やった。

勝ったんだ!

なら、私はもっと働いてみせる!

男の子がギブアップしたところで、私はどんどん新聞の束を荷台に積み上げていった。

そして、4時くらいになった頃、ようやく新聞が全部なくなった。

やった。

どれくらい働いたんだろう。

6時間くらい、水を飲まず、食べずで働き続けたのだ。

私の体力はもう限界。

私は、水をがぶがぶ飲んで、お腹がすきすぎてぐうぐうなっているお腹を押さえ、立ち上がった。

男の子はくやしがってる。

「今まで、これに負けた事なんてなかったのに!」

やった!

そして、やっと私達は帰る支度を始めたのだ。

帰りの際、私はぼそっと男の子の近くによって言った。

「あなたは自信満々すぎ。そのせいで負けることもあるんだからね。」

男の子は、

「次は絶対勝ってやる!」

と叫んで帰って行った。

あ~、やっと落ち着いた。

そう思っていると、もう帰っていたはずの男の子がこちらにやって来た。

どうしたんだろう?

私は、男の子の顔を見つめた。

男の子の顔が少し赤いのは気のせいだろうか?

それとも、仕事の疲れで真っ赤になったのだろうか?

しばらく、その場に沈黙が流れた。

すると、男の子はぴょんっと2メートルくらいひとっ飛びして、私のすぐそばに来た。

え?

ど、どうしたの?

私は、びっくりして固まった。

すると、唇に柔らかい感触がして、私はまるで氷のように固まった。

い、いまのって…………

私が気がつくと同時に、男の子は

「ふんっ」

と叫ぶと、走って帰っていった。

い、い…………

私は、呆然と見送っていった。

森の中を歩いている最中。

私はドキドキとしている心臓を抑えながら歩いていた。

さ、さっきのって、キ…………

キス、なの?

私は、ようやくそれを認めた。

そして、その瞬間、目の前が真っ暗になった。

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第21章:天才ハッカー・リンティのパスワードを暴け!

私はテントに着くと、着替えを済ませ、パソコンの部屋へ向かった。

そこでは、さき、しずき、さいとが熱心に仕事をしていた。

さきは、私が来たのに気づくと、

「キミコ。また、ちょっとあのリンティと会話していてくれる?この会話は、やっぱりキミコが最適だわ。」

と言った。

私はゆっくりと口を開いた。

「さき。帰ってくるときに、仕事場で競争していた生意気な男の子が、キスしてきた…………」

「えええええええっ!?キ、キ、キス!?」

さきは、驚きのあまり倒れ込んだ。

そして、ようやく立ち上がると言った。

「でもね、キスされても、キミコは嫌なんでしょ?あの子と、仲良くなることは無理なんでしょ?」

私は、赤くなりながら言った。

「う、ん。ちょっと、好きとかそんなのじゃなくて、友達としてなら、まだいいけど。でも、好きとかそういう恋愛系はちょっと、私、無理なの。」

さきは、優しく笑って言った。

「決めるのは、キミコ、あなたよ。だから、よく考えてみてね。」

「うん…………」

私は力なく頷くと、メッセージアプリを開いてコメントを打った。

「仕事が終わったから、戻ってきたの。でもね、その帰りに仕事仲間の男の子に、キスされちゃったの。」

さすがのハッカーも動揺したらしい。

しばらくの間、メールがなかった。

でも、ようやく我に返ったのか、メッセージが送られてきた。

「そうなのね。でも、それを私に伝えてきたって事は、解決して欲しいっていうことなのかしら?」

私は、すぐにメールを打った。

「解決して欲しいわけじゃないんだけど、ちょっと明日、会ってみようかなって。それで、返事を返すつもりなんだけど、どうしようって思っているの。」

今度はすぐにメールが返信された。

「でも、りんかはその子に好きとかそういう恋愛系の気持ちはあるの?」

私は、少し赤くなりながらキーボードを打った。

「ううん、どっちかというと、ライバルみたいな意識が強い感じ。だから、付き合うとかそういうのはちょっと、難しいかもしれない。」

「じゃあ、無理に付き合うとか言わなくてもいいんじゃないかしら。でも、決めるのは自分。だから、よく考えてみてね。」

私は、短いメールを2秒で打った。

「うん。」

しばらくすると、リンティからメッセージが来た。

「それにしても、意外と長かったわね。もうちょっと早く終わるのかと思って、仕事を終わらせようと頑張ってたんだけど。そっちも、強いセキュリティを張れる子がいるみたいね。なかなか、手強かったから、諦めたわ。他の子は、簡単にセキュリティを突破できたけど。あの子は、誰?」

という返事が来た。

簡単な手だ。

きっと、これは全然作戦には含まれていないんだろう。

「何で、あの子のことを知りたいの?」

「あら、私と同じようなレベルの子よ。そりゃあ、知りたいに決まっているじゃない。」

リンティって本当に、メールを書くのが早いよね。

私はちょっと呆れながらメールを打った。

「全部は教えられないけどいい?」

リンティはまたすぐにメールを打った。

「ええ、いいわよ。これはあくまでも私の興味だし。」

これはリンティが立てた作戦みたいな感じではなさそう。

まぁ、個人情報を教えてもらうための罠の可能性もあるけど。

私は、

「ちょっと待ってて、許可を取ってくる。」

というメッセージを打ち込み、送信するとさきの机まで走っていって言った。

「さき、ちょっとだけ、ばれないように個人情報を言ってもいい?」

さきは、手を止めずに振り返って言った。

「名前とかは、ちゃんと変えてちょうだい。私の皐月っていう名前さえ出さなければ、あとはキミコがどうしても構わないわ。ちなみに、さきっていう偽名も、もうこの世界ではばれているかもしれないから、念の為適当な漢字を使って。」

私は、再び机に戻るとさきの個人情報があまりばれないようになんども修正しながらメールを書いた。

「早希は小さい頃からネットワークに強かった子なの。それで、今は丈夫なセキュリティを張れるようになったんだ。だから、リンティも手こずってるんじゃない?」

早希っていう名前を編み出すのはけっこう難しかった。

一瞬、咲希とか、沙紀とかいろいろ考えちゃったもん。

でも、早希の方がやっぱり、いい感じ。

しばらく、リンティからの返答はなかったけれど、やがてメールが送られてきた。

「ごめんなさい。その名前、読みがなを書いてくれる?ちょっとわからないから。」

もしかしたら、罠かもしれない。

私は、注意しながらメッセージを作っていった。

「読みがなは、さき。でも、インターネットの天才っていうことと、名前くらいしか私からは教えられない。実際、私と早希は、まだ出会ってから1カ月くらいしか、経ってないんだ。だから、私は早希のことをまだそんなに知らないし、早希も私のことはそんなに知らない。でも、だんだんお互いのことを知れるようになってきたから、もしかしたらまた新しい情報が入るかも。」

と書いた。

しばらくすると、リンティからメールが来た。

今回は、かなり時間が掛かっている。

さっき出したメッセージ、かなり長い文章だから、もしかしたら読むのに時間が掛かったのかな?

そう思いながら、私はパソコンの画面を見た。

「早希ね。オッケー。インターネットの天才なら、私ともやり合えるって事ね。プログラミング会社の100倍はセキュリティが張れるタイプかしら。プログラミング会社のセキュリティを突破するのは簡単すぎてつまらないもの。油断してたけどまさかこんな反撃をするなんて思ってもなかったわ。」

私は、次々にキーボードを打っていった。

この前、調べ物をしたときにキーボードを打つのは早くなったんだろう。

まるで流れるようにキーボードを押せる。

「プログラミング会社のセキュリティを突破するのが簡単ってどういうこと?」

リンティは、今度は一瞬で返信してくれた。

「プログラミング会社のセキュリティを突破するのはすごく難しいっていう噂が、この世界には流れているの。」

私はすぐに返信を打った。

まあ、それはそうだよね。

たった4文字なんだから。

「それで?」

だけだもん。

簡単すぎてつまらないくらい。

するとリンティから、

「それで、セキュリティを突破しようとしたんだけど、もう本当に簡単すぎて。びっくりしたわよ。セキュリティを突破するっていうのが難しいっていう噂が今、一瞬でぶち壊されたんだから。」

という余裕たっぷりの返事が来た。

ううっ、全然情報が探れない…………

私はもう一度、質問を投げかけてみた。

「リンティ、何で、プログラミング会社のセキュリティを突破しようとしたの?というか、セキュリティを突破するのが難しいっていうのは本当で、リンティのセキュリティ突破能力がすごすぎるから、リンティには朝飯前に感じたんじゃないの?」

「まず、2番目の質問の答え。あの簡単すぎるセキュリティは誰でも突破できるはずよ。りんかでも、プログラミング会社のセキュリティは突破できるはず。ちょっと難しいかもしれないけどね。」

「わかった。なら、マーサにやってもらう。マーサは全然インターネットに詳しくないから。」

マーサは、まさもの偽名。

ごめん、まさも。

勝手に偽名を作っちゃった。

そう、心の中で謝っていると、メールが来た。

「インターネットに全然詳しくない人がやっても、意味がないわ。さき以外の人がやればいいんじゃない?」

と返事をした。

確かに。

私は小さく頷いた。

「リンティ。ちょっと、仲間を呼んでくるから、待っててくれる?」

「もちろん。じゃあ、私もちょっと準備するわ。あなた達がセキュリティを突破した時の通知をセットするから。それと、後で話があるの。よろしくね。」

よしっ。

私は、ちょっと休憩しているしずきの所へ行った。

「しずき。プログラミング会社のセキュリティを突破してみて。リンティが教えてくれた情報が無駄になっちゃう。」

しずきは、首をかしげると手を止めて言った。

「リンティ?天才ハッカーの名前かしら?キミコ、もしかして名前がわかったの?っていうか、いきなりプログラミング会社のセキュリティを突破しろって、どういうことなのよ。なんでそんなことをするの?どうすれば、そんなことができるの?プログラミング会社のセキュリティは厳しいのよ。」

ストップ、しずき!

私は、しずきにお願いした。

「しずき、お願いだから、プログラミング会社のセキュリティを突破して。後で、訳はちゃんと説明するから。」

しずきは、何か思い出したように自分のパソコンの所に戻っていった。

そして、私はリンティとのメールアプリを開いた。

「リンティ。今、リンティが夜中に会ったこと同一人物の子に、プログラミング会社のセキュリティ突破をお願いした。多分、あの子なら突破できるはず。」

すぐに、リンティからのコメントが来た。

「りんか。1つ、やってみない?あなたのパソコンのアプリ、ビデオ会話アプリがあるでしょ?今から、そのアプリのブロックを解除するわ。だから、それでちょっと実際におしゃべりしない?」

えっ!?

私はびっくりしながらも、震える手で返信を書いた。

「オッケー。でも、みんなにビデオ会話アプリを使っているのがばれないようにしてほしいっていうのが条件。できる?」

「もちろん。このビデオ会話アプリの証拠は全部削除するわ。あと、このビデオ会話アプリのことを話したことも、全部証拠をなくすから。でも、そのかわり内容はちゃんと覚えておいて。」

私は作戦を思いつくと、みんなが見ていないのを確認して急いでキーボードを打った。

「リンティ。じゃあ、私のパソコンのビデオ会話アプリのブロックを解除して。あと、この会話は全部消してね。」

よし。

これでオッケーだ。

私は、さきに言った。

「ちょっとトイレ行ってくるね。ちょっとお腹が痛くて。しばらくトイレにいるけど、心配しないで。あのキスされた子に、挑発されて、お腹がすいて、たくさん食べて、水も飲んで。そうしたら、ちょっとそれが原因でお腹が痛くなっちゃったんだ。だから、調子が悪すぎたらちょっとベットで休んでるかも。そみこ達にも言ってくれる?心配かけるのは嫌だから。」

さきは、

「わかったわ。しずきにプログラミング会社のセキュリティ突破をお願いしてあるわ。でも、何で、そんなことをしたの?」

と質問をしてきた。

さきも、そこは疑問点があるみたいだ。

でも、さっさと話を切り上げないと。

「ごめん、本当にお腹が痛くて。あと、しずきがセキュリティを突破したらさきはセキュリティを強くさせて。そうすれば、ここのテントのインターネットも少しは復活するかも。」

私は、そう言うとわざと転んだ。

ドシン!

大きな音がした。

さきがびっくりして固まってるのをチャンスに、私はさきの足首に盗聴器を付けた。

もしかしたらばれて確認されちゃうかもしれないけど、それは後回し。

私は、自分の部屋に行って盗聴器のヘッドセットとパソコンを取り出した後、トイレに向かった。

そして、トイレに鍵を掛けると、トイレの所にあるソファに腰をかけた。

つくづく、思うけどトイレにソファがあるなんてずいぶん贅沢だよね。

私はそう思いながらパソコンを開いた。

あった、ビデオ会話アプリ!

私はそれをいた。

その瞬間、私は気がついてしまった。

あるミスに。

しまった、これは、相手のパスワードがないと、通話ができないんだった。

私が諦めて、ダメ元でメッセージアプリのアプリの所を見ると、ブロックは解除され、メールが届いていた。

そこには、新しいアカウントが出てきて、

「りんか。新しいゲームの始まりよ。今から、私のパスワードを見つけてみて。」

というコメントがあった。

私は、慌てて返信のボタンを押した。

けれども、全然キーボードが浮かび上がらない。

どうして!?

でも、とにかくパスワードを見つけないといけない。

すると、またメッセージが来た。

「返信して、私を探ろうとするのはルール違反よ。ヒントは、このテントに隠されているわ。暗号を解いて、パスワードを見つけてちょうだい。りんかの友達の手も借りていいわ。」

私はいったんさきの盗聴器からの音をヘッドホンで聞いた。

話し声が聞こえる。

「しずき。プログラミング会社のセキュリティ突破はできた?」

この声はさきだ。

「ええ、できたわ。簡単だった。私、ちょっとこの会社のセキュリティを強くするわね。さいとは、もうあの天才ハッカーが近づけないように丈夫なセキュリティを張るのをできるところまでやって。それから、さきは、さいとがもうできない所をやってちょうだい。」

しずきが、次々に指示を出していく。

みんな、リンティに負けないように頑張ってるんだ。

私1人で、あのパスワードを見つけないと。

私も、戦わないと!

私は、早速自分の部屋に行き、いろいろおかしな所がないか探し回った。

あれ?

なんか、くぼみがある。

私はそれを押してみた。

すると、ゴゴゴゴゴ…………

という地響きと共に中に小さな穴が開いた。

ちょうど、私がギリギリ通れる穴だ。

私は、懐中電灯を持って、穴の中に入っていった。

そして、進んでみると、小さな箱があった。

そこには、ダイヤル錠がある。

そして、横には小さなやぶれかけた紙が。

私は、その紙を手に取ってみた。

そこには、

「よくたどり着いたわね。ダイヤル錠を開けるヒントは、『青会話でビリプ』よ。暗号でもよく使われる、5文字のあれよ。」

5文字。

うう、今すぐ、インターネットで調べたい!

私は、こぼれ落ちてきた涙をぬぐった。

これ、もしかしたら、リンティが書いたっていう、決定的な証拠になるかもしれない。

大事に持っていなきゃ。

どうすれば、調べられる?

あ。

図書館!

私は、ヒントを持ちながら、この隠し扉を閉めて、図書館の所へ行こうとして、足を止めた。

あの図書館は、パソコンの部屋を通り過ぎないといけない。

ということは、さきに見つかってしまう。

どうしよう。

よし。

私は、勇気を出してパソコンの部屋に入った。

元気そうな私を見て、さき達はびっくりしたように目をぱちくりさせる。

さきは、

「キミコ。お腹が痛いのは治ったの?」

と聞いてきた。

私は、

「ちょっとしたら治ったんだ。でも、お気に入りのお守りをなくしちゃって、そみこに預けてたかもしれないから、そみこがいった部屋を片っ端から調べて、昨日行った図書館が怪しいなって思って。だから、そみこがいたバイトの場所を調べてみる。」

と言い訳した。

ごめんね、さき。

そして、さきの足に着いた盗聴器を見た。

「何これ?シール?ああ、そうだ。これ、マジックペンで好きな絵が描けるようになっている私のシールだ。きっと、パソコンの部屋に行くときにくっついて落ちちゃったんだね。それが、さきの足首にくっついたのかも。」

さきは、足首からシールをとると私に差し出してきた。

私はポケットに盗聴器を入れると、図書館の鍵を開けて、扉を閉めた。

そして、暗号のコーナーに行った。

あった。

ここだ。

私が、頑張らないといけない。

私は、暗号辞典というのを見つけた。

私は、5文字の所を探してみる。

最初にあったのは、アナグラム。

そうだ。これなら、あれもアナグラムで変えれるかもしれない。

私は、アナグラムのことを調べた。

アナグラムは、文字を入れたりするものらしい。

長い文の方が大変で、漢字などの場合は、ひらがなに変えたりして、それを入れ替える感じ。

私は、アナグラムのことをさらに調べた。

よし。

オッケーだ。

全部頭に入った。

でも、また図書館を利用することがあるかもしれない。

なら、ちょっと本を持ち出していこう。

私は、暗号の本を持って図書館を出た。

さき達は、本を持って出た私にびっくりしている。

「キミコ。その暗号の本って…………」

私は、苦し紛れの言い訳をした。

「帰る途中に、ちょっと面白い模様が描かれた本があったから、いったん借りるね。」

しずきは、首をかしげた。

「キミコ、何か隠してるんじゃないの?さっきから、なんか変よ。図書館で、本を持って行くなんて、キミコらしくないもの。図書館なんてなければいい、なんて言っているキミコが、そんなことをするなんて、ちょっと気味が悪いわ。」

うう、しずき。

あんまり探らないで。

私は、ロボットみたいにカチコチになった手を振った。

しずきは不思議そうだ。

「キミコ。やっぱり何かあったのね。私達に隠し事なんて、キミコらしくないわよ。」

「隠し事なんて、してるわけないじゃん。さき、セキュリティを強化する仕事をした方がいいんじゃない?別に、私、隠し事なんてしてないよ。」

しずきは強引に私の部屋へと入ってしまった。

あああっ、しまった!

秘密の穴、まだ扉閉めてなかった!

やばい、しずきたちについにばれる!

しずきはしばらく穴を見つめていたけれど、やがて私達の所に来た。

そして、ため息をつく。

「キミコ。隠していたのは、この穴だったのね。きっと、私達にはハッカーとの戦いがあるから、自分だけで全部解決しようって思ってたんでしょ?」

私は何も言えない。

しずきについてきていたさきは、穴をじっと見つめていた。

「キミコ、そんな大変なことがあったなら、私達に助けを求めればいいのに。私は、キミコが隠し事をして、私達から離れていってしまうのが、一番、嫌。だって、私達はキミコの友達なんだから。困った時には、なおさら私達を頼ってほしかったのに。」

「なら、私としずきがキミコと一緒に暗号を解いたりしよう。それで、さきはセキュリティの強化する仕事を頼めるかな?1人だから多分しばらく大変だと思うけど、そのうち、そみこやまさもが帰ってくる。それで、しずきはそみこ、さきといっしょに、セキュリティ強化の仕事をしてくれないかな。」

さいとは言った。

もう、全て話そう。

みんなを、困らせたくない。

私は、ベットに腰を掛けた。

そして話し始めた。

「最初は、普通にリンティとのメール会話をしていたの。それで、ビデオ会話アプリで、一緒に話そうって言われて。それで、特別にそのアプリだけ、解除してもらって、リンティと仲が良くなった所を見られたら、怒られると思って、トイレに行ってくるって言って、それでビデオ会話のアプリを開こうとしたの。でも、相手のパスワードが必要だったの。それで、メール会話アプリを開いたら、暗号を解いてパスワードを見つけろっていうメッセージが出てきたんだ。それで、色々調べたら、穴が開いてる部分だけ、他の壁とは違ったから、押してみて、それで中に入ったら、ダイヤルを回さないと開かないようになっている箱があって、それで近くに落ちていたのが、この紙だったんだ。」

私は、アナグラムの紙をみんなに見せた。

「それで、暗号の図鑑を読みに行ったってわけ。本当は、インターネットを使いたかったけれど、使えないから。」

「なるほどね。全部繋がったわ。それで、アナグラムで暗号を解けばいいのね。なら、ちょっとパソコンを使いましょう。今ちょうど、さきがセキュリティを強化したパソコンがあって。それなら、文字を入れ替えるアプリがあるから、それで調べられるわ。ちょっと待ってて。調べてくる。キミコは、穴の中を探索して。それで、さいとは穴には入れないと思うから、外でキミコが大丈夫か見ておいて。」

と言って、駆け出した。

私は、ロープを取り出して自分の腰に付け、もう一つをさいとに持ってもらった。

そして、私は床に這い配ってゆっくり進んでいった。

特に変わったところはない。

私は、ついに行き止まりの所まで来た。

そして、ダイヤルを見てみる。

ダイヤルには、る、び、ば、く、ぽ、り、しゃ、き、わ、んの文字がある。

私は、箱の下の地面を見てみた。

何もない。

その時、しずきの声がした。

「暗号が解けたわよ!」

私は、部屋に戻ることにした。

私は戻ろうとして、地面を来た方向とは逆に進んでいく。

そして、出口の周りを見てみた。

ん?

なんか紙みたいなのがある。

私は紙が破けないようにそっと取り出した。

そこには、英語みたいなので

「saisyonomoziwomitukerubesi」

と、とても小さい字で書いてあった。

もう、読みたくない!

私はひとまず外に出た。

すると、しずきが私達にメモを見せた。

「見て、この暗号クイズ、答えはビデオ会話アプリよ!」

やった。

暗号が解けた!

このメモ、必要ないんじゃない?

私はビリビリと破いてゴミ箱に捨てた。

しずきは、

「それで、暗号を解いたら文字を入力するのよね?」

と言って、穴の中に入っていった。

そして、

「あなた、だれ!?助けて、やめて!」

と叫んだ後、いなくなってしまった。

そんな、しずき!

私は青ざめた。

しずき。

しずきは、何回もとらわれの身になっている。

やっと、あのターコって名乗る人から自由になったと思えば、今度はリンティにまんまと捕まえられちゃうなんて。

でも、ここでくよくよしている場合じゃない。

しずきを助ける為にも、暗号を解かなきゃ!

私は、穴の中に入って箱を取りに行った。

そして、箱の上の紙を手に取った。

「ダイヤルは、一度入力を間違えるとどんな方法でも開かなくなる」

と書いてあった。

これじゃあ、当てずっぽうに入力するわけにもいかない。

もしかしたら、あのメモにヒントがあるのかも!

私は急いでさっき捨ててしまった紙を拾って、テープでつないだ。

そしてさいとに見せる。

さいとは、ため息をついた。

「キミコ。ローマ字は習ったんじゃなかったっけ?」

「習ったけど。もしかしてこれは、シンプルにローマ字で読めばいいの?えっと、最初の文字…………?最初の文字を入力すればいいんだ!」

私はダイヤルに文字を入力した。

すると、カチッと音がして箱の鍵が開いたような音が響いた。

箱を開けてみると、紙が入っていた。

「キッチン」

と書かれている。

私とさいとはまじまじと紙を見た。

「まだ、暗号を解かなきゃいけないの!?」

私は悲鳴をあげる。

さいとは、肩をすくめて

「そのようだね。」

と言った。

そして、私達はため息をついたのだ。

私とさいとは、キッチンの方へ行った。

そしていろいろ引き出しを開けたりして、調べまくった。

さいとは、

「見つからないね。私が、図書館に行って役に立ちそうな本を見つけてくる。キミコは、リュックサックを持ってきて暗号の図鑑を入れてくれるかな?」

と言った。

私はこくりと頷くと、自分の部屋に行った。

そして、リュックサックを見つけて暗号の図鑑を入れた。

ついでにロープ、毛布、懐中電灯、食べ物、服も詰め込む。

そして、さいとのリュックサックもとってきて、また同じ物を探してリュックサックに入れた。

よし、これでオッケー。

私は、ブレスレットもつけた。

さいとのブレスレットはさいとのリュックサックに入れた。

私は、キッチンの前でさいとを待った。

しばらくすると、さいとが本を抱えて戻ってきた。

私は本のタイトルにざっと目を通す。

「暗号がよく見つかる所」

「仕掛け大図鑑」

など。

今私が持っている暗号の図鑑を合わせて8冊。

私は4冊、本をリュックサックに入れた。

私が持っているのは、

「暗号図鑑」

「暗号がよく見つかる場所」

「仕掛け大図鑑」

「暗号の解き方ブック」

だ。

私とさいとは、早速暗号がよく見つかる場所の本と仕掛け大図鑑を調べた。

さいとは、それを全部実行している。

私も、それをどんどんやってみる。

そして、

「割れ目があるところは、暗号の道に繋がっているかもしれない」

というところを実行する。

すると、1つ、不自然な地面の切れ目を見つけた。

私は、本でさらに調べていく。

「割れ目を見つけたら、まず、慎重に引っ張ってみると良い。そして、もし開いたら、その道を進むといいだろう。」

なんか、偉そうな文章だなあ。

まるで、あの本やテレビみたいだ。

私は、割れ目に手を掛けて、引っ張ってみた。

すると、思ったよりも簡単に床板が開き、私は転んでしまった。

さいとは、私を助け起こしてから言った。

「まさか、そんなところに道があったとは。じゃあ、慎重に進もう。念の為、床板は開けておいてね。もしだれかに追いかけられて、これが開かなかったら捕まってしまうからね。」

私は、懐中電灯の電池を付けて床下に行く。

さいとも、後に続いた。

私達は、永遠に続きそうな道を一歩一歩、進んでいく。

そして、行き止まりになった。

「えっ!?」

私は思わず声を出してしまった。

やばい、敵に気づかれちゃうかも!

すると…………

ヒタヒタ。

足音が聞こえる。

しかも後ろから。

私は、ぱっと振り向く。

さいとも、立ち止まって振り返る。

私は、ブレスレットを出すようにさいとに合図した。

さいとは、ブレスレットで氷結晶攻撃魔法を選ぶ。

すると、さいとの手に結晶が浮かび上がる。

私も、トゲラの棒を手に取り、時計も手に取った。

だんだん、足音が近くなってくる。

私は、穴の壁に張り付く。

そうだ、懐中電灯を止めないと。

ここに私達がいることを知られてはいけない。

私は、ブレスレットの中に入っているパチンコ用の石を取り出す。

そして、思いっきり投げた。

お願い、敵にぶつからないで。

すると、遠くでコンッと音が響き、敵は方向を変えて出口の方へいた。

よし。

私は、ゆっくりと移動する。

気配を消すのって、難しい。

さいとは、足元の地面を触っている。

私も、地面を触ってみる。

ぬめぬめしてる。

地下だから、雨は降らないはずだし。

それに、最初の頃の土は乾いていたような気がするんだけど…………

さいとは、リュックサックからビニール袋を取り出す。

そこの土は、乾燥している。

さいとは、

「これはさっき、入り口の方でとってきた土だ。だけど、ここの土はぬれている。だから、暗号のヒントなのかなって思っているんだ。」

と小声で言ってくれた。

私は、天井の方へ登っていく。

そして、なんとか天井に張り付いた。

私は、他の子達と違って、特別な訓練を受けてるんだから。

たとえ、土がぬれていても、私は落ちない。

私は、慎重に天井を掘る。

すると、鉄格子が現れた。

私は、どんどん掘っていった。

岩があったら、私は慎重に抜く。

そして、また慎重に壁を伝って降りる。

さいとは、地面に目を近づけている。

しかも、目が良くなることができるめがねを使って。

私は不思議に思ってさいとのそばに行った。

「さいと、どうしたの?」

「キミコ。ここは、まだ相手の顔が見える。だから、どこかに別の光があると思うんだ。しかも、ちょっと、ピカピカ点滅していたんだ。それで、モールス信号だなって思って、それをモールス信号に置き換えたら…………恐ろしいことがわかったんだ。」

私は、ごくりと唾を飲んだ。

さいとは続ける。

「モールス信号の文は、『SOS しずき、まさも、そみこが囚われた。早く、助けて。ビデオ会話で情報を教える。』だったんだ。まさもとそみこは、きっと帰り道、しずきを襲った人物と同じやつらが襲ったんだろう。」

そんな。

私は、鉄格子をきっと見る。

「さいと、しずきたちを救いに行こう。」

さいとはうなずいて、ゆっくりと壁を登っていった。

そして、私は鉄格子を外した。

さいとは、少し怖がっている。

私は、

「壁に張り付くのが怖いなら、鉄格子にぶら下がればいいよ。たぶん、ギリギリさいとは支えられると思う。だから、行こう。」

と言った。

さいとは、壁を蹴ってジャンプした。

そして、鉄格子に飛び移る。

鉄格子は、少し曲がっている。

私は小さな声でささやいた。

「さいと、早く!もうそんなにもたない!」

さいとは、そのまま穴の中にジャンプして入った。

私は、そのまま鉄格子の中に入る。

そして、土で鉄格子を隠した。

私は、床に張り付いて移動する。

リュックサックを、もう背負うことができないくらい狭い。

私はリュックサックを前に押して進むことにする。

さいとは、懐中電灯をつける。

「キミコ、ヘッドライトってあるかな?」

私は、リュックサックの中を探る。

すると、ヘッドライトが出てきた。

この前、入れっぱなしにしてたヘッドライトがあった!

私は、予備の二つ目をさいとに渡す。

さいとは、ヘッドライトをつける。

私は、ゆっくりと前に進み始めた。

進むにつれて、崖みたいな所も出てきた。

また、崖だ。

もう、呼吸するのも難しくなっている。

私は、いったん休憩した。

さいとは、

「キミコ。少し休憩しよう。食べ物はあるかな?」

と言った。

私は、

「サバの缶詰と、チキンの残りがある。」

と答えた。

さいとは、チキンをパクッと食べる。

私は、チキンを食べ終わると、ロープを腰に付けた。

これなら、いつでも攻撃ができる。

ブレスレットがなくなっても。

それにしても、すごく寒い。

私は、ジャケットを羽織る。

そして、さいとが食べている間、毛布にくるまって待っていた。

さいとは食べ終わると、水を一口のみ、出発した。

さき達も頑張って!

私も、さいと一緒に、頑張るから。

きっと、しずきを助け出してみせる。

メリット
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第22章:リンティの関門をクリアせよ!

はあはあ。

私とさいとは、どんどん道を進んでいく。

洞窟みたいな場所だなあ。

私はそんなことを思う。

すると、後ろから声が聞こえてきた。

「おまえ。どうやらリンティ様はりんかと名乗る奴と友達になったみたいだ。リンティ様はもう、俺たちのことはどうでもいいらしい。もう、リンティ様は裏切ってやる。そして、りんか達を片付けた後、リンティ様のところへ持っていって、褒美のお宝の地図をくれたら、もうリンティ様なんかのそばにいる必要はない。リンティ様は、宝の秘密を知っている人物。あいつは、さっさと片付けないといけない。」

かなり近い!

さいとは、

「崖の下にいるようだ。さっきの休憩の時、かなり近くまで追いついてしまったんだろう。早く移動しなければいけない。もう、さっきの石の作戦は通じないはずだ。」

と言って、どんどん進んでいく。

私も、さいとについて行った。

そして、かなり男達を引き離した頃。

道が行き止まりになった。

そして、いろいろなところを調べてみる。

もうきっと、私達が上に向かっているということは男達も知っているんだろう。

私は、さいとに

「さいと、さいとは、道を探しておいて。私は、男達を足止めできるようにする。」

と言った。

さいとはこくりと頷き、氷結晶攻撃魔法の準備をした。

私も、トゲラの棒とサッカリミリントンを準備した。

私は、サッカリミリントンの画面をさいとに見せる。

そして、

「真ん中に男達を集めて。」

と言った。

それと同時に、男達があと1個がけを上がるだけになった。

よし。

私は、トゲラの棒を構える。

すると、男達がやって来た。

男達は、

「りんかめ。よく、俺たちとリンティ様の仲を壊してくれたじゃないか。」

と言った。

私はきっぱりと言う。

「いいえ、あなたたちはきっと、宝の隠し場所をリンティに教えてもらうために、任務を達成しようとしてるんでしょ。でも、きっと、その後リンティを殺すつもりね。」

男達は、にやりと笑うと

「それまで知られているなら、手加減はしない。行くぞ!」

と言って、向かってきた。

私は、トゲラの棒を巧みに操り、どんどん男達をさいとから離れさせていく。

その時、1人の男が銃を私に突きつけてきた。

「お前。撃たれたくなければ、宝のありかを教えろ。」

私は、そっと腰に差していた光の銃を取り出す。

そして、

「いいえ。あなたたちに教えることはできない。なぜなら。」

といって言葉を切った。

そして、その次の瞬間、銃を持った奴に向けて、光の銃を発射した。

パアンッ!

破裂音が響き、辺りがカッと白く光った。

よし。

私は、光の銃を手に持ったまま、男達がいそうな所を探し、トゲラの棒を振った。

もう、目には今、頼れない。

そして、ようやく辺りが見えるようになった。

傷が付いていない男達はいない。

よし。

もう一押し。

私は、集まった男達にサッカリミリントンを浴びせる。

そして、その本ごと崖の下に突き落とした。

ちょっと捻挫とか骨折はしちゃったかもしれないけど、これくらいは勘弁してよね。

私は、壁を調べていく。

すると、カチッと音がし、ドアみたいなのが開いた。

さいとは、驚いている。

「キミコ。すごい運だね。スイッチをたまたま押せるなんて。」

私は、ドアを閉めた。

その時、暴風が吹いた。

ここ、誰かが来たら風が出るような設定がされてある!

私の体はふわりと浮いて、飛ばされそうになる。

それをさいとが止めてくれた。

さいとの体もちょっと浮き上がりかけている。

100メートルくらい向こうにドアがある。

あんな遠くにあるドアまでいける自信がないよ。

しかも、風が吹く装置の所は、バチバチと火花が散っていて、感電しそうだ。

手を放したら終わりだ。

私は、必死に手すりにしがみつく。

汗で手すりがぬるぬる滑り、離してしまいそうになる。

その瞬間、私は手を離してしまった。

はっと気がついたさいとが、私を引き留めてくれる。

なんで、この部屋、こんなに天井が低いの!?

私は、さいとの手を必死で握った。

死にたくない。

しずきを、助け出したい。

私は、そう思いながら必死で手すりに体を近づけていった。

やがて、体がやっと元の位置に戻った。

さいとは、ゆっくりと進んでいく。

私の体は再び九十度くらい浮き上がっている。

ううっ。

私は、手だけで移動する。

けれども、片手を放す度に、体がぐいっと風の吹く装置の方に持っていかれそうになる。

さいとも、少し足が浮き上がっている。

助けて!

私は叫びたくなる。

そして、疲れた腕をムリヤリ使う。

その時、体がぐいっと引かれて片手を放してしまった。

やばい、もう少しで足が装置に着いちゃう。

感電しちゃうよ!

そのまま、もう片方の手も放しそうになっている。

さいとも必死で戻っているけれど、間に合わない。

どうしよう。

もう、ダメ。

ごめんね、しずき。

そみこ、まさも。

迎えに行けなくて。

その時、さいとが手を離した。

さいと!

「さいと!!!!や、やめて!」

思わず、涙がこぼれた。

その涙さえ、あの電撃装置に焼かれ、消えてなくなる。

さいとは、思いっきり体をひねる。

そして、片手だけ手すりにつかまり、もう一回さっきと同じ事をして私の所に来た。

そして、私の片方の手を掴んでくれた。

あっ!

髪の毛を結んでいるゴムが緩むのが感じられた。

そして、ゴムが飛ばされそうになる。

ダメ!

けれども、私がゴムを掴もうとする前に、ゴムは電撃装置に向かって飛ばされてしまった。

バリバリバリッ!

耳をつんざくような轟音が響き渡り、ゴムが焼けて黒くなった。

私の、私のお気に入りのゴムなのに…………

けれども、炭になって床に落ちるのを電撃装置は認めてくれない。

バリバリと、ずっとゴムを炭になるまで、焼き続ける。

そして、炭は電撃装置の向こうに飛ばされていった。

私の、ゴムが…………

その時、もう一つのゴムも飛ばされた。

私は、急いで掴まえた。

その瞬間、手首に電気が当たった。

それと同時に、もう一つの焼け焦げてしまったゴムの炭のかけらが、私の手にこぼれ落ちた。

ちょっと待って、今、手首に電気が当たった?

それに気がついた途端、体中に電気が走った。

ビリビリビリ…………

「きゃああああっ!」

私は悲鳴をあげた。

すさまじい、電気の力

その瞬間、手首が引っ張れた。

そして、電撃装置から引き離される。

よか、った…………

私は、無事な方のゴムと炭のかけらをリュックサックの中に素早く入れた。

そして、さいとの方を見る。

さいとは、髪の毛をもうとっくにほどいていた。

きれい。

さいとは、いつも、きれい。

でも、短くてもふんわりとした髪の毛は、心が落ちつく。

そうだ。

しずき、そみこ、まさも。みんなを救わないと。

私は、決心してさっきのさいとがやったような技をやって前に進んでみた。

やった。

結構危険な技だけど、これならギリギリいける。

私はどんどんそれを繰り返し、扉を開けた。

そして、さいとがやって来るとすぐに扉を閉めた。

私達は床を転がる。

やっと、関門がクリアできた。

その時、ポトンと上から機械が落ちてきた。

なんだろう?

私は拾ってみる。

トランシーバーかな?

私は、それの電源を付けてみる。

すると、画面に

「どの携帯にしますか?」

と表示されて、キラキラしたラメが着いている黄色の携帯と、レモンの模様がある携帯が表示された。

どうやら、これは携帯らしい。

私は、ラメがある携帯を選ぶ。

すると、ポンッと携帯が破裂して、ラメの携帯に切り替わった。

私は、また携帯の電源を付ける。

すると、いろいろなアプリが並んでいるのが見えた。

さいとはどんな携帯にしたんだろう?

さいとを見てみると、さいとはレモンの柄の携帯を選んでいた。

私は、マップアプリをタップしてみる。

すると、ピッと音がして、アプリが開く。

そして、現在地が表示された。

私は、そこに表示されている写真を押してみる。

すると、写真が大きく表示された。

そして、そこには矢印がある。

私は、試しに左を向いている矢印を押してみた。

すると、ピッと音がし、画像が左に進んだ。

なるほどね。

さいとは、自分も早速試している。

私はさいとに言った。

「さいと。いったん、携帯で色々調べてみよう。

それから、音量を変えることができる所ってある?」

さいとは応える。

「うん、横のボタンが付いている。そこを押して、それで音量設定ができるみたいだよ。」

よし。

私は、音量設定で何かをタップすると音が鳴る設定を止めた。

私は、さらに調べていく。

その時、上からひらりと古びた紙が落ちてきた。

私は、それを拾って見てみる。

紙は地図だった。

私は、現在地に矢印を戻し、地図でヒントがありそうな所にたどり着いた。

そこに行くまでに、何人か男が見つかった。

どの男も、さっきとはちがい、ちゃんと対抗力がありそうだ。

私はヒントの所を調べだした。

すると、土が膨らんでいることに気がついた。

さいともそれを見ていた。

さいとは、

「よし、行こうか。さっきよりも強そうなやつが何人かいるけれど、全員1人だから、きっと大丈夫だろう。」

と言った。

私は、現在地の所まで矢印を動かす。

本当は、現在地ボタンで矢印を移動させようと思ってたけど、やっぱり、確認のためにタップで移動させた。

その途中、道に檻がセットされていた。

そして、ちょっと不思議に思いつつも、私は矢印を進める。

あれ。

誰かいる。

あっ。

そみこだ!

そみこは、男に捕まって無理矢理歩かされている。

男は、そみこを檻の中に押し込め、鍵を掛けてしまった。

そみこは、ぶるぶる震えている。

はやく移動しなきゃ。

そう思って、一歩足を踏み出したとき。

「おまえら。まさか、俺のことを忘れているんじゃないだろうな。」

誰?

男はスタンガンを持っている。

今にも火花が私に届きそうだ。

もう、しょうがないな!

私は、思いっきり男の足に蹴りを食らわした。

そして、スタンガンを奪い、次々に他の奴も気絶させて、最後にさいとの氷結晶攻撃魔法で作った檻とサッカリミリントンでもう出てこれないようにガードした。

これで、しばらくは時間を稼げるはず。

私とさいとは駆け出した。

そみこ達を助けないと、いけない。

私達は、地図通りに早足で歩いて行く。

すると、ザッと音がし、剣を持った男が1人、私達の前に立ち塞がった。

「おまえ達。さっさと、諦めてもらおうか!」

私は、

「嫌!私は諦めない。」

と断った。

男は、こっちに向かってくる。

私は、トゲラの棒で剣の攻撃を受け流す。

さいともお願い。

さいとは、自分で作った、弓矢をとりだした。

しかも、矢はないから、男は油断する。

「おまえ、矢がないのに弓だけであらがうわけか?情けないな。」

さいとは、さいとで特別な技があるんだから。

さいとは、氷結晶守備魔法を選択する。

私は男と戦って時間を稼ぐ。

そして、男はジャンプして私に剣を向けてきた。

私は、棒で頑張って受け流した。

よし。

私は、勢いに負けずに、思いっきり男の方を押していく。

男の方も、本気でこっちに押していく。

私は、思いっきり棒を押した後、さっとジャンプして剣から棒を放した。

すると、本気で押していた男は床に頭を激突。

けれども、すぐに起き上がる。

すると、ヒュン!

さいとが作った氷結晶守備魔法の矢バージョンが男のお腹に刺さる。

そして、続けて何本も男の方に向かってきた。

よし。

さいと!

私は、氷が溶けた後、男に噴水攻撃をした。

男の傷口に、水が入り込む。

すると、男は痛さのあまり気絶してしまった。

そして、光の檻を男のところにかぶせる。

よし、これでオッケー。

だいぶ痛むと思うけど、まあそこらへんは自業自得だもんね。

私とさいとは地図通りにどんどん進んでいく。

すると、また男がいた。

まだ、こっちには気づいていない。

うう、こんな時こそ、読心術が使えたらいいのに!

と思う。

読心術っていうのは、口の動きを読み取って言葉を理解する技。

まだ、私はマスターしていないんだ。

最近、特訓してるんだけどね。まだ、うまく読み取れなくて5回に1回くらいしか成功しない。

でも、さいとなら伝わる。

私は、読心術で

「男を倒す?」

と言った。

さいとは小声で

「一旦、様子を見てみよう。もしかしたら新しい情報が得られるかもしれない。」

と言った。

よし。

私は、様子をうかがう。

さいとは、

「ここでは見つかってしまうかもしれない。足音を立てずに、岩陰に隠れよう。あそこに大きな岩がある。あそこで敵の様子を見てみよう。キミコは、持っている携帯を使って回りを調べてみてくれるかい?」

と言った。

私は、忍び足で近くの岩陰に滑り込む。

そして、早速マップアプリを開いた。

でも、マップが進むのと人間が進むのとでは、人間の方が早く、見つけた!

と思った頃は、もう手遅れ。

敵はどこにもいなくなってしまう。

私はパソコンをブレスレットから取り出そうとする。

そこで、ビデオ会話アプリのアプリをブロック解除させてもらったことを思い出した。

ダメだ。

パソコンを取り出したら、ビデオ会話アプリのブロック解除したことがさいとにばれてしまう。

私は、しかたなく携帯のマップアプリを取り出して、監視アプリを探した。

これは、自分の周りにいる敵がいると、通知がなるアプリ。

私は、監視アプリを見つけるとそれをタップした。

すると、画面に

「ブロックされました」

と出た。

こっちまで、ブロックされてるの?

最悪。

リンティの意地悪。

すると、さいとが

「キミコ。ちょっとその携帯を貸してくれ。私が、がんばってブロック解除をするから。その代わり、キミコは敵を観察してくれ。」

と言った。

私は敵の方を見てみる。

そしてじっと見ていても、敵が動きそうな気配はない。

どうみても、人間なのになあ。

私は、敵を観察する。

そして、さらにのぞき込むと、石が足に当たり、カンッと跳ね返った。

そのまま、石は茂みの中にザザッと入っていった。

やばい。ばれたかも。

私は、すばやくトゲラの武器を手に持つ。

そして、攻撃態勢をとった。

でも、敵は茂みの方を振り返り、ガサゴソと足を振り回し、誰かいないか探しただけだった。

ふう。私はほっと息をつくとしばらく男の方を見ていた。

けれども、やっぱり男は立ち尽くしている。

それにしても、この男の人、寒くないのかな?

あ、でも、中にチラチラと暖かい毛布が見えているような。

私は、毛布を取り出してぎゅっと自分の体に巻き付けた。

うう、知らない間にからだが冷え込んでたよ。

さいとの方を見てみると、さいとはせっせと携帯をあちこちタップしていた。

私も頑張らないと。

そして、またしばらく男の方を見ていると、やがてさいとが携帯を私に渡してきた。

「キミコ。できたよ。さきみたいに、丈夫なセキュリティは張れないけど、ある程度の時間稼ぎならできた。今ならもしかしたら、さきと通話できるかもしれない。さきに電話して、今の状況を伝えるんだ。」

私は、早速電話のアプリを押してみる。

よし。ちゃんと開いた。

私は、さきに電話をつなぐ。

さきは、すぐに電話に出てくれた。

私は小声で話す。

「さき。今、頑張って手がかりをどんどん探しているんだけど、今洞窟みたいな広い第一関門みたいな所にいて。それで、そのステージで使っている携帯、リンティが作ったやつみたい。だから、監視アプリがブロックされちゃって。今、さいとがブロック解除したんだけど、あんまり時間が稼げないらしくて。だから、さきにセキュリティを強くしてもらいたいの。今、敵に見つかったらまずい状況なの。だから、こんな小声でしかしゃべれないんだ。ごめんね。」

「わかったわ。じゃあセキュリティ対策をしておく。早速取りかかるわ。頑張ってね。」

さきが言った。

私は、

「うん、こっちは、そみこ、しずき、まさもを取り戻す。」

と言って電話を切った。

そして、監視アプリを使う。

すると、あちこちにここのステージのビデオが表示された。

なんか、人が増えていない?

私は、不思議に思い、ある男を特定し、その男の監視画面と、ここのステージのマップの男の位置を表示したものの左右表示画面にした。

そして、男は行き止まりの方に行く。

何なの?

行き止まりに行ったりして。

そして、男が行き止まりの壁の方に行くと、マップの方の男の現在地を表示した赤い点がなくなってしまった。

私は、びっくりしてその事をさいとに知らせた。

さいとは、今男がすり抜けていったところを、鉛筆で矢印を引き、

「ここに手がかりあり」

と書き込んだ。

私は、さいとに聞いてみる。

「あの男の情報ってつかめた?」

さいとは首を横に振る。

「いや。独り言とかは言わないタイプらしい。全然喋ってくれなくて、ちょっとロボットかと疑ったよ。」

はあ。

情報無しか。

私は、こっちの情報も共有する。

「こっちも、情報無し。でも、1つ不可解な事があったの。」

さいとは、聞いてくる。

「不可解な事って?」

「不可解な事っていうのは敵の数が増えているって事。さっきまでは、あまりいなかったけど急に増えて、おかしいなって。」

さいとは、監視カメラの映像を見ている。

「たしかに、キミコの言うとおりだ。明らかに、敵の数が増えている。きっと、さっき崖で戦った奴らがトランシーバーか何かで、あのすり抜けられる壁の中から、新しい男達を出てこさせたんだ。さっきの剣で襲いかかってきた男はまだ気絶しているから。念の為、檻の中に閉じ込めた奴を見てみてくれないかな?」

私は、監視アプリの映像を光の檻で閉じ込められている男のところにセットする。

すると、男がまだ気絶していた。

私は、監視カメラをいったんすり抜ける壁の所にセットし、さいとの方を振り返った。

「さいと。やっぱり、檻に閉じ込められている方の男は気絶してた。これからどうする?」

さいとは、

「こんなに敵がいるなら、私達が見つかるのも時間の問題だ。ちょっと危ないところのマップを表示させるから、ちょっと待っていて。私の携帯を使うことにするよ。レモンの柄の方が好きだからね。」

と言って、携帯の電源をつけ、少し操作すると、危険な場所のマップが開いた。

赤い点が大量にある。

私が

「何人敵はいるの?」

と聞くと、さいとは、

「結構いる。少なくとも、30人くらいはいそうだ。危険が少ないルートを考えるから、ちょっと待っててくれ。」

と言って、考え始めた。

私は、自分の周りに人が入ったら、通知が出るという設定にした。

ただ、音は出ずに少しだけ携帯が明るく光るだけだけど。

そして、すり抜ける壁の所を監視する。

すると、さいとが鉛筆で線を書き終え、私に声を掛けた。

「準備ができたよ。キミコ、キミコが持っているのは、光の銃と噴水攻撃魔法シール、鉄の棒、光の檻だね。私のは、氷結晶守備魔法、氷結晶攻撃魔法だ。あと、鉄の棒も持っている。よし、キミコ。冒険の服に着替えよう。ちょっと待ってて。」

さいとは、ブレスレットを操作する。

すると、私の体が一瞬光に包まれ、新しい服になった。

暖かいコートの下には、銀色の結晶の刺繍が縫ってある冬っぽい水色の長袖のワンピース。その上には、ボレロも羽織っているから、全然寒くない。

しかも、ワンピースは袖の所がだんだんと薄くなっていくという、いかにも美しいワンピースだった。

結晶は目を見張るような美しさを出し、キラキラと光っている。

そして、私がいつもはいているミニスカートは、ワンピースと繋がっており、雪みたいな真っ白な色になり、裾にはふわふわ、もふもふの雪色のファー(ポンポンみたいなもの)が付いている。しかも、そのふわふわのところには、銀色の粉みたいなのが散っていて、凄くかわいいくんっている。

そして、髪の毛のゴムは、シルバーのリボン。

でも、濃い、ギラギラした銀色じゃなくて、ちょっと薄めの銀色。

シュシュっぽくてふわふわしている。

さいとは、髪の毛を後ろでポニーテールにした髪型。

しかも、そのゴムはふわふわ!

私のスカートの裾とシュシュと同じふわふわのやつだ!

よし。

私は、トゲラの棒を握りしめる。

気がつくと、私の氷の結晶のワンピースの下に、噴水攻撃魔法シールが貼ってあった。

そして、私達は、腕もアームウォーマーをはめている。

アームウォーマーっていうのは、腕にはめる長い手袋みたいな防寒用具。

そして、スカートの裾にもついているふわふわが手首の方に着いていた。

ちゃんと指が動くようになっているし、すごくかわいいし。

もう、最高!

すると、いつの間にか携帯に通知が届いていた。

それを見てみると、敵がだいぶ近くに来ていた。

どうしよう!

この岩のそばだ。

私は、光の銃を腰のベルトにさし、鉄の棒をぎゅっと握りしめた。

ベルトは、いつの間にか色が銀色になっている。

ここまで来て、引き返すなんて無理。

私は、絶対にリンティに会うんだから。

リンティに会って、リンティに襲いかかろうとする危機を防がないと!

私は、携帯とマップをブレスレットに入れた。

もうすぐ、敵が来る。

さいとは、ブレスレットを操作して、氷結晶攻撃魔法の準備をした。

動くたびに、ポニーテールが揺れる。

さいと、コートの生地が薄くて水色だ!

すごくキレイ。

水色のコートには、雪の結晶の模様がついている。

敵が角を曲がる。

えいっ!

私は、敵に向かってジャンプし、襲いかかる。

すると、敵はなんとトゲラの棒をパシッと手で掴んだ。

私は、ジャンプした勢いで体が後ろになねじれ、思わず手を放してしまった。

そして、地面に叩きつけられた。

すると、さいとが氷結晶攻撃魔法で敵を襲う。

さいと、その調子。

けれども、敵は攻撃が影響する前に、ひょいっと位置を想定してよけた。

私は、また起き上がると、敵に噴水攻撃魔法を浴びせる。

敵は、それもよけてしまった。

うそ!

今までの敵とは、スケールがちがう。

私は、歯を食いしばり、男の方に向かってトゲラの棒で攻撃する。

でも、いくら攻撃してもうまく当たってくれない。

どうして!?

すると、さいとが、いつのまにか氷結晶攻撃魔法を使って、男に少しだけかすり傷を負わせた。

やった。

私も、頑張らないと。

私は、トゲラの棒で襲いかかろうと前に飛び出す。

敵は、防御しようと右によけた。

私は、途中で急ブレーキを掛け、素早く腰から光の銃を抜き、

男に向けて発射した。

男は、まぶしさに目を手でおおう。

私は、トゲラの棒で攻撃する。

でも、もう光の銃の効き目がなくなりそう。

そして、男が目を開いた瞬間、さいとが電光石火の速さで腕に付けていたブレスレットを押し、敵に向かって何かを発射させた。

すると、男は気絶してしまった。

私がさいとの方を振り返ると、さいとはブレスレットを見せていった。

「これは、さきに作ってもらったんだ。あと、そみこの手も借りてね。このブレスレットを指で触ると、指紋が認識されて、中に入れてあるそみこのハリハリミコサーの針が飛び出すんだ。だから、針が刺さった敵は、しばらくの間、気絶してしまうんだよ。」

そういうことなんだ。

針は小さかったから見えなかったわけね。

私は、男が起きてしまったときのために光の檻をかぶせた。

よし、必ず、リンティを助けるんだから!

私はそう思いながら、さいとが決定したそみこの方に向かって歩いて行ったのだった。

ガサリ。

道を歩いていると、物音がした。

そばには物がなく、隠れられない。

戦うしかないかも。

私は、さいとと目で合図すると、ジャンプして敵に襲いかかった。

敵は、地面に倒れ込む。

私は、トゲラの棒でひたすら男の体を叩きまくる。

そして、男が気絶するとさいとは、男の服を着て変装した。

さいとは、小声で私にささやく。

「キミコ、リンティにメールした方がいいかな?」

私は

「うん、1回試してみて。あと、ちょっと別々に行動した方がいいかもしれない。もしかしたら、さいとの変装がばれちゃうかも。」

と言った。

さいとはうなずいて

「そうだね。じゃあ、携帯で連絡しよう。マップも送るから、頑張って。目的地は、そみこが閉じ込められてしまっているところ。そこで、待ち合わせしよう。」

と言った。

私は、マップをコピーしてさいとに渡すと、周りに注意して歩き始めた。

さいとと違って、私は堂々と歩けない。

だから、頑張らないと。

それから、そみこと肩車をすればいい身長の男を捜さないと。

でも、まずは岩に隠れて監視アプリでちょうど良さそうな男を見つけようかな。

しばらく探してみると、ちょうど良さそうな男が見つかった。

私は、男の位置を特定するために、ちょっと設定をいじることにした。

さきみたいにはできないけど、この前そみこに教えてもらったから覚えている。

私は、スマホの所から薄っぺらい下敷きのようなタッチキーボードを印刷して、キーを打ち始めた。

カチャカチャとは音が出ないから、嬉しい。

でも、なんか小さく振動を感じる。

それに、ばれていないのは今だけ。

気をつけなくちゃ。

私は、画面を見つめる。

そこには、

「監視アプリに設定してあるアプリを初期化しますか?」

と表示されている。

私は、エンターキーに手を置いた。

男の位置を特定するには、監視アプリに設定されているプログラムを全部初期化しなければいけない。

それは、もしかしたらプログラムの組み方を一つ誤っただけで、自分達の居場所がばれてしまうかもしれないということ。

そうしたら、さいとにも危険が身に降りかかってしまう。

でも、このままじっと待っていたら、さき達も誘拐されてしまうかもしれない。

そして、さき達が誘拐されたらインターネットがもう二度と使えなくなってしまう。

このエンターキーで、全てが決まるんだ。

私は、震える手でエンターキーを押した。

すると、パッと目の前に画面が浮かび上がる。

そしてまた何か表示される。

「全てのプログラムを初期化しました。新しくプログラムを組み立ててください。」

私は画面を操作してまたプログラムを組み立てた。

今度は、男が対象になるように。

ちゃんと、自分の居場所がばれないように。

私は、男の位置を特定する。

男は、真ん中辺りにいる。

そして、謎の消える壁の所へ移動を始めている。

早く、男を襲ってそみこの方へ行かないと!

私は、地面を蹴って走り出す。

逃がしちゃダメだ。

失敗したら、あの時間が無駄になっちゃう。

私は、ついに男の背後にたどり着いた。

そして、男にサッカリミリントンを浴びせた。

男は、本の山に埋もれる。

私は気絶してしまった男の服を回収してそみこの方へ行った。

今の騒ぎで、男達が近寄ってくるはず。

その間に、そみこの方へ行かないと。

私は、男達に気づかれないようにそっと移動する。

そして、そみこが閉じ込められている所へたどり着いた。

そこでは、さいとが男達と話している。

私は、男に気づかれないように草むらを移動した。

そみこの目が、助けを求めてさいとの方へ泳いでいる。

そみこの手に、ブレスレットがない。

そみこに、武器を渡さないと。

私は、まずそみこに気づいてもらうために檻に石を投げた。

石は檻の中にうまく入る。

運試しだったけど、これで、そみこにも武器ができる。

そみこは小石に気づいた。

そして、投げられた方向に目を向ける。

でも、それには男も気づいてしまったようだ。

男は、

「今、何か変な音がしなかったか?」

と言った。

するとさいとが私の作戦に気づいて素早く言った。

「気のせいでしょう。でも、あの作戦を実行しないと。これで、ようやく世界を支配できますね。宝を手に入れれば、何でもできるはず。」

なんども、男達が宝、宝って言っているけど、宝っていったいなんなんだろう?

私は、ブレスレットを操作してそみこを解放した。

男は、そみこの方が見えない。

何とか、逃げれるはず。

そみこは、石を持って私がいる方へ行った。

そして、草むらに飛び込む。

その時に、ガサッと音がしてしまった。

私達は慌てて身を隠した。

男はついに後ろを見る。

そして、さいとに言った。

「お前、見てなかったのか!」

やばい、さいとが!

さいとは、逃げることにしたらしい。

「すいません、さっきは、私も変な音がしたなと思っただけで、何も気づきませんでした。今は、少し考えていて、目の前が見えなくなっていて。逃亡した奴を探しに行っていきます。きっと、左の方向に向かっているはずです。」

さいと、すごい言い訳がスラスラ言えるんだね。

しかも、さりげなく敵がいない方向に連れて行ってくれている。

私は、サングラスとマスクで顔を隠した。

そして、帽子と服を着てそみこと肩車をし、背が高い男のふりをした。

さいとは、いらない演技をした。

「例の計画はうまくいっていますか?」

そみこは呆れて言った。

「私ですよ。キミコと肩車をして、変装をしたんです。」

さいとは、慌てて謝ると

「じゃあ、宝のそばにも近づけるね。でも、その前に壁の所に行ってみよう。その前に、敵の警戒心をなくすためにあることをしてみないかい?」

と、いつものさいとらしくない笑顔を浮かべて言った。

「あることって?」

私は聞き返す。

さいとは、

「うその情報を流すんだよ。トランシーバーで情報を流していくんだ。そうしたら、全体に伝わるし時間も稼げる。」

と言った。

私は、賛成すると、話す内容を決めることにした。

さいとが、

「『あの奴らは、もう探検するのをやめたそうだ。ここは、難しい関門だからな。これで、宝を探すのもリンティ様を裏切るのも早くなる。全員で三手に分かれて、宝探し、ここの見張り、リンティ様の情報を集めるので分かれよう。きっと、まだリンティ様は気づいていない。ちょっとずつ裏切りに近づいていこう。』にしないかい?」

と提案した。

そみこは、反対する。

「キミコが多分失敗すると思います。私も覚えられるか、心配です。『あの奴らはもう、諦めたらしい。だから、もう追いかけるのはやめよう。さっきすごすごと立ち去るのを見かけたからな。これ以上、深入りしたらリンティ様にばれてしまう。』でいいと思います。あ、でも、敬語で喋らないと。」

そして、この内容を敬語で話すことになった。

私は服に差し込んであるトランシーバーを持って

「あの奴らは、もう、諦めたみたいです。だから、もう追いかけるのはやめましょう。さっき、すごすごと立ち去っていくのを見かけました。これ以上深入りしたら、リンティ様に情報が伝わってしまうかもしれません。そうしたら、計画が水の泡です。」

と喋った。

ちょっと言葉を追加しちゃった。

私は、最後に付け足した。

「他の人にも、ちょっと言っておいてくれませんか?」

けれども、予想外の返事が返ってきた。

「でも、奴らに帰られたら、きっとリンティ様に俺達の裏切りのお話をするだろう。追い返して、もう二度と戻らせはしない。」

やばい、どうしよう!

私はちょっと困りながらも苦し紛れの返事を返した。

「じゃあ、奴らを追いかけるのと、ここに残るの、二手に分かれませんか?そうすれば、効率よく計画を進められます。」

うそは敵にはばれなかったみたい。

普通に返事を返された。

「ああ、そうする。なら、真ん中広場に集まり、二手に分かれよう。お前は、どちらに分かれたい?」

これなら、ちゃんと答えを返せる!

私は即答した。

「あの仕掛け道にはうんざりなんです。中で見張る方の役がいいです。」

男は、

「わかった。じゃあ、真ん中広場の方へ向かってくれ。」

と言った。

私は、トランシーバーの電池を切ってさいとの方を振り返った。

さいとは、いい感じに情報を流してくれている。

あ、でも、もしかしたら広場に集まったとき、顔を調べられちゃうかも。

困ったな。

私は情報を流し終わったさいとに声を掛けた。

「さいと、真ん中広場に集まれって言われたんだけど、行ったら身元を調べられちゃうよね?」

さいとは、

「そうだね。ならいったん変装を解き、服を目立つところにおいてしばらく真ん中広場の話が聞けるところに隠れていよう。」

と言った。

私は、真ん中広場の方へ行く。

広場には、本がどさっと積もっていてそこに男が2人、寒そうに震えていた。

私は、服を脱ぎ捨て、それを男の方に投げて、茂みに身を隠した。男達はびっくりしながらも服を着た。

真ん中広場で解散した後、もう一回変装させてもらうからね。

私は、そう思いながらしばらく待った。

やがて、真ん中広場に敵が集まり始めた。

50人近くいる。

私は、耳を傾けた。

男達はやっぱり顔を調べられていった。

ふう、この作戦にして良かった。

しばらく聞いてみると、男が2人とも変装しているんじゃないかと疑われ、武器を全部錠がある箱に入れ、暗証番号を設定し、鍵を掛けてしまった。

男達は鎖でつながれている。

私達は、そっと近づいていった。

そして、さいとが催眠スプレーを男達の顔に吹き付けた。

男達は、気絶してしまった。

その間に、ささっと服を取ると、また変装した。

そして、2人の敵を別のところで鎖でつなぐと、自分達が鎖でつながれるようにした。

これで、OK。

そして、しばらくすると敵がやって来た。

私達は、言い訳をする。

「ちょっと、ぼーっとしてしまったんです。ごめんなさい。」

敵はそれを信用し、ここに残る方のチームに入れてくれた。

そして、やっと手がかりを探すことができるようになったのだった。

メリット
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第23章:そみこの異変と新たに現れた敵

私達は、やっと手がかりがあるはずの所にたどり着いた。

でも、そこには地面と草むらがあるだけ。

何も、手がかりらしき物はない。

そみこが慌てた。

「もしかして、地図が間違っていたのかもしれません!どうしましょう!」

私はそみこをなだめる。

「今までと同じ。仕掛けがあるの。だから、大丈夫だって。まずは探索しなくちゃ。」

そみこはやっと落ち着いて

「そうですね。辺りに手がかりがないか、探してみましょう。」

と言った。

さいとは、携帯を持った。

「この携帯で、何か土の変わったところを調べられる機能が付いているかもしれない。」

そみこは、少し驚いたみたい。

「携帯があるんですか?なら、もしかしたらリンティの手がかりがつかめるかもしれません。リンティは敵ですし、ここにも男がうじゃうじゃいます。男を捕まえれば、楽じゃないですか。」

私はやっと、

「リンティは敵じゃない」

という情報をそみこが聞いていなかったということを思い出した。

「あ、違うの。ここに来る前に、モールス信号を使ったリンティの敵じゃないという証拠が残っているんだ。土の中にモールス信号の発信器が埋め込まれていたみたいで、ピカピカと点滅して、私達に助けを求めていたの。」

そみこは、恨めしそうに

「いいですね。私、何も持っていないんです。全部、持ち物は敵に奪われてしまって。それにここ、ちょっと肌寒いんです。なにか羽織る物、ありますか?」

と言って、ぶるっと震える。

私は、ブレスレットでそみこを変身させた。

そみこは、ふわふわした飾りが付いているブーツとほっそりした水色のコート。

風のような刺繍が縫ってある。

しかも、首元はふわふわ。

あ、袖も、ふわふわがついてる。

そみこは、ようやく、体がちょうどいい温度になり、ほっと息をついた。

私は意見を言った。

「役割分担をした方がいいと思う。あと、持ち物もいくつかそみこにあげたりした方がいいかもしれない。それに、そみこはコートを脱いだ方がよくない?変装するから。変装してても、ブレスレットって着替えると変装できなくなっちゃうんだよね。人目の着かない場所で着替えたりしよう。」

そみこは、私を肩車したまま、あまり男達が見えない場所に身を隠し、変装道具を脱ぎ捨て、コートをぬいだあと、私のブレスレットの中に服を入れさせてもらった。

私も服を脱いで、再び変装をした。

そして、さいとと並んで見張っているふりをする。

でも、実は役割分担中。

そみこは、

「ブレスレットは、そのまま本当の持ち主が付けている方がいいと思います。私は、石を投げたりします。あと、木の棒も使うので、武器は十分です。あと、服にはベルトが着いているので、そこに木の棒や石を入れるつもりです。でも、袋が無いと、石は入れられません。」

と言って、少し困った顔になった。

私は、いったん服を脱いで服のいろいろなところを探ってみた。

すると、胸ポケットの所に巾着があるのに気づいた。

そみこはまだ気づいていない。

私はそみこに言った。

「そみこ、胸ポケットの所に巾着がある。そこに、石を入れればいいよ。」

そみこは、早速胸ポケットから巾着を取り出し、辺りの石を探し始めた。

そして、なぜかたくさんの砂と一緒に石を入れた。

そみこは、変装するのがもう、いやになった様子で、

「私達は、やっぱり元の服装で隠れてしまいましょう。もう、肩車をするのが疲れてきました。」

とため息をつく。

さいとは、少し考え込んでから

「なら、そうしよう。私は仕事をやっているふりをして、手がかりを探すことに集中する。あと、しばらくいれば情報が集まってくると思うから。じゃあ、手がかりを探してくるね。携帯のアプリも使えば、そのうち多分手がかりのヒントが見つかってくると思う。」

と言った。

私は、さっそく変装をとき、服を岩の上に置いて見つからないように気をつけながら岩のすぐそばの茂みに腰を下ろした。

その時、そみこが言った。

「キミコ。ここにたどり着く前に、何があったんですか。話を聞かせてください。私は知らないことだらけなんで。」

私は、今までの話をだいたい聞かせた。

そみこは、それを聞くと、考え込んでしまった。

私はひとまず、敵に見つからないような、角の場所などに行って落ち着いて作戦会議をすることができる場所をさがした。

あった。

角に、葉っぱが生い茂っているところがある。

私は、見つからないようにそっとその場を離れ、そみこのところへ向かった。

岩の所に行くと、そみこが男達に見つかり、必死に抵抗している姿が見えた。

でも、その抵抗ももうちょっとで無駄になる。

そみこは腕を掴まれ、足首を縛られそうになっていたところだったからだ。

私は、まだ気がつかれていない。

私は、思いっきりそみこを掴んでいる男の手に石を当てた。

男は、そみこを放す。

そみこは放された瞬間、男の体に跳び蹴りを思いっきり食らわせた。

そして、前にいた男を、思いっきり手で押しのける。

まだ、その男は傷がない。

そみこは、下から思いっきり男のあごに攻撃を食らわせ、最後に残り、慌てて逃げ出そうとした男に、回し蹴りを食らわせ、気絶させてしまった。

私はびっくりする。

「そみこ、いつのまに、そんな難しい技を身につけてたの!?」

そみこは、

「最近、夜遅くからちょっと徹夜でやっていたんです。さっきは、びっくりしてしまって抵抗できなかったけれど。でも、キミコのおかげでなんとかさらわれずに済みました。」

と私にお礼を言った。

私は、そみこを秘密基地に招待した。

そみこは、そこに葉っぱを集めて、座る場所をつくった。

そして、私はナイフで拾った枝の先をとがらせ始めた。

そみこは、頑張ってもうハッキングされ始めてしまっている携帯のハッキングを必死になくそうとしていた。

さっき、そみこはさきと話して、できるだけハッキングをなくしてもらうようにさきがそみこにお願いしたのだ。

その間に、さきは携帯にちゃんとセキュリティをかけてくれるらしい。

私は木の枝を地面に置き、パソコンを取り出すと、監視アプリを開き、元のプログラムに直した。

あらかじめ、プログラムはコピーしてある。

でも、形跡がばれないように、また新たにプログラムを作らなくちゃいけない。

それから、時間があったらセキュリティを強くしておこう。

パスワードを打たなきゃ、入れないっていうふうにしようかな。

まずは、プログラミング会社のセキュリティをしないと。

しずきが簡単だって言ってたから、多分私でもできるだろう。

私は、プログラミング会社のセキュリティを突破した。

ちょっと、簡単で拍子抜けしちゃった。

だって、プログラミング会社の社員の名前を打ち込めば、何でもできちゃうもん。

プログラミング会社の社員には、有名なプログラマーがいる。

だから、その人の名前を入力すれば、セキュリティを突破できるってわけ。

私は、プログラミング会社にあるインターネットを操作している普通の人は絶対に入り込めないような場所にたどり着いた。

そして、そのパソコンをハッキングした。

ちょっとの間だから、待っていてください!

私はそう思いながら、パソコンの別のページのところでセキュリティをつくった。

そして、そのインターネットのパソコンの所に追加した。

もちろん、これは監視アプリだけの話。

そして、私はカタカタとキーボードを打っていく。

そして、最後に

「プログラムを本当に追加しますか?」

という表示が出た。

私は、決定するエンターキーをカシャリと押した。

これで、プログラムを追加できたはず。

私は、プログラミング会社のパソコンにメッセージを送った。

名前は、りんかに変えて。

「ここの会社のセキュリティは、突破するのがとても簡単でした。新しく、セキュリティをつくった方がいいと思います。私は、ただの素人です。なのに、突破できてしまうと言うことは、セキュリティが甘いということでしょう。今すぐ、セキュリティを強くするのをお勧めします。」

これでオッケー。

私は、プログラミング会社のページを閉じると、監視アプリを開こうとした。

すると、監視アプリを開くとき、

「パスワードを設定してください。」

という表示が出た。

よし、ちゃんとプログラムは追加されたみたいだね。

これで、大丈夫。

私は監視アプリのパスワードを、なぜかまさもが覚えていた数字の列にした。

もう、聞きすぎて暗記してしまっている。

これなら、パスワードにぴったり。

私は、パスワードを打ち込むところに、すばやく

「12073307」

と打った。

これは、まさもが自分の電話番号を間違えて言ったときの番号。

それから、ずっと覚えていたらしい。

これは、私とまさもの絆の証。

でも、なんで監視アプリが開けるようになったんだろう?

それとも、開けはしないけどパスワードは決められるっていう感じかな?

私は、パソコンを閉じて携帯のメッセージアプリを開く。

そして、そこにはリンティのアドレスがあった。

私は、試しにパソコンのキーボードでリンティとのメールの所を開こうとした。

でも、開けない。

一か八かやってみたけど、ダメだったみたい。

私は、パソコンを再び開き、メッセージアプリをタップした。

そして、リンティの所を押してみる。

すると、リンティとの会話メッセージが表示された。

そして、私はキーボードで言葉を入力した。

「今、第一関門、迷路みたいな所にいる。リンティ、男達って、どんな武器を持ってる?」

しばらくすると、返事が返ってきた。

「さっき、男達に襲われそうになって、それでわかったの。もう、あの男達は止められない。あなたの方にすぐに行きたいけど、多分無理だわ。それに、ハッキングを止めようにも、1回やったハッキングはこちらではもう止められないように、設定した。だから、あのパソコンの天才の子に、影響をなくしてもらわないといけない。今は、ギリギリのところでパソコンを持って逃げ出したの。それで、今あなたにメッセージを送っているんだけど、今にも居場所がわかってしまいそう。だから、もしかしたらあなたたちが目的地に到達する前に、捕まってしまうかもしれない。最後の関門に来たら、私のいる場所がわかるように設定されている携帯があるはずよ。パスワードを打たなくちゃいけないから、そのヒントも、隠されている。でも、先に男達に見つかってしまうかもしれない。だから気をつけて。あの男達は手強いわ。だから、用心してちょうだい。私は、いつでもメッセージのやりとりをできるわけじゃないかもしれないけど、できるだけメッセージが送られてきたら、返事を返すわ。」

私は、短いメッセージを送った。

「全然、まだたどり着いていなくてごめんなさい。」

リンティからはすぐにメッセージが送られてきた。

「大丈夫。私も、少しは時間を稼げそうだから。頑張って、戦ってみせるわ。インターネットの中で。」

私も、すぐに返事を送った。

「ごめん。私、嘘をついていた。リンティが言っている天才は、さきっていう名前の子。偽名なんだけどね。でも、それで調べたら、連絡を取り合えるかもしれない。私からもさきには話をしておいたから、多分すぐに話は通じると思う。最初はさきもちょっと警戒して、あんまり話してくれないかもしれないけど。でも、情報は共有できると思う。今、さきも苦戦しているところだから、多分すぐにメッセージアプリを開いてさきが使っているパソコンにメッセージを入力すれば、連絡を取り合えれるはず。」

リンティからは、すぐにメッセージが送られた。

「りんか。じゃあ、試してみる。男達は弱点がある。必ず、探ってみたらそれが出てくるはず。」

私は、最後に隣家にメッセージを送る。

「まだゲームみたいなのをやってるの?まあ、でもヒントありがとう。今から、情報を探ってみるから。」

そして、リンティから返事が来ないのを確認すると、パソコンを閉じた。

男達の弱点。

そみこにも、聞いてみよう。

きっと、みんなで力を合わせれば、どんなことでも解決できるはず!

「キミコ。何か、ヒントを得られましたか?」

とそみこが聞いてきた。

私は、

「男達には絶対弱点があるっていうヒントなら見つかったよ。」

と言った。

「弱点がわからないので、調べなくてはいけませんね。」

そみこが言うと、私は、パソコンを再び開いた。

そして、検索広場を開こうとしてみる。

ダメ。

やっぱり、ブロックされちゃう。

何も、捜査ができない。

そみこは

「リンティに聞いてみた方がいいんじゃないですか?」

と言った。

そみこ、なんか、違和感がある。

もしかしたら、男達の変装かも。

私は、そみこに用心深く、もっとそみこじゃないという証拠を探り出してみる。

「そみこ。ちょっとクイズ。ついこの前、そみこは手帳にメモしてたよね。それから、私が家に行ったらそみこ、全部暗記できてたみたいだよ。それから、テントに戻ってからも頑張って覚えてたよね。昨日も、そみこが覚えようとしている声が聞こえたよ。これは、そみこにとって簡単なクイズ。だから、答えて。まさもが、自分の電場番号を間違えて言ったとき、何の番号を言ったでしょう?」

そみこが、全部暗記していたっていうのはうそ。

でも、本当のそみこは、その事をテントの自分の部屋の中にある方の手帳で確認する。

そみこは、ちょっと困ったみたい。

「すいません。覚えていません。」

私はそみこを問い詰める。

「そみこ。手帳に書いてあったでしょ。」

これは、本当のことだけど、罠を仕掛けた感じだね。

これに、うまくこいつが入ってくれるといいんだけど。

そみこは、さっと手帳を出して

「はい。すいません。寝ぼけていました。えーと。」

と言って手帳のページをパラパラめくっている。

そして、困ったように言った。

「すいません。手帳を新しいのに変えてしまって。だから、古い方の手帳にまさものことは書いてあります。」

よし。

うまくかかってくれた。

このそみこは、本当のそみこじゃない。

私は、かっこいいセリフを頭の中で考える。

私は、目の前で困っているそみこを指さした。

「あなたは、本当のそみこじゃない。偽物のそみこだよね!」

ここまでは、かっこいいセリフ、バッチリ。

私は、そみこの方をきっとにらみつけながら推理を発表した。

「私、すっかり騙されていた。そみこに変装したあなたに…………あなたは、まずそみこを、警備を厳重にしたもっと別の場所に閉じ込める。それで、あなたが檻の中に入れば、問題はないわ。あなたの計画に、必要なそみこ達を警備が全然整ってない所なんかに閉じ込めないはず。それから、あなたはそみこを脅し、変装をするのに必要な情報を頭の中に入れた。そして、そみこに変装し、私と一緒にここまでいたんだよね。」

そみこは、少し焦ったみたい。

汗がポタリと地面に落ちる。

「な、何を言ってるんですか。そんなわけがないでしょう?」

私は、そみこに構わず推理を続ける。

「最初に、違和感を感じたときは、私がリンティとメールをした後。あなたは、『弱点がわからないので調べるしかありませんね。』って言ったよね。」

そみこは、眉をひそめる。

「それが、どうしたんですか?」

私はにやりと笑う。

う~、めちゃくちゃかっこいい!

「そこがしくじりだったの。そみこは、私から結構離れた位置に座っていた。とてもじゃないけど、私の中身を見れるような位置じゃない。なのに、何でパソコンの中身を見たの?」

そみこは、無理矢理余裕の表情を作り出した。

「ごめんなさい。私にも、情報があった方がいいと思って、ちょっとやりとりを見せてもらいました。」

私は、そみこをずんずん逃げ場のない、窮地に追い詰め、聞いた。

「そみこはね、すごい性格が厳しいの。それで、盗み聞きは許さない、盗み見るのも、絶対に許さないっていう子なの。でも、あなたはパソコンの画面を盗み見た。自分のしくじり、わかったよね?」

そみこは、少し顔が険しくなる。

「なんですか、キミコ。これじゃあ、まるで私のことを疑っているみたいじゃないですか。」

私は、推理を続けていく。

「そして、あなたは自分はパソコンの画面を盗み見たという事実を隠すために、わざと『リンティにメールしたらどうですか?』って言ったの。でも、あなたは、今、画面を盗み見たと言った。これで、あなたはそみこじゃないということが想像できる。」

そみこは、一瞬ビクッとなったが、すぐに平然とした顔に戻った。

「でも、証拠は?さっきのは、単なる想像に過ぎませんよね?」

私は、

「あなたは、私が引っかけた罠に見事、引っかかってくれた。さっきの、クイズ。あれが、罠だったの。そみこは、手帳にまさもの電話番号の間違いをメモした。それで、その手帳はテントの中に残っているの。そみこは、手帳を持っていなかったの。手帳を持ってないと知ったあなたは、時間がなくてそみこの部屋に取りに行くこともできなかった。だから、急いで手帳っぽい物をつくったのね。走り書きした文字が書いてあった。そみこは、字も丁寧だから、あんな走り書きなどしない。」

そみこは、さらに顔を険しくさせる。

よし、こっちの方が有利になった!

私は、最後のかっこいい台詞で締めくくった。

「さあ、正体を現しなさい!あなたが、本当のそみこじゃないってことはわかってるんだからね!」

そみこは、顔の皮膚に手を掛けた。

そして、ビリッという音がしたかと思うと、たちまち大人の女の人の顔が出てきた。

そして、女の人は背も元に戻した。

うわっ。

きれいな人。

その人は、金色の髪の毛に、はちみつ色の瞳だった。

そして、女の人は笑った。

「よく見破ったわね。私は、情報を集めるのが得意なシャイン。敵か味方かは、あなた次第。さあ、不思議な扉にいってみるといいわ。持ち物は全部返してあげる。情報は、ある程度手に入ったし、一歩私達の方がリードしているわ。じゃあ、さようなら。」

女の人、シャインはきれいな金色の髪の毛をなびかせながら、去って行く。

私は、呆然とその背中を見送るしかできなかった。

タッタッタッ。

私は、さいとを探しに道を走りぬける。

そみこが、変装した奴らの仲間だったなんて。

ショックと、おどろきで、心がいっぱいになって、何度か、立ち止まりたくなる。

でも、ダメ。

絶対に、さいとを見つけなくちゃ。

しばらく、全速力で走っていると、さいとの姿が見えた。

さいとは、私の姿を見つけ、声を掛けた。

「キミコ?」

私は、ハアハアと息を切らせながら説明した。

「そみこが、シャインっていう、奴らの仲間の変装だったの。本当のそみこは、もっと警備が厳重なところに閉じ込められてるはず。」

さいとは、私の話にびっくりしながらも耳を傾けた。

私は、さいとを秘密基地まで案内した。

さいとは、ゆっくりと腰をおろすと、自分の携帯を取り出した。

私は、自分のパソコンを取り出す。

さいとは、アプリを順番に開けるか確かめてみる。

でも、やっぱり開かない。

そして、さいとの指が監視アプリの所を叩く。

すると、監視アプリが開いた。

私がセットした、監視アプリのパスワードを決める画面だ。

さいとは、ジッと画面を見つめてから、タッチパネルを操作して、パスワードを決める。

それから、私の方を振り返った。

「このパスワードを決める画面は、キミコが設定したものかい?」

私は、うなずく。

「うん。これ、プログラミング会社のパソコンをハッキングして、パスワードの画面を設定したの。ちょっと、プログラミング会社のセキュリティを突破するのが簡単すぎたから、これじゃあ、アプリのハッキングもしやすいかなと思って。あと、ちゃんとプログラミング会社にメールも打って、ちょっとセキュリティを強くしてもらうように頼んだし、多分大丈夫だと思う。それに、まだセキュリティが弱かったらさきに修整してもらえばいいし。」

さいとは、私のメッセージアプリを覗き込む。

「メッセージアプリに、何かヒントになりそうなものはないかい?」

私は、メッセージアプリを開いてさいとに見せる。

さいとは、じっくりと内容に目を通していく。

そして、全部読み終えるとゆっくりと口を開いた。

「キミコ。ここでは、一度ハッキングした物は、もうリンティ側の方では操作できないとかいてあるけれど、何で、リンティはパソコンの方のハッキングを直せたのかな?」

たしかに。

私は、パソコンのキーボードを取り出し、メッセージを打ち始めた。

「リンティは、一度ハッキングしたらもう、そっち側の方では操作できないと言ってたけど、何でリンティは一度ハッキングした私のパソコンのハッキングを直せたの?」

すると、しばらくしてからリンティからメールが来た。

「あの状態だったら、直せるようになっていたの。でも、設定した時間が経過すると、もうこちら側では操作できなくなってしまう。そういう設定にしてしまったの。」

私は、すぐに返事をした。

「じゃあ、設定した時間を引き延ばせば良いんじゃない?」

リンティからは、すぐに返事が来る。

「試してみるわ。ごめんなさい、ちょっと時間が掛かるかもしれない。だから、しばらくメールには答えられない。操作が終わったら、私の方からメッセージを送るから。」

私は、パソコンをパタンと閉じた。

さいとも、じっと考え込んでいる。

私は、おもわず、まさものことを思い描いてしまった。

その時、ずっと心の隅に閉じ込めておいた、まさも達に会いたいと気持ちが溢れてきた。

私は、うずくまったまま泣いてしまった。

ポロリ、ポロリと目から涙があふれ、頬を伝い、地面に落ちる。

もう、大切な人達を失いたくない。

私は、ギュッと、さいとを抱きしめた。

「さ、いと…………」

さいとは、私を抱きしめ返した。

私は、まさも達に会いたいという気持ちを、さいとにぶつけた。

「なんで、あんな残酷な事が起きるの!なんで、しずきはまた、狙われなきゃいけないの!?なんで、まさもはあんな目に遭わなきゃいけなかったの!なんで、そみこはあんなふうに脅されなきゃいけなかったの!やだ。もう、冒険なんか、しなくてもいい。しずき達が大変な事に遭うくらいなら、あの崖から飛び降りなければよかった!そうしなければ、しずき達はあんな目に遭わずに済んだのに!」

すると、さいとは優しく声をかけてくれた。

「でも、あの崖から飛び降りなかったら、私達の絆は深くならなかった。苦しいことはあるかもしれないけど、その分、幸せな事もたくさん、たくさん経験しているはずだよ。」

「うん…………」

しばらくして、私が泣き止んだ後、リンティからメールが来た。

また、涙が溢れそうになり、グッとそれをこらえる。

「りんか。残念ながら、設定は変えれなかった。私からは、このハッキング問題については手出しができないようになっている。その代わり、聞きたいことは何でも私に聞いて。全部、教えるから。今は、なんとか敵から逃げれている。だから、聞きたいことがあるなら、今すぐ聞いて。」

私は、急いでキーボードを打つ。

何度か、打つキーボードを間違えてしまったけれど、今は急いでリンティに聞きたいことを全部聞いておかなければいけない。

「リンティ、男達の弱点って何?それから、リンティってどこにいる?」

リンティからは、返事がすぐに来た。

「男達の弱点は、それぞれよ。十人十色っていうでしょう?だから、私にも弱点はわからない。私のいるところは、『マップアプリ』に表示されているわ。これを見て、頑張ってたどり着いて。」

私は、最後に短い文章を打った。

「ありがとう。頑張って、男達から逃げ切って。私も、できる限り早くそちに着くようにするから。」

私は、パタンとパソコンを閉じてさいとの方を振り返った。

さいとは、ブレスレットの点検をしている。

私は、リンティとのメールでもらったヒントの報告を、さいとに全部話した。

さいとは、さっそく携帯のマップアプリを開いた。

私も、マップアプリを開いてみた。

そして、拡大化されてここの周辺だけしか表示されてない画面を操作して、ここの近くの所を表示した。

すると、赤い点が現れた。

それをタップしてみると、

「リンティ」

という文字が現れた。

私は自分の現在地からリンティのいるところまでの距離を調べてみた。

徒歩で、約1時間。

車では30分。

相当、時間が掛かる。

さいとも、ため息をついている。

さいとは、ポツリと言った。

「進んで、ヒントを見つけるしかなさそうだね。」

私はうなずき、ゆっくりと立ち上がった。

そして、秘密基地から顔だけ出すと、誰もいないか確かめ、さいとと一緒に外へ出た。

さいとは、ここの地図を見て、

「じゃあ、今から怪しい壁の所へ行こう。行くときには、多分大量の敵に襲われる。だから、しっかりと武器を準備しておいて。」

と指示を出した。

私は、噴水攻撃魔法シールをつけ、トゲラの棒を握りしめた。

ブレスレットでは、光の檻を準備している。

さいとは、氷結晶攻撃魔法と氷結晶守備魔法の準備をしている。

頑張らないと。

そみこ達を救うために…………

ガサリ。

敵が近くに来てしまった。

私は、すばやくパソコンで敵の強さを調べてみた。

これは、私が提案した作戦。

監視アプリは、敵の強さも表示できるようになっているんだ。

まあ、ちゃんと指定しないと表示されないから、ちょっと時間は掛かるんだけどね。

監視アプリだと、今近づいてきている男の強さは3で、武器はハンマー、ナイフ。

私は、パソコンをしまうと一旦、岩の後ろに身を隠す。

そして、敵が近づいてきた瞬間、トゲラの棒で襲いかかった。

男は、顔面にトゲラの棒がぶつかり、倒れ込む。

私は、光の檻で男を閉じ込めた。

よし、完了。

これくらいなら、倒せる。

その時、背後から男が近づいてきた。

そして、私達に攻撃する。

さいとは、すばやく体をひねって攻撃をかわしたけれど、私はギリギリ、男の攻撃をよけれず、倒れてしまった。

そして、男に抱きかかえられる。

男は、太い声で

「攻撃すれば、こいつはもう一発、ハンマーの攻撃を食らうことになるぞ!」

さっき、私にぶつかってきたのは男が所持しているハンマーみたい。

私は、こっそり、男に見られないようにパソコンを開いて男の特徴を見てみた。

なっ…………!!!

男の強さは8で、武器はハンマー、ナイフ、のこぎり、ホイッスル、鎖、弓矢、ゴム弾だった。

しかも、新しく魔法という表示が出てきて、そこには回復魔法、超強力メッサカリントンと表示されていた。こいつ、かなり危ない奴だ!

私は、一瞬パニックになったけれど、すぐに冷静になり、さいとに読心術(口の動きを読み取る技)で男の特徴を伝えた。

さいとの表情はたちまち険しくなり、地面に置いてある鉄の棒を拾った。

男は、私に銃を突きつけてくる。

私は、息を吸って男に思いっきり腕を打ち付けた。

男の腕の力が、弱まった。

私は、さらに男の足を強く蹴った。

男は、足を押さえてうずくまる。

今のうち!

私は、光の檻をかぶせようとする。

ところが、男は光の檻が来ると同時に、立ち上がり、素早くかわすと、私に銃を向け、打ってきた。

そして、私のすぐ左の所を、弾がかすめていく。

私は、瞬時に光の銃を取り出すと、男にむけて、思いっきり撃った。

男は、目の前が光だらけになって、再び混乱状態に陥った。

私は、サッと光の檻を男にかぶせようとした。

それでも、男は目を押さえながらよけてしまった。

そして、光の銃の効果が消えてしまう。

男は、こちらにナイフを何本も飛ばしてきた。

こんな数、よけきれない!

私は、頭を使って、鉄の棒を野球のバットみたいに使い、全部ナイフを男の方に跳ね返した。

でも、男も手強い。

ひょいひょいと身軽にかわしてしまっている。

この男の身体能力は、私達よりも高い。

どうしよう、打つ手がない。

私は、がむしゃらに手から噴水を出した。

男は噴水の勢いに押される。

そして、さいとが氷結晶攻撃魔法を使い、辺りの空気を全部冷やし、水を一気に凍らせた。

しかも、自分の攻撃魔法もある。

でも、私達は見逃していた。

男には、超強力メッサカリントンがあることを。

男は、自分の周りにある氷に向かって、超強力メッサカリントンを出した。

たちまち、氷は溶け、噴水も炎によって消されてしまう。

でも、私は諦めない。

私とさいとは、必死に水と氷を出し続ける。

すると、ついに男のメッサカリントンが出てこなくなってしまった。

サッとパソコンを開いて男の魔法の所を見てみると、メッサカリントンの所に、

「使用不可能」

という文字が浮かび上がってきている。

それに、武器もナイフは使用不可能になっている。

でも、私達の方が早く負けちゃうはず。

私は、一瞬、戦いの合間にブレスレットの中を見てみる。

テント、毛布、寝袋、服、防毒マスク…………全然、いい物がない!

私は、時計で時間を調べるふりをして、そっとスイッチを押した。

すると、手裏剣が飛び出す。

私が平然と鉄の棒を握りしめて立ち、男の様子を見てみると、男は手裏剣を手で止めていた。

そして、それを思いっきり私の…………手首の所に投げてきた!

シュッ!

私は、少しの間、パニックになり、よけきれなかった。

手裏剣は、私のブレスレットを切った。

私のブレスレットは、特にビーズみたいなのが着いているわけじゃない。

紙製だから、はさみでも切れちゃう。

ブレスレットは、ポトンと落ちてしまう。

私は、ブレスレットを拾う。

けれども、敵は、こちらに突進してきた。

私は、あまりの勢いに固まってしまう。

さいとは、私に素早くテープを渡し、私から鉄の棒をもらうと、サッと前に出た。

私は、もらったテープでブレスレットを直そうとする。

ところが。

敵は、再び私達に突進してきた。

さいとは、もらった鉄の棒で、敵を防御しようとする。

けれども、敵はあの巨体で大きくジャンプし、私を押しつぶしてしまった。

そして、敵はブレスレットを奪うと、倒れ込んだ私を捕まえて、あのカーテンの所まで連れて行った。

さいとは、私を助けようとしたけれど、敵はさいとに銃を向け、動けないようにさせてしまった。

敵は、他の男に麻酔銃をもらい、私に攻撃してきた。

私は、麻酔銃が腕に見事に刺さってしまって、気絶してしまった。

メリット
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第24章:幻のカーテンの謎

気がついたときには、私は両手と両足に鎖がつながれていて、身動きができない状態だった。

しかも、光の檻がかぶせられている。

見張りは十人くらいいて、パソコンで調べなくてもかなり強い奴だということがわかった。

周りには、そみこ達もいないし、しずきも、まさももいない。

私だけ。

私は、側にポンと置かれている、毛布を手に取った。そして、自分の体に巻き付け、敵の情報を聞き取るために、水を少しのみ、寝たふりをした。

私は、寝たふりとかも、得意なんだ。

敵は、私が寝たと思ったらしい。

小声で、会話を始める。

「リンティ様が、姿をくらましてしまったようです。急いで、発見しなくてはいけません。」

「いいや。俺達で発見する必要はない。こいつに、言ってもらえばいいんだ。」

ゾクッ。

私は、一瞬恐怖で頭の中がパニックになる。

どうしよう、私も捕まえられちゃった。

さいと一人じゃ、絶対に無理…………

でも、弱気になっていちゃダメ。

敵の、思うつぼになっちゃう。

だから、精一杯、頑張らないと。

私達の、最高のチームがあれば、きっと大丈夫。

私は、敵に見られないように、そっと拳を握ったのだった。

ガタン!

ガラガラガラガラッ!

ものすごい物音がして私は目覚める(いつの間にか、うとうとしてしまったらしい)。

そっと、薄く目を開けてみると、さいとが敵と戦っていた。

さいと!

私は、飛び起きる。

敵は、そんな私を見向きもしない。

私は、頭をとっさに回転させ、いつも前髪をとめているヘアピンを抜き、鎖の鍵穴に刺した。

カチャカチャ。

なかなか、外れてくれない。

そして私は、なんとか両手両足の鎖を外した。

でも、さいとの方も、負けちゃいそう。

だけど、私ももうすぐで脱出できる!

私は、檻の鍵を開け、思いっきり、檻の近くにいた男に、扉を当てた。

男は、すぐに気絶する。

こういう、予想外なことはちゃんと予測してなかったみたい。

不意打ち作戦、成功!

私は、そのまま檻から出て、さいとと横並びになった。

私の手元には、何もない。

でも、体で戦うなら、大得意!

絶対に、今度こそ勝ってやるからね!

その時、さいとが思いついたように、地面にしゃがんだ。

そして、酢と何かのスプレーを手に取り、混ぜ合わせ、私と自分に防毒マスクを装着させた。

私は、不思議に思いつつも、敵に攻撃をする。

私は、さいとに小声で聞く。

「ねえ、何で、酢とスプレーを混ぜたの?」

さいとは、平然と、小さい声で応える。

「理科の実験でやらなかったかな?酢と、洗剤スプレーを混ぜると、毒が発生するんだよ。」

はあ?

そんなの、やらなかったような気がするんだけど、さいと、ダチョウにでもなったわけ?

変な記憶が混ざったとか?

あれ?

ちょっと待って。

ガチョウ?

クジャク?

あ、でも、スズメかな?

うーん、ちょっと違う。

…………忘れちゃった。

でも、問題は男達。

次々に、ガスマスクを装着し始めてしまっている。

そして、シュウウウウウと音がし、ガスが噴出された。

そして、マスクを装着するのが遅れてしまった男達は、バタバタと倒れていく。

さいと、容赦ないなあ。

なら、私も、いかせてもらうよ!

そみこに、柔道、剣道、空手のいろんな武術は、たくさん教えてもらったんだから。

そみこよりは弱いかもしれないけど、私だって、冒険が始まった頃よりは強くなっている。

私は、タンッと地面を蹴って、ジャンプする。

そして、前にいた男のすぐ側で着地した。

男は、他の奴に合図を出した。

今だっ!

私は、さっきのジャンプよりも高く飛んで、男の服を掴み、投げ飛ばした。

そして、宙に飛ばされ、地面に叩きつけられたその男のガスマスクをさいとが取り、催眠スプレーを浴びさせた。

その調子で、私達は何とか敵を全部倒した。

けれども、最後、男を倒すときに、ホイッスルを吹かれてしまった。

もうすぐ、他の男達がやってくるはず。

その前に、逃げないと。

私はさいとに聞く。

「ここって、もう壁の所なの?」

さいとは首を振る。

「もう少しで、壁の所かな。敵の大群は全部倒したから、もう進めるはず。」

私は、壁の所に思い切って体を当ててみた。

すると、壁は見事に透けて、壁の向こうへたどり着いた。

さいともすぐにやってくる。

というか、ここの部屋、寒くない!?

壁を振り返ってみると、

ドアがカチコチに凍っていることがわかった。

しかも、ホッキョクグマ、ペンギンなどがうじゃうじゃといる。

どうやら、ここは南極とか北極の部屋みたい。

ここには、敵がいない。

まあ、ホッキョクグマも肉食だから、敵かもしれないけど。

その時、入り口に立て札が立ててあるのが目に入った。

私は、首にマフラーを巻き、帽子をかぶってその上にさらにフードをかぶったあと、立て札の文字を読んでみた。

「ここは、現代の極地。極寒の寒さと、いろいろな仕掛けの森。リンティ様を救う道は、まだまだ遠い。」

私は、頭の中に、その言葉を刻み込む。

でも、手がかりになるような言葉は、仕掛けの森とリンティを救う道はまだまだ遠いっていうことだけしかないなあ。

でも、仕掛けの森って書いてあるから、たぶん人はいないはず。

だって、仕掛けがあるんだから。

私は、さいとに自分の推理を伝える。

さいとは

「うん、私もそう思っていたよ。でも、危険があることには変わらない。慎重に行こう。」

と言ってくれた。

私は、少し考えてからトゲラの棒を取り出した。

それから、ちょっとジャンピーの部屋を開いてみる。

午後のイルカフードをあげるの、忘れちゃったんだよね。

部屋を開いてみると、ジャンピーがバランスボールでビヨンビヨン遊んでいるところだった。

私は、ジャンピーにイルカフードをあげる。

ジャンピーは、瞬く間にイルカフードにかぶりついた。

私は、ジャンピーに話しかける。

「ねえ、ジャンピー。今、リンティっていう子を探してるんだけど、その子、知ってる?」

ジャンピーはイルカフードから顔を上げた。

「リンティちゃん?ああ、あのパソコンとかが得意な子?僕、あの子知ってるよ!リンティちゃんとは、小さい頃からの仲良しの友達なんだ。小さい頃は、たくさん、一緒に遊んだんだ。でも、あるとき、いなくなっちゃって。それで、僕はずっと待ってるんだけど、未だに戻ってこないんだ。」

え。

ジャンピーと、リンティって知り合いなの!?

さいともびっくりしている。

そして、自分もピードスの部屋を開いた。

ピードスにその話をしてみると、

「ああ、あの子かあ。もう、会えなくなってから何年目だろう?懐かしい~。あの子、ジャンピーのお気に入りなんだよね。」

と教えてくれた。

私は、ちょっと疑問に思ったことを口に出す。

「ねえ、その子って、イルカとか?」

すると、ジャンピーとピードスは大声で笑い、ゴロゴロと床を転げ回った。

「そんなわけないじゃん。人間だよ、人間!イルカだなんて…………ジャンピーだって、覚えてるでしょ?まあ、記憶喪失なら別だけど。」

「はあ?何だって?馬鹿にしてんの?」

次第に、ジャンピーとピードスのけんかはエスカレートしていく。

「ふんっ。バカになんてかしてないよ。頭、おかしくなった?」

「お前、失礼だなっ!」

「そりゃ、どうも。おまえなんかに失礼なんていわれたくないよ。」

私は、ついに大きな声で叫ぶ。

「ストップ!」

ジャンピーとピードスはビクッとして私の方を見た。

「けんかしてなんて、誰も言ってないよ!」

ジャンピーとピードスは、しょぼんとなって、うなだれる。

私はジャンピー達をなだめてから、さいとと氷の道を進んでいった。

ザシュッ!

私のすぐ横を、矢がかすめる。

横を見てみると、壁から無数の矢が飛んできている。

私は、サッと矢をよけていく。

でも、出てくる矢はまだまだある。

ヒュンヒュンッ!

私の、よけれないような場所に矢が向かってくる。

私は、瞬時に伏せて、その矢をかわした。

でも、もう、無理。

その時、機械が目にとまった。

これを壊せばいいのかも。

私は、矢をトゲラの棒で野球のバットみたいに跳ね返して、機械に当てた。

機械のコーティングの所にひびが入った。

あと何回か、矢を当てれば確実に機械を壊せる。

私は、飛んでくる矢を次々に跳ね返していった。

でも、機械が壊れる寸前矢が私の所に向かってきたのだ。

よける間もなく、私の体に矢が当たった。

ギュッと目をつぶっていると、カンッと何かを跳ね返すような音が聞こえた。

自分の体をチェックしてみると、矢は地面に落ちていて、ポケットに小さい穴が当たっていた。

ポケットを見てみると、頑張って集めた宝に傷が付いてしまっていた。

どうしよう、もしかしたら、元の世界に戻れなくなるかもしれない!

これが、元の世界に戻れる、唯一のものだったのに。

それに傷が入ったら、もう元の世界には戻れないかもしれない、友達も。

家族も。

全員。

一生、会えないかもしれない。

でも、それを確かめるには、まずはリンティの所に行かないと。

悪い奴らからリンティを守らないと。

私は、本を見てみる。

この中にも、ヒントが書かれているかもしれない!

本を開いてみると、落ち着きのある筆跡で文が書かれていた。

「おまえ達の冒険は、もう少しでおしまいである。リンティに会うと同時に、全ての謎が解けるであろう。傷が付いた宝物。その宝は、リンティに癒してもらえるべし。」

ああ、もう。この本、ちょっと読むのめんどくさくなるんだよね。

文を読むのが大嫌いな私からしたら、

ミミズの行列にしか見えないよ。

ぺっ、ぺっ。

あ~、もう、読みたくない!

私は、本をしまった。

結局、あんまりヒントは得られなかったね。

そう思いながら、私はどこまでも続く氷の世界を歩き回ったのだった。

私達は、数々の仕掛けをよけながら、やっと扉の前にたどり着いた。

私は、扉を開けようとした。

でも、扉は鍵が掛かっている。

これじゃあ、先に進めないよ!

私が嘆いていると、さいとが鍵開けツールを取り出し、見事に扉の鍵を開けてしまった。

その瞬間、私とさいとはその部屋に転がり込んだ。

その部屋は、第一関門の前にあったようなあの猛烈な風が吹いている部屋だった。

しかも、その部屋はすごいぐらぐら揺れている。すると、スピーカーから音声が聞こえてきた。

「一番の関門といわれている部屋の、前の部屋と、似たような性質になっております。ただし。違うのは、今まで起きた、地震や台風、高潮、津波、竜巻、落雷、積雪といった、地球の災害も同時に起きます。ちなみに、今は東南海地震の揺れを体験してもらっています。そして、機械に当たったら、感電してしまいます。また、高潮なども、本物を小さい規模にした物です。死にそうになる直前になったら、素早く敵が来て、あなたたちを確保します。」

東南海地震って、違う星の地震じゃないの!?

でも、やばい、これ。

本当に必死で手すりにしがみつかないといけないじゃん。

しかも、この前のと違って、すごく風が激しい。

しかも、地震の揺れがだんだん激しくなってきている。

「一番強い揺れになります。急な揺れに気をつけてください。」

ガタン!!

ガタガタガタッ。

怖いっ!

体が、すごく揺れる。

その時、扉が開いてそみこが駆け込んできた。

私達が来た方向とは反対の方から。

その瞬間、まだ手すりにしがみついていないそみこは、思いっきり機械のすぐ側まで飛ばされる。

私は、そみこの手を思いっきり掴み、引き寄せた。

まだ、地震の揺れは続いている。

なにも物が飛んでこないだけ、マシかもしれない。

でも、今は、そみこを助けないと!

そみこは、必死に手すりを掴もうとする。

でも、まだ手が届かない。

私は、そみこを全力で引き寄せた。

そみこは、ギリギリ、手すりにしがみつくことができた。

そみこは、必死に叫ぶ。

「私、見張りが少し少なくなったときに、頑張って抜け出したんです。一度は、捕まっちゃったんですけど、二度目はうまく逃げ出しました。二度目は手がロープで縛られていたんですけど、途中で、まさもと変装して、ロープをほどいてもらいました。最後の部屋に、まさもとしずきが閉じ込められています。早く、助けないといけません。」

私は、うなずくと必死で手すりに掴まった。

いつの間にか、地震はおさまっていた。

でも、ちょっと小さく揺れている。

まあ、これくらいの揺れならまだ大丈夫か。

そう、油断した瞬間、そみこが叫んだ。

「キミコ、油断しないでください!今回の地震は、三河地震です!すぐに、震度7に変わってしまいます!他にもきっと、関東大震災、熊本地震、阪神淡路大震災、東日本大震災など、いろいろな地震があるはずです!」

私は猛烈な風の音に負けじと、声を張り上げる。

「そみこ、それって、地球っていう、私達に似た人類が暮らしてるところで起きた地震の名前でしょ!」

「だから、今は、地球の揺れを体験しているんです!それくらい、空気読んで察してください!」

っていうか、そみこ、どんだけ、違う星の地震こと調べてんの…………

私は少し呆れる。

そして、私がギュッとさらに手すりを握りしめた瞬間。

ガタガタガタンッ!

急に揺れが強くなった。

私は、必死に手すりに掴まり、壁に体をくっつけた。

もしかしたら、頭を壁にぶつけちゃうかもしれない!

私は、必死に揺れをこらえた。

そして、揺れが収まる。

そして、次はまたぐらぐらと揺れ始めた。

そみこが叫ぶ。

「東日本大震災ですっ!つなみに気をつけてください!」

その瞬間、何もない床から、いきなり水が出てきて、それが私達の上に覆い被さった。

ザバッ!

一瞬で、私達はずぶ濡れになる。

そして、揺れが収まった瞬間、どこからか水が大量に溢れ、瞬く間に私達は水の中に入ってしまう。

もうほとんど天井に水が当たっている。

その時、吸い込むような力が消えた。

上を見てみると、機械が壊れていた。

私は壁を蹴って、扉に向かって泳いでいく。

そして、扉を開けた。

ザザアアアアア!

私は、小さな津波に巻き込まれ、再びあの氷の部屋へたどり着いた。

そみこは、ブレスレットで変身した。

しかも、今のそみこは髪の毛をほどいてる!

ちょっと、そみこがかわいく見えたような…………

そみこは、手袋を付けて、いろいろ探索し始めた。

私も、いろいろなところを調べてみる。

気がつくと、そみこが氷の上に立って呼んでいた。

私はそみこの方へ走って行く。

そみこは、立て札を指さした。

「ここに、何か書いてあります。えー、『幻のカーテンの名前を扉の電子キーに打ち込め。ここの部屋に、必ずあるものだ。普通はあまり見えないが、ここでは見れるものだ。』」

私は、頭の中に文を刻み込む。

そみこは、ジッと考え込んでいる。

そしてやがて、そみこが口を開いた。

「見れるものだって書いてありますけど、どうして『もの』の所を漢字で書かなかったのでしょうか?他は、全部漢字で書いてあるのに…………」

「そんなの、リンティが漢字を忘れちゃったんじゃない?」

私は、反論する。

さいとが言った。

「いや、その可能性は低いと思うよ。暗号は、そういう細かいところからも答えが出てくるものも結構ある。」

へ~。

私は警察とか探偵には絶対向いていないや。

あ、でも、ニセそみこの正体を暴いたことは進展だよね!

その時、私の携帯が振動した。

みてみると、リンティからメールが届いたところだった。

「りんか。十分間だけ、検索広場を開けるようにしたわ。

だから、わからないことがあったらそれで調べてちょうだい。」

私は、大急ぎで検索広場を開く。

すると、画面が開いてから、ピカピカと点滅する。

あれ?

バグっちゃった?

そみこが、私の携帯を奪い取る。

「貸してください!」

「ちょっと、そみこ、何するの!」

そみこは、私の反論を聞かず、インターネットに接続した。

すると、画面に検索広場という大きな文字が現れた。

私は、そこに言葉を打ち込む。

「幻のカーテン」。

でも、検索広場の検索結果は、幻のカーテンっていう映画の名前とか、グッズとかしか出てこない。

私は、さらに単語を打ち込む。

「幻のカーテン 普段では見られなく、極地で見えるもの」

すると、なぜかオーロラが出てきた。

この携帯、壊れてるの?

その時、ドンドンと音が聞こえてきた。

やばい、男達が来たのかも!

私は、急いでそみことさいとにオーロラのことを伝えた。

さいとは、顔を上げ、叫んだ。

「答えは、オーロラだ。オーロラは、光のカーテンと呼ばれる、主に極地でしか見られない、貴重なものだ。でも、実際にはそんなカーテンは存在していない。そして、なかなか見られないものだから、幻のカーテンと呼ばれるんだよ。まあ、まれに、北の方の…………地球でいえば、北海道の辺りでも、まれにオーロラは見られるらしい。でも、明らかに極地の方のオーロラがきれいだよ。早く、扉を開けないと、男達がやって来てしまう!」

私達は、携帯の電源を切り、扉に向かって全速力で走った。

そして、さいとが電子キーのボタンに

「オーロラ」

と打ち込む。

すると、ゆっくりと扉が開いた。

そこには、第一関門(迷路みたいなあの部屋)と瓜二つの部屋があった。

そみこは、さっと走り出すと、前の敵に突進した。

えっ…………

前の敵は、そみこの突進をかわす。

私達も、そみこに続いて走り出した。

やがて、私達はしずきとまさもが閉じ込められている所までたどり着いた。

うう、やっぱり敵が多い。

でも、戦いには強いそみこがいるから、きっと大丈夫!

私は、しずきとまさもの前に堂々と姿を現した。

しずきとまさもは、ぱっと顔を輝かせる。

私は、ギュッと鉄の棒を握りしめた。

その時、男が襲いかかってくる。

私は、素早くジャンプした敵のお腹にトゲラの棒を突き刺し、思いっきりぶん投げた!

トゲラの棒は失っちゃったけど、敵は一人倒した!

もう一人、そみこが相手をしている。

私は、近づいてきた男の体を持ち上げ、遠くに投げ飛ばす。

でも、その間に、そみこが背後から襲われ、捕まってしまった。

すると、そみこは足を上げ、男の足を思いっきり蹴った。

敵は、一歩後退する。

その隙にそみこは、後ろから男の顔面を蹴った。

男は、地面に倒れ込む。

さいとは、催眠スプレーを使って敵を退治している。

そして、やっとまさもとしずきを助けることができた。

私は、まさもとしずきに抱きつく。

そして、そみこもまさもを抱きしめる。

その時、まさもが

「おえっ。そみこ、気持ち悪っ!」

と言われて、機嫌を損ねちゃったけどね。

そして、私はついにゴールにたどり着いた。

そこは、ある町だった。

私は、マップアプリを開いて場所を確認する。

リンティのいる場所から、だいぶ離れている。

その時、パソコンから通知音がした。

パソコンを開いてみると、

「セキュリティ強化が完了しました。」

という表示が出てきた。

やった。

さき、ちゃんとセキュリティ強化を完了してくれたんだね。

これで、もうパソコンのアプリを使える。

私は、ニコニコしながらリンティの家へ行ったのだった。

メリット
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第25章:森冒険の真実

リンリンリン。

私は、リンティの所のベルを押す。

すると、声が返ってきた。

冷たい、ナイフのような声が。

「りんか。あなたは、もう私の友達じゃない。さっさと、帰ってちょうだい。もう、二度と来ないで。さよなら。」

私の、背筋が凍り付く。

これが、リンティの声なの?

そんなわけない。

リンティは、メールでしか会話したことがないけど…………

絶対、こんな子じゃない!!

私は、インターホンに向かって叫ぶ。

「あなたたちは、リンティを殺そうとしてるんでしょう!そんなの、わかってる!!リンティは、そんな子じゃない!もう、リンティを傷つけないで。今から、扉を破ってやるから!」

そして、私はドンドンと扉を叩く音で、強力ビーム銃の音を消した。

やがて、扉が内側に向かって倒れた。

中では、リンティがあと一歩で殺されそうになっているところだった。

ナイフを、首元に突きつけられている。

私は、敵に強力ビーム銃を突きつけた。

「リンティを殺したら、あんた達を撃つから。」

男達も、リンティの首元にナイフを突きつけた。

「なら、リンティを殺してあげようか?」

その時、リンティが男の包丁を奪った。

そして、それを私に投げる。

私は、地面に落ちた包丁を手に取った。

そして、ブレスレットに追加する。

そして、男達に向けて、ビーム銃を撃った。

「ダメッ!りんか!」

リンティが叫ぶ。

私は、構わず男の手に向けてビーム銃を撃つ。

他の男達は、びっくりする。

残念。

このビーム銃は、普通の銃じゃない。

火傷することもあるんだからね!

私は、次にリンティを捕まえている男に向かって光の銃を撃った。

男は目が眩み、リンティから離れる。

そして、そみこがその男を蹴飛ばし、リンティを救出した。

そして、私達はリンティを無事、助け出したのだった。

どこにも行く当てがない、リンティは私達の仲間になってもらった。。

テントに着くと、リンティは大はしゃぎ。

「わあ、たくさん部屋がある!」

「ねえ、あれ何?この鍵の形、面白い!!」

すごい、パワー。

私は、さきを呼んだ。

さきは、タタタッと早足でやって来た。

そみこがさきを叱る。

「さき!こういう時は、走ってください!」

さきは、キョトンとする。

「今の、普通に走ったつもりなんだけど…………冒険の時の走り方は、私にとって奇跡みたいなものよ?運動会とか、ビリ以外取ったことないし。100メートル走も、だいたい25秒くらいかかるわ。」

げっ。

さきのあの冒険の走り方が普通だと思ってたんだけど…………

私の思い違いみたい。

すると、さきがいすに座ったと同時に、まさもが立ち上がった。

そして、ヒュッといなくなる。

今、キッチンの方にいったような気がするんだけど、まさか、お腹がすいたから席を外したとかじゃないよね?

とりあえず、私達は、まさもが来るまでおしゃべりをした。

しばらくすると、まさもがやって来た。

そして、

「さあ、話し合いは楽しく!ついてきて!」

と言って、ずんずん歩き出す。

私は、不思議に思いながらも、キッチンのドアを開けた。

キッチンは、ピカピカになっていて、様々な料理が並べられている。

野菜に、肉料理に、魚料理、フルーツ、ケーキ、おつまみ!

私達が驚いていると、まさもが

「さあ、お好きな料理を取ってくださ~い!私、まさもが必死になってあの時間につくった料理です!」

と言った。

あんな短時間で!?

私はびっくりする。

その瞬間、テレビが種明かしをしてしまった。

「私が全部用意したんです。なので、私も食べさせてもらいます。その量じゃ、98.99%の確率で、食べ物が残りますからね。」

テレビも、98.99%の確率で、食べ物が残りますからね、なんてこと言っておきながら、ただ食べたいだけなんじゃないの?

私は、心の中で突っ込みを入れながら、目の前にある料理を取っていく。

そして、全員が席に着くと、さきがリンティにドサッと書類を置き、そのうちの12枚を手に取った。

でも、それだけ取っても、まだ書類は22枚くらいあるんだけど。

リンティは、さらさらとさきからもらったペンで書類を書いていく。

そして、さきは私に六枚、書類を渡す。

何これ。ほんわかした、食事の前に、書類を書きまくる拷問?

私は、顔をしかめる。

さきが、私に黄色いヒマワリと空が映っているペンを渡した。

これ、どこで売ってたんだろう?

このペン、めちゃくちゃかわいいんだけど!

私は、そう思いながら書類に目を通した。

そして、名前の欄に

「さし川キミコ」

と書いた。

そして、電話番号の所に

「3200-4548-17」

と書いた。

そして、リンティへのメッセージの所に、

「リンティ。ごめんね、りんかっていう名前を使っちゃって。本当の名前は、さし川キミコ。でも、もし良ければ、リンティの名前も教えて。」

と書いた。

そして、残りの書類も書き終わると、リンティに渡した。

リンティは、書類を確認して、私のメッセージを見ると、驚きに満ちあふれた表情になる。

どうしたんだろう?

でも、その驚いた表情は一瞬で消え去り、元の表情に戻る。

そして、私に書類を渡した。

その、名前の欄には…………

「さし川リンティ」

と書いてあった。

えっ…………!?

さし川って。私と同じ名字。

もしかして、私とリンティって。まさかの家族!?

そして、みんなが書類を渡し終えた。

その間も、私は混乱したままだった。

そして、私はガチガチに緊張しながらその書類をさきに渡した。

そして、さきは別の場所に書類を置くと、

「さあ、食べましょうか。」

と言った。

まさもは、ぷんすか怒っている。

「もう。ご飯が冷めちゃうじゃん!」

私は、苦笑いしながらご飯を食べ始める。

リンティは、ゆっくりと話し始める。

「私とキミコは…………姉妹なの。」

「「「「「ええええええええっ!?」」」」」

しずき、そみこ、まさも、さいと、さきの声が重なる。

リンティは、ポカンとしているみんなに構わず、話し続ける。

「私の本名は、さし川リンティ。キミコと、名字が同じなの。それに、唯一、繋がりがある、この本…………」

と言って、古びた本を取り出し、パラパラとページをめくる。

「この本の中には、さし川リンティ、さし川キミコって書いてあるわ。そうね、今、私は10歳だから、キミコは10歳か11歳ね。」

正解だ。

ってこととは、リンティは私の妹ってこと?

なんか、リンティの方が私よりも背が高いし、しっかりしてそうな外見だけど…………

リンティは、口をパクパクしている私達には目もくれず、淡々と話していく。

「私とキミコは、まだ赤ちゃんの時、家が火事になって離ればなれになったの。私は、ギリギリ燃えさかる家から逃げることができた。それで、今もテントの前で待っている、シャインに偶然、助けてもらったのよ。それから、ずっと育ててもらったの。そして、小学校になった頃、誰かに、『悩みがあるんだろ?俺たちに叶えさせてくれ』って言われて…………その人を頼っちゃったの。その人が、パソコンの天才って呼ばれている私から宝を取ろうとしているのを知らずに。それで、悩みを、伝えちゃったの。キミコに会いたいっていう、悩みを。それで、パソコンでいろいろ調べていたら、あいつにそっくりな男が、小さい女の子を脅して、宝を手に入れようとしているっていう記事が出てきて。背筋が凍り付いたわ。私が狙われているっていうことに気がついて。慌てて、いろいろな世界のパソコンをひたすらハッキングしていったの。奴らに、パソコンとかを調べられたら、大変なことになるから。だから、必死でハッキングしていったの。そうしたら、キミコに出会って。それで、あなたたちに頼んだのよ、もう、取り返しが付かなくなってしまう前に。ビデオ会話をするっていう、エサを出してね。もちろん、それはうそよ。ごめんなさい。でも、後からしたことは全部本当よ。それで、キミコに救われたの。宝はどこに隠したって言われて、断って、それで殺すって脅された時に、間一髪で。それからは、もうキミコも知っているわ。」

私は、さっと立ち上がった。

「シャインも中に入れないと!」

そして、私は玄関に向かったのだった。

シャインは、よ~くみると、向きによって瞳がシャインマスカットみたいにすがすがしい、黄緑色をしていることに気がついた。

私は、ドキドキしながら、シャインを中に入れた。

戻ってくると、さいとが(なぜか)赤くなった。

もしかしてさいと、好きになっちゃった?

そして、シャインも席に着いたところで、リンティがまた話し始めた。

「家に帰るには、宝を、テレビに渡せばいいのよ。私が、最後の宝を持っているの。私も、宝を探す、冒険に参加していたから。だから、今すぐ帰れるわ。でも、本当はみんなと一緒にいたいの。だから、テントでしばらく暮らした後でもいい?」

そして、私達は、新たに加わった私の妹、リンティとさいとが恋心を抱いているシャインと共に暮らすことになったのだった。

カシャカシャ。

私とリンティは、(一緒に暮らしているのになぜか)パソコンで会話している。

「キミコ。このテントでの生活はとても快適。今はね、大好きな刺繍をやりながら書いているの。でも、けっこう思ったより、家事は大変かも。最初は何回か、料理とかでも失敗しちゃったし。でも、みんな優しいから、全然嫌だなってなったりしない。ちょっと、そみこは怒られると怖いけどね。」

あはは、そみこは、たしかに、怖いもんね。

私は、怖いっていうより、めんどくさいっていう気持ちが大きいけど。

私は、リンティに返事を打った。

「でも、そみこよりも、しずきの方が実は怖いんだ。たまにしか怒らないけど、私達の中では一番怖いの。そういえば、リンティは何の刺繍をやってるの?」

すぐに、返事が来る。

やっぱり、パソコンのタイピングは、リンティの方が早いね。

まあ、いつもキーボードを打ってるから当然だけどさ。

「今は、クリスマスツリーの刺繍をやっているの。ちょっと季節外れだけど。でも、この前まさもがクジャク色の糸をくれたから、それを使っているの。まだ、半分くらいしかできていないけど、すごい縫ったところがつやつやしててきれいだった。私、この刺繍糸がお気に入りなの。」

「リンティの刺繍、みたいな。私は不器用だからそういう細かい作業は苦手だけど、見るのは楽しそうだから。今から見にいてもいい?」

リンティからは、ほぼ2秒で返事が来る。

「もちろん。」

ものすごい、タイピングの天才だね、リンティは。

私は、リンティにメッセージを送った。

「今から部屋に行ってもいい?リンティに、お勧めのタイイングをして欲しいんだ。」

「オッケー。」

私は、リンティの部屋のドアを開ける。

リンティは、パソコンの画面を付けたまま、チクチクとクリスマスツリーの刺繍をやっていた。

まだ、半分しかできていないけれど、クジャク色の刺繍糸は、つやつやと光っていた。

リンティは、優しい薄紫の瞳を輝かせてこちらを向いた。

「私、刺繍は好きなんだけど、まだまだ初心者なの。みんなは、刺繍の神様とか言ってるけど、まだまだだわ。」

え?

でも、リンティの刺繍、ちょっと危なっかしい所だけを除いて、けっこうきれいだと思うんだけどなあ。

「ねえ、リンティ。それ、けっこう上手な方だと思うんだけどな。」

リンティは、首をかしげる。

「そうかしら?」

そして、いたずらっぽく笑みを見せた。

「さて、これは誰のための刺繍でしょうか?」

「…………私のため?」

私は、目を泳がせながら言った。

リンティは、

「さあ、どうでしょうか。」

とはぐらかす。

うっ。

もう、リンティってば。

私は、リンティに言った。

「リンティ、はぐらかさないでよ~!じゃないと、一生、見張るから!」

リンティは、私の攻撃をさらりとかわす。

「どうぞ、ご勝手に。いつか、根性のない、キミコさんはあきらめるはずだから。」

うう、私の性格をよくわかっていらっしゃる。

すると、リンティは針を針刺しに入れて、刺繍を停止した。

そして、にっこりと笑った。

「キミコ、おすすめのタイピングを紹介してくれるんでしょう?」

「うん。まず、単語タイピングレースって調べて。検索広場で見られる。」

リンティが、素早くその言葉を検索した。

そして、私はウェブの一番上をマウスでクリックした。

すると、車が表示される。

「なんの車が良いですか?」

リンティは、薄紫の車を選んだ。

そして、問題がでるまでにあと3秒になった。

「リンティ、ファイト!」

私は、応援する。

これは、1000人中、何位が取れるか記憶してくれるレースなの。

ちなみに、私はこの前100位を取ったんだ。

これが、最高記録。

すると、レースがスタートされた。

1分以内にどれくらい単語を打ち込めるか。

それで、勝負が決まる。

早速、単語が出てきた。

「卵」

リンティは、1秒でその単語を入力し、どんどん単語を入力していった。

そして、結果が表示される。

それを見た瞬間、私は泡を吹いて倒れそうになった。

なんと、2位!

で、でも、リンティよりもすごいタイピングがうまい人がいるなんて…………

そう思って、一位の人の名前を見てみると、そこには

「saki」

と表示されていた。

さき!?

リンティはクスリと笑った。

「さすが、さきね。じゃあ、キミコ、またね。」

また、パソコンに向かい合った私。

再び、パスワードを入力し、メールのアプリを開く。

見てみると、リンティからメッセージがあった。

なになに…………

今回のは、結構長そうなメッセージ。

「キミコ。学校の近くにね、子ども達で暮らせるような、寮があるの。そこで、暮らしたらいいのかなって。それなら、いつでもお家に行けるし、学校にもちゃんと行けるし、そこで暮らせばいいのかなって。私達みんな、この森冒険のおかげで、子ども達で生活することができるようになったでしょう。だから、そういう寮に住んで、みんなで家事を分担して、今まで通りやっていけばいいのかなって。大人は、ダメかもしれないけど、でも、きっとなんとかできる。私達なら。さいとには、学校の仕事が終わった後に、こっそり来てもらいましょう。これ、キミコのお母さん達が許してくれればいいんだけど。私からも、みんなに伝える。それで、連絡を取り合いましょう。それから、もうキミコと私は、家族よ。だから、一緒にお母さんとお父さんにお願いしましょう。」

はあ、リンティにちょっと言っておかなきゃ。

私は、長い文章が苦手だってこと。

「リンティ。じゃあ、明日、お家に帰ろう。だから、私、そみこにこの寮の件、伝えておくから。リンティは、刺繍を頑張って。あと、私は、ちょっと長い文を読むの、疲れちゃうから、だからできれば短い文でメールは書いて欲しいな。ちょっと、そこは二人の秘密だよ。そみこに知られたら、もの凄い剣幕でお説教されるから。多分、2時間くらい。」

リンティからは、すぐ返事が来る。

「オッケー。なら、そこは肝に銘じておきま~す。」

私は、部屋を出て、そみこ達をリビングに集めた。

そみこ達は、怪訝そうな顔。

なかなか、私に呼び出される事なんてないもんね。

私は、寮のことを話した。

そみこは、少し考えている。

「私の親は、多分賛成してくれそうです。自立できることを、親は望んでいるので。まさもはどうですか?」

「うーん、私の所は、ちょっと説得しなくちゃいけないかも。でも、ゆっくり説得していくから、多分、大丈夫!」

「まさもの多分は、ちょっと信じられませんね。しかも、まさもの苦手な分野、『ゆっくりじっくり説得する』は、特に信じられません。」

そみこがまさもの言葉に突っ込む。

「しずきは、どうですか?」

「そうね。私は、けっこう何でもできるって思われてるから、少し話し合えば、わかると思うわ。さきはどうかしら?」

「うーん、私の所は、かなり説得しないとまずいかも。私の家、頑固な人ばっかり。だから説得には時間が掛かると思うわ。」

ふんふん。

そろそろ、私も言わなくちゃ。

「私の方は、多分、凄い説得しなくちゃいけないはず。でも、リンティと一緒に頑張る。」

そみこは、私達のことをノートにメモしていく。

「じゃあ、こうしましょう。今から、さきに頑張って通信機を作ってもらいます。

そして、説得完了の場合は1、人を追加して説得したい場合は2を押してください。そして、私の場合は3はキミコ、4はしずき、5はまさも、6はさいと、7はさきにしてください。8はリンティ、9はシャインです。そして、自分は除いてくださいね。ではさき、今すぐに、取りかかってもらえますか?」

「わかったわ!でも、ちょっとリンティにも手伝ってもらうわね。」

さきは、そう言ってリンティの部屋へと走って行った。

そして、残った、私、そみこ、まさも、さき、さいと、シャイン。

そみこは、素早く指示をだしていく。

「まず、さいととシャイン以外、自分の家に行って説得を始めます。そして、それぞれ説得を始めてください。それから、話の状況を読み取り、ボタンを押します。それから、2の場合、さいとかシャインが説得に向かいます。そして、説得を続けます。そして、1のボタンを押したら、すぐに待ち合わせ場所に向かい、そこで待っていてください。そして、例えば私が待ち合わせ場所で立っていたとします。その時は、ずっと機械を見ていて下さいね。そして、さきの所のボタンが光ります。そうしたら、さきの家に行きます。このように、この作戦を実行していきましょう。全員、許可がもらえたところで、みんな、家で引っ越しの準備をしましょう。それで、この作戦は完了です。いったん、みんなが無事に作戦を実行できるか確かめたいので、機械ができたら、すぐに試してみたいと思います。その時は、部屋に戻ってしばらく待ち、ボタンを押してください。実験の時の待ち合わせ場所は、リビングです。」

うわあ、そんなに指示されても、覚えきれないよ!

頭の中がパニックになっているとしずきがこそっと教えてくれた。

「家に行ったら、状況を見て、説得できそうだったら1を、説得できなさそうだったら、2を押すのよ。それで、説得できたら待ち合わせ場所に向かってね。そして、待ち合わせ場所でだれか通知が来ないか、確かめて、通知が来たらそのこのお家に行くのよ。今回の実験は、本番と同じようにやればいいわ。」

そみこが、最後の一言で、締めくくろうとした。

「では、質問や確認は、ありますか?」

私は手を挙げる。

「はい、キミコ。どうしましたか。」

私は、そみこに皮肉を言う。

「そみこが、凄い説明下手なことがわかりました!そうですよね?かみかきそみこさん?」

ブチッ。

そみこの、堪忍袋の緒が切れた。

「こいつ!寮に行ったら、即、蹴っ飛ばしますからね!覚悟しておきなさい!」

「へ~。いま、蹴らないってことは、理由があるんだ。そみこの弱虫~。べーだ。」

私は、あっかんべーをそみこにお見舞いした。

あれ、そみこがブルブルしている。

「何、そみこ。もしかして、笑えてきちゃった?」

そして、顔を上げたそみこは、オニのような顔になっていた。

「このっ!いつか、罰が当たりますよ!えいっ。」

ゴチン!

私の頭の上に、そみこの手が滝のスピードごとくぶつかってきた。

「いたたた…………そみこ、ひどっ!それでも、学級委員?本当は、暴力女なんじゃないの?あ、ごめん、もう、暴力女に変身してたんだった。じゃあ、何だろう?オニかな?あ、音がうるさいから、ホエザルかもね。」

そみこは、私に襲いかかってきた。

「そっちは、憎まれ口を叩きまくる、ゴリラです。それに、私は、ホエザルなんかじゃありません!『あ、キミコはダチョウかもね、記憶がすぐになくなるから。』とか言ってるものですよ!」

「二人とも、やめなさい!」

けんかの途中で、しずきの怒った声が聞こえてきた。

ひっ。

しずきって、怒ると怖いんだよね。

でも、しずきがシャインとリンティが加わってから怒ることは、これまでなかったかも。

あれ?

まさもがいない。

でも、その時、まさもが携帯でビデオを撮っていたことに、私とそみこ、しずきは、全然気がつかなかったのだった。

「キミコ。こっちにいらっしゃい。」

「は、はい。」

思わず、厳しいしずきの声に、敬語になってしまう。

「キミコ。最初は、あなたのそみこへの挑発がけんかの元になったんでしょ?」

うっ、そうです。

「私が、せっかくキミコが困ってるって気がついて、そみこの言った事を、まとめてキミコに教えたのよ!なのに、何?そみこを挑発する意味なんてないじゃない!この前の、崖が崩れたときに、学んだでしょ?ちょっとした挑発が、けんかになるって。なのに、なんでこんな挑発なんかしたわけ?」

「きちんとまとめて指示を出さなかったそみこに、腹を立てて、意見を言っただけ。」

私は、うつむきながら答えた。

「そうなのかしら?あれはどうみても、皮肉を言っているようにしか、見えなかったけれど。意見なんかじゃないわ。しょうでしょ?」

うう、早く、時間よ、進んでくれ~!

猛スピードで、怒られるのが終わるまで!

私が、顔をしかめていると、しずきに怒られた。

「キミコ!!!私が怒っているからって、その顔は、何?いい加減にしてちょうだい!忙しい、私達をリビングに集めて、けんかの元をつくったのは誰?キミコでしょ!なのに、そんな顔をして!」

私は、少しふてくされる。

「そのけんかの元をつくったのは、リンティでしょ。もともと、リンティの提案なんだから。」

すると、しずきが激怒してしまった。

「この冒険に、出かけようとした人は誰かしら?崖のところで、けんかの元をを作って私達を命の危機にさらしたのは誰?私達は偶然、パラシュートを持っていたからいいけど、持っていなかったら、大けがよ!その責任を、キミコはとれる?みんなは、優しいから笑い事で済んだけれど、それが違う人が相手だったら?人を危険に晒したら、自分にそれが降りかかってくるのよ!わかる?リンティのせいにはできないのよ!なんで、勝手に、リンティのせいにするの。行動したのは自分でしょう?冒険にムリヤリそみこまで巻き込んで、突入したのも、自分のせい。わかってる?もうちょっとそみこを挑発しないように気をつけてちょうだい!じゃないと、また私の雷が落ちることになるんだからね。私も、二人のけんかを鎮めるのには必死なの。なのに、また私を疲れさせる気?もう、それは勘弁して!私だって、ある程度のことはスルーしてあげてるわよ。でも、これはちょっと許せないわ。だから、叱ったの。」

はあ、やっと、しずきの怒りが収まった。

次は、そみこ。

そみこは、どうなんだろうね?

そみこは、そうとうビクビクしている。

しずきは、まだ厳しい顔をしている。

「さっきも話したけれど、私も本当は怒りたくないわ。必死に、怒りを心に押しとどめてね。でも、そみこ、あなたは、全然、怒りを我慢できていないわ。少しは我慢をすることも、大切。しかも。あなたの指示は、凄く長いわ。キミコが困ることになるのも、無理はないわ。私も必死で、言葉を理解しているんだから。だから、これからは、指示を短くしなさい。そして、あなたの場合は、反応しすぎ。反応するから、こういうけんかになって、私に叱られるのよ。いいわね?」

え?

そみこだけ、不公平。

私よりも、全然怒られてないじゃん。

あ~あ、最悪。

すると、二階からドタドタとおとがした。

リンティとさきが降りてくる。

そして、私達に機械を配った。

さきが、

「私もメールでそみこが説明を送ってくれたから、もう話さなくて大丈夫よ。」

と言った。

よし!

そみこが言った。

「では、試しにやってみましょう!」

そして、私達は実際にやってみることにした。

私は、十分くらい、リンティとおしゃべりをして、その後、適当に2のボタンをポチッと押した。

すると、カシャッと音がした。この音は、ない方がいいな。

後で、リンティに言っておこう。

私はリンティにメールを送った。

「明日までに、音はちょっとオフにできる?」

「オッケー。やっとくわ。」

よし、これで、連絡はオッケー。

そう思っていると、さいとがやって来た。

そして、またしばらくして、私は1を押した。

よし。

リビングへ、しゅーごう!

本当は、「集合」だけどね。

私はそう頭の中でふざけながら、リビングへ行った。

そこでは、しずきが一人でジーと機械を見ていた。

すると、機械の「さき」のボタンがぱっと光る。

しずきは、さっとさきの部屋まで行った。

よし、これで、あとはまさもとそみこだね。

すると、そみこのところがぱっと光った。

そみこのところか。

さいとに行ってもらおう。

さいとは、私が動かないのを見て、そみこの部屋へ行った。

すると、まさものボタンも光る。

あっ、助けが必要なのね!

私は、階段を4段飛ばしで駆け上がった。

すると、突然誰かとぶつかった。

私は、踊り広場に向かって、落ちていった………

ドンッ!

ガンッ!

いたたたた…………

みてみると、まさもだった。

え?

「まさも、2のボタンを押したんじゃ…………」

「キミコ、それって、冗談?私は、ボタン押してないんだけど。あ、でも、ちょっと機械の上に間違ってもの置いちゃったんだよね。その時、ポチって押しちゃったのかも。カシャッて音がしたから、誰かがキーボードを叩いたのかなって思ったんだけど。」

え、じゃあ、もしかして、さっきのボタンって、まさもの押し間違い!?

最悪。

今日、厄日かも。

そして、全員がリビングに揃った。

そみこが、切りだした。

「え~、機械に、改善点はありましたか?」

私は手を挙げた。

「リンティに伝えたから、直しました~!」

そして、リンティと目と目で会話する。

そみこは、不思議そうに私とリンティを見ていたけれど、諦めたのか、リンティとさきに指示を出した。

「さあ、リンティ、さき。仕事です。キミコのリクエストを改善してくださいね。」

そして、私達は解散した。

でも、私はついつい興味が出てきちゃって…………

見てみると、リンティとさは一緒に作業していた。

そして、リンティからまるでさっきから私の存在を確認していたかのように、

「キミコ、気になるなら一緒に作業する?」

と扉の向こうに向かって話しかけてきた。

まさか、こんなに早くばれるなんて思ってもいなかった。

私は、扉を開けて、

「う、うん。」

と答えた。

そして、私は仕事を始めた。

でも、専門的な事は全くわからないから、さきとリンティからはだいたい、簡単な仕事を頼まれる。

「キミコ。リンティのすぐそばの段ボールから、スタンガンを取り出して。これで、うまくいけば電気を流すことができるわ。これが、最後の試練よ。」

私は、スタンガンをさっと取り出して、さきに渡した。

私達が見守る中、さきがゆっくりと、スタンガンを近づけていく。

そして、その瞬間、ドタドタという、そみこの足音が聞こえてきた。

やばい、私も参加していることは、秘密なんだった!

私は、急いで、さきの段ボールの山に身を隠した。

かなり高く山ができているから、多分そみこにばれることはない。

すると、やっぱりそみこがコンコンと扉をノックする音が聞こえてきた。

リンティは、集中しているさきの代わりに、そみこのノックに答えた。

「ごめん、今、さきがスタンガンを使って充電の元となる電気を送り込んでいる所なの。ちょっと、当たりには物とかも飛び散ってるし、危ないから、開けれないの。ごめんね!」

おおっ、リンティ、ギリギリ、うそつかず話してくれた!

そみこは、

「わかりました。」

と言って、立ち去った。

ふう。

そみこにばれなくて良かった。

私が、元の場所に戻ると、さきが言った。

「キミコは、もう戻って大丈夫よ。床に飛び散っている刃物に気をつけてね。もうすぐでできるから。」

そして、私が部屋を出ると、ちょうどそみこが自分の部屋に入ろうとしていた所だった。

げげっ、やっぱ今日って、完全な厄日だ!

そみこは、じろりとこちらをにらむ。

「キミコ、さきの部屋で何をしていたんですか?」

私は、必死で平然さを保ちながら言った。

「そみこ。な、何言ってるの。さっきまで、私、できあがった機械の明るさを、パソコンで決めていたの。かなり悩んでたから、二人とも、もうスタンガンを使ってて。」

はあ、なんとかうそをつけた。

今回のは、れっきとした嘘ですね。

うん、うん。

そみこは、

「そうなんですか。良かったですね。」

と言って、自分の部屋に戻ってしまった。

私は、ほっと息をつき、部屋のベットにどさっと腰を下ろした。

今日は、いろいろ疲れたなあ。

そして、さきとリンティの元気いっぱいの声が聞こえた。

「できたわよ、この機械!」

それが、廊下に響いた瞬間。ズダダダダダダッとそみこ、まさもが先を争って機械を取りに行った。

突然の事ながら、さきとリンティはポカンとしている。

当たり前だ。

いきなり、人2人が先を争って、機械をひったくるんだから。

そして、私としずき、さいとはゆっくりと取りに行った。

さっきの、イノシシ親子はどうしたんだろう?

明日の説得戦すごい、ドキドキするなぁ!

 私は、次の日、朝早く起きた。

そして、すぐに着替えを済ませると、昨日、キスされた所に行った。

そこには、私の予想通り男の子が赤い顔で待っていた。

「返事は?」

私は、きゅっと拳を握ると、ゆっくりと言った。

「昨日ね、考えてみたんだけど、ちょっと、付き合うとか、好きとかそういう気持ちは…………正直に言って、ないの。一緒にいた時間が、ライバルで辛い時間ばかりだったから、しょうがないのかもしれないけど。だから、付き合うとかそういうのは無理だと思う。でも、そういう恋愛系の事じゃなくて、友達としてなら…………もしかしたら、大丈夫かもしれない。」

男の子は、ゆっくりと言った。

「じゃあ、友達、っていう事で。」

でも、と私は口を開いた。

さっき、「友達」っていう提案をされた時の男の子の嬉しそうな顔はすぐに消え失せる。

私は目を伏せた。

「もうね、多分ここの世界には来ないと思うの。」

えっ、と男の子は目を見開く。

「ど、どうして?」

私は答えた。

「私ね、この世界で冒険していたの。でも、全部宝を集め終わったから、元の世界に帰るの、今日。」

男の子は、ポケットから携帯を取り出した。

「じゃあ、メールで時々やりとりをしよう。」

私は頷いて、メールのアドレスを交換した。

私が戻ると、みんながテレビに宝と、ずいぶん長く使ったブレスレットを渡していた。

私も、慌てて宝とブレスレットをテレビに渡した。

こんな、楽しい冒険も今日で終わりなんだね。

でも、楽しかった。

すると、テレビは宝以外の物は受け取らなかった。

もちろん、ブレスレットも。

「その持ち物は、家に持って帰って結構です。」

テレビが淡々と告げた。

やった。

じゃあ、今度、この衣装、ハロウィンの時に着ようっと!

そして、私達は、優しい光に包まれ、元の見慣れた町に帰ったのだ。

帰ろうとしたとき、テレビが声を掛けてきた。

「皆様が行こうとしていた所は、実は、正真正銘の冒険した所です。」

えっ!?

でも、心のどこかでは、なんか感じていたのかも。

実は、私達が行ったのは目的地と同じ所だって。

そして、テレビは消えた。

ちょっと寂しい気分。

でも、まだ、私達に残された作戦。

お父さん&お母さん説得作戦。

頑張らないといけない。

そう思いながら、私はリンティと手をつないで帰って行ったのだった。

メリット
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第26章:さきの勇気

家に着いた私達。

そこでは、お父さんとお母さんがくつろいでいた。

はあ、よかった。

大騒ぎになったら、困るもんね!

私とリンティは、目線をかわす。

すると、お母さんが言った。

「あ、お帰りなさい。その隣の子は誰?」

私はお母さんの問いに答えた。

「リンティ。私の妹。火事の時に、行方不明になった子。」

お母さんは、まじまじとリンティと私を見た。

「まさか…………本当に、リンティなの?」

リンティは、こくりと頷いた。

よし、ここから、頑張って説得しないと!

私は、椅子に座り、話し始めた。

「私ね、しずき、そみこ、まさも、さいとと一緒に冒険に行ったの。それで、テレビが現れて、その世界に住んでいるモンスターをやっつけてくれって言われたの。それから、図書館でさきっていう子に出会って。それで…………一緒に冒険することにしたんだ。それからしばらくして、リンティがその世界のコンピューターをハッキングしたの。しかも、リンティは、怪しい男に命を狙われていていて。それで、私達はシャインという人と、リンティと一緒にここに戻ってきたってわけ。」

話を聞き終わると、お母さんとお父さんは大笑いしていた。

「キミコ、あなた、本当に創造力が豊かになったわね!お話でも書いたらどう?」

「ああ、この冗談は、おもしろい。作家になれるかもしれないよ。」

全然、信じてくれない。

すると、リンティが、声を張り上げて言った。

「これは、本当の話なの!信じて、お母さん、お父さん!」

すると、お父さんとお母さんの笑みがすっと消えた。

「リンティまで、何そんなくだらない冗談に、話を合わせているんだ。」

「そうよ。そんな冗談は、通じないわ。」

その時、リンティが小声でささやいてきた。

「ブレスレットの魔法を見せてあげたら?」

よし。

私はお母さんに言った。

「お母さん。私、本当に魔法でモンスターとかを倒したの!」

するとお母さんが、反論した。

「もう、この話は終わりよ。」

私は、問答無用でブレスレットに触る。

「信じないなら、実際に見てみる?」

そして、鉄の棒を取り出した。

「これでも、魔法がないとか、思える?お母さん、お父さん。」

お母さんは、必死にそれを魔法じゃないと説明しようした。

「キ、キミコは、それを実はかくして持っていたんでしょう。」

う、粘り強いなあ。

なら、これならどうだろう?

私は、お母さんとお父さんをキッチンのシンクの所に連れて行った。

そして、噴水攻撃魔法シールを取り出し、ペタッとくっつけた。

そして、手をゆっくりと開いていく。

すると、手から水がジャージャーと出てきた。

お父さんとお母さんはポカンとしている。

よし、これなら大丈夫かな?

でも、まだ今の段階だと、かなり時間が掛かりそう。

でも、もう少し説得していこう。

私は、今度は光の檻のボタンを押した。

すると、空中がキラキラと光っていき、お父さんとお母さんのところに被さった。

これは、科学的に説明できるでしょうか?

そして、お母さんを見る。

お母さんは、必死で叫んだ。

「わかったわよ!もう、魔法を使えるっていうことはわかったから、さっさとこの檻を消してちょうだい!」

私はさっとブレスレットを操作し、光の檻を消した。

そして、私の頭の中では、計画が組み立てられていった。

魔法を使えることを証明する。

これは、完了。

冒険に行ったことを証明する。 お母さん達に、寮で暮らせるように説得する。

次は、2の計画。

私は、さっとブレスレットを操作して、冒険の服に着替えた。

そして、お父さんとお母さんに言った。

「この服を見ても、冒険しなかったって言える?」

「キミコ、それは、魔法で着替えただけだろ。」

お父さんが、反論する。

私は、お父さんとお母さんに

「じゃあ、リンティはどうやって見つかったと思う?これまで散々、警察に調べてもらったのに、見つからないってことは、違うところに行ってしまった可能性が高いでしょ!それくらい、わからないの?その時、リンティはシャインに助けてもらったんだよ!なんなら、シャインをつれてこればいい?それか、私と一緒に冒険に行った、さいとを連れてくればいい?冒険に行ったことを証明する人はいるんだからね!二人とも、大人だよ!大人が相手なら、お母さん達もわかるかな?大人が言っていることは、正しいとみんな思うから。」

と思いっきり、言った。

若干、怒りも込めていた、そこには。

子供だったら、全て冗談っぽい事は全部、全部冗談で済まされる。

そんな常識が、なんでできてしまったんだろう。

子供だからって、大人より劣っているわけじゃない。

確かに、経験とかは少ないし、失敗も多いけど。

でも、子供の冗談っぽい事は全部、子供が真実を話していても、絶対に冗談で済まされちゃうなんて、私は嫌だ。

お母さんは、私に反論した。

「それだけで、冒険に行ったなんて証明できるつもり?」

リンティは、けんかになりそうになった私とお母さんを止めた。

「二人とも、やめて!ただ、さいととシャインを呼べばいいでしょ!今すぐ、電話するから!」

そして、私はさいとに、リンティはシャインに、電話を掛けた。

そして、私が事情を話すと、さいとは

「今すぐ向かうよ。それまで、ちょっと話が脱線しないようにしておいて。」

と言ってくれた。

よし、これで、オッケー。

私は、頑張ってこの会話を続けようとする。

「お母さん、なんで、私達、子どもの言う、真剣な話は冗談に受け止めて、大人が言うことは真剣に受け止めるの?はっきり言って、ずるい。子供が言う冗談っぽい事は、全部、全部、冗談にするの!?なのに、大人が言うことならちゃんと真剣に受け止めるだなんて。そんな常識を、お母さんは信じているの!?子供が、本当の事を言っていても?」

お母さんは言った。

「そりゃあ、そうでしょ。そんな突飛なこと、真剣に受け止めるなんて、どんな人でも無理よ。キミコ、冒険に行ったなんてうそは、バレバレだから。」

その時、リンティが無表情になった。

リンティの無表情、初めて見た!

リンティは、真顔のまま、お母さんを問い詰めた。

「何で、お母さんは…………真剣な話を、冗談として受け止めるの?さっきの、魔法の件でも同じだったじゃない!子供の言う冗談っぽい事は、全部冗談として受け止める?そんなの、絶対おかしい。どうして?お母さん達は、どうして、私達の言うことを信じてくれないの?誰も、信じてくれないかもしれないけど、私はチャレンジしているの。お母さん達なら、絶対信じてくれるって信じて。」

お母さんは、リンティを叱った。

「今回の話と、魔法の話とでは、全く違うの!あなた達は、うそをついていることになるの!」

すると、リンティが泣き出してしまった。

「うぇぇぇぇぇん…………何でお母さんは、私をけはなすのぉ…………」

リ、リンティ…………

お母さんは、これには慌てたみたい。

「リンティ、ごめんね。けはなしているわけじゃないから!リンティの言うこと、何でも信じてあげるから!」

「じゃあ…………冒険のことも、信じてくれる?」

リンティが、涙を拭きながら言った。

「ええ、なんでも信じてあげるから!!」

よし、計画成功!

2の計画は、完了!

私は、心の中でガッツポーズする。

そして、私が寮のことをお母さんに話した。

「リンティね、私達、しずき、まさも、さいと、さき、シャインと、離れたくないんだって。それで、寮のことを私達で話し合ったの。みんなで住んだら、家事とかも上手になるんじゃないかって。テントで暮らしているうちに、家事とかがだんだん、失敗しないようになっていて。それで、私達が…………中学校に上がったときに、自分で家事ができるようになれたらいいなって思って。もちろん、お金が掛かることは知っている。だけど、どうしても、寮に住みたいの。学校の近くにある寮に。あそこなら、今まで通り、学校に通える。しかも、そみこがいるから、絶対に遅刻はしないはず。おねがい、お母さん。お母さんにも、心配をかけないように、できるときはちゃんと会いに行くから。」

お母さんは、しばらく考えてから、

「いいわ。ただし、中学校になっても、家事がうまくならなかったら、あなたに寮に住むためのお金を少し上乗せして、あなたにお金を返してもらうわ。」

と言ってくれた。

やった。

その時、ピンポーンとインターホンが鳴った。

げっ、もう、解決できたのに、さいととシャインに断るの、忘れてた!

私は、お母さんに言った。

「ごめん、そみこ達に連絡しないと。お家でみんな、家族と話し合っているの。寮のことを。」

私は、ポケットにさりげなく忍ばせていた機械の1のボタンを押した。

そして、家を出ると、待ち合わせ場所まで来た。

すると、「さき」のボタンが光る。

私は、すぐにさきの所へ行った。

さきの家は、待ち合わせ場所からすごい近い。

私は、さきの家のインターホンを押した。

すぐに、さきが出てきた。

さきは、困ったような顔で私に説明した。

「私、頑張って説得しようとしているんだけど、まだ、魔法のことも全然、信じてくれないの。ママもパパも、すごい頑固で…………」

私は、さきのお父さんとお母さんに聞いた。

「何で、森冒険に行ったことを信じてくれないんですか?」

さきのお母さんはそれに応えず、さきを叱った。

「皐月。今まであなた、1人でいて、ちゃんと生活もしっかりしていた頃は、そんなこと、言わなかったのに。急に、明るくなって、そういう馬鹿な子と一緒になって、遊び初めて。そういう子と一緒にいるから、頭がおかしくなるのよ。さあ、さっさと、お別れしなさい。」

えっ。

さきって、今まで、友達作ってなかったの?

さきは、私の目が言っていることを読み取り、教えてくれた。

「私、ママに、友達は作らず、勉強とかだけを頑張るように言われていたの。でも、心底寂しくて…………そう思っていたら、いきなり森冒険の世界に連れてこられたの。でも、そのまま生活を続けるより、森冒険の世界にいた方が、私にとっては、幸せだったの。元の生活に戻りたくないって。それで、戻ってきたときには、なんか元の世界が、私に友達ができているようになった世界に置き換えられていて。それで、家に帰ったら怒られちゃったの。今まで、私がママに抵抗することなんてなかったから。怖かったの。怒られるのが。でも、寂しかったから、ママとの約束を破って、キミコ達と友達になったの。それで、それをママに見抜かれちゃったのよ。」

うわあ、さきの家の子じゃなくって、本当に良かった。

でも、問題は、さきがこのまま説得を続けても、多分お母さん達は絶対に寮のこととかを許してくれないっていうこと。

私は、口を開く。

「何で、さきは友達を作っちゃいけないんですか?友達を作るのは、いいことでしょう?勉強だって、ちゃんとさきは嫌がらずにやれる子ですよ!」

お母さんは、冷たい目で私を見る。

「この話は、家庭の事情です。勝手に、首を突っ込まないでちょうだい。しかも、勝手に人の家に入ってきて。さっさと出て行ってください!さあ、早く!」

「いい加減にして!!!!!」

そう叫んだのは、さきだった。

さきのお母さんはびっくりして、顔がこわばる。

でも、それも一瞬のことで、すぐにさきに言った。

「さき。やめなさい。さっさと、こんな子とは友達をやめて、勉強をしなさい。こんな、くだらない話はおしまい!」

さきは、お母さんに言った。怒ったような口調で。

「私は、いつも、学校でも、ひとりぼっち!ただ、本を読んでいるだけだったの!しかも、お母さんに決められた本ばかり。家でも、ひとりぼっち。ママは、午後にどこか行くのは許してくれない。私には、いつも勉強ばかりさせている。私だって、本当は、友達を作りたいのに!なんで、私をこんなに縛り付けるの!自分の人生じゃないのに。私の私の人生よ!ママやパパの人生じゃない!」

そして、さきのお母さんやお父さんが口を開こうとするのを、さきは遮った。

「私には、もう、だれも、友達にはなってくれない。入学したばっかりの時、たくさん遊びに誘ってくれた子達を、私はママの言う通り、突き放しちゃったから。それで、いつもひとりぼっちだった。悩みは持っているのに、誰にも打ち明けられない。ママやパパに言っても、『勉強しなさい。』って言われるに決まっている。それなら、言わない方がいい。そう思って、普通に暮らしてきたの。」

さきの瞳から、涙が溢れる。

「でも、もう限界!あの世界に行って、気がついたの。私は、もう、こんな生活をしたくないって。ママやパパは、知らない。私が部屋で、『勉強に集中するから』って鍵をかけて、中では本当は涙を流していたことを。寂しかったの。もう、家にはいたくない、家出しようって考えたことも、100回以上ある。それで、森冒険の時に、決心した。私は、この家にはもういたくない。こんな、苦しい世界は、嫌なの。ママやパパが、それでも寮に行くのを引き留めたら、私は、もう家には戻ってこないわ!荷物をもって、この家を出て行く。それくらいの覚悟は、できている。私は、ママやパパが行くって決めている、あの中学校じゃなくて、そのままの中学校に行く。あそこだったら、また中学でも寮でみんなで暮らせる。それで、高校生になったら、私は、受験するから。そして、パソコンの高校に行く。私は、将来、プログラミング会社で働きたいの。リンティの夢と一緒。私は、もう決めた。私は、自分の進みたい道に行く。」

さき、すごい!

さきのお母さんとお父さんは、ポカンとしている。

そして、さきは私を引っ張っていくと、お母さん達を押しのけて、自分の部屋に行き、鍵を掛けてしまった。

その前に、さきのお母さんが

「さき、やめなさい!」

って引き留めたけど、さきはこう吐き捨てた。

「ほっといて!お母さんは、ずっと私を見えない鎖で、縛り付けていた。家を出る直前くらいは、私を自由にさせてよ!」

さきは荷物をまとめ始める。

私は、さきに聞いた。

「さき、もう、この家に戻ってこないって、本当?」

さきは、うなずく。

「うん。このまま家にいても、いつか私が爆発しちゃうから。もしかしたら、もしかしたらだけど、我慢できなくなって自殺しちゃうかもしれない。もう、ここの家には、戻ってこないつもり。何日もかかってでも物を運んでいくわ。寮は、結構広いらしいの。普通の家の、2倍くらいは少なくともあるみたい。それに、寮はそのまま受験せずに中学校に上がっても、暮らせるらしいわ。高校は、さすがに受験しなくちゃいけないけど。」

う~、さき、勇気あるなあ。

私だったら、たとえ苦しくても、あんな縁を絶ちきれるなんて勇気、ないよ。

さきは、段ボールの中に、家の全てを詰め込んでいく。

でも、部屋にある物全部を詰め込んでも、段ボールは満帆にならない。

何この段ボール!?

私が驚いていると、さきが少し笑って説明してくれた。

「これはね、私が夏休みの宿題の自由研究で発表した段ボール。これはね、ママやパパに内緒でつくったのよ。学校では大好評。いくらでも入れられる段ボールで有名なの。仕組みは、ちょっと複雑すぎて、キミコにはわからないと思うわ。今度、キミコの家にもあげるわね。でも、いいわね、キミコって。あういう、説得がうまくいく家庭で暮らせて。さあ、この段ボールを私がつくったキックボードのかごに入れてと。じゃあ、出発するわよ。途中で、ママやパパに会う事になるけど。」

そして、さきはキックボードを抱えて玄関へ行った。

お母さん達は、言った。

「さき、本当に行くつもり?まあ、そんなこと、できるわけないけど。すぐに、戻ってくるはずよ。」

さきは答えた。

「もう、部屋の中は空よ。さよなら。言っておくけど、寮に行っても私は出てこないから。」

そして、私は、ピッと機械の1のボタンを押し、元の待ち合わせ場所まで戻った。

あ、私達が最後だったみたい。

そみこは、さきの段ボールにびっくり。

「もう、運び出しているんですか?」

さきが、淡々と言った。

「荷物は、これだけよ。」

今度はしずきが口を挟む。

「ちょと待って。さきの荷物って、全然ないの?」

さきは、応える。

「これ、いくらでも物を入れられる段ボールなの。じゃあ、ちょっとだけ運びに行ってくるわね。」

そして、キックボードでシャーと丘を下っていった。

私達は、機械をリンティに渡して、荷物を運ぶために家に戻った。

家にある物、ごっそり持って行けるなんて、とっても便利だなあ。

でも、さきに段ボールをもらう前に、荷物を整理しないと。

私は、部屋にある物を真ん中に集めていった。

すると、インターホンが鳴ってさきが出てきた。

手には、段ボールを持っている。

私は、さきから段ボールを受け取り、荷物を詰め込み、キックボードのかごに入れた。

そして、寮に行こうとして、地面を蹴った瞬間…………プシュウウウウウウ。

タイヤに穴が空いて、空気が抜けてしまった。

さきは、

「寮に工具セットがあるから、直してくるわ。あと、改造もしとくから。」

と言って、寮まで走って行った。

私も、さきの後を追った。

そして、やっと片付けが終わった私達。

なんとね、寮は、他に人は住んでいないの!

私達で、支配できる!

わはははは、私は王だぞ。

…………なんてね。

でも、また新たなワクワクがあるに違いない!

私達の冒険は、まだ始まったばっかりだよ!

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